課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営方針

 当社は経営の基本方針を次のとおり掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えています。

① 社名に謳う「常に学び 研究し 創造する」の精神を経営の基本理念として、得意先の繁栄と社会の発展に貢献します。

② 企業活動に関する法律を遵守し、社会の倫理規範に従い、良識ある企業活動を実践します。

③ 品質・価格・環境等あらゆる面で社会に有用・優良な製品を提供します。

④ 株主、取引先、地域社会等との信頼・協力関係を構築し、共存共栄を図ります。

⑤ 人間性を尊重した自由闊達な社風を醸成し、社員の健康と安全を確保します。

 

(2)経営環境

 IMF(国際通貨基金)が2022年1月に発表した「世界経済見通し」によりますと、新型コロナウイルス蔓延による混乱、エネルギー価格高騰やサプライチェーンの逼迫等により、世界経済の2022年の成長率は4.4%にまで減速する見込みであります。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻は、世界経済全般に大きな影を投げかけております。

 一方の国内経済では、日銀が2022年1月に発表した「経済・物価情勢の展望」によりますと、2021年度の供給制約から2022年度は挽回生産や政府の経済対策の効果を背景に、幾分上振れるとしております。リスク要因として変異株を含む感染症の動向や、海外でのサプライチェーンの動向、資源価格の動向などによって、先行き不確実性が高い点が指摘されております。

 当社業績に影響を及ぼす建築業界動向は、財団法人建設経済研究所が2021年1月に発表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」によりますと、2022年度における名目民間非住宅建築投資は前年度比6.3%増と見込まれ、景気先行指標の一つでもあります民間非住宅建築着工床面積は前年度比4.4%増と予想されております。民間非住宅建築投資の動向は、感染症拡大の影響を受けながらも、都市再開発や既存建築物に対する潜在的建て替え需要として相応に残されていることが反映され、徐々に回復の兆しを示しております。特に着工床面積では倉庫の増加傾向が顕著であります。

 最後に、2019年11月に発生が確認されました新型コロナウイルスは、ワクチン開発と接種、治療薬の開発・普及も進み、先進国では「WITHコロナ」の日常生活を模索しております。しかし、ワクチン接種が進む国とそうでない国の格差をついて、新たな変異の蔓延が不安視されており、予断を許さない状況にあります。

 

(3)経営戦略及び対処すべき課題

 当社は、リーマン・ショック、東日本大震災、西日本豪雨による被災、昨今の感染症拡大という想定外の影響を受けながら、近年の建築市場の活況にも支えられ、13期連続最終黒字という状況が続いております。

 今後も、金属製サインのトップメーカーとして長年培ってきた技能と先端技術を融合させ、既存事業の領域拡大と新たな事業分野への挑戦により、長期ビジョンとして売上高100億円の企業になることを目標として掲げ、持続的な成長と企業価値向上を目指す必要があると考えております。

 以上を踏まえまして、当社はサインメーカーの原点に立ち返って「競争」に打ち克ち、中・長期的視点に立った「成長性・収益性・安定性(持続可能性)」の追求が必要であると認識し、以下の中期経営計画を策定しております。

 

<中期経営計画>

① 期間とテーマ

 2023年3月期から2027年3月期までの5年間を、長期ビジョンの実現に向けた「成長への種まきと対応の基盤づくり」の期間と位置づけます。

② 基本方針

 「生産工程の機械化・自動化」「製品品質の向上」「収益基盤の再構築」「経営の効率化」「人材育成」を基本方針として、発展分野への経営資源の投入と生産プロセスの革新に取り組んでまいります。

③ 戦略展開

(a) 生産工程の機械化・自動化

 わが国は、「人口減少・少子高齢化」という大きな課題を抱えております。国立社会保障・人口問題研究所が発表した将来推計資料によりますと、15歳以上65歳未満の生産労働人口は、1995年の8,716万人をピークとして減少の一途をたどっており、2030年には6,773万人、2050年には5,001万人になると推計されております。

 当社の金属製サイン事業は、一品もののオーダー製品を生産するために機械化・自動化が難しく、生産工程の多くは人の技能に依存しております。現在の生産工程は人材が確保できるという前提で成立しており、「人口減少・少子高齢化」という課題は、当社のサイン事業の継続性を脅かしております。

 当社サイン事業が持続的成長をとげるためには、「生産工程の機械化・自動化」は避けて通れない課題でありますので、今後5年間で経営の重点課題として取り組みます。

 

(b) 製品品質の向上

 当社が金属製サインメーカーとしてシェア・ナンバーワン企業であり続けるためには、トップメーカーに相応しい製品品質を確保することが必須条件であります。

 近年の環境変化に伴い、エビデンス・ベースでの製作基準・品質保証のニーズが高まっております。より信頼性の高い、安全性を追求した製品を市場に提供するとともに、「得意先の繁栄に尽くす」企業として顧客要求事項に対応し、顧客満足度向上を目指していく必要があります。そのためには、先ずは製品品質を維持し、革新を図り続けることが重要であると考えます。

 

(c) 収益基盤の再構築

 当社が、既存事業で安定的に収益を確保しつつ、当社の経営資源を活かして新たな収益を確保するために、中期経営計画では次の3点を掲げて取り組んで参ります。

イ.営業体制の再構築

ロ.樹脂製サインの市場競争力確保

ハ.経営資源を活かした事業領域の拡大

 

(d) 経営の効率化

 ここ数年、営業利益率が下落傾向にある中で、2022年3月期はコスト削減に努めた結果、4期ぶりに改善傾向を示しております。しかし、世界が新たな感染症を克服して経済活動が再開しつつある中、インフレ傾向が顕著となっており、資源高が顕在化しております。まずは、材料費のコストダウンは喫緊の課題であります。

 次に、加工費(労務費・外注加工費)を低減化しつつ、生産能力を最大化するための最適解も模索し続けなければなりません。

 生産効率を向上させるための自動化・機械化は経営の最優先課題でありますが、重要な経営指標としてROA(総資産利益率)を意識した設備投資が重要と考えております。

 

(e) 人材育成

 当社が、持続的成長を遂げていくためには、成長を牽引する人材が重要であります。中期経営計画では次の3点を掲げて取り組んで参ります。

イ.管理職・監督職の資質向上

ロ.部門の現状に即した人材育成

ハ.次世代経営層の育成

 

④ 業績目標

 

2022年3月期

実績

 

2023年3月期

予想

2027年3月期

目標

売上高

5,401百万円

5,771百万円

6,555百万円

営業利益

298百万円

228百万円

333百万円

経常利益

295百万円

225百万円

329百万円

 

 

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