業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

当連結会計年度末の資産につきましては、66,299百万円となり、前連結会計年度末に比べて11,227百万円の増加となりました。その主な要因は、現金及び預金、商品及び製品、受取手形及び売掛金の増加によるものであります。

当連結会計年度末の負債につきましては、20,569百万円となり、前連結会計年度末に比べて5,149百万円の増加となりました。その主な要因は、収益認識に関する会計基準の適用による返金負債の増加に加え、支払手形及び買掛金、未払金の増加によるものであります。

当連結会計年度末の純資産につきましては、45,729百万円となり、前連結会計年度末に比べて6,078百万円の増加となりました。その主な要因は、利益剰余金及び為替換算調整勘定の増加によるものであります。

 

②経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループの業績は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた前年に対し、すべてのセグメントで回復し、大幅な増収増益となりました。主に、バドミントン用品の販売が好調となった中国販売子会社の業績が力強く伸長したことにより、売上高、利益ともに過去最高値を計上しました。当社グループでは、高性能・高品質なものづくりを追求するとともに、小規模な地域の大会から世界規模の大会までサポートを行い、様々な層の選手たちのプレー機会を創出することで競技のすそ野を広げ、市場活性化に注力してまいりました。こうしたグローバルでの取り組みが奏功し、連結売上高は74,485百万円(前期比44.5%増)となりました。市場活性化のための広告宣伝費をはじめとする販管費は増加しましたが、増収に伴う売上総利益の大幅な増加により、営業利益は6,738百万円(前期比552.7%増)、営業利益の増益に加え、為替差益の発生等により経常利益は7,246百万円(前期比297.5%増)、負ののれん発生益を特別利益として計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は5,780百万円(前期比424.5%増)となりました。なお、当社現地法人(中国、台湾、北米、ドイツ、イギリス子会社及びインド製造子会社)は2021年1月から12月の業績を連結対象としており、2021年12月31日現在の財務諸表を使用しています。また、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。このため、前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

[スポーツ用品事業]

(日本)

国内は、第1四半期と第2四半期に一部地域で発令された緊急事態宣言や、第4四半期のまん延防止等重点措置により各種大会の中止や部活動の制限等があったものの、影響は限定的に留まりました。継続してオンラインでの情報発信強化とともに、お客様がスポーツを再開する場の創出やプレーヤーのモチベーション向上につながる大会を積極的に開催することで需要喚起に取り組んだ結果、前年に比べ増収となりました。

海外代理店向けの売上については、地域や時期によって感染状況や活動制限に差はありましたが、国際大会の開催により市場が盛り上がり、SNSやインフルエンサーの活用、大会の実施等で需要喚起に注力したことから、全体で増収となりました。

利益面については、減収と自社工場における生産調整の影響が大きかった前年と比べ、増収による売上総利益の増加と、工場の稼働回復及び生産性向上により売上総利益率が改善し、大幅な増益となりました。

この結果、売上高は37,515百万円(前期比29.3%増)、営業利益は1,494百万円(前期は1,283百万円の営業損失)となりました。

(アジア)

中国販売子会社では、バドミントン中国代表チームとの契約を足掛かりに当社への注目が高まり、選手の国際大会での活躍によってバドミントン競技が大いに盛り上がりました。当社も中国国内でのスポーツ需要の高まりを活かし、積極的なオンラインでの情報発信、当社製品の体験イベント、各種大会等を行うことで市場活性化と新たなヨネックスファンの獲得に注力したことにより、大幅な増収となりました。台湾子会社では、第2四半期以降、一部地域で新型コロナウイルス感染症の影響により活動が制限されたものの、第3四半期以降は段階的に再開されたことで回復傾向となりました。国際大会での契約選手の活躍によりバドミントンラケットを中心に販売が堅調に推移し、増収となりました。

利益については、特に中国販売子会社において市場活性化のためのマーケティング投資を行ったことにより、広告宣伝費等の販管費は増加したものの、大幅増収とセールスミックスによる売上総利益率の向上に伴う売上総利益の増加により、大幅な増益となりました。

この結果、売上高は30,968百万円(前期比69.5%増)、営業利益は4,977百万円(前期比110.6%増)となりました。

(北米)

北米販売子会社では、これまでのマーケティング施策によるブランド認知の向上、販売チャネルの強化に加え、各地で一般プレーヤーに向けた当社製品の性能訴求や試打機会の創出を目的とした継続的なイベントを行った結果、テニス用品の販売が大幅に増大しました。また、第2四半期以降徐々に規制が緩和され施設やクラブ活動が再開したことでバドミントン用品が回復し、大幅増収となりました。

