業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
 なお、当社グループは、「外食サービス事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が継続し、消費の落ち込みや生産活動の停滞等、国内の経済は極めて厳しい状況であります。

また、先行きにつきましても、2022年3月に緊急事態宣言やまん延防止特別措置等の制限が全国的に解除されましたが、新型コロナウイルス感染症の第7波や海外情勢の緊迫など、景気の先行きは依然として不透明であり、今後も予断を許さない状況となっております。

外食業界におきましては、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、営業時間の短縮、インバウンド需要の減少、テレワークの浸透や外出控えといったライフスタイルの変化、お客様と従業員の安全・安心を守るためのソーシャルディスタンス営業等により来店客数が減少し、中食業界を含めた顧客獲得競争はますます激しさを増し、大変深刻な経営環境が続いております。

当社グループにおきましても、新型コロナウイルス感染症の影響が続く状況下、政府による緊急事態宣言発令を受けた地方自治体からの休業要請を受け、居酒屋業態を中心に200店舗規模の臨時休業等の対応を実施しました。2021年10月から12月までは制限のない営業が可能となりましたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延による消費行動やライフスタイルの変化が進み、忘年会をはじめとする大人数での宴会や2次会の需要は激減しており、当社グループの主力事業である居酒屋事業にとっては、売上高の確保が厳しい環境でありました。

このような状況を受けて、当社では、事業再生計画に基づき、ウィズコロナ・アフターコロナの経営環境に適応する業態として、食動機を強化したコラボレーション業態への転換を進めております。コラボレーション業態の「台湾まぜそば はなび」については、前期より展開を開始し、当期末時点では14店舗まで拡大、「名代宇奈とと」については、2021年9月より展開を進め当期末時点では36店舗まで転換を実施しております。また、次世代の都市型居酒屋の実験として「魚や一丁」のリニューアルを実施したほか、「パステル」のリブランディングを見据えたリニューアル、さらには、テイクアウト・デリバリー、eコマース等の新しいサービスの付加等による収益力の底上げなどを実行いたしました。

店舗数については、新店が1店舗、閉店が20店舗(うちFC6店舗)となり、当期末の店舗数は、352店舗(うちFC37店舗)となりました。

不採算店舗の大規模閉店と減損会計の適用により、減損損失514百万円及び店舗閉鎖損失引当金繰入額58百万円等の特別損失が発生しております。また、店舗休業期間中に発生した固定費(人件費、地代家賃等)を新型コロナウイルス感染症による損失として1,875百万円特別損失に計上し、これらにより、当連結会計年度において合計2,621百万円の特別損失を計上いたしました。

一方で特別利益は、雇用調整助成金352百万円、時短協力金等の助成金収入3,408百万円を計上し、当連結会計年度において合計4,030百万円の特別利益を計上いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は10,258百万円(前年同期比15.7%減)、営業損失は1,123百万円(前連結会計年度は営業損失2,631百万円)、経常損失は827百万円(前連結会計年度は経常損失2,543百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は543百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失5,606百万円)となりました。

 

子会社別の事業の状況は以下のとおりであります。なお、会社ごとの売上高は、連結取引相殺消去前の売上高であるため、連結損益計算書の売上高とは一致しておりません。

(a)㈱扇屋東日本、㈱扇屋西日本

焼き鳥居酒屋「備長扇屋」「やきとりの扇屋」では、焼き鳥の素材や調理方法等の変更による提供品質の向上や、ランチ営業やテイクアウト販売の強化を実施してまいりました。

また、食動機を強化した「名代宇奈とと」とのコラボレーション業態を開発し展開を進めました。

㈱扇屋東日本と㈱扇屋西日本を合算した当連結会計年度の売上高は4,519百万円(前年同期比23.1%減)、当期において閉店12店舗(うちFC6店舗)となり、期末店舗数は227店舗(うちFC36店舗)となりました。

(b)㈱フードリーム

ショッピングセンターや商業施設内を中心に、「パステルイタリアーナ」「カプチーナ」「ステーキハウス松木」「鶴亀堂」など様々なブランドを展開する㈱フードリームでは、高付加価値商品の導入やサービス向上施策により収益率の改善を進め、また、テイクアウト、デリバリー販売を強化してまいりました。

㈱フードリームの当連結会計年度の売上高は4,052百万円(前年同期比1.9%増)、当期において閉店5店舗となり、期末店舗数は75店舗となりました。

(c)㈱一丁

首都圏のターミナル駅を中心に展開する刺身居酒屋「魚や一丁」は、都心部中心の大型店舗であるため、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けており、前期に大規模な店舗閉鎖を実行いたしました。また、将来的な再出店を見据えて次世代の都市型居酒屋の実験を開始しております。

