業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、ワクチン接種の加速や行動制限の緩和等により個人消費が緩やかに回復するなど、景気に持ち直しの動きがみられました。しかしながら、年度終盤には新たな変異株による感染の再拡大や、ウクライナ情勢の悪化などによる資源価格の上昇や円安の進行により、企業を取り巻く環境は厳しい状況で推移しました。

住宅業界におきましては、コロナ禍における在宅勤務の定着を背景に、郊外での戸建住宅の取得やリフォーム需要の高まりが見られるなど、住宅需要は堅調に推移しました。一方、海外での木材需要の増加やコンテナ不足等を背景とした木材の供給不足や価格高騰、いわゆるウッドショックなどにより、多くの原材料価格が上昇するなど、企業収益を下押しする状況が続きました。

このような状況の中、当社グループでは、中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2023」の実現に向けて、本計画の基本方針に基づく各施策への取り組みを着実に進めてまいりました。とりわけ、顧客ニーズを取り入れた新製品の市場投入による住宅分野及び非住宅分野の販売拡大に注力しました。また、長期化する原材料価格の高騰に対応するため、より一層の生産性の向上や経費削減を推し進めるとともに、販売価格への転嫁に取り組みました。さらに、床面積約2,850坪の物流倉庫を新設するなど、物流機能の効率化によるサービスの充実とコスト低減を図りました。

これらの結果、ENボード株式会社への先行投資等の影響があったものの、住宅資材事業の業績は回復し、当連結会計年度の売上高は59,444百万円(前年同期比6.5%増)、営業損失40百万円(前年同期は営業損失383百万円)、経常利益59百万円(前年同期は経常損失227百万円)となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、第1四半期連結会計期間に賃貸用不動産の譲渡に係る固定資産売却益を計上したことなどに伴い389百万円(前年同期比59.1%減)となりました。なお、前年同期比の差異要因は、前年度は負ののれん発生益350百万円及び投資有価証券売却益1,206百万円を特別利益として計上しており、これらの一過性要因の剥落影響によるものであります。

また、中期的な経営指標として売上高経常利益率5%以上を目標に取り組んでおりますが、ウッドショックによる基材コストの急激な上昇をはじめとする原材料価格の高騰などが影響し、目標は未達となっております。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

(住宅資材事業)

住宅資材事業では、フローリング、室内階段、室内ドア、収納等の色柄・デザインを体系化した基軸ブランド「Skism(スキスム)」の更なる販売拡大に注力しました。このほか、各分野において以下の施策を推し進めました。

建材分野では、天然木の意匠性や質感を最大限に活かすため、新たな塗装法「Eナチュラル塗装」を確立するとともに、抗菌・抗ウイルス加工を施した新しいフローリング「銘樹モクトーン」を発売し、銘樹ブランドの更なる強化を図りました。また、SDGsの取り組みの一環として、輸入合板から国産の合板への置き換えを進めるため、「銘樹モクトーン」のフローリング基材には国産の針葉樹合板を用いるなど、環境に配慮した製品開発に取り組みました。

内装システム分野では、室内ドアや収納製品の最上位シリーズ「グランマジェスト」の販売拡大に注力しました。さらに、大容量収納と高い意匠性を両立させた新しい収納「Cave’S(カベス)」や、コロナ禍による在宅勤務に伴うニーズを取り入れた「リビングステージ デスク用部材」などを発売し、収納製品の品揃え強化を図りました。また、高齢者施設や幼稚園、保育園等の園舎内の広い共用スペースを間仕切ることにより、利用目的に応じて空間をアレンジできる「セーフケアプラス 大開口間仕切り吊り戸」を発売するなど、非住宅分野の販売拡大にも取り組みました。

住設分野では、感染予防策として手洗いが重要視されている中、帰宅後すぐに手を洗いたいというニーズに合わせて、コンパクトでインテリア性の高い手洗い「セカンドサニタリー」を新たに発売し、玄関まわりの製品の品揃え強化を図りました。

これらの結果、住宅資材事業の売上高は、54,134百万円(前年同期比6.2%増)となりました。一方、ウッドショック等による原材料価格の高騰や、物流コストの上昇等を補うべく、徹底したコスト低減や販売価格への転嫁、高付加価値製品の販売拡大に取り組み、セグメント利益は2,081百万円(同61.3%増)となりました。

 

(木質ボード事業)

木質ボード事業におきましては、化粧パーティクルボードの販売が伸び悩んだものの、顧客の新規開拓に注力するとともに置床の販売を拡大した結果、売上高は5,180百万円(前年同期比10.6%増)となりました。一方、ENボード株式会社への先行投資や原油価格の高騰による接着剤価格の上昇等を補うべく、徹底したコスト低減や販売価格への転嫁、高付加価値製品の販売拡大に取り組みましたが、セグメント損失は475百万円(前年同期はセグメント利益45百万円)となりました。

 

(その他事業)

