業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況の分析

当連結会計年度における世界経済環境は、ワクチン接種の広まりとともに経済活動は回復傾向にあります。しかしながら、海上輸送におけるコンテナ不足、半導体を中心とした電子部品の不足などサプライチェーン問題の長期化に加えて、インフレ圧力の高まりから多くの国では政策金利の利上げを実施、更には、ロシアのウクライナ侵攻など、景気の先行き不安が急激に高まっております。地域別に見ますと、米国経済は、感染縮小により経済活動は改善傾向にありますが、コンテナ不足や物流混乱の問題は解消されず、不透明な状況です。欧州においては、ウクライナ情勢の影響を受け、エネルギー資源の高騰、部品サプライヤーの納期遅延などによる製造業の生産減少、物価高などによる景気悪化が懸念されます。中国は、ゼロコロナ政策に伴い一部の地域で外出制限や操業停止など厳しい活動制限が継続されている影響などにより景気減速が拡大しています。国内経済においては、活動制限の緩和を受け企業収益に回復の兆しは見えるものの、サプライチェーンの停滞による部品不足から、製造業の生産活動の減速、急速に進む円安やウクライナ侵攻の影響による物価上昇リスクが懸念されています。

 

このような状況の中、当社グループは、開製販の革新による収益性の改善、適正在庫運営、保有資産の圧縮、固定費の抜本的見直しなどキャッシュ・フローを重視した施策を推進してまいりました。さらにコロナ禍の長期化をにらみ、働き方改革に取り組むとともに、インターネットを活用した営業活動など、新常態下での新しい経営の姿を模索してまいりました。

大判インクジェットプリンタ事業においては、2020年11月に市場投入した当社初の自社開発RIPソフトウェア『VerteLith™』 が、この1月に、欧州の印刷専門誌により構成されるEDP協会(European Digital Press Association)から部門毎に最高の評価を得たデジタル印刷関連の製品・技術に対して贈られる「EDP Award 2021」をワークフローテクノロジー部門において受賞いたしました。テキスト・画像処理における高いパフォーマンスに加えて、ユーザーのワークフロー全体を簡素化・効率化する機能の充実が評価され、他の専業及び老舗ベンダーのRIPを抑えての受賞であり、これを機に今後とも、ハードウェアのみならず、ソフトウェアによる差別化・付加価値創出に注力してまいります。

また、新ヘッド搭載のエコソル機2種(XpertJet 1341SR Pro、XpertJet 1641SR Pro)を2021年9月より順次世界市場に投入し、高画質・高スピードでコストパフォーマンスに優れたモデルとして高い評価をいただいております。

設計計測機器事業並びに3Dプリンタ事業においては、両事業間の新たな連携により、CADから3D出力までのトータルサービスを提供する「教育機関向けMUTOHパッケージ」を商品化、国内におけるデジタル化教育のニーズに応えるソリューションとして販売展開しております。また当期より両事業の主力製品の製造を外部委託先から自社の諏訪工場(長野県)に集約し、大判インクジェットプリンタを含む品質・生産管理や調達の一元化・生産の平準化により、品質の向上、コストの削減に向け改革を推進中です。

 

以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

①財政状態の状況の分析

(資産)

当連結会計年度末における資産は266億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億51百万円の増加となりました。

流動資産は162億96百万円となり、9億60百万円の増加となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加4億74百万円、棚卸資産の増加5億13百万円等であります。

固定資産は103億77百万円となり、4億91百万円の増加となりました。その主な要因は、建物及び構築物の減少61百万円、土地の減少77百万円、投資有価証券の増加6億7百万円等であります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は54億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億76百万円の増加となりました。

流動負債は38億97百万円となり、3億43百万円の増加となりました。その主な要因は、支払手形及び買掛金の減少1億42百万円、電子記録債務の増加1億6百万円、未払金の増加41百万円、未払法人税等の増加1億57百万円、製品保証引当金の増加20百万円、その他の流動負債の増加1億57百万円等であります。

