文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、1967年の会社設立以来「良い物を、より早く、より安く提供する」をスローガンに、全社一丸となって
カード製造に積極的に取り組んでまいりました。今後さらに、先進設備の導入と生産技術の向上により、顧客のニ
ーズに応えられる高品質で価格競争力のある製品を提供することにより、経済の発展に寄与してまいります。
経営指針としては、以下のとおりであります。
①常にキャッシュ・フローを管理し、リスクマネジメントに留意すること。
②公正な経営を貫き、誠実で透明な企業であること。
③顧客・投資家・従業員・調達先などとのコミュニケーションを重視し負託に応えること。
④顧客に最高の製品とサービスを提供するため常に技術革新すること。
⑤環境保護に留意し、地域社会への貢献に積極的に取り組むこと。
⑥個人を尊重し、Multipleな発想と自由闊達な企業風土を築くこと。
(2)経営戦略等
印刷業界におきましては、従来からのWeb化による印刷需要の減少傾向に加え、インターネット印刷通信販売市
場も年々拡大傾向にあります。小ロット分野においては過当競争に入る中、現在に至っては新型コロナウイルス感
染症の影響により、今までにない仕事の在り方、生活形態の変化が問われるコロナ禍の折、インターネット
(Web)上でのCard Market.jp(サテライトオフィス)でお問合わせ・お見積り・資料請求・発注・リモート相
談(チャット)等を完結できるよう拡張し、東京支社の管轄で2021年1月よりリブランディングを図り、Web事業
部化を目指し、BtoBに特化した競合他社にもない新しいサービスを創作し、新規販売代理店の開拓を中長期的に
進めてまいります。
当社は販売代理店の確保が最重要課題であり、当社の販売方法はエンドユーザー-販売代理店-当社(カード製
造卸)が理想ですが、中には販売代理店が2社・3社と間に入ってくる流れも多数見受けられます。このあたりの顧
客を取り込むためにもWeb活用であり、ダイレクトメール・メール配信・業界紙広告・展示会・その他広告等での
新規顧客の開拓を進めてまいります。
プラスチックカードの制作にかかわる製造工程は受付から企画・デザイン・製版・印刷(オフセット・シルク・
グラビア)・磁気加工・ICインレイ・ラミネートプレス・打ち抜き・外観検査・箔押し・エンボス/エンコー
ド・券面印字・台紙にカード貼り付け・カードにラベル貼り付け・断裁角丸・穴あけ・検査/出荷と十数工程以上
と多く、それらのほとんどの設備を導入し内製化により一貫生産しており、お客様からの信頼を得ております。
これらも当社が掲げるスローガンに応えるべく、かつ小ロット・多品種を得意とする観点や競合他社との差別化
を図る意味で顧客の要望を迅速に対応するためにも必要不可欠で、今後も顧客のニーズやカードのマーケットの状
況を見ながらアクセルとブレーキを併用しつつ必要なものには積極的に設備投資を行う考えです。
このように競合他社との差別化を図り、販売代理店の要望に応えるために製造部並びに営業部に「短納期に対応
する推進部」を設置し販売代理店にリリースしており、小口カード・短納期カードの受注を取り込んでいくよう推
進しております。
(3)経営環境
当社は幅広い業種の全国の顧客が利用するカードを製造しており、それらは全国の販売代理店から受注しており
ます。当社が製造しているカードのほとんどが顧客が携帯して利用するカードで、また消耗品であり、かつ日本国
内を市場としており、人や物の動向、景気の変動、個人消費のマインドの低下、人口減少などの影響を受けます。
新型コロナウイルス感染症の影響により消費の減退が見込まれ、当社の経営環境も大きな影響を受けておりま
す。当社は販売代理店の発注により受注生産を行っておりますので、今後、発注元・販売代理店の動向を踏まえな
がら経営戦略等を見直してまいります。
あらゆる企業が関東に集中するなかでカードのマーケットも関東に集中しており、関東以外でのカードの発行枚
数は減少傾向にあります。また、印刷業界におきましてはIT技術の進展による印刷需要の減少、並びにインター
ネット印刷通信販売市場も年々拡大傾向にあり、競合他社との価格競争による受注単価の下落が続いており、経営
環境は厳しい状況が続いております。
当社といたしましては、一層の省力化投資による生産機能のレベルアップを通じて新たな高付加価値製品や更な
る低価格製品を創造し、新しいサービスの提供力向上を目指すとともに、人員・設備の効率的配置により原価率の
低減に努め、お客様のニーズに的確に対応する能力の高い工場生産能力によってカード製造販売活動の黒子として
供給責任に応え続けてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が対処すべき当面の課題としては、①中部地域を含む東日本地域を重点としたさらなる製品販売代理店の獲
得およびWeb上での新規製品販売代理店の獲得、並びにQRコードチェンジャーシステム(QRコードリンク先変