㈱一丁の当連結会計年度の売上高は263百万円(前年同期比53.9%減)、期末店舗数は5店舗(うちFC1店舗)となりました。

(d)㈱一源

埼玉を中心に展開する総合型居酒屋「いちげん」では、和・洋・中のバラエティー豊かなメニューが特徴的であり、ファミリーターゲットを強化するため、女性のお客様、家族連れのお客様にも楽しんでいただけるメニューやイベントなどを提案しております。また、宴会需要の減少への対応として、定食メニューの充実やデリバリー販売を進めております。

㈱一源の当連結会計年度の売上高は636百万円(前年同期比23.6%減)、当期において2店舗閉店し、期末店舗数は14店舗となりました。

(e)㈱紅とん

都心のターミナル駅を中心に展開する炭火串焼き専門店「日本橋紅とん」では、「働くお父さんのエネルギー源」をコンセプトとして、専門店ならではの商品開発や串焼き技術を向上させ、コンセプトの浸透を図ってまいりました。また、昼の時間帯を有効活用する二毛作業態として「台湾まぜそば はなび」の展開を進めております。

㈱紅とんの当連結会計年度の売上高は785百万円(前年同期比13.2%減)、期末店舗数は31店舗となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較し、799百万円増加の1,374百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は、649百万円(前連結会計年度は2,702百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が581百万円となり、そのうち現金の支出を伴わない減価償却費が684百万円及び減損損失が514百万円あった一方、店舗閉鎖損失引当金の減少が394百万円、未払消費税等の減少が401百万円及びその他流動負債の減少が1,072百万円あったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により得られた資金は、324百万円(前連結会計年度は110百万円の収入)となりました。これは主に、既存店のリニューアルに伴う有形固定資産の取得による支出が188百万円あった一方、有形固定資産の売却による収入が563百万円あったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により得られた資金は、1,124百万円(前連結会計年度は1,063百万円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済が5,467百万円あった一方、長期借入金による収入が500百万円、優先株式の発行による収入が5,977百万円及び新株予約権の行使による株式の発行による収入が431百万円あったこと等によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績を事業会社別に示すと、次のとおりであります。

事業会社

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

㈱扇屋東日本

966

△21.9

㈱扇屋西日本

693

△20.1

㈱フードリーム

1,216

△5.2

㈱一丁

100

△52.2

㈱一源

209

△19.4

㈱紅とん

249

△7.7

合計

3,437

△16.8

 

(注) 1. 上記の仕入高の金額は、仕入値引控除前の金額であります。

 2. 上記の仕入高の金額は、連結会社間取引消去前の仕入高であるため、連結損益計算書の仕入高とは一致しておりません。

 3. 外食サービス事業の単一セグメントであるため、事業会社別に記載しております。

 

b. 受注実績

当社グループは一般顧客に直接販売する飲食業を営んでいるため、受注状況は記載しておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業会社別に示すと、次のとおりであります。

なお、当社グループは主に一般顧客に直接販売する飲食業を営んでいるため、特定の主要な販売先はありません。

事業会社

売上高(百万円)

前年同期比(%)

㈱扇屋東日本

2,560

△22.7

㈱扇屋西日本

1,958

△23.7

㈱フードリーム

4,052

1.9

㈱一丁

263

△53.9

㈱一源

636

△23.6

㈱紅とん

785

△13.2

合計

10,258

△15.7

 

(注) 1. 上記の売上高の金額は、連結会社間取引消去前の売上高であるため、連結損益計算書の売上高とは一致しておりません。

2. 外食サービス事業の単一セグメントであるため、事業会社別に記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりです。

 

財政状態の分析

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,025百万円減少し、9,379百万円となりました。

これは、現金及び預金が799百万円増加した一方で、土地の売却や減損損失を計上したこと等により有形固定資産が1,369百万円、店舗の閉店により敷金及び保証金が509百万円減少となったためです。

負債の部は、債務の株式化による金融支援により借入金が4,500百万円減少したこと、未払金が821百万円減少したこと、店舗の閉鎖処理が進んだことにより、店舗閉鎖損失引当金が394百万円、短期の資産除去債務が657百万円減少したこと等により、負債合計は前連結会計年度末に比べ8,003百万円減少の6,881百万円となりました。

純資産の部は、第三者割当によるC種優先株式の発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ750百万円、金融機関による債務の株式化によるD種優先株式の発行により資本金及び資本準備金がそれぞれ2,250百万円、第25回新株予約権(行使価額修正条項付き)の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ216百万円増加したこと、また、親会社株主に帰属する当期純利益543百万円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと等により、純資産合計は前連結会計年度末に比べ6,978百万円増加の2,498百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ69.7ポイント増加の26.6%となり、普通株式に係る1株当たり純資産額は△101円95銭となりました。

 

経営成績の分析

a. 売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度末に比べ1,909百万円減少し10,258百万円となりました。

これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響により、政府による緊急事態宣言を受けた地方自治体からの休業要請を受け、当社グループの主力事業である居酒屋業態を中心に200店舗規模の休業等の対応を実施したことや、消費行動やライフスタイルの変化が進み、忘年会をはじめとする大人数での宴会や2次会の需要が減少したことにより、売上高が著しく減少したことによるものであります。なお、既存店売上高の内訳は(前年同期比84.9%(客数88.3%、客単価96.2%))となりました。

b. 売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ1,183百万円減少し6,837百万円となりました。

これは主に、新型コロナウイルス感染症の影響により、店舗の臨時休業等を行ったことによる売上高の減少によるものであります。一方で、店舗において徹底した食材ロスコントロールや粗利益高の改善施策を行ったことにより、売上総利益率は前連結会計年度に比べ0.7ポイント改善し66.7%となりました。

c.販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ2,691百万円減少し7,961百万円となりました。

これは主に、店舗の臨時休業期間中等に発生した固定費(人件費、地代家賃等)を新型コロナウイルス感染症による損失として特別損失に振り替えたことや、店舗の臨時休業等を行ったことにより変動費が減少したこと、また、会社別に設置していた本部機能をグループ横断的な体制へと変更し、機能別に人員を集約したことで、売上規模に合わせたコンパクトな本部体制が実現したこと等によりコスト削減が進んだことによるものであります。

d.営業損失

当連結会計年度の営業損失は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、売上高は大幅に減少いたしましたが、前連結会計年度に行った大規模なコスト構造改革によって、コスト削減が大幅に進んだことにより、当連結会計年度の営業損失は1,123百万円(前連結会計年度は、営業損失2,631百万円)となりました。

e.経常損失

当連結会計年度の営業外収益は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、雇用調整助成金の特例処理を受けたこと等により前連結会計年度に比べ162百万円増加し445百万円となりました。

当連結会計年度の営業外費用は、債務の株式化による金融支援により借入金が減少したこと等により前連結会計年度に比べ45百万円減少し149百万円となりました。

その結果、当連結会計年度の経常損失は827百万円(前連結会計年度は、経常損失2,543百万円)となりました。

f.税金等調整前当期純利益

当連結会計年度の特別利益は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、雇用調整助成金等の特別措置の適用を受けており、新型コロナウイルス感染症による損失に計上した人件費に対する助成金を、雇用調整助成金として352百万円計上いたしました。また、各自治体の時短営業要請に対する協力金を、助成金収入として3,408百万円を計上したこと等により4,030百万円計上いたしました。

一方で特別損失は、契約期間の満了や契約の終了又は不採算であった直営店14店について閉鎖したことに加え、将来キャッシュ・フローによる設備投資額の回収が困難と見込まれた店舗等の固定資産及びのれんについて減損損失を514百万円計上したこと、さらに、まん延防止等重点措置の実施に伴う自治体の時短営業要請を受け、時短営業等の対応を実施した期間中に発生した、店舗の固定費(人件費、地代家賃等)を新型コロナウイルス感染症による損失として1,875百万円を特別損失に計上したこと等により2,621百万円計上いたしました。

その結果、当連結会計年度の税金等調整前当期利益は581百万円(前連結会計年度は、税金等調整前当期純損失5,542百万円)となりました。

 

g.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金負債が減少し、法人税等調整額が減少したこと等により543百万円(前連結会計年度は、親会社株主に帰属する当期純損失5,606百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
 また、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。
 当社グループの資金需要の主なものは、店舗設備投資、事業開発投資及びM&A・資本業務提携投資であります。これらの投資に要する資金は、増資資金、長期借入金及び自己資金により調達することを基本としております。
 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は3,739百万円となっており、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,374百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

当社グループは、連結財務諸表作成にあたって、適切な会計方針を選択し、固有の見積りや判断が必要な事象については過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。

また、当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の状況下、政府による、まん延防止等重点措置の適用並びに緊急事態宣言発令を受けた地方自治体からの休業要請を受け、居酒屋業態を中心に200店舗以上の臨時休業や時短営業等の対応を実施しました。2021年10月から12月までは制限のない営業が可能となりましたが、新型コロナウイルスの蔓延による消費行動やライフスタイルの変化が進み、忘年会をはじめとする大人数での宴会や2次会の需要は激減しており、当社グループの主力事業である居酒屋事業にとっては、売上高の確保が厳しい環境であり、経済の回復状況の見通しは依然として不透明であり、今後も予断を許さない状況となっております。

このような状況下において、当連結会計年度末におけるのれんを含む固定資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、新型コロナウイルス感染症による影響が将来的に収束しても、生活様式の変更等により、一定程度の需要が落ち込むことを仮定におき、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りを行っておりますが、不確実性の極めて高い環境下にあり、新型コロナウイルス感染症の収束時期等の見積りには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。なお、当社グループが採用した会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

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