業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度(2021年1~12月)の我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が長期化した影響により社会経済活動は大きく制限され、厳しい経営環境が続きました。

このような状況の中、マスク関連事業においては、産業用マスクに需要回復の遅れが見られましたが、新型コロナウイルス感染症の感染者数の増加に伴い、医療機関向け感染対策用マスクの受注は期初計画を上回りました。その他事業においては、オープンクリーンシステム「KOACH」で行ったオンライン形式の個別営業が奏功し、売上増に大きく寄与しました。

これらの結果、売上高は102億3百万円(前連結会計年度比0.5%増)となり、二期連続で過去最高額を更新しました。

一方利益については、原材料価格の値上がりを主因とする原価率の上昇の影響によって、営業利益9億45百万円(同16.5%減)、経常利益9億22百万円(同16.0%減)となり、前連結会計年度実績を下回りました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益については、マスク新製造設備に対する政府補助金を特別利益に計上したことにより、前連結会計年度実績を上回る8億62百万円(同2.9%増)となりました。

セグメント別の業績の概要は以下の通りです。

 

(マスク関連事業)

感染症対策用N95マスク「ハイラック350型」は、新型コロナウイルス感染症の第4波及び第5波の感染拡大により医療機関の継続使用・指定購入による需要が引き続き高く推移したことに対し、増設した製造設備をフル活用して前連結会計年度を上回る製造・出荷数量で対応いたしました。

一方、産業用マスクの受注は、期後半からは前連結会計年度実績を上回る傾向を示したものの、上期の落ち込みの影響が大きく、前連結会計年度に対しては減収という結果でした。

これらにより、当事業の売上高は89億80百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。

 

(その他事業/環境関連事業等を含む)

オープンクリーンシステム「KOACH」の販売は、当社の環境テクニカルサイト・KOACHショールームと製品品質を確かめたいお客様をネットでつなぎ、実機によるデモンストレーションをライブ中継するオンライン説明会を全営業所で積極展開したことが製品評価につながり、成約数・成約率は共に向上しました。中でも大型機種のフロアーコーチが、幅広い分野・業種での採用が拡大し、通期に亘り順調に売上を伸ばしました。この結果、コロナ禍の制限が続く中でしたが、販売台数、売上高は過去最高となりました。

自動ブラッシング機能付き内視鏡洗浄消毒装置「鏡内侍ⅡG」については、対面営業の機会確保が当連結会計年度においても難しく、売上高は前連結会計年度並みに留まりましたが、「KOACH」の売上増によって当事業全体としての売上高は、12億23百万円(前連結会計年度比21.9%増)となり、三期ぶりに過去最高額を更新しました。

 

②財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は、196億円(前連結会計年度末190億4百万円)となり5億95百万円増加いたしました。これは主に、流動資産が現金及び預金の増加等により11億28百万円増加したことと、有形固定資産が建物及び構築物の減少等により5億円減少したこと等によるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は、84億87百万円(前連結会計年度末85億38百万円)となり51百万円減少いたしました。これは主に、流動負債が未払法人税等及び買掛金の減少等により2億17百万円減少したことと、固定負債が長期借入金の増加等により1億65百万円増加したこと等によるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、111億13百万円(前連結会計年度末104億65百万円)となり、自己資本比率は56.7%(前連結会計年度末55.1%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、21億87百万円となり、前連結会計年度末と比較して6億22百万円増加いたしました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は6億55百万円(前連結会計年度は13億73百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が11億76百万円となったことと、減価償却費6億66百万円、売上債権の増加額7億円、たな卸資産の減少額1億99百万円、設備投資に対する補助金収入2億60百万円、法人税等の支払額3億64百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は1億47百万円(前連結会計年度は6億6百万円の支出)となりました。これは主に、設備投資に対する補助金の受取額2億60百万円、有形固定資産の取得による支出2億38百万円、有形固定資産の売却による収入1億39百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は1億76百万円(前連結会計年度は6億80百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入14億円、長期借入金の返済による支出11億72百万円、配当金の支払額2億26百万円等によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比

(%)

マスク関連事業(千円)

8,898,108

98.2

その他事業(千円)

1,187,415

117.9

合計(千円)

10,085,523

100.2

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループは見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比

(%)

マスク関連事業(千円)

8,980,293

98.2

その他事業(千円)

1,223,026

121.9

合計(千円)

10,203,319

100.5

 (注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ミドリ安全用品㈱

1,217,895

12.0

1,121,163

11.0

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

当連結会計年度は、売上高102億3百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業利益9億45百万円(同16.5%減)、経常利益9億22百万円(同16.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益8億62百万円(同2.9%増)となりました。

