当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
当連結会計年度(2021年10月1日~2022年9月30日) におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限は段階的に緩和され、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られたものの、世界的な半導体不足やロシアによるウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰に日米金利差の拡大などを要因とする急激な円安の進行が重なるなど、企業経営を取り巻く環境は先行き不透明な状況で推移いたしました。
当連結会計年度の売上高は、上記経済活動の制限緩和により当社商品のメインユーザーである若年層の女性の外出機会が増えたことや販売先である小売業・テーマパーク等の営業活動が正常化したこと、前期から戦略的に進めてきた重点販売先に対する営業強化が奏功したことなどを受けて、対前期比22.3%増の17,280,493千円と大幅な増加となりました。仕入れ商品を圧縮し自社企画商品に徐々に切り替えたことで自社企画商品売上高は13,620,920千円(対前期比24.5%増)と増加し、構成比については78.8%と前期の77.5%から1.3ポイント上昇しております。売上総利益額は4,804,235千円で対前期比17.2%増となりましたが、返品リスクがない一方で粗利益率が低いOEM商品の割合が増加したことや年度後半にかけて為替が大幅に円安傾向となったことから売上原価が上昇したことなどを受けて、同利益率は27.8%と対前期比1.2ポイント減少しました。販売費及び一般管理費は、人件費については人員減もあり抑制した一方で、売上が好調に推移したため物流費、販促費などが増加し、対前期比11.4%増の4,169,219千円となりました。営業利益は対前期比78.8%増の635,015千円、経常利益は対前期比59.0%増の616,311千円、親会社株主に帰属する当期純利益は511,852千円(対前期比146.6%増)となりました。
当社グループの事業セグメントは、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、単一の事業セグメントでありますが、取扱い商品を区分した売上高の概況は次のとおりであります。
① 化粧品・化粧雑貨(注)
当分類には、メイク関連用品、ヘアケア関連用品、トラベル用品、バス・エステ・健康関連グッズ等の売上が含まれます。当連結会計年度の売上高は、均一ショップ向けを中心に重点販売先からの化粧品受注が大幅に増加したことを受けて11,879,837千円(対前期比29.4%増)となりました。
(注)従前より当分類に含まれていた化粧品の比率が上昇したことにより、当連結会計年度から分類の名称を「化粧雑貨」から「化粧品・化粧雑貨」に変更いたしました。
② コンタクトレンズ関連
当分類には、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケア用品の売上が含まれます。当連結会計年度の売上高は、国内マーケットではコンタクトレンズの需要がBtoB・BtoCともに回復した一方で、中国マーケットはロックダウンの影響と中国国内企業との競争が激化し、全体としては2,521,679千円(対前期比6.2%減)となりました。
③ 服飾雑貨
当分類には、バッグ、ポーチ・ケース、サイフ類、その他服飾小物の売上が含まれます。当連結会計年度の売上高は、重点販売先からの受注が増えたことに加えてテーマパークの営業が正常化したこともありキャラクターをあしらったバッグ、ポーチ、小物やアクセサリーなどが好調に推移し、1,963,728千円(対前期比25.1%増)となりました。
④ その他
当分類には、生活雑貨、文具、行楽用品、ギフト商品等の売上が含まれます。当連結会計年度の売上高は、重点販売先に提案した車のサンシェードや簡易型のテント、クール用品などシーズン商材が大幅に伸びたこともあり915,248千円(対前期比33.7%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて732,903千円増加し、14,757,950千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,251,588千円増加し、11,483,660千円となりました。
これは主に、現金及び預金が527,172千円、売掛金が510,042千円、商品及び製品が247,439千円、為替予約が490,677千円増加したことに対し、有価証券が500,000千円減少したこと等によるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて518,685千円減少し、3,274,290千円となりました。
これは主に、建物及び構築物が117,183千円、土地が319,506千円、投資その他の資産のその他が56,811千円減少したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて7,955千円減少し、8,777,811千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて223,465千円増加し、5,030,735千円となりました。
