事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

当社は、2001年に「リスクマネジメント基本方針」を策定し、グループ全社にて組織された体制のもとで、リスクマネジメント活動を推進しています。当社のリスクマネジメント体制は、リスクマネジメント担当取締役を委員長とする全社統括RM委員会のもとに、主要リスクを6つのカテゴリーに分けた全社横断的な専門委員会(「全社情報セキュリティ管理委員会」「BCM推進委員会」「品質委員会」「全社環境推進委員会」「コンプライアンス委員会」「グローバルRM委員会」)と、各事業部・子会社単位の組織別リスクマネジメント委員会を設置し、それぞれが連携を取りながらリスク予防活動を推進しています。

また経営危機発生時には、迅速に対応するために本社緊急事態対策本部を設置し、リスク事象発生現場と連携して、事案の早期解決と再発防止に向けた取り組みを行っています。

 


 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、次のとおりです。

なお将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(特に重要なリスク)

(1) 需要構造の変化について

当社グループでは、IT化・ネットワーク化の進展による需要構造の変化に対応するため、強みである紙とITを組み合わせたソリューションを提供していくことで差別化を進めるとともに、成長が見込まれる分野に経営資源の配分を高めています。また従来の事業領域にとらわれず、社会課題の解決と持続的な発展を両立する新たなビジネスの創出を積極的に推進しております。

しかしながら、当社グループの現在の売上の多くは、BFおよびDPSが占めているため今後、需要構造の変化が急速に進行し、紙メディアの需要減少が想定を著しく上回り、かつ新規分野の成長が思わしくない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また国内外のさまざまな法的規制の強化あるいは緩和が急速に進み、市場構造が大きく変化することも想定されます。その場合、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 製品・サービスの品質について

当社グループは、提供する製品・サービスが情報分野における社会インフラとしての役割を担っているとの認識に基づき、国内外の生産拠点において、国際品質マネジメント規格の認証取得の取り組みを積極的に進めております。また製品・サービスの信頼性や安全性の確保のため、品質に関する独自技術や蓄積したデータなどの活用に加え、製品・サービスの企画、設計、試作、製造の各段階での設計審査、内部品質監査、購入先監査・指導、工程管理などを通じて、開発上流段階から一貫した品質保証体制の構築を図り、より良い品質の実現に努めております。

しかしながら、品質上の想定外の事象の発生などがあった場合、提供する製品・サービスに欠陥や納入の遅れ、システム障害などが発生する可能性があります。このような問題が発生した場合、損害賠償の負担や社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 個人情報の取扱いについて

当社グループは、管理体制の整備や従業者の教育を通じて、顧客から預託される個人情報および当社グループが保有する個人情報を厳重に取り扱うための対策を講じております。また個人情報保護法およびJISQ15001(個人情報保護規格)に対応した規程類を整備し、個人情報保護について一層の強化を図っております。

これらの対策により、個人情報が漏えいする可能性は極めて低いと考えておりますが、何らかの原因により流出に至った場合、損害賠償の負担や社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) サイバー攻撃への対応について

当社グループは、外部からのサイバー攻撃に対応する専門組織を設置し、技術的な多層防御を実施するとともに、監視体制の強化、社員教育・訓練の実施ならびに外部連携を展開し、適切なセキュリティ対策を講じております。

しかしながら、高度化の一途をたどるサイバー攻撃では、不正侵入やコンピューターウイルスへの感染、ランサムウェア(身代金要求型不正プログラム)による攻撃などが想定されます。また当社グループのビジネスパートナーや委託先も含めた攻撃も想定されます。これらのサイバー攻撃から個人情報の流出、改ざん、システム停止などが発生した場合、復旧のための多額の投資や損害賠償の負担、社会的信用の低下などにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、コンプライアンス基本規程として「トッパンフォームズグループ行動指針」を定め、その周知徹底を図ることによりコンプライアンスの確保を推進しています。また全社統括RM委員会のもとにコンプライアンス委員会を設置し、法令遵守と企業倫理の確立を図っています。

しかしながら、法令に違反する行為や社会的要請に反する行動などがあった場合は、当社グループの社会的信用の低下、法令による処罰、損害賠償の支払いなどにより、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

(1) 販売価格競争について

当社グループは、競合関係にある企業との厳しい競争に直面しております。製造拠点の再編や生産技術開発、最新機器導入などによる製造コストの削減や付加価値の高いソリューションの開発により、競争力の強化を図っておりますが、競合他社との競争の激化に伴い、販売価格の低下が想定を著しく上回った場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 技術革新への対応について

当社グループは、将来にわたり成長を続けるために、固有技術や最先端技術を活用した新たな製品・サービスの開発や既存商材の高機能化に向けた研究開発を推進しておりますが、想定を超える技術革新が生じ、市場における競争力が著しく低下した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3) 生産・販売活動に関わる諸費用について

