課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、1887年(明治20年)の創業以来、「最高の品質こそ 最大のサービス」を社是として、「書く、描く」ことにこだわり、品質向上と技術革新に努め、お客様にご満足いただける「もの」づくりに取り組んでまいりました。

 当社の事業は、創業者である眞崎仁六が日本にも鉛筆を普及させたいと願い、「はさみ鉛筆」を一本ずつ販売することから始まりました。その後、海外製品にも負けない鉛筆をつくりたいと考え、1958年に最高品質の鉛筆「ユニ」が生まれました。そして現在、当社の筆記具は、日本だけでなく世界100ヵ国以上のお客様にご愛顧いただいております。また、当社の筆記具は、いつの時代も幅広い年齢層の方々にとって身近な存在としてあり続け、お客様の日常と生活に寄り添ってまいりました。

 しかし、この度、社会におけるあらゆる変化の波が押し寄せ、将来の予測が困難な時代において、改めて立ち止まり、当社がこれまでの事業活動のなかでお客様に対してお届けしてきた提供価値を問い直し、再定義するに至りました。当社が筆記具という製品を介してお届けしてきた提供価値とは、「書く、描く」ことによって、お客様ひとりひとりが生まれながらに持つ個性や才能をかたちにすることであり、またそういった活動を支えることであると考えております。

 そして、創業から積み重ねてきたお客様への提供価値を起点として、筆記するための道具をつくる「筆記具メーカー」から、お客様それぞれが持つユニークを表現する喜びをお届けする「表現革新カンパニー」へと生まれ変わることを決意いたしました。「生まれながらにすべての人がユニークである」という信念に基づき、「書く、描く」ことを通じて、世界中のあらゆる人々の生まれながらに持つ個性と創造性を解き放つというお客様への提供価値を具現化してまいりたいと考えております。

 筆記具には、お客様ひとりひとりのユニークを引き出し、高め、彩り、共感しあえるものへと変える力があります。当社は、創業から取り組んできた筆記具事業でお客様にお届けしてきた提供価値と真摯に向き合い、性別、文化、障がいを始めとするひとりひとりが生まれ持った様々な違いを可能性に変えることで、豊かな表現や新たなつながりを生み出すことにより、違いを美しさととらえ、新たな技術で世界を彩ることに尽力してまいります。そういった活動を通じて、より一層のお客様の信頼をいただき、時間を超えてお客様にご愛顧いただける商品をご提供すべく、引き続き一層努力してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、お客様お一人おひとりに支えられ、1887年(明治20年)の創業より135年にわたり、当社グループの考える「書く、描く」ということを、商品というかたちにしてご提案してまいりました。この永きにわたるお客様からの信頼にお応えするべく、収益性及び安全性に関する経営指標を総合的に勘案し、長期的な企業価値の向上を目標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、創業150年である2036年に向けて当社の提供価値を見つめ直し、実現したい将来の「ありたい姿(長期ビジョン)」、そこへ向かうためのパーパス・事業ドメインを含んだ「コーポレートブランドコンセプト(企業理念)」を策定いたしました。

 グループ全体のありたい姿(長期ビジョン)は、「生まれながらにすべての人がユニークである」という信念のもと、「書く、描く」を通じて、世界中あらゆる人々の個性と創造性を解き放つ「世界一の表現革新カンパニー」となることといたしました。

 また、コーポレートブランドコンセプト(企業理念)は、「違いが、美しい。」といたしました。筆記具には、人それぞれのユニークを引き出し、高め、彩り、共感しあえるものへと変える力があります。当社グループは、新たな技術と常に向き合い、性別、文化、障がい、人が生まれ持ったさまざまな違いを可能性に変え、豊かな表現や新しいつながりを生み出していきたいと考えております。さらに、違いを美しさと捉え、これまでも、そしてこれからも、新たな技術で一人ひとりのユニークを輝かせ、世界を彩りたいと考えております。

