業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が一時的に緩和傾向となる局面も見られましたが、ロシアのウクライナへの侵攻による世界情勢の緊張に起因する原油価格の高騰や急激な円安の影響を受けて、原材料価格や物流コストが増加し、先行きにつきましては、以前にも増して不透明な状況となっています。これに加えて、電子書籍市場やインターネット広告市場の拡大による紙媒体の需要減少も重なり、依然として厳しい状況が続きました。

当社グループはこのような情勢のもと、営業部門においては、セールスプロモーション部を中心にマーケティング戦略を推し進め、能動的な企画立案や顧客課題解決提案に取り組むとともに、インパクトのある表現が可能なパノラマ印刷の拡販にも努めています。生産部門においては敷地を売却した草加工場の機能を、連結子会社の新村印刷株式会社が保有する狭山工場の敷地内に建設する新工場への移転に向けた準備を進めており、2022年9月までに竣工予定としています。

電子部品製造事業に含まれるエッチング精密製品については、営業・設計・検査・品質保証に特化し、製造については協力会社へ完全委託する「ファブレス体制」へ移行しました。また、前連結会計年度において撤退することを意思決定しましたフラットパネルセンサー事業については、当連結会計年度末に生産を終了しました。

環境に配慮した取り組みとして進めています「グリーンプリンティング認定」については、当連結会計年度においては狭山工場にて取得しました。

また、収益構造の再構築をめざし希望退職の募集を実施するとともに、経営資源の選択と集中の一環として、当社グループが行っていた保険代理店事業を譲渡しました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高は154億12百万円(前年同期比3.3%減)となりましたが、印刷事業の収益改善により、損益面では営業利益2億20百万円(前年同期は5億42百万円の損失)、経常利益4億16百万円(前年同期は2億28百万円の損失)となりました。また、資産の効率化及び財務体質の強化を図るために投資有価証券の一部を売却したことに伴い投資有価証券売却益3億1百万円を特別利益に計上し、一方、上記希望退職募集に伴い発生した退職加算金等3億54百万円を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益49百万円(前年同期比93.8%減)となりました。

 

セグメント別の経営成績を示すと次のとおりです。

ア 印刷事業

活発な物流業界の需要拡大を受け配送用ラベル伝票は増加しましたが、電子書籍市場やインターネット広告市場の拡大による紙媒体の需要減少に加え、販促需要の低迷による宣伝用印刷物の減少等により売上高は142億93百万円(前年同期は144億30百万円)と横ばいとなりました。損益面ではセグメント利益(営業利益)は2億26百万円(前年同期は5億21百万円の損失)となりました。

イ 電子部品製造事業

フラットパネルセンサー事業の生産を当連結会計年度末に終了したこともあり、売上高は7億33百万円(前年同期は11億29百万円)、セグメント損失(営業損失)は3億90百万円(前年同期は3億96百万円の損失)となりました。

ウ 不動産賃貸等事業

経営資源の有効活用及び財務体質の強化を図るため、現有資産の積極的な活用や太陽光発電の安定運営に取り組んでいます。売上高は5億15百万円(前年同期は5億20百万円)、セグメント利益(営業利益)は3億84百万円(前年同期は3億75百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ36億29百万円減少し、当連結会計年度末には47億23百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、14億51百万円の支出超過となりました。

これは主に、法人税等の支払などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、14億18百万円の支出超過となりました。

これは主に有形固定資産の取得による支出があったことなどによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、7億59百万円の支出超過となりました。

これは主に長期借入金の返済による支出があったことなどによるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

ア 生産実績

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

印刷

14,487,851

3.7

電子部品製造

900,896

△17.7

不動産賃貸等

合計

15,388,748

2.2

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  生産高は販売価額をもって表示したものです。

 

イ 受注実績

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

印刷

14,461,598

1.9

987,342

20.5

電子部品製造

882,658

△18.0

267,380

126.2

不動産賃貸等

合計

15,344,256

0.5

1,254,723

33.8

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しています。

 

ウ 販売実績

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

印刷

14,293,883

△0.9

電子部品製造

733,475

△35.0

不動産賃貸等

385,190

1.9

合計

15,412,550

△3.3

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しています。

2  最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社読売新聞東京本社

4,620,654

29.0

4,450,191

28.9

ヤマト運輸株式会社

2,104,920

13.2

2,370,525

15.4

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ27億70百万円減少の271億2百万円となりました。これは、主に有価証券及び建設仮勘定が増加した一方で、現金及び預金並びに投資有価証券が減少したことによるものです。

負債合計は前連結会計年度に比べ21億73百万円減少の99億16百万円となりました。これは、主に未払法人税等の減少によるものです。

純資産合計は前連結会計年度に比べ5億96百万円減少の171億86百万円となりました。これは、主にその他有価証券評価差額金の減少によるものです。

当連結会計年度は、活発な物流業界の需要拡大を受け配送用ラベル伝票は増加しましたが、電子書籍市場やインターネット広告市場の拡大による紙媒体の需要減少に加え、販促需要の低迷による宣伝用印刷物の減少等により売上高は154億12百万円(前年同期は159億37百万円)となりました。生産性向上による外注費及び希望退職による人件費等のコスト削減やマーケティング戦略への取り組みによる収益力の向上に努めた結果、営業利益2億20百万円(前年同期は5億42百万円の損失)となりました。また、資産の効率化及び財務体質の強化を図るため投資有価証券の一部を売却したことに伴い投資有価証券売却益3億1百万円を計上し、一方、希望退職募集に伴い発生した退職加算金等3億54百万円を特別損失に計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は49百万円(前年同期は7億99百万円の利益)となりました。

なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業のリスク」に記載のとおりです。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費、材料費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は設備投資等によるものです。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。短期運転資金は主に営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金を活用することを基本とし、必要に応じて銀行からの短期借入を選択しています。設備投資や長期運転資金の調達につきましては、銀行からの長期借入及びリース取引を基本としています。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は37億34百万円となっています。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は47億23百万円となっています。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

ア 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性があると考えられる金額まで減額するために評価性引当額を計上しています。評価性引当額の必要性を検討するにあたっては、将来の課税所得見込み及び税務計画を検討していますが、将来の業績や課税所得実績の変動により繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

イ 固定資産の減損損失

当社グループは、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額することとしています。市場環境の変化等により収益性が著しく低下した場合には、減損損失を計上する可能性があります。

ウ 退職給付費用及び退職給付債務

当社グループは、従業員の退職給付に備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しています。

退職給付費用及び退職給付債務について、退職率などの基礎率、割引率及び長期期待運用収益率を用いて算出しています。割引率及び長期期待運用収益率は、金利の変動等を含む現状の市場動向等を考慮して決定しています。当社グループは現在使用している前提は妥当であると考えていますが、前提の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。

 

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