業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」に記載のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、経済活動の段階的な制限緩和により、個人消費を中心に回復基調となりましたが、新型コロナウイルス感染症変異株の再拡大や半導体などの部品供給不足、原材料価格の高騰などにより、回復ペースは鈍化しました。日本経済は、度重なる緊急事態宣言などによる経済活動の制限やサプライチェーンにおける遅延の影響は徐々に緩和されてきていますが、ウクライナ情勢などもあり収束時期が見通せず、先行き不透明な状況となりました。

国内発泡プラスチック業界におきましては、巣ごもり需要は継続し、低下していた需要も緩やかに回復しましたが、原材料価格が高騰を続けていることから、非常に厳しい状況となりました。

このような状況のもと当社グループは、新中期経営計画「Change for Growth」をスタートし、基本コンセプトとして、「経済価値だけでなく、顧客や社会の課題解決などの社会的価値へと提供価値を拡大」、「経営基盤の強化」を掲げ、更なる企業価値向上に取り組んでおります。

当社グループの経営成績は、付加価値の高い製品の販売増加や製品価格改定などから、売上高は前期を上回りました。営業利益は、原料価格高騰の影響などから前期を下回りました。特別損失は、主に国内連結子会社における「減損損失」及び韓国連結子会社における「火災による損失」によるものです。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は、114,125百万円(前期比11.2%増)となりました。利益面では、営業利益は4,589百万円(同11.5%減)、経常利益は4,868百万円(同11.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,893百万円(同4.1%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。

 

(押出事業)

食品容器用の発泡ポリスチレンシート「スチレンペーパー」を中心とした生活資材製品は、広告宣伝用ディスプレイ材「ミラボード」の販売は増加しましたが、食品トレー向け分野は巣ごもり需要が継続しているものの前期の一時的な急増からは減少しました。売上については製品価格改定もあり増加しました。

産業用包装材やフラットパネルディスプレイ向けの発泡ポリエチレンシート「ミラマット」を中心とした産業資材製品は、付加価値の高い製品の販売が大幅に増加したことに加え、汎用製品も増加したことから売上は増加しました。

発泡ポリスチレン押出ボード「ミラフォーム」を中心とした建築土木資材製品は、建築・住宅分野向けの販売は前期並みでしたが、土木分野向けが減少したことから売上は減少しました。

押出事業全体としては、付加価値の高い製品の販売増加や製品価格改定により売上は増加しました。利益面では、原料価格高騰の影響はあるものの、販売増加などにより増益となりました。

これらの結果、押出事業の売上高は39,076百万円(前期比3.9%増)、営業利益は2,782百万円(同8.0%増)となりました。

 

(ビーズ事業)

世界各国で製造販売している発泡ポリプロピレン「ピーブロック」は、バンパーコア材・シートコア材等の自動車部品、各種部品の通い函、緩衝包装材、住宅設備向け保温緩衝材、競技用グラウンド基礎緩衝材などに幅広く使用されております。「ピーブロック」を中心とした高機能材製品は、新型コロナウイルス感染症変異株の再拡大による活動制限や半導体などの部品供給不足の影響はありましたが、緩やかながらも需要は回復し、自動車の新規部品の採用拡大などもあり、販売数量及び売上は増加しました。地域ごとの販売数量概況は、国内では、自動車分野などが増加しました。北米では、自動車メーカーの生産調整の影響があり緩やかな増加となりました。南米では、自動車分野は増加しました。欧州では、自動車・非自動車分野ともに増加しました。アジアでは、中国及び台湾での包装材分野は堅調に推移しました。

 

発泡性ポリスチレン「スチロダイア」を中心とした発泡性ビーズ製品は、水産・農業分野での需要の影響により販売は減少しました。売上については製品価格改定により増加しましたが、原料価格高騰が続いていることから、さらなる対応を進めております。