利益については、増収による売上総利益の増加が、営業・マーケティング強化による人件費や広告宣伝費等の販管費の増加を上回り、大幅増益となりました。

この結果、売上高は3,194百万円(前期比64.2%増)、営業利益は274百万円(前期比3563.7%増)となりました。

(ヨーロッパ)

ドイツ販売子会社では、バドミントン用品は第1四半期に新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの第2四半期以降は徐々に需要が回復、テニス用品についてはラケットを中心に販売が伸長し、増収を牽引しました。イギリス販売子会社では、厳しい規制による市場の回復遅れがみられましたが、第2四半期以降の規制緩和によって、バドミントン用品は大会やイベントの開催、SNSを活用した情報発信により需要が徐々に戻り、屋外スポーツであるテニス用品やゴルフ用品の販売が好調であったことから前年に比べ、増収となりました。

利益については、増収による売上総利益の増加と、セールスミックスによる売上総利益率の改善により、前年の営業損失から黒字に転じました。

この結果、売上高は2,336百万円(前期比22.9%増)、営業利益は74百万円(前期は121百万円の営業損失)となりました。

 

これらの結果、各地域セグメントを合計したスポーツ用品事業の売上高は74,016百万円(前期比44.8%増)、営業利益は6,821百万円(前期比606.7%増)となりました。

[スポーツ施設事業]

スポーツ施設事業の中核をなすヨネックスカントリークラブは、各種コンペや新製品ゴルフクラブの試打会を企画する等集客に注力した結果、累計入場者数は前年を上回り、売上高、営業利益ともに増収増益となりました。

この結果、スポーツ施設事業の売上高は469百万円(前期比11.0%増)、営業利益は38百万円(前期は12百万円の営業損失)となりました。

(注)セグメントごとの経営成績の記載において、売上高については、「外部顧客への売上高」について記載し、営業損益については、「調整額」考慮前の金額によっております。

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,374百万円増加し、17,538百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は7,430百万円(前期比63.8%増)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益7,821百万円、減価償却費1,603百万円であり、支出の主な内訳は、棚卸資産の増加1,652百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は2,286百万円(前期比114.2%増)となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得882百万円、無形固定資産の取得815百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は1,964百万円(前期比53.3%増)となりました。支出の主な内訳は、長期借入金の返済893百万円、配当金の支払656百万円であります。

④生産、仕入及び販売の実績

スポーツ用品事業については、金額的な重要性を勘案し、用品区分ごとに記載するため、報告セグメントを集約しております。

 

イ.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

スポーツ用品事業

バドミントン用品(千円)

15,382,825

140.7

テニス用品(千円)

5,921,594

146.3

ゴルフ用品(千円)

1,040,138

151.0

その他(千円)

483,219

136.1

計(千円)

22,827,778

142.5

スポーツ施設事業(千円)

合計(千円)

22,827,778

142.5

(注) 金額は標準販売価格によっており、セグメント間の振替を含んでおります。

 

ロ.仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

スポーツ用品事業

バドミントン用品(千円)

14,932,040

149.8

テニス用品(千円)

3,771,610

156.5

ゴルフ用品(千円)

575,454

159.6

その他(千円)

10,583,217

134.5

計(千円)

29,862,322

144.9

スポーツ施設事業(千円)

49,956

121.8

合計(千円)

29,912,279

144.8

(注)金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

ハ.受注実績

当社グループは販売計画に基づいて生産計画を立て、これにより生産を行っており、受注生産は行っておりません。

ニ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

スポーツ用品事業

バドミントン用品(千円)

43,300,898

150.2

テニス用品(千円)

11,498,318

155.3

ゴルフ用品(千円)

1,516,365

147.0

その他(千円)

17,700,561

127.7

計(千円)

74,016,144

144.8

スポーツ施設事業(千円)

469,162

111.0

合計(千円)

74,485,306

144.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、このため、前期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高74,485百万円、営業利益6,738百万円、経常利益7,246百万円、親会社株主に帰属する当期純利益5,780百万円となりました。

上記のほか、当連結会計年度における経営成績の前連結会計年度との比較分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況 及び ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

当社グループは、バドミントンにおけるアジア市場での基盤づくり及びテニスにおけるグローバルな成長を中期的な重点分野として位置付けており、当期はそれらの分野で一定の成果を出すことができました。