これは主に、支払手形及び買掛金が230,447千円、未払法人税等が152,531千円増加したことに対し、1年内返済予定の長期借入金が146,500千円減少したこと等によるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて231,421千円減少し、3,747,076千円となりました。
これは主に、繰延税金負債が221,902千円増加したことに対し、長期借入金が454,500千円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて740,859千円増加し、5,980,138千円となりました。
これは主に、利益剰余金が379,753千円、繰延ヘッジ損益が323,164千円増加したこと等によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は523,317千円増加し、4,233,287千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、331,727千円(対前期比45.2%減)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益を778,629千円計上するとともに、減価償却費206,576千円、仕入債務の増加211,794千円があったこと、固定資産売却益△192,199千円、売上債権の増加△529,315千円、棚卸資産の増加△234,861千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、895,313千円(前年同期は905,048千円の支出)となりました。
これは主に、有形固定資産の売却による収入550,020千円、投資有価証券の償還による収入500,000千円があったこと、有形固定資産の取得による支出△117,611千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、734,500千円(対前期比173.6%増)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入1,500,000千円があったこと、長期借入金の返済による支出△2,101,000千円、配当金の支払額△132,123千円があったこと等によるものであります。
当社グループは、報告セグメントが単一であるため、商品区分別に記載しております。
当社グループは、一部において商品生産を行っておりますが、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当連結会計年度における仕入実績を商品区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.従前より「化粧雑貨」に含まれていた化粧品の比率が上昇したことにより、当連結会計年度から分類の名称を「化粧雑貨」から「化粧品・化粧雑貨」に変更いたしました。
当社グループは、一部において商品の受注生産を行っておりますが、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績を商品区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.従前より「化粧雑貨」に含まれていた化粧品の比率が上昇したことにより、当連結会計年度から分類の名称を「化粧雑貨」から「化粧品・化粧雑貨」に変更いたしました。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
3.前連結会計年度の株式会社PALTAC、株式会社しまむらについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
4.株式会社PALTACへ販売した商品は、主に株式会社大創産業へ卸され、ダイソー店舗等にて一般消費者へ販売されております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。当該連結財務諸表にかかる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
(売上高)
売上高は、前連結会計年度に比べ3,154,695千円増加し、17,280,493千円(対前期比22.3%増)となりました。
主力の化粧品・化粧雑貨は、均一ショップ向けを中心に重点販売先からの化粧品受注が大幅に増加したことを受けて、売上高は前連結会計年度に比べ2,697,500千円増加しました。
コンタクトレンズ関連は、国内マーケットではコンタクトレンズの需要がBtoB・BtoCともに回復した一方で、中国マーケットはロックダウンの影響と中国国内企業との競争が激化し、売上高は前連結会計年度に比べ167,795千円減少しました。
服飾雑貨は、重点販売先からの受注が増えたことに加えてテーマパークの営業が正常化したこともありキャラクターをあしらったバッグ、ポーチ、小物やアクセサリーなどが好調に推移し、売上高は前連結会計年度に比べ394,215千円増加しました。
その他分類は、重点販売先に提案した車のサンシェードや簡易型のテント、クール用品などシーズン商材が大幅に伸びたこともあり、売上高は前連結会計年度に比べ230,774千円増加しました。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度に比べ705,250千円増加し、4,804,235千円(対前期比17.2%増)となりました。
