業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

(2022年3月期におけるハイライト)

(新型コロナウイルス感染症の影響などについて)

緊急事態宣言発令と解除が度々繰り返されたことで外出自粛などの行動制限が断続的に続きました。また、映画の公開時期の変更や各種イベントは中止・延期及び縮小となり、当社グループでは、「キデイランド」「トミカ・プラレールショップ」など小売事業、「トミカ博・プラレール博」などイベント事業が影響を受けました。

なお、当社グループでは感染拡大の防止を進めるに当たり、従業員の外出や出社の抑制を図るためテレワークを継続するとともに、海外出張の禁止や国内出張の自粛などの対策を引き続き実施いたしました。加えて、当社では新型コロナウイルス感染症の発症予防等の一環として、全3回の職域接種を執り行いました。

 また、当社を取り巻く経営環境として、2022年に入りウクライナ情勢の急激な悪化に伴う原材料価格の高騰や為替の急激な変動など、新たに不透明感が高まる状況となりました。

 

(連結業績について)

・売上高

「トミカ」では、警察署の建物がボタン一つで自動変形する「ぐるっと変形!DXポリスステーション」が人気を博すとともに、「プラレール」においては、2021年4月からテレビアニメシリーズ第2弾の放送が開始した『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』の関連玩具、「人気のあそびがギュッ!プラレールベストセレクションセット」を展開いたしました。「リカちゃん」では「もくもくジュージュー にぎやかバーベキュー」「わんにゃんレントゲン! リカちゃん動物病院」などが人気を集めました。また、トレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」は、発売20周年に向けた積極的なマーケティングも奏功し、販売が大きく伸長いたしました。「ポケットモンスター」においては、「モンコレ」をはじめとした関連商品が好調に推移するとともに、ポケモンと遊びながら学べるキッズパソコン「ポケモン ピカッとアカデミー マウスでゲットパソコン」が人気を博しました。「トランスフォーマー」は、海外向け輸出が北米及び欧州等で伸長いたしました。さらに、7月に発売した新触感液晶玩具「ぷにるんず」は液晶画面に登場する50種類以上の魅力的なキャラクターと、それらに直接触れ合っているかのようなデジタルとリアルが融合した不思議な感覚が楽しめる商品として高い人気を集め販売が伸長いたしました。また、アミューズメントマシンでは2020年9月から展開の「ポケモンメザスタ」や2021年10月から展開をスタートした、プリティーシリーズ10周年記念作品『ワッチャプリマジ!』が人気を呼びました。ガチャ事業では、ガチャ人気が高まっている市場環境の中、大型ガチャ売場の設置拡大と人気コンテンツを使った関連商品により売上が伸長いたしました。

以上により売上高については、小売事業、イベント事業で新型コロナウイルス感染症に伴う外出自粛傾向の影響が長期化したものの、前期と比較すると制限を受けながらも玩具出荷が伸長するとともに、タカラトミーアーツが展開するガチャ及びアミューズメントマシンの人気が伸長するなど、165,448百万円(前期比17.2%増)となりました。

 なお、2020年10月に米国の独立系玩具会社ファット・ブレイン・グループがTOMY International, Inc.の子会社となり、連結業績に加わるとともに、TOMY Internationalグループの欧州及び豪州地域において商品展開も開始するなど、堅調に事業が推移いたしました。

 

・利益面

 主力の玩具やガチャ及びアミューズメントマシンにおける売上高が好調に推移したことなどから売上総利益が伸長するとともに、新型コロナウイルスの拡大状況と店頭状況を踏まえ経費コントロールを進めたことにより、営業利益は12,344百万円(前期比74.4%増)、経常利益は12,666百万円(前期比76.7%増)となりました。また、経営資源の機動的、効率的活用及び財務体質の強化を図るため保有資産の見直しを行い、当社連結子会社であるTOMY(Hong Kong)Ltd.が所有する固定資産の事務所用不動産を第1四半期において譲渡し、その譲渡益など特別利益2,175百万円を計上した一方で、新型コロナウイルス感染症による小売事業への影響が前期から続いており第3四半期に一部資産を減損処理するなど特別損失1,070百万円を計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純利益は9,114百万円(前期比69.6%増)となりました。

