(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、日本国内においてもワクチン接種等の政策によって、経済活動の持ち直しに向けた期待感が持たれたものの、変異株の感染再拡大による内外経済への下振れリスクを抱えた状況で推移しております。また、コンテナ不足や輸送コストの上昇といった世界的な物流の混乱が長期化することも懸念され、依然として先行きの見通せない状況が続いております。
当社グループが属しております筆記具業界におきましては、国内市場では、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の長期化によって、イベント向けのノベルティとしての利用の減少や、インバウンド需要の低迷が続いております。一方、世界的にワクチン接種が進展したことに伴い、海外市場を中心に需要回復の基調が見られました。また、自宅での時間が増えたことで、生活をより充実させるためのアート&クラフトといった需要も定着しつつあります。さらに、インターネットの普及は流通に変化をもたらし、お客様の消費行動を変容させました。加えて、地球環境への関心の高まりから、お客様の消費に対する価値観が変わりつつあり、こうした市場の変化に迅速に対応していかなければ、厳しい市場競争から脱落しかねない状況が続いております。
このような経営環境の中、当社グループでは、従業員及びお取引先様の安全確保と事業継続の両立を念頭におきながら、年間を通して新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて勤務体制や行動様式を工夫しつつ、「最高の品質こそ 最大のサービス」という社是のもと、お客様が潜在的に抱えるニーズの具現化や社会環境に適応した商品を提供し、お客様の「書く、描く」行為に喜びや驚きといった彩りを添えることができる商品開発に継続して取り組んでまいりました。
当社では、海洋汚染の要因の一つとして排出量の削減が求められているプラスチックの代替材料として紙をチューブの主原料としたボールペンのリフィルの開発に世界で初めて成功しました。このリフィルでは使用するプラスチックを従来品から約88%減らすことができました。また、当社は使い終わった鉛筆を棒状肥料やバイオマス発電として再利用する「鉛筆の資源循環システム」の実証実験を他社と協業し実施しており、再利用しやすい鉛筆として国産ヒノキ材から『フォレストサポーター鉛筆』を開発いたしました。そして、「クセになる、なめらかな書き味。」世界販売本数が年間1億本以上の「ジェットストリーム」シリーズから『JETSTREAM(ジェットストリーム)新3色ボールペン』を発売し、同時に、インク容量を約70%増量した『長持ちリフィル』を発売いたしました。リフィルのチューブを薄くすることで当社通常品(SXR-80)と同じ形状で互換性を保ったままインク量を増加するとともに、プラスチック使用量も通常品に比べ約30%減量し、パッケージも紙製のものを採用しました。このように社会が求める市場環境の変化に応じた新製品やサービスの提供に努めてまいりました。
これらの活動の結果、当連結会計年度における売上高は61,894百万円(対前年同期比12.2%増)、営業利益は7,520百万円(対前年同期比36.9%増)、経常利益は8,309百万円(対前年同期比38.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,658百万円(対前年同期比49.1%増)となりました。
セグメント別の業績を概観いたしますと、筆記具及び筆記具周辺商品事業におきましては、海外市場での売上の回復基調が底堅く継続し、業績を牽引いたしました。それにより、外部顧客への売上高は59,628百万円(対前年同期比12.8%増)となりました。粘着テープ事業、手工芸品事業といったその他の事業におきましては、事業を取り巻く市場環境は依然として厳しく、外部顧客への売上高は2,265百万円(対前年同期比2.3%減)となりました。
なお、上記の金額には消費税等は含まれておりません。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて2,420百万円増加し、44,498百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、主に税金等調整前当期純利益8,095百万円、減価償却費2,501百万円、仕入債務の増加額1,928百万円に対し、売上債権の増加額885百万円、たな卸資産の増加額1,826百万円、法人税等の支払額1,427百万円により、合計で8,369百万円(前年同期比3,633百万円の収入の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、主に固定資産の取得による支出3,965百万円、投資有価証券の取得による支出503百万円に対し、投資有価証券の売却による収入375百万円により、合計で3,936百万円(前年同期比619百万円の支出の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、主に配当金の支払額1,757百万円、長期借入金の返済による支出720百万円、自己株式取得による支出177百万円により、合計で2,754百万円(前年同期比1,159百万円の支出の減少)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
筆記具及び筆記具周辺商品事業 |
(百万円) |
46,713 |
122.4 |
その他の事業 |
(百万円) |
722 |
110.2 |
合計 |
(百万円) |
47,436 |
122.2 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額は、販売価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社。以下同じ)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
筆記具及び筆記具周辺商品事業 |
(百万円) |
59,628 |
112.8 |
その他の事業 |
(百万円) |
2,265 |
97.7 |
合計 |
(百万円) |
61,894 |
112.2 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
・ 売上高
国内市場では、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛の長期化によって、イベント向けのノベルティとしての利用の減少や、インバウンド需要の低迷が続きました。一方、世界的にワクチン接種が進展したことに伴い、海外市場を中心に需要回復の基調が見られました。その結果、売上高は前連結会計年度に比べて6,713百万円増加し61,894百万円(前年同期比12.2%増)となりました。
・ 営業利益
世界的な物流の混乱による物流費の高騰はあったものの、売上高の増加に伴い販売差益額が大幅に増加したことにより、営業利益は前連結会計年度に比べて2,027百万円増加し7,520百万円(前年同期比36.9%増)となりました。
・ 経常利益
助成金収入が減少したものの、主に為替差益の増加により経常利益は前連結会計年度に比べて2,320百万円増加し8,309百万円(前年同期比38.8%増)となりました。
・ 税金等調整前当期純利益
主に固定資産売却益、投資有価証券売却益による特別利益381百万円に対し、主に減損損失、工場再編損失での特別損失594百万円により税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて2,483百万円増加の8,095百万円(前年同期比44.3%増)となりました。
・ 親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益が前連結会計年度に比べて2,483百万円増加し、非支配株主に帰属する当期純利益が87百万円増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度から1,863百万円増加し5,658百万円(前年同期比49.1%増)となりました。
・ 資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の資産、負債、純資産の状況は次のとおりであります。
資産は、主に現金及び預金、受取手形及び売掛金、たな卸資産、建物及び構築物や投資有価証券が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて8,910百万円増加し123,792百万円となりました。
負債は、主に長期借入金が減少したものの、支払手形及び買掛金や未払法人税等が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて3,092百万円増加し26,119百万円となりました。
純資産は、自己株式が増加したものの、主に利益剰余金や為替換算調整勘定が増加したことにより、前連結会計年度末に比べて5,817百万円増加し97,673百万円となりました。
・ キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性に係る分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に筆記具及び筆記具周辺商品事業に係る設備投資、余剰資金運用の為の有価証券購入等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関等からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関等からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,849百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は44,498百万円となっております。
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