返品リスクがない一方で粗利益率が低いOEM商品の割合が増加したことや年度後半にかけて為替が大幅に円安傾向となったことから売上原価が上昇したことなどを受けて、同利益率は27.8%と対前期比1.2ポイント減少しました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、人件費については人員減もあり抑制した一方で、売上が好調に推移したため物流費、販促費などが増加し、対前期比11.4%増の4,169,219千円となりました。
主な内容は、販売促進費508,397千円、物流費839,711千円、人件費1,707,451千円であります。
以上の結果、営業利益は635,015千円(対前期比78.8%増)、売上高営業利益率は3.7%(前年同期は2.5%)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は、69,087千円となりました。
主な内容は、受取利息11,210千円、不動産賃貸収入43,240千円であります。
営業外費用は、87,791千円となりました。
主な内容は、支払利息22,508千円、不動産賃貸費用37,043千円であります。
以上の結果、経常利益は616,311千円(対前期比59.0%増)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は、192,199千円となりました。
内容は、固定資産売却益192,199千円であります。
特別損失は、29,881千円となりました。
内容は、ゴルフ会員権評価損29,881千円であります。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は511,852千円(対前期比146.6%増)となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループの事業に重要な影響を与える要因としましては、法的規制、景気、為替相場等の経済状況の変動、地震・台風等の大規模災害等様々な要因が挙げられ、詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
特に、景気の変動については、後退局面においても業績の安定化が図れるよう、比較的利益率の高い自社企画商品の取扱いの拡大に注力する所存であります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 資金の需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、商品の仕入、全社に係る販売費及び一般管理費のほか、今後の事業展開や物流体制のリノベーションのための投資及び業務効率の向上等を図ることを目的としたシステム開発投資等によるものであります。これらの資金需要につきましては、自己資金にて対応することを基本としており、必要に応じて銀行借入を行うこととしております。
(5) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社では、収益性の向上という観点から選択と集中を進めてまいりましたが、今後は、「真のメーカー」の立場で「この商品であれば粧美堂」と言われるような定番的商品ラインアップの構築を目指した選択と集中を推進していきます。
当社はディスカウントストア、ドラッグストア、バラエティストア、総合スーパー等の幅広い業態の小売業の中でもトップクラスの企業と取引があり、こうした企業との取引に一層注力することによる成長を展望すると同時に、各社から還元を受けたPOSや店頭での情報を、速やかに社内の商品企画セクションに還元し、商品化をスピードアップするという取り組みをスタートいたしました。また現場力を最大限に活かすために、現場のマネージャークラスに権限を大幅に委譲し意思決定プロセスを簡素化すると同時に、ITインフラを整備したことで従来以上に社内外の情報の共有化と業務スピードの迅速化に努めています。
また、上記のような小売業のトップクラスの企業は、いずれもPB商品に力を入れていることもあり、当社が永年培ってきた化粧品・化粧雑貨などの分野における知見を活かし、販売先の企画段階から商品開発に当社社員が噛み込み 、魅力ある商品・売り場づくりのお手伝いをすることで、販売先と歩調を合わせた成長を目指してまいります。
当社は、世界中の多様な個人の「心と体の美と健康をサポート」することを使命に掲げ、小さな市場で大きなシェアを持つ、ニッチ市場のNo.1メーカーの集合体を目指すことを今後の目標と定め、ネイルケア、メイクアップ、キッズ向け商品のカテゴリーに焦点を合わせ経営資源を投入してまいります。
また、当社グループでは消費のEC化の進展を見据えて、数年前からEC事業の強化やSNSを通じた情報発信を行い「消費者と直接繋がる」取り組みを進めてまいりました。2022年9月末時点で日本・中国でEC会員数、フォロワー数を合わせ63万人の消費者と直接の繋がりを構築するに至りました。これらの方々を粧美堂(SHOBIDO)のファンととらえ、この数を100万人まで拡大し、多様な市場情報の収集、自社メディアからの情報発信力の強化、海外を含めたEC事業の拡大を進めてまいります。
当社グループでは、総仕入額のうち37.1%を海外から外貨建てで仕入れており、その92.6%は米国ドル建ての決済です。米国ドル建て決済見込み額の約50%程度を目安として為替予約を実施しておりますが、足許の円安基調は当社業績に大きな影響を及ぼします。これに対し当社では、販売先に対する商品価格への転嫁の要請、ゼロベースでの商品仕入先メーカーの見直し、デリバティブを活用した外貨調達など多岐にわたる方策を検討・実践しております。
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