 

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(経営成績に関する分析)

<セグメント別業績の概況>

(単位:百万円)

 

 

 

前期

当期

増減

増減率(%)

売上高

 

141,218

165,448

24,230

17.2

 

日本

113,328

130,289

16,960

15.0

 

アメリカズ

21,845

27,093

5,247

24.0

 

欧州

5,998

7,206

1,208

20.1

 

オセアニア

1,917

2,358

441

23.0

 

アジア

41,458

46,974

5,516

13.3

 

消去又は全社

△43,330

△48,474

△5,143

営業利益又は営業損失(△)

7,079

12,344

5,264

74.4

 

日本

9,048

14,039

4,991

55.2

 

アメリカズ

222

415

193

86.8

 

欧州

△75

47

123

 

オセアニア

113

173

60

53.4

 

アジア

724

1,297

572

79.1

 

消去又は全社

△2,953

△3,630

△676

 

<日本>

                                               (単位:百万円)

 

前期

当期

増減

売上高

113,328

130,289

16,960

営業利益

9,048

14,039

4,991

緊急事態宣言発令と解除が度々繰り返されたことで外出自粛などの行動制限が断続的に続きました。また、映画の公開時期の変更や各種イベントの中止・延期及び縮小となり、当社グループでは、「キデイランド」「トミカ・プラレールショップ」など小売事業、「トミカ博・プラレール博」などイベント事業が影響を受けました。

「トミカ」では、様々なサウンド・ボイスと警察署の建物がボタン一つで自動変形する「ぐるっと変形!DXポリスステーション」が人気を博しました。また、映画やドラマ、コミックに登場するクルマを再現し、大人や作品のファンをターゲットとした新シリーズ「トミカプレミアムunlimited」の展開をスタートしました。「プラレール」においては、2021年4月からテレビアニメシリーズ第2弾の放送が開始した『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』の関連玩具を展開し販売が伸長するとともに、「人気のあそびがギュッ!プラレールベストセレクションセット」が好評を博しました。また、トミカ、プラレールにおいて、対象年齢1.5歳から遊べる「はじめてトミカ」、「ぷっしゅでゴー!かんたんはじめてプラレール」シリーズを新たに展開いたしました。「リカちゃん」では「もくもくジュージュー にぎやかバーベキュー」「わんにゃんレントゲン! リカちゃん動物病院」などが人気を集めました。さらに、『鬼滅の刃』とコラボレーションした「リカちゃん」「トミカ」「プラレール」「ガチャ」など様々な関連商品を発売し好評を博しました。

2022年に20周年を迎えるトレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」では、希少性の高いカードを収録しコレクション性を高めるとともに、遊び方やルールが学べるスマートフォン向けアプリ版及びNintendo Switch版ソフト「デュエマであそぼう!」の配信、公式YouTubeチャンネルでの情報発信を行うなど、積極的なマーケティングが奏功し、販売が大きく伸長いたしました。「ベイブレードバースト」は、国内における新シリーズ「ダイナマイトバトルレイヤー」が好調に推移いたしました。なお、海外向けの輸出は落ち着きが見られるものの、社内想定を上回り、ロングセラー商品として人気を定着させることができました。また、「トランスフォーマー」においては、海外向け輸出が北米及び欧州等で好調に推移いたしました。「ポケットモンスター」では、「モンコレ」をはじめとした関連商品が好調に推移するとともに、ポケモンと遊びながら学べるキッズパソコン「ポケモン ピカッとアカデミー マウスでゲットパソコン」が人気を博しました。放送3年目に突入したテレビアニメ『パウ・パトロール』は、YouTubeや配信サービスに加え、夏に映画が公開されたことでコンテンツの認知度・人気が上昇し、関連商品の販売が好調に推移いたしました。7月に発売した新触感液晶玩具「ぷにるんず」は液晶画面に登場する50種類以上の魅力的なキャラクターと、それらに直接触れ合っているかのようなデジタルとリアルが融合した不思議な感覚が楽しめる商品として高い人気を集め、販売が伸長いたしました。さらに、コロナ禍による外出自粛によりボードゲーム「人生ゲーム」やパーティーゲーム「黒ひげ危機一発」など家の中で楽しめるファミリーゲームの販売が引き続き人気となりました。