アジア市場におけるバドミントンについては、中国代表チームとの契約、それに続く選手の国際大会での活躍によってバドミントン競技自体が盛り上がり、当社にとって大きな追い風となりました。

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける数年前から取り組んできた販売体制の整備、中国のお客様のニーズをとらえた商品開発、SNSを活用した情報発信、そして当社が重視する草の根の販促活動、すなわち一般のプレーヤーのための大会や試打会を通じて競技のファンを増やす取り組みが形になりつつあったところで、業績の大きな伸びにつながったと考えています。

この追い風を競技のすそ野拡大のきっかけとし、中長期的な競技の発展、競技人口の増大につなげるためのマーケティング投資を積極的に実施しながらさらなる成長を目指してまいります。

グローバルのテニスについても、北米を中心に引き続き大きく業績を伸ばすことができました。こちらも新製品の性能への高評価に加え、動画を使ったマーケティングにより当社のものづくりへの取り組みが効果的に伝わったこと、そこに「ソーシャルディスタンスを保てるスポーツ」としてのテニス人気の高まりが追い風として作用しました。北米販売子会社での営業体制の再構築や価格体系の整備により基盤が整っていたことが、それら様々な要素を売上増、及び収益性改善につなげることができた要因です。

日本及びその他の地域、種目についても、当社が最も大切にする「競技の普及発展」によって、「お客様を増やす」草の根活動を中心に、独創の技術によるものづくりを通じて高品質の製品を届けるべく取り組みを進めてまいります。

上記を含む、経営者の課題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための費用、広告宣伝費や人件費を中心とする販売費及び一般管理費等の営業費用の他、工場の生産に係る設備投資、社内の業務効率化のためのIT投資等であります。

当社グループでは、健全な財務体質を維持しつつ、資金需要に対する財源は、主として営業キャッシュ・フローから得られる自己資金にて充当することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入等により調達していく考えであります。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,447百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、17,538百万円となっております。

 

③重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国で一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。連結財務諸表作成にあたり、当社の経営者は売上債権、棚卸資産、投資、退職金等に関する見積りや判断に対して継続的な評価を行っております。当社の経営者はこれらの評価にあたり、過去の実績や現在の状況から判断して合理的と考えられる諸要因を総合的に分析して、見積りや判断の基礎にしています。しかしながら実際の結果は、見積りに含まれる不確定要素によりこれらの見積りと異なる場合があります。

当社グループでは、以下の重要な会計方針が、連結財務諸表を作成するにあたり特に考慮されるべき見積りや判断に影響を及ぼす項目と考えています。

イ.貸倒引当金

当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。顧客の財政状態が過去の実績等で見積もった範囲を超えて悪化した場合には、追加の引当が必要となる場合があります。

ロ.棚卸資産

当社グループは、棚卸資産の評価基準に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しております。製品及び商品については、それぞれの販売可能性について推定される将来需要及び市場状況を踏まえて、販売見込額まで減額しています。当該製品及び商品に関する実際の販売価格が、販売見込額を下回った場合には追加の損失が発生する場合があります。

ハ.固定資産の減損

当社グループは、減損会計の対象となる建物及び構築物、土地、並びにソフトウエア、のれん等を有しており、回収可能額が帳簿価額を下回る兆候がある場合には、減損の有無を判定しています。減損判定を実施する契機となる重要な要素には、過去あるいは見込まれる営業成績に対して著しい実績の悪化等により決定しています。減損の判定には、グルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づき実施しております。現状、減損損失の認識が必要な資産はありませんが、今後、将来において当社グループを取り巻く環境に大きな変化等が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる場合があります。

ニ.投資の減損

当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する少数持分を所有しております。これらの株式には価格変動が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれております。当社グループは著しい投資価値の下落について、回復可能性がないと判断した場合、投資の減損損失を計上しております。

ホ.繰延税金資産の評価

当社グループは、将来の事業計画に基づき、課税所得が十分に確保できることを慎重に判断した上で計上しております。したがって、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対しては、評価性引当額を設定し適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で実績情報とともに不確実性を考慮し、肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより定期的に評価しております。将来において当社グループを取り巻く環境に大きな変化等が生じた場合には、繰延税金資産に対する評価を見直す可能性があります。

ヘ.退職給付債務及び費用

従業員に対する退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されます。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率及び直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等が含まれております。また、年金資産は過去の実績を踏まえて算出された収益率が含まれております。

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