業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

(a)財政状態

(資産)

 当事業年度末における流動資産は27億27百万円となり、前事業年度末に比べ90百万円減少しました。これは主に現金及び預金が2億22百万円減少したことによるものであります。固定資産につきましては29億89百万円と、前事業年度末に比べ41百万円減少しました。この結果、総資産は57億17百万円となり、前事業年度末に比べ1億32百万円減少しました。

(負債)

 当事業年度末における流動負債は26億53百万円となり、前事業年度末に比べ75百万円減少しました。これは主に役員退職慰労金に対する債務である未払金が2億5百万円減少したことによるものであります。また、固定負債は2億55百万円となり、前事業年度末に比べ2億11百万円減少しました。これは主に長期借入金が2億13百万円減少したことによるものであります。

 この結果、負債合計は29億8百万円となり、前事業年度末に比べ2億86百万円減少しました。

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は28億8百万円となり、前事業年度末に比べ1億54百万円増加しました。これは主に繰越利益剰余金の増加によるものであります。

 この結果、自己資本比率は49.1%(前事業年度末は45.4%)となりました。

 

(b)経営成績

 当事業年度(2021年4月1日から2022年3月31日まで)における国内経済は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞などにより、依然として厳しい状況が続いております。

  また、当社の経営成績に影響を及ぼす建築動向は、全国的な都市再開発などの継続が確認されるものの、感染拡大の長期化に伴い、実際には建設工事の一時中断・延期あるいは設備投資計画の見直し、物流の停滞や資材不足等も発生し、予断を許さない状況が続いております。

 このような経済状況のもと、当社は感染拡大防止に最大限の配慮をしつつ、①製品品質の向上 ②生産性・利益率の向上 ③営業体制の強化 ④樹脂製サインの市場競争力強化 ⑤人材育成 といった重点推進課題を掲げ、課題解決に向けた取り組みを推進しました。また、収益面での健全経営を目指してコスト見直しを進め、今後も持続的成長を遂げる企業を目指して、様々な諸課題について検討を進めました。

 これらの結果、当事業年度の売上高は54億1百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益は2億98百万円(前年同期比49.4%増)、経常利益は2億95百万円(前年同期比49.5%増)、当期純利益は1億86百万円(前年同期比42.1%減)となりました。当期純利益に前年同期と比較して大きな差異が発生した要因は、前期2020年12月に当社代表取締役会長の林 良一氏逝去に伴って付保していた生命保険金の給付等を計上したこと等により、前年同期に特別利益1億94百万円が発生したことによるものであります。

 なお、当社が手がけるサイン製品の需要は下半期に偏る一方で、固定費はほぼ恒常的に発生するため、当社は利益が下半期に偏るなど経営成績に季節的な変動があります。

  また、当社はサイン製品事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの経営成績については記載を省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による収入、投資活動による支出、財務活動による支出の差引の結果、前事業年度末に比べ2億22百万円の減少となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の営業活動の結果得られた資金は2億69百万円となりました(前事業年度は3億44百万円の収入)。この主たる要因は仕入債務の増加額が1億73百万円あったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の投資活動の結果支出した資金は1億28百万円となりました(前事業年度は2億7百万円の収入)。この主たる要因は固定資産の取得により1億円支出したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度の財務活動の結果使用した資金は3億62百万円となりました(前事業年度は2億19百万円の支出)。この主たる要因は有利子負債が3億25百万円減少したことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社はサイン製品事業の単一セグメントであり、生産、受注及び販売の状況は以下のとおりであります。

区分

当事業年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

前年同期比(%)

生産実績(千円)

3,660,482

104.5

受注高(千円)

5,454,911

106.2

販売実績(千円)

5,401,608

105.6

 (注)生産実績の金額は販売実績に対応する製造原価で示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当事業年度の財政状態及び経営成績の状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。また、財政状態及び経営成績の直近5事業年度の推移は以下のとおりであります。

 

<財政状態の推移>

 

2018年

3月期末

2019年

3月期末

2020年

3月期末

2021年

3月期末

2022年

3月期末

総資産(千円)

5,653,389

5,955,294

5,907,262

5,849,470

5,717,321

純資産(千円)

2,096,832

2,238,535

2,364,842

2,654,547

2,808,772

現金及び預金(千円)

279,353

489,628

484,308

816,979

594,970

有利子負債(千円)

989,360

1,058,762

1,412,008

1,230,168

904,612

自己資本比率(%)

37.1

37.6

40.0

45.4

49.1

 

<経営成績の推移>

 

2018年

3月期

2019年

3月期

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

売上高(千円)

5,747,832

5,897,893

6,013,290

5,117,472

5,401,608

売上総利益(千円)

1,817,978

1,844,046

1,843,411

1,614,031

1,741,125

営業利益(千円)

377,080

310,306

248,926

199,727

298,359

経常利益(千円)

379,660

319,343

242,367

197,788

295,642

 

ここ数年の財政状態につきましては、有利子負債から現金及び預金を引いた実質有利子負債が、2018年3月期末では7億10百万円でありましたが、当事業年度末には3億9百万円となり、2018年3月期末に37.1%であった自己資本比率は当事業年度末には49.1%となっております。これは、主に有利子負債の返済と内部留保の拡大を進めた結果であり、当社の財務基盤は一定の強化がなされているものと判断しております。

また、当社が手がけるサイン製品の需要は、民間非住宅建築投資動向の影響を受けております。ここ数年、この民間非住宅建築投資は、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた投資を中心に拡大傾向が続いたものの、新型コロナウィルス感染症拡大による影響もあり上記のとおり売上高が増減しましたが、安定的に利益を確保して参りました。

しかしながら、一方では外注費の増加や材料費・人件費の高騰などにより、売上高に対する利益率は減少傾向にあります。当社はこの問題につきまして、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境(3)経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおり、今後解決に取り組んで参ります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の運転資金需要のうち主なものは、サイン製品製造のための材料及び製品の仕入費用のほか、外注加工費及び人件費であります。投資を目的とした資金需要は、主にサイン製品の製造設備購入によるものであり、詳細は「第3 設備の状況 1設備投資等の概要」に記載のとおりであります。

 資金の調達につきましては、中期計画・年度予算に照らして必要な資金を主に金融機関からの借入によって調達しております。なお、当事業年度においては長期借入は実行しておりません。また、運転資金の効率的な調達と手元資金の流動性確保のため、複数の金融機関と当座貸越契約を締結しており、当事業年度末における極度額は20億円で、借入実行残高は6億円であります。

 当社は、当事業年度末における有利子負債の残高が9億4百万円、現預金残高が5億94百万円、自己資本比率が49.1%と財務状況に不安はなく、上記の当座貸越極度額を含め金融機関からの資金調達は円滑に行える状況にあるため、資金の流動性は確保されているものと判断しております。

 今後につきましては、獲得した利益によって得られた資金を、株主への還元、利益を増大させる設備投資、有利子負債の返済、リスクに備えた手元資金の確保等にバランスよく配分し、さらなる財務基盤の強化に取り組んで参ります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

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