 

a.売上高

売上高は、前連結会計年度比0.5%増の102億3百万円となりました。売上高の詳細については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載の通りです。

 

b.売上原価

売上原価は、原材料価格の値上がりを主因とする原価率の上昇の影響によって、前連結会計年度比5.6%増の55億56百万円、売上原価率は54.5%となり、前連結会計年度の売上原価率51.8%に比べ2.7ポイント上昇しました。

 

c.販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、連結営業利益の減少に伴う賞与引当金繰入額の引き下げを主因として、前連結会計年度比1.5%減の37億1百万円、売上高販管費率は36.3%となり、前連結会計年度の売上高販管費率37.0%に比べ、0.7ポイント低下しました。

 

d.営業利益

営業利益は、9億45百万円となり、前連結会計年度に比べ1億87百万円の減益となり、売上高営業利益率は9.3%となりました。前連結会計年度の売上高営業利益率11.2%に比べ1.9ポイント低下しました。

 

e.営業外損益

営業外収益は、48百万円となり、前連結会計年度に比べ5百万円増加いたしました。

営業外費用は、72百万円となり、前連結会計年度に比べ6百万円減少いたしました。

f.経常利益

経常利益は、9億22百万円となり、前連結会計年度に比べ1億75百万円の減益となりました。

 

g.特別損益

特別利益は、2億61百万円となりました。これは主に、マスク新製造設備に対する政府補助金収入2億60百万円によるもので、前連結会計年度に比べ2億61百万円増加いたしました。

特別損失は、7百万円となりました。これは主に、土地を売却したことによる売却損失7百万円によるもので、前連結会計年度に比べ41百万円減少いたしました。

 

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は8億62百万円となり、前連結会計年度に比べ24百万円の増益となりました。

 

(財政状態の分析)

a.総資産

総資産は、前連結会計年度に比べ5億95百万円増加し、196億円となりました。

 

b.流動資産

 流動資産は、前連結会計年度に比べ11億28百万円増加し、79億88百万円となりました。これは主に、現金及び預金が6億22百万円増加したこと、電子記録債権が4億12百万円増加したこと、並びに受取手形及び売掛金が2億87百万円増加したこと等によるものです。

 

c.固定資産

 固定資産は、前連結会計年度に比べ5億32百万円減少し、116億11百万円となりました。これは主に、建物及び構築物が1億78百万円減少したことと、設置した製造設備の稼働により建設仮勘定が1億34百万円減少したこと等によるものです。

 

d.負債

流動負債は、前連結会計年度に比べ2億17百万円減少し、41億8百万円となりました。これは主に、未払法人税等が86百万円減少したこと、買掛金が60百万円減少したこと、並びに未払金が56百万円減少したこと等によるものです。

固定負債は、前連結会計年度に比べ1億65百万円増加し、43億78百万円となりました。これは主に、長期借入金が1億66百万円増加したこと等によるものです。

 

e.純資産

 純資産合計は、前連結会計年度に比べ6億47百万円増加し、111億13百万円となりました。これは主に、利益剰余金合計が6億35百万円増加したこと等によるものです。

 

この結果、自己資本比率は、前連結会計年度の55.1%から56.7%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況分析

営業活動によるキャッシュ・フロー:前連結会計年度に比べ7億17百万円減少し、6億55百万円の収入となりました。前連結会計年度との差額は主に、債権流動化の減少により売上債権が7億12百万円増加したこと、たな卸資産が6億5百万円減少したこと、賞与引当金が2億18百万円減少したこと等によるものです。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー:前連結会計年度に比べ7億53百万円増加し、1億47百万円の収入となりました。前連結会計年度との差額は主に、有形固定資産の取得による支出が4億25百万円減少したこと、設備投資に対する補助金の受取額2億60百万円等によるものです。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー:前連結会計年度に比べ5億3百万円減少し、1億76百万円の支出となりました。前連結会計年度との差額は主に、長期借入れによる収入が1億円増加したこと、長期借入金の返済による支出が6億25百万円減少したこと等によるものです。

 

b.資金需要

運転資金需要のうち主なものは、原材料及び貯蔵品の購入のほか、製造費、営業費用及び法人税等の支払等であります。投資の目的とした資金需要の主なものは、機械設備及び工具器具備品等の購入などの設備投資です。

 

c.財務政策

当社グループは、通常の事業活動に必要な流動性を確保しつつ、機動的な設備投資を実施する為の資金需要にも対応できる資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

運転資金及び設備投資資金については自己資金のほか必要に応じて金融機関からの借入により調達しております。

当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は61億29百万円、現金及び現金同等物の残高は21億87百万円であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りです。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。

 

(4)経営戦略の現状及び見通し

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りです。

 

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