また、新規事業領域拡大を図るため、ティーンから大人をターゲットとしたネイルチップ専用プリント機「ネルチップ」を引き続き展開するとともに、シニア向けには顔認識機能搭載のコミュニケーション人形「うちのあまえんぼ あみちゃん」を販売いたしました。

デジタル関連事業等では、12月に展開2周年を迎えたカードゲームアプリ「DUEL MASTERS PLAY'S(デュエル・マスターズ プレイス)」は、定期的に新たなカードパックを配信するとともに、バーチャルライバーグループとのコラボレーションなどのマーケティング施策を展開し堅調に推移いたしました。さらに、アミューズメントマシンでは、2020年9月から展開している「ポケモンメザスタ」や、2021年10月から展開をスタートしたプリティーシリーズ10周年記念作品『ワッチャプリマジ!』も好調に推移しました。

ガチャ事業では、ガチャ人気が高まっている市場環境の中、大型ガチャ売場の設置拡大と人気コンテンツを使った関連商品により売上が伸長いたしました。

また、当社が JAXA等と共同開発した超小型の変形型月面ロボット「SORA-Q」がJAXAの小型月着陸実証機「SLIM」に搭載されることになりました。開発には当社の玩具作りにおいて培われた小型化、軽量化の知見と、変形機構に関わる技術が活用されました。

以上の結果、売上高は前期と比較すると制限を受けながらも玩具出荷が伸長するとともに、タカラトミーアーツが展開するガチャ及びアミューズメントマシンの人気伸長から130,289百万円(前期比15.0%増)、営業利益は14,039百万円(同55.2%増)になりました。

 

 

<アメリカズ>

                                        (単位:百万円)

 

前期

当期

増減

売上高

21,845

27,093

5,247

営業利益

222

415

193

 

新型コロナウイルスのワクチン接種の浸透に伴い感染対策の諸規制が緩和され商業施設の営業が再開されたことなどもあり、外出を伴うサービスに対する消費が高まる一方、巣ごもり需要やeコマース購買には落ち着きが見られました。そのような中、コンテナ不足に伴う物流混乱の影響を受けつつも、農耕車両玩具やベビー向け食器が堅調に推移するとともに、ぬいぐるみ「もっちぃもっちぃ、海外商品名:Club Mocchi- Mocchi-」など店頭における販売が伸長いたしました。また2020年10月に TOMY International, Inc.の子会社となったファット・ブレイン・グループの堅調な業績も貢献し、売上高は27,093百万円(前期比24.0%増)、営業利益はコンテナ不足による物流費高騰の影響もあったものの415百万円(同86.8%増)となりました。

 

<欧州>

                                        (単位:百万円)

 

前期

当期

増減

売上高

5,998

7,206

1,208

営業利益又は営業損失(△)

△75

47

123

 

新型コロナウイルスのワクチン接種の浸透に伴い各種規制が緩和される状況となりました。eコマースに落ち着きが見られる一方で、店頭における「BRITAINS」などの農耕車両玩具の販売が伸長いたしました。

 また、「Toomies」のバストイやJurassic World関連商品など乳幼児向け商品が好調に推移するとともに、プリスクール向けゲーム商品の販売が伸長いたしました。さらに、ファット・ブレイン・グループの商品取り扱いを開始したこともあり、売上高は7,206百万円(前期比20.1%増)、営業利益は47百万円(前期営業損失75百万円)となりました。

