文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)が合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)会社の企業理念
当社グループは、「創造的行動力による社会への貢献」を企業理念とし、コア事業である発泡樹脂製品及び新しい素材を用い、省資源・省エネルギーで社会生活の利便性向上に寄与する価値を、社会に提供していくことを使命としております。
(2)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
a.長期ビジョン
第61期(2019年3月期)スタートにあたり、10年スパンの長期的な方向性を示す『VISION2027』を策定しました。長期ビジョンでは、「顧客と消費者に感動を届ける」、「株主と地域社会に満足を届ける」、「社員一人ひとりがワクワク感を持って仕事をする」など、すべてのステークホルダーに感動と満足を届けることの意を込め、新しい経営方針「Deliver with WOW!」を定め、将来のありたい姿を「真のグローバルサプライヤーとして社会から必要とされる企業」とし、海外市場に目を向けた地理的拡大、独自技術の強みを活かした新規需要の掘り起こしや周辺領域への事業拡大などを積極的に推進してまいります。
(経営方針) 「Deliver with WOW!」
・VISION2027の基本方針
①既存事業の強化・拡大
②事業領域の拡大
③経営基盤の強化
・2027年度の定量的ビジョン
売上高 180,000百万円、営業利益 18,000百万円、営業利益率 10%
・進むべき事業領域
①自動車部品分野、②建築住宅断熱材分野、③フラットパネルディスプレイ関連保護材分野、④新たな事業領域(新規事業創出及びM&Aとして売上高30,000百万円規模を目指します)の4つの成長エンジンを、今後の進むべき事業領域として位置付けました。
b.中期経営計画「Change for Growth」(第64期~第66期)について
第64期から第66期を実行期間とする中期経営計画「Change for Growth」では、コロナ禍の影響を含め、プラスチック問題に対する社会的問題意識の高まりやSDGsの概念の広まりなど大きな事業環境の変化に対応した事業計画やアクションプランを策定しました。サステナビリティ経営に舵を切ることにより、循環型経済への転換を積極的に推進していきます。また、ウィズコロナ・アフターコロナの状況において、社会が変革しようとしており、働き方を含め製造業としての対応や価値観を見詰め直す機会となりました。本中期経営計画において、以下の基本コンセプトのもと、変革戦略を策定し、更なる企業価値向上に取り組んでおります。
・基本コンセプト
「経済価値だけでなく、顧客や社会の課題解決などの社会的価値へと提供価値を拡大」
「経営基盤の強化」
① 人材育成の強化
② 労働安全と環境保全
③ コーポレート・ガバナンスの強化
④ 情報システム基盤の強化
⑤ 働きがいのある企業風土の醸成
・最終年度/第66期(2024年3月期)の定量目標と前提条件
<定量目標> |
売上高 120,000百万円、営業利益 7,700百万円、営業利益率 6.4% |
|
<前提条件> |
為替 |
:105円/米ドル、125円/ユーロ、15円/人民元 |
|
原油価格(ドバイ) |
:50米ドル/バーレル |
・定性目標
① Deliver with WOW!を意識した取り組みを増やし、顧客満足度の向上をめざす
② SDGsへの取り組みを収益向上だけでなく社会貢献や働きがいに繋げる
③ 戦略的かつ効率的なコーポレート組織をめざす
④ リスクアセスメント等を活用し、休業災害の未然防止をめざす
・設備投資計画
持続的成長の基盤として、単に維持更新するのではなく、自動化、省力・省エネ化など合理化効果の高い設備投資は積極的に行います。3年間で23,500百万円の設備投資を計画しております。1年目の第64期における設備投資額は、6,012百万円でした。
(要約セグメント情報)
(単位:百万円)
事業の種類 |
第64期 実績 |
第66期 中期計画 |
||
売上高 |
営業利益 |
売上高 |
営業利益 |
|
押出事業 |
39,076 |
2,782 |
41,800 |
2,800 |
ビーズ事業 |
68,513 |
2,620 |
72,400 |
6,000 |
その他 |
6,536 |
212 |
5,800 |
100 |
計 |
114,125 |
5,615 |