ユニットバス天井材やフロートに使用されているハイブリッド成形品「FOAMCORE」は、需要の回復などにより売上は増加しました。

ビーズ事業全体としては、自動車分野などでの需要回復などにより売上は増加しました。利益面では、製品価格改定は進めているものの原料価格高騰の影響により減益となりました。

 これらの結果、ビーズ事業の売上高は68,513百万円(前期比14.4%増)、営業利益は2,620百万円(同26.2%減)となりました。

 

(その他)

一般包材は、国内では、自動車部品輸送関連等の販売が回復したことなどから売上は増加しました。中国では、各種部品関連の需要が好調に推移したことにより売上は増加しました。

これらの結果、その他の売上高は6,536百万円(前期比26.2%増)、営業利益は212百万円(同119.9%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,473百万円増加し134,527百万円となりました。

 流動資産は、6,046百万円増加し68,503百万円となりました。増加の主な要因は、受取手形及び売掛金が1,726百万円、商品及び製品が1,677百万円、原材料及び貯蔵品が1,236百万円増加したことなどによるものです。

 固定資産は、573百万円減少し66,024百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ803百万円増加し44,295百万円となりました。

 流動負債は、1,822百万円増加し33,098百万円となりました。増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が1,756百万円増加したことなどによるものです。

 固定負債は、1,018百万円減少し11,197百万円となりました。減少の主な要因は、長期借入金が810百万円減少したことなどによるものです。

 これらの結果、当連結会計年度末の純資産合計は90,231百万円、自己資本比率は前連結会計年度末と同じく63.9%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、増加要因である税金等調整前当期純利益4,149百万円、減価償却費6,832百万円、仕入債務の増加額1,377百万円などに対し、減少要因である売上債権の増加額1,620百万円、棚卸資産の増加額2,640百万円、法人税等の支払額1,691百万円などにより、差引き5,972百万円の収入(前期比6,239百万円減少)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出5,658百万円などにより、5,888百万円の支出(同713百万円増加)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入3,800百万円に対し、主に営業活動によるキャッシュ・フローによる収入を充当した長期借入金の返済による支出4,356百万円、配当金の支払額1,490百万円などにより、差引き2,565百万円の支出(同299百万円増加)となりました。

 

 これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,757百万円減少し、10,520百万円となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

押出事業

36,947

16.0

ビーズ事業

56,788

19.2

報告セグメント計

93,735

17.9

その他

1,517

54.7

合計

95,253

18.4

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 金額は平均販売価格により算出しております。

 

b.受注実績

 当社グループは原則として見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

押出事業

39,076

3.9

ビーズ事業

68,513

14.4

報告セグメント計

107,589

10.4

その他

6,536

26.2

合計

114,125

11.2

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等の分析・検討

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載したとおりであります。それを踏まえ、次のとおり事業全体及びセグメントごとの経営成績等に重要な影響を与えた要因や当該要因への対応について分析・検討を行っております。

 

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

前期比(%)

売上高

102,668

114,125

111.2

営業利益

5,185

4,589

88.5

経常利益

5,519

4,868

88.2

親会社株主に帰属する

当期純利益

3,017

2,893

95.9

 

 前期と比較した、当連結会計年度の売上高及び利益の主な定性的増減要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載したとおりであります。なお、営業利益における定量的な増減要因として、主な前期比増加要因は、総じてコロナ禍からの回復により自動車部品関連の需要が回復したこと、またフラットパネルディスプレイ関連保護材として付加価値の高い製品の販売が大幅に増加したことなどによる販売数量の増加(2,890百万円)、原材料価格の上昇に対応した販売単価の見直し(3,930百万円)などであります。一方減少要因は、原材料価格、用役費用、物流コストなどの上昇による変動費単価の悪化(△6,990百万円)、新型コロナウイルス感染症の拡大による世界的な経済活動の制限からの緩和により活動費が増加したことや製造労務費の増加などによる悪化(△570百万円)であり、596百万円の減益となりました。