固定負債は15億33百万円となり、1億32百万円の増加となりました。その主な要因は、退職給付に係る負債の減少35百万円、繰延税金負債の増加1億64百万円等であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は212億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億75百万円の増加となりました。その主な要因は、配当金の支払い1億36百万円と親会社株主に帰属する当期純利益7億73百万円の計上による利益剰余金の増加6億37百万円、その他有価証券評価差額金の減少1億10百万円、為替換算調整勘定の増加3億15百万円、退職給付に係る調整累計額の増加93百万円、非支配株主持分の増加31百万円等であります。

 

 

②経営成績の状況の分析

当連結会計年度の業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた前年同期からは大幅に回復し、売上高は158億48百万円(前年同期比12.0%増)となりました。営業損益は、継続的に、収益性の改善、適正在庫運営、保有資産の圧縮、不要不急の経費支出の抑制に取り組み、5億41百万円の利益(前年同期は5億64百万円の損失)となりました。経常損益は、営業利益の回復に加え、受取配当金、持分法による投資利益の増加により7億43百万円の利益(前年同期は2億91百万円の損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に固定資産売却益6億79百万円、投資有価証券売却益66百万円の計上、特別損失に減損損失2億46百万円の計上、法人税等及び法人税等調整額の合計3億62百万円の計上などにより、7億73百万円の利益(前年同期は12億円の損失)となりました。

 

(売上高)

当連結会計年度の売上高は158億48百万円(前連結会計年度141億51百万円)で16億96百万円の増収となりました。

世界的な経済活動の回復傾向と為替の円安効果により、売上高は前年を上回る結果となりました。

セグメントの売上高の推移

 

 

情報画像関連機器

情報

サービス

(百万円)

設計計測

機器

(百万円)

不動産賃貸

(百万円)

報告

セグメント計

(百万円)

その他

(百万円)

(百万円)

アジア

(百万円)

北アメリカ

(百万円)

ヨーロッパ

(百万円)

第72期

3,895

2,580

3,654

2,267

1,326

180

13,904

246

14,151

第73期

3,894

3,089

4,910

2,221

1,294

201

15,612

235

15,848

 

(営業費用)

当連結会計年度の売上原価は103億47百万円(前連結会計年度98億73百万円)で4億74百万円の増加となり、売上原価率は、製品販売価格下落の影響を受けながらも売上高の増加と工場稼働率の回復により前連結会計年度から4.5%改善し、65.3%となりました。販売費及び一般管理費は、販売活動の回復に伴う販売費の増加を一般管理費の継続的な抑制と開発資源の選択と集中による効率化等により、49億58百万円(前連結会計年度48億42百万円)で1億16百万円の増加となりました。

 

(営業外損益)

当連結会計年度の営業外収益は2億76百万円(前連結会計年度2億84百万円)で8百万円の減少、営業外費用は75百万円(前連結会計年度12百万円)で63百万円の増加となりました。主な要因は、持分法による投資利益の増加と為替差損益の増減によるものであります。

 

(特別損益)

当連結会計年度の特別利益は固定資産売却益の計上等により7億46百万円(前連結会計年度52百万円)で6億93百万円の増加、特別損失は減損損失の計上等により2億74百万円(前連結会計年度8億33百万円)で5億59百万円の減少となりました。特別損失の主な減少要因は、減損損失計上額の減少4億85百万円および前期は特別退職金78百万円の計上があったことなどになります。

 

セグメントごとの経営成績の状況の分析は次のとおりであります。

(情報画像関連機器事業(アジア・北アメリカ・ヨーロッパ))

当連結会計年度の経営成績は、売上高118億94百万円(前年同期比17.4%増)、セグメント利益2億25百万円(前年同期は6億59百万円の損失)となり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けた前年同期からは大幅に回復しておりますが、海上輸送を主とした物流コストの上昇、原材料高騰・部材供給課題が収益に影響を及ぼしております。

地域別には、アジア地域は売上高38億94百万円(前年同期比0.0%減)、セグメント利益2億44百万円(前年同期は4億99百万円の損失)、北アメリカ地域は売上高30億89百万円(前年同期比19.7%増)、セグメント損失9百万円(前年同期は28百万円の利益)、ヨーロッパ地域は売上高49億10百万円(前年同期比34.4%増)、セグメント損失10百万円(前年同期は1億87百万円の損失)となりました。

 

 

(情報サービス事業)