120,000 |
8,900 |
調整額 |
- |
△1,026 |
- |
△1,200 |
合計 |
114,125 |
4,589 |
120,000 |
7,700 |
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
前中期経営計画の基本方針である「成長戦略の推進」、「差異化戦略の推進」、「経営基盤の強化」は道半ばであり、現中期経営計画では、従来の基本方針を継続するとともに、循環性の高いビジネスモデルへのシフトと組織の活性化・効率化の推進を「変革戦略」として定義し、中期経営計画の目標達成を目指しております。
① 「成長戦略の推進」における課題
長期ビジョンで掲げた当社グループの進むべき事業領域、①自動車部品分野、②建築住宅断熱材分野、③フラットパネルディスプレイ関連保護材分野、④新たな事業領域(新規事業創出及びM&A)の4つの成長エンジンについて、レビューします。
・「自動車部品」分野については、コロナ禍の影響や半導体等の部品供給不足の影響により、自動車生産台数の回復が遅れていることから、ピーブロック/ARPROの販売数量の成長が鈍化しております。従来にも増して、省エネやリサイクル要求に対応した次世代製品の市場への投入が期待されており、電気自動車に要求される部材の供給や自動車部品等の輸送に使われる通い函など、幅広く用途展開することが今後の成長における課題です。
・「建築住宅断熱材」分野については、半導体等の部品供給不足の影響により住設機器の納入遅延が発生するなど、住宅着工件数に大きく影響したため、「ミラフォーム」の需要が低下しました。一方で、住宅や建築物に対して省エネ要求が高まっていますので、「ミラフォームラムダ」といった差異化製品や割付断裁品の拡販を目指しています。また、リフォーム分野への深耕を推進するとともに、デジタル化などによる業務効率改善、コスト削減が課題であります。
・「フラットパネルディスプレイ関連保護材」については、LCDや有機ELパネル、パソコンなどの需要が想定以上に増加したため、中期経営計画における目標を1年目で達成できました。BCP対応も含めた次世代生産体制の構築により安定供給を図ること、また自動車、住宅、医療、電子部品関連分野への新規需要開拓により、更なる成長に繋げることが課題です。
・「新たな事業領域」については、射出成形事業への進出を決定し、GHEPI社に35%出資しました。当社グループの発泡技術と新しい射出技術の複合化により、技術的優位性を構築することが課題であり、さらなる市場の拡大を目指します。また、既存の新規事業案件やM&A案件の選別を行い、有望テーマについては事業化を推進していきたいと考えております。
② 「収益性改善」及び「差異化戦略の推進」における課題
・2022年3月期は、原油高が急激に進み、主原料だけでなく副原料、用役費用、物流コストなどの変動費が大幅に上昇しました。また、欧米では物価高騰や人手不足を背景として、労務費は上昇傾向にあります。製品価格の改定を進めていますが、コスト上昇に対し追い付いていない状況です。主原料だけでなく、その他コストも含めた価格改定を積極的に行う事が課題です。長期的には、原料市況や為替などの外部環境の変化に強いバランスのとれた高収益型企業への転換が重要課題です。
③ 「経営基盤の強化」における課題
・コロナ禍が契機となり在宅勤務体制への移行に対応し、デジタル化が進みました。事務業務の効率化だけでなく、生産工程における自動化や省力化においてもデジタル化が必要であり、セキュリティ強化の側面も含め「情報システム基盤の強化」が重要課題です。
・海洋プラスチック問題やパリ協定、ESG課題への注目を背景として、プラスチックリサイクル、他素材への転換、脱プラスチックなどの動きが活発化しており、今後さらに資源循環を追求する動きが加速すると想定しており、メーカーとしての社会的責任も高まっています。これらの動きに対し、当社グループは顧客や社会の課題解決に向けて取り組むべきと認識しており、SDGsへの取り組みなどによる「働きがいのある企業風土の醸成」を重要課題と捉えております。
④ 「変革戦略」における課題
・現中期経営計画では、従来の基本方針を継続する一方で、どのように差異化するのか、成長するのか見直す必要があります。「変革戦略」のひとつとして循環性の高いビジネスモデルを意識した取り組みを進めます。また、SDGsへの取り組みを通じて、新たな事業創出や事業基盤の強化を図ります。
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