(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従って作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるエンターテイメント業界は、国内のモバイルゲーム市場においては、市場の成長が鈍化する中、一部タイトルに人気が集中する傾向が続き、新規タイトル、既存タイトルともに、競争環境がさらに厳しさを増しました。国内家庭用ゲーム市場においては、ハードは前年の『PlayStation®5』『Xbox Series X/S』発売の反動や、部品不足による品薄の影響を受け、前年の市場規模を下回りましたが、ソフトはパッケージ販売が減少しつつもダウンロード販売の伸長により堅調に推移いたしました。アミューズメント市場におきましては、新型コロナウイルスの影響を受けつつも、下期にかけて回復の兆しを見せ、復調基調で推移いたしました。音楽映像市場におきましては、パッケージ市場の縮小傾向が続く中、生活に定着した動画配信市場が引き続き活況を呈しましたが、競争も激化し、配信サービス各社による獲得タイトルの選別が進みました。ライブエンターテイメント市場におきましては、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除により回復の兆しを見せつつも、客足は完全には戻らず、依然厳しい市場環境となりました。
このような状況下、当社グループは、多彩なエンターテイメントコンテンツをあらゆる事業領域において様々なデバイス向けに展開する「マルチコンテンツ・マルチユース・マルチデバイス」戦略を基軸とした総合エンターテイメント企業として、強力なIPの確立に向けたブランディング戦略・アライアンス戦略・グローバル戦略を積極的に推進し、話題性の高いコンテンツの提供とサービスの強化に取り組んでまいりました。
この結果、当期(2021年4月1日~2022年3月31日)の業績は、売上高25,728百万円(前期比0.8%増)、営業利益4,600百万円(前期比4.2%増)、経常利益5,054百万円(前期比10.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,817百万円(前期比16.9%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
<オンライン事業>
当事業におきましては、『シノビマスター 閃乱カグラ NEW LINK』、『剣と魔法のログレス いにしえの女神』、『ブラウザ三国志』といった長期運営タイトルにおいて、経年に加え、競争環境の激化により売上が減少いたしました。また、新作タイトルとして、2021年11月24日にスマートフォン向けゲームアプリ『千銃士:Rhodoknight(ロードナイト)』の配信を開始いたしましたが、期待値を大きく下回る推移となり、将来収益の見直しによるソフトウエア資産の一部評価減を実施いたしました。今後のサービス継続にあたり、減価償却費の負担減による収益改善を図ってまいります。
この結果、当事業の売上高は6,221百万円(前期比17.0%減)、セグメント利益は601百万円(前期比55.7%減)となりました。
<コンシューマ事業>
当事業のゲームソフト販売部門におきましては、「ルーンファクトリー」シリーズの最新作『ルーンファクトリー5』を、2021年5月に国内、9月にアジア、2022年3月に北米・欧州で、Nintendo SwitchTM向けに発売いたしました。2022年3月末時点では、世界累計出荷本数が50万本を超えるヒットを記録しております。また、「ノーモア★ヒーローズ」シリーズ最新作となる『No More Heroes 3』を、Nintendo SwitchTM向けに2021年8月に発売いたしました。さらに、『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』Steam®版を同年9月に、『牧場物語 再会のミネラルタウン』PlayStation®4版とXbox版を同年10月及び11月に発売し、それぞれのタイトルにおいて累計出荷本数が100万本を突破いたしました。また、前期発売の『天穂のサクナヒメ』も累計出荷本数が100万本を超えるなど、リピート販売も好調に推移いたしました。
アミューズメント部門におきましては、キッズアミューズメントマシン『ポケモンメザスタ』が、2021年12月に累計プレイ回数1億回を突破するなど、非常に好調に推移いたしました。また、新コンセプトによる小型プライズマシン『TRYDECK(トライデッキ)』を、同年11月より全国のアミューズメント施設にて順次稼働開始いたしました。
この結果、当事業の売上高は15,490百万円(前期比7.0%増)、セグメント利益は5,096百万円(前期比22.6%増)となりました。
<音楽映像事業>
当事業の音楽映像制作部門におきましては、TVアニメ『トロピカル~ジュ!プリキュア』をはじめとした、プリキュアシリーズのTVアニメや映画、関連イベントのパッケージ商品化を行ったほか、『トロピカル~ジュ!プリキュア感謝祭』を2022年2月に開催いたしました。また、2021年10月から12月に放送し好評を博したTVアニメ『吸血鬼すぐ死ぬ』や、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ ミレニアムシーンズ』をパッケージ商品化し、好調なセールスを記録いたしました。
ステージ制作部門におきましては、「舞台『刀剣乱舞』」、「ミュージカル『テニスの王子様』」、「ミュージカル『薄桜鬼 真改』」、「『家庭教師ヒットマンREBORN!』the STAGE」、「ミュージカル『憂国のモリアーティ』」、「舞台『血界戦線』」といったシリーズ作品を公演いたしました。また、今期の完全新作といたしましては、『ワールドトリガー the Stage』、「歌劇『桜蘭高校ホスト部』」を公演し、好評を博しました。しかしながら、長期に渡った緊急事態宣言によるイベント人数規制や公演中止など、新型コロナウイルスの影響を大きく受けました。