当社グループでは、主要製品の原材料(用紙、インキなど)の調達や物流費、開発費、人件費等の諸費用において、適正化に向けた各種施策を講じておりますが、為替の大幅な変動や原油価格の高騰、原材料の仕入価格上昇や供給量減少、人手不足に起因する物流費、人件費の上昇などにより、生産・販売活動に関連する諸費用が想定よりも高騰した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 生産及び開発の外部委託について

当社グループは、製品・サービスの提供における生産及び開発の一部を、必要に応じて海外も含めた外部の事業者に委託しております。委託先へは定期的に経営状況と品質レベルを評価する監査を実施するとともに、教育・指導の徹底などにより常に品質の向上を求め、リスク低減を図っております。しかしながら、不慮の事故が発生した場合には、製品・サービスの欠陥や納入の遅れといった問題などにより、当社グループの業績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 海外展開に伴うリスクについて

当社グループは、東南アジアや香港、中国においても事業活動を行っており、さらなる事業拡大へ向け、リスクマネジメント体制の一層の強化に取り組んでおります。海外での事業展開においては特に以下のリスクが想定され、当社グループが的確に対処できない場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

・ 政治および経済面における不安定さ

・ 予期しない法律や規制の変更(税制を含む)

・ 為替相場の変動、貿易の制限や関税率の変更

・ テロの発生や治安の悪化

 

(6) 大規模災害や感染症発生時の対応について

当社グループは、大規模災害や感染症の発生時においては人命を最優先とする基本方針を定め、被害を最小限にとどめるとともに復旧を早める事業継続上の対策を全社的に講じております。特に本社やデータセンター、工場などの主要拠点においては、事業継続マネジメントシステムの規格JISQ22301 (ISO 22301)の認証を取得し、その体制強化に努めております。

これらの対策により、被害の最小化を図っておりますが、災害や感染の規模によっては人命の喪失や多数の従業員の欠勤、事業拠点の損壊や外的要因(材料の入手困難、電力の供給不足)などにより、業務に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお当社グループでは、代表取締役社長を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、事業継続に向けた取り組みを進めております。現時点で当社の事業運営に影響を及ぼすような事象は発生しておりませんが、今後、新型コロナウイルス感染症の影響拡大やそれに伴い需要環境に変化が生じた場合、当社業績へ影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 適正人材の確保について

当社グループが将来にわたり事業を継続・発展するためには、従来の事業領域に精通した人材に加え、デジタル技術を活用した取り組みをさらに推進するためのIT人材の確保・育成も必要となります。

当社グループではダイバーシティ&インテグレーションの推進により、各々の分野における国内外の優れた人材確保を強化するとともに、社内教育を中心としたITリテラシー向上のための人材育成を実施しておりますが、雇用情勢の変化により優秀な人材の確保や育成ができない場合、当社グループの事業継続と発展に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 知的財産権について

当社グループは、特許や商標など知的財産の組み合わせにより、自社開発技術の保護・活用に努めるとともに、他社の知的財産を尊重し、製品やサービスを開発・提供する際には、事前の調査や権利範囲の確認を行うなど細心の注意を払っております。

しかしながら、当社グループが保有する知的財産の不正使用や権利侵害に対する防衛措置が成功しない場合や、当社グループの技術などが、他社の知的財産を侵害しているとされた場合などには、売上の減少や訴訟の発生など、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(9) 環境への対応について

当社グループでは、脱炭素・循環型社会への貢献は重要な経営課題であると認識し、環境に配慮した施策の積極的な実施や産業廃棄物のマテリアルリサイクル化、適用される法律及び規制に則った有害化学物質の適切な使用・処理を実践しております。また気候変動に関しては、国などの方針に基づき各種リスク施策に取り組んでおります。

これらの取り組みにおいては特に以下のリスクが想定され、当社グループが的確に対処できない場合には、損害賠償の負担や社会的信用の低下などにより、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

・新たな環境規制の成立などによる想定を著しく上回る負担の発生

・廃棄物の処理プロセスにおける不測の事態の発生

・自然災害などに起因する有害物質の偶発的な漏洩による汚染や放出

 

(10) 戦略的提携、投資、企業買収に伴うリスクについて

当社グループは、デジタルソリューションおよびIoTや、社会課題解決を起点とした新事業・フロンティアビジネスを中心に、他社との戦略的提携や合弁事業、投資などを通して、多くの事業を推進しており、将来においても国内外の他の企業の買収などを行う可能性があります。

これらの意思決定の際には、十分な検討や情報収集に努めリスクの低減を図ってまいりますが、景気動向の悪化や対象会社の業績不振など、外部・内部の不確定要因により、期待していた事業拡大を実現できない場合や、業務統合に想定以上の時間を要する場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

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