当連結会計年度の経営成績は、販売は微減となりましたが収益性の改善により大幅増益となり、売上高22億21百万円(前年同期比2.0%減)、セグメント利益2億56百万円(前年同期比69.9%増)となりました。

 

(設計計測機器事業)

当連結会計年度の経営成績は、減収増益となり売上高12億94百万円(前年同期比2.4%減)、セグメント利益2億43百万円(前年同期比6.7%増)となりました。

 

(不動産賃貸事業)

当連結会計年度の経営成績は、所有不動産の一部を自社利用物件から賃貸物件へ転用したことにより増収となり、売上高2億1百万円(前年同期比11.8%増)、セグメント利益1億78百万円(前年同期比0.2%増)となりました。

 

(その他の事業)

当連結会計年度の経営成績は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により減収となり、売上高2億35百万円(前年同期比4.4%減)、セグメント損失21百万円(前年同期は29百万円の損失)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動によるキャッシュ・フローは6億71百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは1億91百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは2億14百万円の支出となり、また、換算差額による1億44百万円の増加により、87億11百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。

なお、当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、情報画像関連機器事業並びに設計計測機器事業における製商品の製造仕入費用及び研究開発費用、情報サービス事業における外部調達を含めたシステムエンジニア費用、不動産賃貸事業に関わる管理費、修繕費等の費用、各事業についての販売費および一般管理費等があります。また、設備資金需要としては、保有建物設備の改修のための有形固定資産投資、情報処理のための無形固定資産投資等があります。

これらの事業活動の維持拡大に必要な資金の調達は、各事業の営業活動によりまかなっております。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは6億71百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上12億14百万円、減価償却費の計上2億10百万円、減損損失の計上2億46百万円、売上債権の減少2億20百万円、法人税等の還付額1億22百万円等の資金増加要因に対し、固定資産処分損益の計上6億72百万円、棚卸資産の増加3億49百万円、その他の流動資産の増加1億59百万円、法人税等の支払1億61百万円等の資金減少要因によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは1億91百万円の支出となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出20億32百万円、有形固定資産の取得による支出2億33百万円、無形固定資産の取得による支出95百万円、定期預金の増加58百万円等の資金減少要因に対し、有形固定資産の売却による収入7億90百万円、投資有価証券の売却による収入14億20百万円等の資金増加要因によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは2億14百万円の支出となりました。主な要因は、配当金の支払額1億38百万円、非支配株主への配当金の支払額49百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出25百万円等の資金減少要因によります。

 

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を慎重に計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

なお、新型コロナウイルスの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

情報画像関連機器

アジア

7,113

244.2

北アメリカ

ヨーロッパ

666

221.4

情報サービス

1,916

124.7

設計計測機器

881

不動産賃貸

 報告セグメント計

10,577

222.7

その他

0.0

合計

10,577

222.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は販売価格によって表示しております。

 

 

 

②製品の仕入実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

情報画像関連機器

アジア

87

54.9

北アメリカ

182

105.9

ヨーロッパ

情報サービス

116

97.2

設計計測機器

177

34.2

不動産賃貸

 報告セグメント計

563

58.1

その他

合計

563

58.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は販売価格によって表示しております。

 

③商品の仕入実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

情報画像関連機器

アジア

451

68.6

北アメリカ

ヨーロッパ

1,592

146.4

情報サービス

187

96.7

設計計測機器

75

32.0

不動産賃貸

74

100.8

 報告セグメント計

2,380

105.9

その他

178

43.3

合計

2,559

96.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は販売価格によって表示しております。

 

④受注実績

主として需要見込みによる生産方法を採っておりますが、情報画像関連機器事業の一部について受注生産を行っております。なお、数量については、製品種類が多岐にわたり数量表示が困難なため、記載を省略しております。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比(%)

情報画像関連機器(アジア)

116

271.5

3

21.2

 

 

⑤販売実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

情報画像関連機器

アジア

3,894

100.0

北アメリカ

3,089

119.7

ヨーロッパ

4,910

134.4

情報サービス

2,221

98.0

設計計測機器

1,294

97.6

不動産賃貸

201

111.8

 報告セグメント計

15,612

112.3

その他

235

95.6

合計

15,848

112.0

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

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