 

<オセアニア>

                                        (単位:百万円)

 

前期

当期

増減

売上高

1,917

2,358

441

営業利益

113

173

60

 

 新型コロナウイルスのワクチン接種の浸透に伴い感染拡大により行われたロックダウンの外出制限、入国制限など諸規制が緩和されました。乗用農耕車両玩具が堅調に推移するとともに、インファント・プリスクール商品においてはチャイルドシートや「Toomies」のJurassic World関連商品など乳幼児向け商品が好調に推移いたしました。売上高は、小売店の営業状況に応じて幅広い流通販路に出荷を進めるとともに、ファット・ブレイン・グループの商品取り扱いを開始したこともあり売上高は2,358百万円(前期比23.0%増)、営業利益は173百万円(同53.4%増)となりました。

 

<アジア>

                                        (単位:百万円)

 

前期

当期

増減

売上高

41,458

46,974

5,516

営業利益

724

1,297

572

 

2021年春以降も国や地域により外出制限が実施されるなど、購買動向に大きな影響をもたらしました。

 韓国、香港などで新シリーズを展開した「ベイブレードバースト」が人気を博すとともに、トミカ単品やトミカワールドなどが堅調に推移いたしました。また、香港で秋からテレビアニメの放映を開始した『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』関連玩具の出荷も伸長し、「ポケットモンスター」においては韓国での売場拡大、商品ラインの充実により販売が拡大いたしました。以上により売上高は46,974百万円(前期比13.3%増)となり、営業利益は1,297百万円(同79.1%増)となりました。

②財政状態の状況

<資産>

 流動資産は、前連結会計年度末に比較して8,445百万円増加し、110,324百万円となりました。これは主として、商品及び製品、売掛金、現金及び預金が増加したことによるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末に比較して31百万円増加し、45,766百万円となりました。これは主として、投資有価証券、機械装置及び運搬具、のれんが増加したことによるものです。

 

<負債>

 流動負債は、前連結会計年度末に比較して7,631百万円増加し、49,927百万円となりました。これは主として、未払金、未払法人税等、未払費用が増加したことによるものです。

 固定負債は、前連結会計年度末に比較して8,401百万円減少し、26,989百万円となりました。これは主として、長期借入金が減少したことによるものです。

 

<純資産>

 純資産は、前連結会計年度末に比較して9,246百万円増加し、79,174百万円となりました。これは主として、自己株式取得と自己株式消却を実施した一方で、利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したことによるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー

18,064

16,405

△1,658

投資活動によるキャッシュ・フロー

△8,606

△2,488

6,118

財務活動によるキャッシュ・フロー

6,817

△12,991

△19,808

現金及び現金同等物の期末残高

63,548

65,310

1,762

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

 営業活動によるキャッシュ・フローは、16,405百万円の収入(前連結会計年度は18,064百万円の収入)となりました。これは主として、法人税等の支払額2,836百万円、棚卸資産の増加2,432百万円等があった一方で、税金等調整前当期純利益13,772百万円、減価償却費5,806百万円、未払金の増加額1,688百万円等があったことによるものです。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

 投資活動によるキャッシュ・フローは、2,488百万円の支出(前連結会計年度は8,606百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の売却による収入1,811百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出2,939百万円、無形固定資産の取得による支出1,467百万円等があったことによるものです。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

 財務活動によるキャッシュ・フローは、12,991百万円の支出(前連結会計年度は6,817百万円の収入)となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出8,026百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出2,751百万円、自己株式の取得による支出2,265百万円等があったことによるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらず見込み生産によっております。金額も僅少な為、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため販売の実績については、「第2 事業の状況、3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、①経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

(a) 重要な会計方針

当社グループの連結財務諸表は我が国において、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要となる見積りに関しては、過去の実績等を勘案し、合理的と判断される基準に基づいて行っております。なお、連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

