課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは経営の基本理念に『木を活かし、よりよい暮らしを』を掲げ、地球、社会、人との共生を通じて、豊かで持続可能な社会の実現に貢献する企業であり続けることを目指しております。

「持続可能な森林の木を使う」「木を無駄なく使う」「木を循環して使う」という3つの循環の輪に沿った事業を展開するとともに、地球環境に配慮した製品を開発することにより、社会に貢献してまいります。

また、すべての世代の安全と使い勝手に配慮した製品を提供することにより、豊かな住環境を創造するとともに、国際社会の一員として国や地域の多様性を尊重し、雇用の確保や製品の提供等を通じて地域社会の発展に貢献することで、ステークホルダーの皆様に報いてまいりたいと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは事業の継続性とともに、株主に対する安定配当を持続するためにも収益の確保が最も重要と考え、売上高を増大させながら売上高経常利益率を高めることにより、収益基盤を強化してまいります。

当面の経営指標として売上高経常利益率5%以上を目標とし、業容拡大に取り組んでおります。

 

(3)経営環境

今後のわが国経済は、コロナ禍での経済活動が徐々に再開しているものの、ウクライナ危機による資源高や、円安の進行がもたらすインフレにより、景気の減速が懸念されるなど、先行き不透明な状況が続くと見ております。

住宅業界におきましても、物価の上昇などに起因する住宅取得マインドの低下により、住宅需要が減少傾向にあることに加え、ウッドショックや為替の動向によっては、原材料価格が更に上昇する懸念があり、事業環境は厳しさを増すものと考えております。こういった状況を踏まえると、住宅需要の早期回復は困難な状況にありますが、一方では住宅会社によるウィズコロナを意識した需要の掘り起こし、事業運営が実践されていることに加え、住宅内装部材においては住宅購入者の年齢層や世帯構成、ライフスタイル等によりニーズの多様化が進んでおり、それらの需要を取り込めるか否かは、当社グループが事業を拡大するうえで重要なポイントになると考えております。

このような状況の中、住宅内装部材メーカー各社は、最新のトレンドを反映した色柄やデザイン、機能を取り入れた新製品開発を強化し、市場投入サイクルを短縮するとともに、生産拠点においては生産能力の強化を図ってきました。こういった企業間の熾烈な競争が続いてきたことから、新設住宅着工戸数が低迷する現在の市場においては、住宅内装部材の需給バランスは供給過多の傾向が強まっており、製品価格に下落圧力が働きやすい状況にあります。

 

(4)経営計画、経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、2022年3月期を初年度とする中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2023」の実現に向けて、本計画の基本方針に基づく各施策を進めましたが、初年度は一定の成果を上げることができたものの、数値計画を下回る結果となりました。当社グループを取り巻く環境は、コロナ禍の長期化に加え、地政学リスクの高まりに伴う資源価格の上昇や円安の進行、さらにはウッドショックによる木材価格が高騰を続けるなど大きく変化しております。また、操業に向けて準備を進めているENボード株式会社では、2021年11月に工場建屋が竣工し、主要な生産設備の設置が完了しましたが、設備の試運転を行うドイツの専任技術者がコロナ禍の影響により入国できない状況が続いたため、操業スケジュールに遅れが生じました。入国制限が緩和された2022年3月以降、専任技術者の入国が可能となりましたので、2022年5月にJIS認証の取得に向けた初期流動品の生産を開始し、その後の認証取得を経て、2022年11月から商用生産の開始を予定しております。

このような状況を鑑み、中期経営計画を精査した結果、2年目以降の数値計画が計画策定時から大きく乖離する見込みとなりましたので、見直しが必要と判断いたしました。新たな数値計画は、ENボード株式会社が2022年11月に商用生産を開始する前提で売上高及び各利益を算定しており、減価償却費や支払利息等の影響を加味しております。なお、当社グループが優先的に対処すべき課題を落とし込んだ6項目の基本方針は、中期経営計画の根幹をなすものであり、変更はございません。

(3)経営環境に記載のとおり、当社グループを取り巻く環境は厳しさを増しておりますが、当社グループでは、お客様にご満足いただける製品品質の維持向上と安定供給に引き続き取り組んでまいります。その上で、多様なニーズを取り入れた製品開発とライフスタイルの変化に合わせた製品の拡充を図り、SNSを含めた効果的な販売促進策を通じて、更なる販売拡大に注力してまいります。さらに、リフォーム需要の獲得や非住宅分野での販売を強化することにより、事業構造の転換を加速させ、事業領域の拡大と収益力の強化を図ってまいります。

