課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

[会社の経営の基本方針]

 当社は、「われらの優良な商品で世界の市場をにぎわせよう」「誠意と努力は他を益し自己の幸福の基となる」を創業理念とし、掲げております。当社の創業理念は、会社の根幹を成すものであり、当社のみならず当社グループにおいて脈々と引き継がれております。創業理念の実現に向かって進むべき羅針盤として、次の企業理念・企業指針を定め、企業価値の持続的向上を図ってまいります。

「タカラトミーグループは、すべてのステークホルダーの『夢』の実現のために、新しい遊びの価値を創造します。」

 

お客様   タカラトミーグループは、あらゆる人々の「夢」を形にし、「新しい遊びの価値」を提供します。

社 員   タカラトミーグループは、社員の自主性と創造性が最大限に発揮される職場環境を提供し、いきいきと働くことができる企業を目指します。

株 主   タカラトミーグループは、質の高い成長と健全な経営を通じて、株主の期待・信頼に応えます。

パートナー タカラトミーグループは、公正・公平な取引を行うと共に、パートナーとの共存共栄を目指します。

社 会   タカラトミーグループは、誠実な企業活動を持続することで、21世紀の社会に信頼される企業市民を目指します。

 

[目標とする経営指標]

 当社グループは、株主資本の効率的運用及び収益性の追求の観点から、自己資本利益率(ROE)を重要な経営指標として中期経営計画の最終年度となる2024年3月期に12%超を目指してまいります。

 

[中期的な会社の経営戦略、会社の対処すべき課題と対応方針]

新型コロナウイルス感染症の収束がまだ見通せない中、withコロナの環境における経済活動・消費者行動変容への対応をし、中期経営計画の達成に向かってまいります。

 

新型コロナウイルス禍がもたらす経営環境の変化に対して、コロナ環境下で培った経験・実績を活かし、次の方針に基づいて迅速かつ柔軟に対応してまいります。

・お客様、お取引先様及び当社グループ従業員の健康・安全面を第一に考慮した新型コロナウイルスへの対応(リモートワーク継続等)

・消費者行動の変容に対応

・外部環境の変化に対応する事業構造の変革(社会情勢・円安傾向・原材料高騰への対応)

・タカラトミーの強み(商品力、ブランド力、顧客ベース)を活かしたビジネス展開

・経営環境に応じたコストコントロールと流動性資金の確保

外部環境が大きく変化し、消費者の購買行動が変容する前提のもと、継続して経営リソースを配分してまいります。

 

<中期経営計画の推進>

 タカラトミーグループは「おもちゃ」が本来持っている「ワクワク・驚き・感動・笑顔」を消費者に更に提供すべく、事業の軸の基点を「おもちゃ発」から「アソビ発」として変革を図っております。中期経営計画では、「アソビで、世界はもっと良くなる。だからアソビで、未来のグローバル社会に大きくこたえます」をビジョンとして掲げ、ターゲット年齢層、市場地域を広げるとともに、事業領域の拡大を図っています。

 また、中期方針を「グローバルで強みを活かしたSustainable Growth(持続的成長)実現に向けた基盤整備を行うこと」と掲げました。これらを推し進めるために、現在6つの全社戦略に取り組んでいます。

 

① 「適所適材」をキーとした出口・年齢・地域のさらなる攻略

  アジア市場でのトミカ拡大、欧米・アジアでのベイブレード継続展開によるエバーグリーン化、Kidults層に向けたトランスフォーマー・ダイアクロンの拡充、リカちゃんのイメージキャラクター起用等を推進し成果をあげることができました。今後も、タカラトミーの持つ多様なブランド及びIPパートナーの有用なブランドを活用した商品を、その強みをより発揮できる場所(適所)に展開してまいります。

② 日本を基点としたヒット商品の創出

液晶玩具「ぷにるんず」の国内ヒット、海外で人気の高いテレビアニメ『パウ・パトロール』関連商品の販売拡大で市場を牽引いたしました。引き続き、各カテゴリーでNo.1になる商品を提案、IP・海外メーカーパートナーとの取組みを強化してまいります。

③ IP投資の継続でグローバル成長に備える

『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』『マジカパーティ』『ビッ友×戦士 キラメキパワーズ!』等を展開し、新たな売上を創出することができました。新たな成長に向けてIP投資を継続し、グローバル展開を推進してまいります。

