(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチン接種が進んだことなどにより、社会経済活動が正常化に向かう局面もありましたが、感染力の強い変異株の出現、原材料価格の上昇、ウクライナ情勢によるサプライチェーンの混乱など、年度後半には再び不安定な状態となりました。
このような環境の下、環境ソリューション事業は収益認識基準の適用などにより減収となりましたが、情報電子事業はプロテクトフィルム、情報記録用材の販売が共に好調だったことで増収となりました。加えて、ウェルネス事業と建築・土木資材事業でも増収を確保したことから、当社グループの売上は前年同期比で増収となりました。
損益面では、原材料価格の上昇や人材補強に伴う固定費の増加、研究開発費や戦略費の投入があったものの、情報電子事業やウェルネス事業を中心とした増収効果などにより、前年同期比で増益となりました。
この結果、当連結会計年度における業績は、売上高1,278億19百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益103億41百万円(前年同期比0.5%増)、経常利益111億2百万円(前年同期比3.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益76億93百万円(前年同期比5.7%増)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご覧ください。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
なお、第2四半期連結会計期間より、当社グループ中期計画の強力な推進を目的とした会社組織の変更に伴い、報告セグメントを従来の「ライフサイエンス事業」、「情報電子事業」及び「建築・土木資材事業」の3区分から、「ウェルネス事業」、「環境ソリューション事業」、「情報電子事業」及び「建築・土木資材事業」の4区分に変更しております。
以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
(ウェルネス事業)
医薬医療用包装材では海外子会社での売上が前年同期を大幅に上回り、さらにバイオ医薬品等製造用シングルユースバッグ及び関連製品の販売も引き続き好調であることから、事業全体として増収となりました。
この結果、売上高は239億92百万円(前年同期比17.9%増)となりました。
(環境ソリューション事業)
液体容器では海外子会社を中心に売上を着実に伸ばし増収となり、また生活用品向包装材でも大容量の複数回つめかえ袋の売上が前年同期を上回りました。その一方、収益認識基準の適用に伴う売上減少影響に加え、食品用包装材では前年第1四半期にスポット的な充填搬送システム販売があったことから前年同期比で売上が減少し、事業全体として減収となりました。
この結果、売上高は351億97百万円(前年同期比2.3%減)となりました。
(情報電子事業)
ディスプレイ関連において、プロテクトフィルムはテレビ画面の大型化に伴う市場拡大により受注が増加し、昨年度より本格稼働した当社昭和事業所の新設機械による生産増も大きく寄与したことから、売上は前年同期を上回りました。電子部材関連他においては、情報記録用材で、高速大容量の通信インフラ整備が進んでいることなどからパソコン・サーバー向けの販売が大きく伸長したことに加えて、タブレット・スマートフォン向けも底堅く推移したことなどから事業全体で増収となりました。
この結果、売上高は485億70百万円(前年同期比16.8%増)となりました。
(建築・土木資材事業)
建築資材関連においては、収益認識基準の適用に伴う売上減少影響があったものの、煙突工事並びに空調用配管の売上が好調に推移したことに加え、集合住宅向けボイドスラブ(床構造部材)の販売も前年を上回りました。土木資材関連については、トンネル用資材の売上が減少しました。
この結果、売上高は200億58百万円(前年同期比4.1%増)となりました。
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比 |
||||
|
|
金額 (百万円) |
売上高比率 (%) |
金額 (百万円) |
売上高比率 (%) |
増減額 (百万円) |
増減率 (%) |
|
売上高 |
117,250 |
100.0 |
127,819 |
100.0 |
10,568 |
9.0 |
||
|
ウェルネス |
20,346 |
17.4 |
23,992 |
18.8 |
3,646 |
17.9 |
|
|
環境ソリューション |
36,030 |
30.7 |
35,197 |
27.5 |
△833 |
△2.3 |
|
|
情報電子 |
41,600 |
35.5 |
48,570 |
38.0 |
6,970 |
16.8 |
|
|
建築・土木資材 |
19,273 |
16.4 |
20,058 |
15.7 |
785 |
4.1 |
|
営業利益 |
10,286 |
8.8 |
10,341 |
8.1 |
55 |
0.5 |
||
|
ウェルネス |
1,395 |
6.9 |
2,107 |
8.8 |
712 |
51.0 |
|
|
環境ソリューション |
2,384 |
6.6 |
1,785 |
5.1 |
△599 |
△25.1 |
|
|
情報電子 |
4,534 |
10.9 |
4,584 |
9.4 |
50 |
1.1 |
|
|
建築・土木資材 |
1,971 |
10.2 |
1,863 |
9.3 |
△107 |
△5.4 |
財政状態については、次のとおりであります。
当連結会計年度末における総資産は、投資有価証券等が減少しましたが、売上債権や棚卸資産、現金及び預金が増加したことにより、前年度末に対して99億76百万円増加の1,273億70百万円となりました。
負債は、未払法人税等や借入金が減少しましたが、仕入債務が増加したことなどにより、前年度末に対して26億96百万円増加の421億48百万円となりました。
純資産は、利益剰余金が増加したことなどにより、前年度末に対して72億79百万円増加の852億21百万円となり、自己資本比率は61.9%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末より38億70百万円増加して281億49百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とその主な増減理由は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、113億96百万円(前年同期は118億95百万円の収入)となりました。
これは、法人税等の支払、棚卸資産の増加、売上債権の増加などの資金減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益111億16百万円、減価償却費53億69百万円、仕入債務の増加などの資金増加要因があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は、51億80百万円(前年同期は98億94百万円の支出)となりました。
これは、有形固定資産の取得51億16百万円などの資金減少要因があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は、27億65百万円(前年同期は8億6百万円の支出)となりました。