 

また、ENボード株式会社を早期に軌道に乗せることが、喫緊の重要課題であると認識しております。同社の高品質なパーティクルボードを、グループ外から調達している合板などの木質材料の代替として、住宅資材事業の製品へ積極的に採用してまいります。これにより、材料から製品までを一貫して生産できる体制を構築し、調達コストと製品供給の安定化を図ってまいります。併せて、今まで蓄積してきた製造技術を駆使してパーティクルボードの新たな用途開発を推進するなど、住宅資材と木質ボードの両事業の相乗効果により、業績と企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

<数値目標>

 ①当社グループの目標

                                          (単位:百万円)

 

2019年3月期

(実績)

2020年3月期

(実績)

2021年3月期

(実績)

2022年3月期

(実績)

2023年3月期

(計画)

2024年3月期

(計画)

売上高

58,246

57,119

55,814

59,444

65,000

68,000

営業利益

△1,609

△750

△383

△40

150

700

経常利益

△1,400

△647

△227

59

30

140

EBITDA(注)

192

1,114

1,647

1,988

3,000

4,300

(注)EBITDA=税金等調整前当期純利益に特別損益、支払利息および減価償却費を加算した値です。

 

 ②資本政策・収益計画の基本方針

  1)資本政策の基本方針

当社の資本政策の基本方針は、株主価値の持続的成長を目指し、事業拡大の機会を迅速、確実に捉えるために必要となる十分な株主資本の水準を保持するとともに、連結配当性向30%以上を確保しつつ、自己株式の取得を必要に応じて検討することとしております。

  2)収益計画に関する目標

当社は、収益力に関する目標として、売上高経常利益率5%以上を設定しております。中期経営計画「EIDAI Advance Plan 2023」は、2022年11月から商用生産の開始を予定しておりますENボード株式会社(総事業費約250億円)の償却費が大きく影響するため、最終目標に到達しない計画としておりますが、EBITDAを目標に加え、達成度合いを管理してまいります。そして、次の中期経営計画において最終目標の5%を達成すべく取り組んでまいります。

 

<基本方針>

① お取引先様及びエンドユーザー様にご満足いただける製品品質とサービスの提供

 当社では、設計、製造から販売に至るまで、「お取引先様及びエンドユーザー様にご満足いただくこと」を最優先とし、お客様の声に耳を傾け、各施策を通じて製品品質とサービス、そして信頼を提供してまいります。

 

② 住宅分野でのシェアアップと新設住宅着工戸数に依存しない事業構造への転換

  1)住宅分野でのシェアアップ

今後、新設住宅着工戸数は低水準での推移が見込まれますが、当社の主力である住宅分野においては、多様なニーズを取り入れた製品開発とライフスタイルの変化に合わせた製品の拡充に取り組み、効果的な販売促進策を通じて、これまで以上のシェアアップと売上の拡大を図ってまいります。

  2)新設住宅着工戸数に依存しない事業構造への転換

コロナ禍による市況の悪化、さらには人口減少や世帯構成の変化といった構造的な要因により、新設住宅着工戸数は低水準での推移が見込まれますが、当社のさらなる売上の拡大と将来の事業基盤を強固なものとするため、各施策を通じて事業構造の転換を加速し、事業領域の拡大と収益力の強化を図ってまいります。

 

③ 木質ボード事業の強化と拡大

 パーティクルボードの製造を目的として日本ノボパン工業と合弁で設立したENボード株式会社を早い段階で軌道に乗せ、各施策を通じて木質ボード事業の拡大と収益向上を図ってまいります。

 

④ 生産性の向上とグループ全体での生産体制の最適化

 当社グループの製造部門においては、生産性の改善をはじめ、海外拠点を含めたグループ全体での生産体制の最適化を図るとともに、コスト低減に継続して取り組んでまいります。

 

⑤ 物流及び情報システムの改革を推進

 物流・情報システムの改革を推進することにより、物流関連業者の負荷低減に努めるとともに、BCMの強化と安定したサプライチェーンの構築に注力し、経営基盤のさらなる強化を図ってまいります。

 

⑥ SDGsの取り組み

 当社グループは、「持続可能な社会の形成や地域社会の発展に貢献する企業」として、社会的な課題やニーズに対して取り組んでまいりました。今後も前述①~⑤の方針に基づく事業活動を推進することにより、SDGsに貢献してまいります。

 

なお、中期経営計画の詳細につきましては、当社ホームページに掲載しております。

(参考URL https://www.eidai.com/profile/ir/management.html

 

注)経営計画等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

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