 この長期ビジョンやコーポレートブランドコンセプトを踏まえて、これからの激しい環境の変化にも臆せず新しいことにチャレンジし、更に成長していくために、「uni re-design」を基本方針とした2022年から2024年までの中期経営計画を策定し、本年(2022年)より取り組んでまいります。なお、中期経営計画の基本方針に基づいた重点方針と財務目標は以下の通りです。詳細につきましては、2022年2月17日に開示いたしました『「ありたい姿 2036(長期ビジョン)」「中期経営計画 2022-2024」の策定に関するお知らせ』をご参照ください。

 

〔中期経営計画〕

①筆記具事業のグローバル化

これまで日本起点で行ってきた筆記具事業をグローバル発想に転換いたします。ユニークな筆記具をより多くの方にご利用いただき、世界中の人々の“ユニークさ”を表現する事に貢献します。

②新規事業をグロースステージへ

これまで筆記具という製品や技術を中心にとらえてきた事業を、新たに「書く、描く」というお客様への提供価値を起点にとらえ直し、これらの提供価値を具現化することのできる新規事業の創造を目指します。そして、筆記具事業と新規事業を組み合わせることにより、「書く、描く」ことを通じた様々な表現体験そのものを創造し、これまでにない顧客体験を提供いたします。

③サステナブルな体制構築

企業の成長のみならず、自然環境・社会との共生を図り、持続的な成長を目指します。これからも、表現を楽しみ続けられる自由でボーダレスな社会の実現に貢献します。

(2024年財務目標)

 売上高  :710億円

 営業利益 :116億円

 営業利益率:16.3%

 

(4)経営環境

 当社グループを取り巻く筆記具の市場環境は、人口減少と少子高齢化に伴う需要の縮小という構造的問題を抱える国内市場に加え、欧米諸国はすでに成熟した市場となりつつあります。一方、アジアを始めとする新興諸国においては、経済発展に伴う中間所得層の増加を背景に、高品質かつ高機能な筆記具への需要が高まりを見せております。

 また、デジタル技術の飛躍的な進化と新型コロナウイルス感染症の流行による生活様式の変化によって、筆記具の用途や使用場面は多様化し、お客様が筆記具に求める役割は変わろうとしています。加えて、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた外出規制がインターネットを通じた流通のさらなる普及を後押したことで、お客様の消費行動を変容させるとともに、加速度的にグローバル化を進展させつつあり、こうした市場環境の変化に迅速に対応していくことが求められています。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、1887年(明治20年)の創業以来、「最高の品質こそ 最大のサービス」という社是のもと、高品質で付加価値の高い筆記具をお届けすることによって、より多くのお客様に喜んでいただくことが使命であると考え、筆記具事業を中心に活動してまいりました。

 当社グループを取り巻く筆記具の市場環境は、近年におけるテクノロジーの飛躍的な進化によって、多数の製品やサービスが生み出され、筆記具の代替となる表現手段が幅広く出現してまいりました。さらに、インターネットの普及は加速度的にグローバル化を推し進め、お客様の消費行動を変化させております。一方、地球環境という共通の資源に対する関心の高まりは、お客様の消費に対する価値観を変えつつあります。

 このような市場環境のなか、当社グループは、改めて創業から積み重ねてきたお客様への提供価値に立ち返り、再定義するに至りました。当社グループが筆記具という製品を介してお届けしてきた提供価値とは、「書く、描く」ことによって、お客様ひとりひとりが生まれながらに持つ個性や才能をかたちにすることであり、またそういった活動を支えることであると考えております。そして、当社グループが今後さらなる発展を遂げるためには、このような提供価値を起点として、新たな市場の開拓とさらなる価値の創出を通じた売上と利益を伴うシェア拡大が必要であり、また筆記具事業と新規事業を組み合わせることによって、お客様への提供価値をさらに高めることが不可欠であると考えております。そのためには、企業の成長のみならず、自然環境や社会との共生を前提としたサステナブルな体制を構築していくことが重要であると考えております。

 これらの取り組みを通じて、当社グループに関係される多くのステークホルダーの方々との間で信頼関係を築き、持続した成長を実現できる当社グループを目指してまいります。

 

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