④ アソビをキーとした新規事業の立ち上げ

 ティーンファッション市場に向けたネイルチップ専用プリント機「ネルチップ」、シニア市場向けには顔認識機能搭載のコミュニケーション人形「うちのあまえんぼ あみちゃん」、JAXA等と共同開発した超小型の変形型月面ロボット「SORA-Q」等、新たな取組みを開始いたしました。アミューズメントマシン「ポケモンメザスタ」「ワッチャプリマジ!」「ドラゴンクエスト ダイの大冒険 クロスブレイド」も好調に推移し市場を牽引しており、新たな成長に向けた事業の創造を継続し、新規市場を構築してまいります。

⑤ バリューチェーンへのDX活用による新しい価値創造

コロナ環境下において、「デジタルEXPO」「デジタルカタログ」等デジタル化を推進し、営業活動を大きく変革させました。今後も、デジタルとリアルを融合させ、営業活動の効率化・情報価値をより高める活動を推進してまいります。また、D2C事業「タカラトミーモール」では、顧客IDクラスタリングにより、適切な情報を適切なタイミングで顧客に提供しビジネス拡大を図ってまいります。

 ⑥ サステナビリティ・CSRの取組み

タカラトミーグループのサステナビリティビジョン「世界中の子どもたちと友だちになる」の実現のために、8つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に沿った目標・KPIを定め、取組みを推進しております。

特に横断的な取組みが必要なテーマでは、代表取締役社長の直轄組織サステナビリティ推進室が統括するテーマ別タスクフォースを設置し、担当執行役員とグループ横断の多様なメンバーによって、取組みの実行・推進・新たな提案を進めています。

これらを事業戦略とした中期経営計画を推進し、中期経営計画の最終年度となる2024年3月期には「売上高1,850億円、営業利益150億円、自己資本利益率(ROE)12%超」を目指してまいります。

 

また、2023年3月期においては以下のとおり事業展開を行ってまいります。

4月より、トミカでは「街で見かける身近な仕事」をテーマにしたWEBアニメ『トミカヒーローズ ジョブレイバー 特装合体ロボ』をスタートいたします。また、特撮テレビドラマ『ガールズ×戦士シリーズ』を更に進化させ、ダンスバトルをテーマにしたストーリーの新たなテレビドラマ『リズスタ -Top of Artists!-』の放送を開始いたします。さらに、ペットボトルキャップを発射するシューティングホビー「キャップ革命 ボトルマン」シリーズを題材にしたオリジナルアニメ『キャップ革命 ボトルマンDX』もテレビ放送を始めるなど、関連商品と合わせた映像コンテンツ展開を進めてまいります。

定番商品の「トミカ」「プラレール」「リカちゃん」やトレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」のように、当社のビジネス基盤となる商品を引き続き強化するとともに年齢層の拡大を図り、その他カテゴリーにおいても商品の企画開発・マーケティングに注力いたします。

事業領域拡大を図るための取組みとしては、カードゲームアプリ「DUEL MASTERS PLAY'S(デュエル・マスターズ プレイス)」については定期的にバージョンの更新を行いゲーム性を高めるとともに、「ポケモンメザスタ」「ワッチャプリマジ!」などのアミューズメントマシンをはじめとするデジタル関連事業等についても強化を図ってまいります。また、電動ヨーヨーのプレイからARエフェクトでの撮影、SNSへの投稿までの一連の流れを楽しむことができる新感覚のトイエンターテイメント「MUGENYOYO」など「デジタル」と「トイ」を融合する新しい“アソビ”の提案を進めてまいります。

アジア市場では、定番である「トミカ」「プラレール」の販売拡大を図るとともにキャラクター商品やアミューズメントマシンなどの展開を進めてまいります。

欧米についてはTOMY Internationalグループにおいて、コアブランドである「ベビー用品」「農耕車両玩具」を強化するとともに、2020年10月にTOMY International, Inc.の子会社となった米国の独立系玩具会社ファット・ブレイン・グループの強みである消費者直販プラットフォームの強化とビジネスシナジー拡大に取り組んでまいります。

なお、当社を取り巻く経営環境としては、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立を進める動きが本格化する一方で、資源価格の上昇や為替の変動、地政学リスクの上昇など、注視が必要な状況が続くと思われます。このような不透明な状況においても当社グループは、中期経営計画において公表しております2年目(2023年3月期)の中期数値計画に沿って、「アソビ」を軸にした商品展開、事業領域の拡大に努めてまいります。

以上により、2023年3月期の通期連結業績見通しにつきましては、売上高170,000百万円(2022年3月期比2.8%増)、営業利益12,000百万円(同2.8%減)、経常利益11,800百万円(同6.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益7,500百万円(同17.7%減)と予想しております。

 

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