この結果、当事業の売上高は4,020百万円(前期比13.2%増)、セグメント利益は501百万円(前期比7.2%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度末の財政状態については以下のとおりであります。
当連結会計年度末の資産残高は、仕掛品、無形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ3,068百万円増加し、36,531百万円となりました。
当連結会計年度末の負債残高は、買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べ846百万円増加し、7,557百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益3,817百万円を計上したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,222百万円増加し、28,973百万円となりました。
1株当たり純資産は479円23銭(前連結会計年度は443円19銭)となり、自己資本比率は79.2%(前連結会計年度は79.9%)となりました。
[目標とする経営指標の達成状況]
当社グループは、収益性の高い効率経営の観点から、売上高営業利益率を重点経営指標としており、直近5期においては、9%~20%の水準で推移しております。
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
売上高(百万円) |
25,291 |
26,777 |
25,365 |
25,520 |
25,728 |
営業利益(百万円) |
5,147 |
4,706 |
2,449 |
4,414 |
4,600 |
売上高営業利益率(%) |
20.4 |
17.6 |
9.7 |
17.3 |
17.9 |
また、キャッシュ・フローについても重視しており、月次で損益とともにキャッシュ・フローも確認して経営しており、当面の運転資金及び開発投資資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しております。
③ 資本の財源及び資金の流動性
[キャッシュ・フロー]
当社グループの主たる財源は営業キャッシュ・フローであり、当連結会計年度は2,820百万円の資金を得ました。これらを無形固定資産の取得856百万円に使用する等、投資活動に1,094百万円支出しました。また、財務活動として配当金の支払い等に2,007百万円支出しました。これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ28百万円増加し、16,431百万円となりました。
[財務政策]
これらの資金基盤を背景に、当社グループは、「『驚き』と『感動』を世界に届ける新しいエンターテイメントの創造」という経営理念のもと、あらゆる娯楽の要素を融合させた新しいエンターテイメントの創造により、世界の人々に「驚き」と「感動」を届ける企業として、誰もが夢見る楽しい未来の創造に貢献いたします。そのために、様々な戦略的事業投資機会を追求していきます。
株主への利益還元策については、経営における重要課題の一つと位置付け、将来の事業拡大と財務体質の強化のために必要な内部保留を確保しつつ、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。
資金の流動性については、当面の運転資金及び開発投資資金に加え、一定の戦略的投資機会にも備えられる現預金水準を確保しております。資金運用については、安全性の高い金融資産で運用しております。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
オンライン事業 |
179 |
86.6 |
コンシューマ事業 |
3,869 |
81.1 |
音楽映像事業 |
1,379 |
86.0 |
合計 |
5,427 |
82.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
オンライン事業 |
256 |
81.9 |
- |
- |
コンシューマ事業 |
804 |
61.7 |
662 |
101.4 |
音楽映像事業 |
34 |
34.3 |
- |
- |
合計 |
1,095 |
63.7 |
662 |
101.4 |
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
オンライン事業 |
6,217 |
83.0 |
コンシューマ事業 |
15,490 |
107.0 |
音楽映像事業 |
4,020 |
113.2 |
合計 |
25,728 |
100.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
なお、任天堂株式会社に対する販売実績は、当社が発売元となる家庭用ゲーム機向けソフトの販売等によるものであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
任天堂株式会社 |
2,774 |
10.9 |
- |
- |
3 当連結会計年度の任天堂株式会社に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
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