これは、配当金の支払や借入金の返済などの資金減少要因があったことによるものです。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移は以下のとおりであります。
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
自己資本比率(%) |
56.5 |
57.7 |
61.4 |
61.8 |
61.9 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
68.8 |
53.5 |
51.4 |
73.0 |
55.9 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
0.3 |
0.2 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
280.6 |
228.8 |
149.8 |
512.0 |
617.0 |
(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。
自己資本比率 自己資本÷総資産
時価ベースの自己資本比率 株式時価総額÷総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 有利子負債÷営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ 営業キャッシュ・フロー÷利払い
2.株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。
3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
ウェルネス(百万円) |
22,853 |
18.7 |
環境ソリューション(百万円) |
26,458 |
2.1 |
情報電子(百万円) |
47,698 |
13.1 |
建築・土木資材(百万円) |
8,710 |
14.1 |
合計(百万円) |
105,721 |
11.3 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
ウェルネス(百万円) |
1,181 |
6.2 |
環境ソリューション(百万円) |
9,134 |
△10.7 |
情報電子(百万円) |
1,270 |
- |
建築・土木資材(百万円) |
11,519 |
△0.3 |
合計(百万円) |
23,105 |
0.5 |
(注)金額は仕入価格によっております。
c.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
ウェルネス |
26,193 |
30.5 |
8,263 |
36.3 |
環境ソリューション |
35,213 |
△1.6 |
5,637 |
0.3 |
情報電子 |
48,560 |
19.4 |
2,861 |
△0.4 |
建築・土木資材 |
20,843 |
△7.5 |
10,812 |
7.8 |
合計 |
130,811 |
9.8 |
27,575 |
12.2 |
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
ウェルネス(百万円) |
23,992 |
17.9 |
環境ソリューション(百万円) |
35,197 |
△2.3 |
情報電子(百万円) |
48,570 |
16.8 |
建築・土木資材(百万円) |
20,058 |
4.1 |
合計(百万円) |
127,819 |
9.0 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
財政状態及び経営成績の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況、②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、当社グループでは、以下を重要な経営指標と位置づけ、これらの向上を目指しております。
・営業利益
・営業利益率
・ROA(総資産営業利益率)
・ROE(自己資本当期純利益率)
企業としての本来の事業活動の成果を示す営業利益及び営業利益率、投下資本の運用効率・収益性を測る指標としてROA(総資産営業利益率)、株主重視の観点からROEを選定しております。
2022年3月期を含む、過去5ヶ年の上記指標の推移は以下のとおりであります。
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
営業利益(百万円) |
8,577 |
8,126 |
8,856 |
10,286 |
10,341 |
営業利益率(%) |
7.9 |
7.2 |
7.7 |
8.8 |
8.1 |
ROA(総資産営業利益率)(%) |
8.6 |
7.7 |
8.2 |
9.1 |
8.5 |
ROE(自己資本当期純利益率)(%) |
9.5 |
9.1 |
8.3 |
10.5 |
10.2 |
原材料価格の上昇や人材補強に伴う固定費の増加、研究開発費や戦略費の投入があったものの、情報電子事業やウェルネス事業を中心とした増収効果などにより営業利益は103億41百万円となり、前連結会計年度比で55百万円増加し、営業利益率は前年より0.7%減の8.1%となりました。
事業拡大に伴う債権・債務の増加などから総資産は増加傾向にあり、営業利益はその増加率を下回ったことで、ROA(総資産営業利益率)は前年より0.7%減少し8.5%となりました。
また、営業外収支の改善や、税制優遇措置を活用して法人税等を抑制したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は76億93百万円となり前連結会計年度比で4億14百万円増加しましたが、その増加率よりも自己資本の増加率が上回り、ROE(自己資本当期純利益率)については前年より0.3%減少し10.2%となりました。
当社グループの持続的な発展に向けて、環境ニーズへの対応、変化の著しい情報通信産業への対応を推進すると同時に、医療・エネルギーなど新たな領域の事業化推進、新ビジネスの種の探索・創出に取り組み、将来の成長・発展に向け一層の戦略的投資・研究開発力の拡充を継続していきます。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
主な資金需要は、原材料の購入費用、製造・販売費・一般管理費等の運転資金、設備投資や研究開発費・戦略費・M&A等も見据えた広義での成長投資、ならびに株主還元となります。
設備投資については、前年同期の86億56百万円から32億20百万円減少し、54億36百万円となりました。その主な内容は当社における建物及び機械装置を中心とした投資です。
研究開発費は35億45百万円(前年同期比16.7%増)となり、売上高研究開発費比率は2.8%となりました。
運転資金及び成長投資資金については、内部留保資金又は借入により資金調達しております。
株主還元については、安定的かつ継続的な配当を行うことを基本とし、業績の伸展状況に応じて、配当性向・株主資本配当率等を勘案して実行してまいります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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