当社グループは、上記事業のほか、不動産有効活用事業、太陽光発電事業を推進しております。

当期の売上高は、第1四半期連結会計期間に賃貸用不動産の一部を売却した影響により、129百万円(前年同期比17.2%減)、セグメント利益は73百万円(同12.4%減)となりました。

 

(2)中期経営計画の達成状況

当社グループは、2022年3月期を初年度とする中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2023」の実現に向けて、本計画の基本方針に基づく各施策を進めてまいりました。初年度の2022年3月期は、売上高及び各利益ともに前年同期比では改善するなど、一定の成果を上げることができたものの、数値計画を下回る結果となりました。未達要因としましては、数値計画では操業に向けて準備を進めているENボード株式会社の販管費を当社グループ全体で補う計画としておりましたが、売上高が概ね順調に推移した一方で、ウッドショックによる基材コストの急激な上昇をはじめとする原材料価格の高騰が想定を大きく超えるレベルとなったためであります。当社グループとしましては、これらのコストアップに対応するため、生産性の改善など様々な手法によりコスト低減に取り組むとともに、販売価格への転嫁を進めましたが、価格転嫁の進捗が遅れたこともあり、各利益は想定を下回りました。

なお、コロナ禍の長期化に加え、地政学リスクの高まりに伴う資源価格の上昇や円安の進行、さらにはウッドショックによる基材コストの高騰など、当社グループを取り巻く環境は大きく変化しております。また、ENボード株式会社はコロナ禍で操業スケジュールに遅れが生じておりましたが、入国制限が緩和された2022年3月以降、専任技術者の入国が可能となりましたので、2022年5月にJIS認証の取得に向けた初期流動品の生産を開始し、その後の認証取得を経て、2022年11月から商用生産の開始を予定しております。

このような状況を鑑み、中期経営計画を精査した結果、2年目以降の数値計画が計画策定時から大きく乖離する見込みとなりましたので、見直しを実施しております。

詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営計画、経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(3)生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

住宅資材事業(百万円)

27,200

108.1

木質ボード事業(百万円)

5,043

102.2

報告セグメント計(百万円)

32,244

107.1

その他(百万円)

15

90.5

合計(百万円)

32,259

107.1

 

b.仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

住宅資材事業(百万円)

12,735

113.1

木質ボード事業(百万円)

201

120.0

報告セグメント計(百万円)

12,937

113.2

その他(百万円)

合計(百万円)

12,937

113.2

 

c.受注実績

当社グループ(当社及び連結子会社)は概ね見込生産を行っております。内装システム分野では主として受注生産を行っておりますが、その多くが短期間で販売されるため、記載を省略しております。

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

住宅資材事業(百万円)

54,134

106.2

木質ボード事業(百万円)

5,180

110.6

報告セグメント計(百万円)

59,314

106.6

その他(百万円)

129

82.8

合計(百万円)

59,444

106.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住友林業株式会社

10,118

18.1

11,555

19.4

SMB建材株式会社

8,214

14.7

8,589

14.5

 

(4)財政状態の概要

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8,180百万円増加し、88,853百万円となりました。主な要因は、ENボード株式会社の工場建設等により建物及び構築物並びに建設仮勘定がそれぞれ増加したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ8,589百万円増加し、47,052百万円となりました。主な要因は、ENボード株式会社の設備投資資金として借入金が増加したことによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ409百万円減少し、41,801百万円となりました。主な要因は、配当金の支払いによるものです。

 

(5)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動で1,208百万円の資金を獲得、財務活動で6,803百万円の資金を調達し、投資活動に9,561百万円の資金を使用したことにより、前連結会計年度末に比べ1,545百万円減少し、当連結会計年度末には5,814百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは1,208百万円の増加(前年同期は2,388百万円の増加)となりました。主な要因は、減少要因として、棚卸資産が2,004百万円、その他資産が1,916百万円増加したものの、増加要因として、減価償却費1,829百万円の計上、未払金1,415百万円の増加、売上債権855百万円の減少、仕入債務742百万円の増加となったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは9,561百万円の減少(前年同期は8,862百万円の減少)となりました。主な要因は、有価証券の償還により1,000百万円、定期預金の払戻により1,680百万円の収入があったものの、有形固定資産の取得に11,155百万円、定期預金の預入に1,508百万円を支出したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは6,803百万円の増加(前年同期は9,587百万円の増加)となりました。

主な要因は、ENボード株式会社の設備投資資金等として借入れを行ったことによるものです。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性について

「(5)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。なお、当社グループは製品製造のための原材料の調達、経費等の支払いを始めとした運転資金のほか、安定した製品の生産を行うための設備投資資金、ソフト開発資金の需要があります。これらの資金需要に対し、自己資金並びに外部からの資金調達も含め柔軟に対応することを基本としております。また、当連結会計年度末において、金融機関と総額5,000百万円の融資枠を設定し流動性リスクに備えております(借入金残高2,000百万円)。

なお、当連結会計年度末の借入金残高24,015百万円は、上記の借入金残高及びENボード株式会社の設備投資資金に係るものであります。

 

(7)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得