更システム)で、今までに無いICT関連企業の新規販売代理店の獲得、②デジタル(オンデマンド)印刷方式に
よるIDカード(顔写真入り)や小ロット多品種型の安価な短納期カードの販売強化、③あらゆる素材のカードに
バーコード・QRコード・ユニークID・可変情報を券面印刷するカードやそのカードにラベルを貼り付けてラベ
ルとカードにワンパス印字する(ラベル付きカード)並びにそのカードに申込用紙を自動で貼り付けマッチングす
る(カードと申込用紙一体型)即時発行型製品の販売強化、④ICカード(非接触式)の販売促進と売上高増加の
4点が挙げられます。
2020年3月末で販売終了となりました環境に優しいエコ製品植物系プラスチックカードにかわるエコ製品の開発
は原反メーカーと協力体制で引き続き開発を推進しております。
①当社のお客様のほとんどは印刷会社とその関連会社であり、そのお客様を販売代理店と位置付けております。お
かげさまで現在6,773社の販売代理店と取引を行っておりますが、そのうち東日本地域(中部地域を含む)での販
売代理店は3,178社であり、西日本地域の販売代理店を僅かに下回っております。市場規模を考慮しますとより一
層の販売代理店の増加と売上高の増加が図れるものと思われます。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりあらゆる業界で営業中止や自粛制限がなされ、今までにない仕事の
在り方、生活形態の変化が問われる中で2021年1月よりリブランディングを図り、インターネット(Web)上での
Card Market.jp(サテライトオフィス)でのお問合わせ・お見積り・資料請求・発注・リモート相談(チャッ
ト)等を(Web)上で完結できるサテライトオフィスへと育てていきたいと考えております。
今までと同様、新製品のダイレクトメールの送付や印刷関連の展示会への出展など新規販売代理店の拡充を図り
ます。さらに、QRコードチェンジャーシステム(QRコードリンク先変更システム)の販売によりカードや印刷
物に当社が提供するシステム(QRコード)を印刷すればQRコード一個で複数のリンク先が登録でき、今までに
ないサービスの提供によりICT業界(異業種)の新規販売代理店の確保に注力し、既存の印刷関連販売代理店に
はカード以外(印刷媒体)でもサービスを提供し、今まで以上に強固な関係を構築できるように推進してまいりま
す。
②当社が受注生産しているものは全てユーザーオリジナルのデザインであり、もともと小ロット多品種生産を得意
とする企業であります。加えて、最先端のデジタル(オンデマンド)印刷機を導入したことにより、最低ロット1
枚から印刷が可能となり、顔写真や個人情報などの差替え印刷を簡単に行うことができ、本人を識別するIDカー
ド(社員証・学生証・身分証明証)には最適で、納期も短縮され、価格も安く提供できるようになりました。この
新しいデジタル(オンデマンド)印刷機は素材を選ぶことなく、PVCやPET、PET-G等でカードを製造す
ることが可能となったため顧客のニーズにも幅広く応えることができるようになりました。
また、オンデマンド印刷方式の特筆すべき点としては、フィルム、刷版が不要となることにより各工程でのエネ
ルギー、薬品、資材、廃棄物等の削減を挙げることができます。
このことからもオンデマンド印刷方式によるカードの普及と収益の拡大を図ることが課題であります。
③近年、情報の記録媒体が磁気カードからバーコード・2次元バーコードカードが主流になりつつあり、これらの
カードは主に流通業界の物品販売の量販店で多く採用される傾向にあります。小ロットではなく大ロット(大口顧
客)にあたり、あらゆる素材の券面に高速で高品質の印刷が可能な機械とそれらのカードの番号を読み取り台紙に
貼り付けてマッチングする機械の導入により高速・短納期・高品質であるため価格的にも競争力があり、今まであ
まり取り込めなかった大口顧客への拡販を図り、かつ大口顧客以外の顧客にも販売強化を進めてまいります。
④RFIDとは電波を使っての認識技術のことで、アンテナ付きICチップを利用したものが主流となっておりま
す。その中にはラベルやキーホルダー状になったものやカード状になったものがあり、当社ではその中でカード状
になったもの、即ちICカード(非接触式)を取り扱っております。
社会的にRFIDが普及していくボトルネックは、さまざまな周波数・通信方式のチップがあり、それぞれに対
応するシステムが必要だということです。社会的なインフラ整備を見ながら、当社でもICカード製造工程を増や
していくこと、また、どこに軸足を置くのか、時流を見誤らないようにすることが課題であります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、目標とする経営指標については、数値的に特に定めておりませんが、キャッシュ・フローを重視し、規
模を追い求める経営ではなく、堅実な経営により企業価値を最大化していくことを目標としております。
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