引き続き、地政学リスクの高まりを背景とした原材料価格の高止まりを想定しております。またサプライチェーンにおける混乱の解消についても、不透明な状況が続く見通しです。今後も、これらの外部環境の変動により経営成績が影響を受ける可能性がありますが、中期経営計画「Change for Growth」の最終年度目標を達成すべく、各施策を進めてまいります。

 中期的な課題への対応としては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、循環性の高いビジネスモデルへのシフトと組織の活性化・効率化の推進を「変革戦略」として定義し、中期経営計画の目標達成を目指しております。

 

 セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(押出事業)

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

前期比(%)

売上高

37,595

39,076

103.9

営業利益

2,576

2,782

108.0

 

 食品容器用の発泡ポリスチレンシート「スチレンペーパー」を中心とした生活資材製品は、環境対応型製品の上市により需要拡大を図ります。

 発泡ポリエチレンシート「ミラマット」を中心とした産業資材製品は、付加価値の高い製品の中国・韓国向け販売は大幅に増加しました。引き続き、付加価値の高い製品の開発や販売に注力いたします。

 発泡ポリスチレン押出ボード「ミラフォーム」を中心とした建築土木資材製品の販売は、半導体などの部品不足により住設機器の供給不足が発生し、住宅着工件数が低下したことなどの理由で受注が減少しました。今後は、住宅資材の高騰などにより住宅取得マインドの低下が懸念されますが、省エネ性能の高い住宅向けや建築・工業品向けでの採用強化を図ります。

 

(ビーズ事業)

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

前期比(%)

売上高

59,893

68,513

114.4

営業利益

3,550

2,620

73.8

 

 「ピーブロック」を中心とした高機能材製品は、引き続き半導体などの部品供給不足が自動車メーカーの稼働に影響を及ぼすものの、コロナ禍からの回復も期待されています。サステナビリティ経営に則し、省エネやリサイクルなどの要求に対応した次世代製品を市場に投入し、マーケットシェアの維持拡大と顧客満足度の最大化を図ります。また、世界的な自動車生産台数の成長が不透明な中で、電気自動車関連や自動車部品以外の用途開拓を行い、同時により効率的な生産・販売体制を構築し、各地域において収益改善に向けた施策を実施してまいります。

 「スチロダイア」を代表とする発泡性ビーズ製品については、2022年3月期は原材料価格高騰に対し製品価格改定が追い付かず減益となりました。引き続き、価格改定を進めるとともに、原材料価格の変動の影響を受けにくい事業への転換を進めます。「クリアポール」「エレンポールNEO」「ヒートポールGR」等の機能性製品を含む高付加価値グレードの開発や市場投入により、顧客ニーズの追求に基づく建材・土木、自動車及び新規分野への需要拡大に注力しております。

 

(その他)

(単位:百万円)

 

2021年3月期

2022年3月期

前期比(%)

売上高

5,179

6,536

126.2

営業利益

96

212

219.9

 

 一般包材は、強みである設計企画力を活かし、包装設計段階からリサイクル・リデュース・リユース及びカーボンニュートラルを意識した製品販売を目指します。自動車・IT部品等の物流資材需要の取り込みによる売上増加により、国内及び中国にて利益向上に努めます。

 

b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び流動性に係る情報

 当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②財政状態の状況及び③キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。

 当社グループの運転資金及び設備資金等の充当につきましては、自己資金及び金融機関からの短期及び長期の借入金を基本とし、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保しております。

 また、当社グループ内において、資金の有効活用を目的とした、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)及びタームローンを実施しております。

 当連結会計年度末現在、借入金残高は、長期借入金7,870百万円、1年内返済予定の長期借入金4,430百万円、短期借入金7,578百万円となっております。

 なお、2023年3月期の設備投資総額は7,800百万円を計画しており、自動化、省力化、省エネ化など合理化効果の高い設備投資を積極的に行います。セグメントごとの設備投資計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載しております。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状態を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

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