 

(b) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は我が国において、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り、判断ならびに仮定を使用する必要があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、[中期的な会社の経営戦略、会社の対処すべき課題と対応方針]」をご確認ください。

 

(b) 当連結会計年度の当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローの概況

「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

(c) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、強固な財務体質と高い資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。強固な財務体質の維持に関しては、自己資本比率の水準を55%超とする目標を掲げ、現状を上回る信用格付(日本の格付機関)の取得・維持を目指し、リスク耐性の強化を図ります。

同時に、適切な情報開示・IR活動を通じて資本コストの低減に努めると共に、営業キャッシュ・フローによる十分な債務償還能力を前提に、厳格な財務規律のもとで負債の活用も進めることにより、資本コストの低減及び資本効率の向上にも努めてまいります。

当社グループはこれまで広告宣伝費、研究開発費などの先行投資を実行し、積極的な商品投入により売上高を伸長させ、利益成長を目指してきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に端を発して外部環境が大きく変化しており、市場が一旦縮小、かつ消費者の購買行動が変容する前提で営業キャッシュ・フローによる十分な債務返済能力を有することを前提として、設備投資や研究開発費等での成長投資に資金の配分を行ってまいります。

 

(資金需要の主な内容)

当社グループの資金需要は、金型及び筐体の購入費用のほか、仕入代金の支払、製造費、広告宣伝費、研究開発費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主として新製品の開発・製造のために必要な設備投資及び物流設備投資等であります。

 

(経営資源の配分に関する考え方)

当社グループは、適正な手元現預金の水準について検証を実施しております。売上高の3ヵ月以上を安定的な経営に必要な手元現預金水準とし、それを超える分については、「追加的に配分可能な経営資源」と認識し、企業価値向上に資する経営資源の配分に努めます。

手元現預金及び今後創出するフリーキャッシュ・フロー、そして有利子負債の活用により創出された追加的に配分可能な経営資源については、当社グループの事業の維持拡大、株主還元のさらなる充実に活用する考えです。

株主還元に関しては、安定的な配当の継続を基本に業績及び配当性向などを勘案したうえ配当金額を決定していく方針です。

 

(資金調達)

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を有効に活用しております。短期運転資金は自己資金を中心に賄い、一部金融機関からの短期借入金として資金調達を行うことを基本としております。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入等を基本としており、一部リースによる設備投資を行っております。

また、安定的な外部資金調達能力の維持向上は重要な経営課題と認識しており、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、また、利用にあたっては信用リスクを軽減するために格付けの高い金融機関とのみ取引を行っております。加えて強固な財務体質を有していることから、当社グループの事業の維持拡大、運営に必要な運転資金、投資資金の調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。

 

(d) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2021年5月に公表いたしました中期経営計画では、2022年3月期から2024年3月期の3年間を「グローバルで強みを活かしたSustainable Growth(持続的成長)実現に向けた基盤整備を行うこと」を中期基本方針と位置づけ、6つの全社戦略に取り組んでまいります。中期経営計画につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

当社グループは、株主資本の効率的運用及び収益性の追求の観点から、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標としており、中期経営計画の最終年度となる2024年3月期には「売上高1,850億円、営業利益150億円、自己資本利益率(ROE)12%超」を目指しております。

 

 中期経営計画の1年目となる当連結会計年度の経営成績は「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりとなり、自己資本利益率(ROE)は12.3%と目標とする経営指標を上回りました。翌連結会計年度も引き続き自己資本利益率(ROE)の向上に努めてまいります。

 

各指標の過去5年間の推移は以下のとおりです。

回次

67期

68期

69期

70期

71期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

売上高           (億円)

1,773

1,768

1,648

1,412

1,654

営業利益          (億円)

131

144

106

70

123

自己資本利益率(ROE)    (%)

14.9

15.2

6.8

7.9

12.3

 

各指標はいずれも当社連結ベ-スの財務数値を用いて算出しております。

 

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