課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、東京都中央卸売市場に拠点を置く水産物卸売事業を中核として、全国各地や海外から生鮮・冷凍・塩干加工等の各水産物を集荷し販売するとともに冷蔵倉庫事業、不動産賃貸事業、荷役事業を営むグループを形成しております。

 経営の基本理念として、堅実と信用を旨とし、株主、取引先、従業員そして地域社会に信頼され且つ貢献していくことを心掛けております。

 水産物卸売事業におきましては、水産物の生産・加工両面での世界各地における状況や消費ニーズの変化を背景に、常に新しい商品や商材の開発を心掛け、豊富な品揃えに注力し、安全安心な商品の供給を担う卸売会社として責任を果たしてまいります。

 冷蔵倉庫事業におきましては、首都圏における物流基幹各地に9施設を配置し、各種冷凍・冷蔵品の保管配送の拠点として食品物流の効率化に努めます。

 不動産賃貸事業は保有する資産の有効活用を図りグループ企業の財務の健全化の一翼を担い、荷役事業は水産物卸売事業の市場内外での円滑かつ効率的な物流を担ってまいります。

 

(2)経営戦略等

 国内外における生産需給事情の変化に即応しつつ取引先との連携を深め、広汎な情報収集と新商品開発への前向きな取組みによって集荷販売力を強化するとともに、信用力の根幹である財務体質とコンプライアンス体制の強化に努めてまいります。

 また、グループ各社がもつそれぞれの機能を融合し相互に協働する仕組みを構築して、市場内外における水産物流通機能を強固なものとし、激しさ増す競争に勝ち残り続ける企業となることを目指します。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは経営方針に沿った持続的成長を目指しており連結ベースでの売上高、営業利益、経常利益、営業キャッシュ・フロー、売上高営業利益率といった経営指標を掲げております。

 

(4)経営環境

 新型コロナウイルス感染症の影響、ウクライナ情勢、及び為替の状況は、当社グループが取り扱う水産物をはじめとする食品全般の販売環境に影響を与えるものと思われます。

 水産物卸売事業におきましては、天然水産物の漁獲量の減少、ロシアからの鮭鱒・魚卵等の搬入量減、国際的な水産物の需要の高まりによる買付競争の激化、卸売市場外における水産物流通の多様化など、水産物卸売市場を取り巻く環境が大きく変化してきており、柔軟な対応が必要と思われます。

 なお、当期中には、当社保有の東京北魚株式会社の全株式を譲渡して持分法適用の範囲から除外した一方で、子会社である株式会社豊海を連結の範囲に含めました。また、2022年2月28日に決定し実施した連結子会社である株式会社ホウスイの普通株式の公開買付けが成立し、5月23日付で全株式を取得しており、当社グループのガバナンス強化を目指している状況です。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

水産物卸売事業におきましては、高機能化された豊洲市場を活用しながら、当社グループ会社が持つ、冷蔵保管、リテールサポート、荷役、貿易、加工の各機能を最大限に生かし、豊洲市場内外にて主力事業である水産物の集荷拡大と販売業務の改善に注力してまいります。また、当社グループは市場の強みを生かしてEC(電子商取引)にも積極的に取り組んでまいる所存です。なお、2022年4月には豊海流通センターの稼働を開始し、豊洲市場に近接している立地を生かし、効率的に水産物等を配送することが可能となり、グループの更なる業績拡大を目指します。

冷蔵倉庫事業におきましては、首都圏で約218,000トンとなる冷凍・冷蔵保管スペースをより効率的に活用し、グループ各社との連携による集荷、保管、加工、配送のトータル物流サービスを担いつつ、着実な事業の拡充を図ってまいります。

不動産賃貸事業におきましては、資産の効率的運用の観点から引き続き有効活用の検討を進めてまいります。また、老朽化物件の大規模改修や建替、売却等の検討、現有賃貸物件のサービス向上やメンテナンス強化等によって高稼働率を維持してまいります。

荷役事業におきましては、豊洲市場内での新しい物流に対処すべく体制を整え、同市場内外で荷役・配送作業が円滑に行われるよう業務の効率化に向けて合理的な人員配置と経費の節減に取り組む所存であります。

当社グループでは、業務の効率化を目指して2022年4月に水産卸売事業において組織再編を実施するとともに、引き続きコスト削減などの経営改善に取り組む所存です。また、指名報酬委員会による役員人事・報酬の透明化を行い、今後もガバナンス強化に努めてまいります。

 当社グループは、関連事業も含めて卸売市場における公共的使命を担う企業として食の安全・安心の重要性を従来にも増して強く認識し、消費者が安心して食することのできる安全な商品の取り扱いに最大限の努力をしてまいる所存です(2021年2月にはFSSC22000(食品安全マネジメントシステム)の認証を取得しております)。一方で、連結子会社である株式会社ホウスイの株式を全て取得し、水産物におけるサプライチェーンの各機能の連携をより高め、社会の大きな変化にもより迅速に対応できる体制を構築してまいります。また、デジタル化推進による情報連携と品質管理強化により、出荷者との信頼関係を深め、集荷力をより強いものとし、積み上げた強い集荷力を背景として豊富な品揃えと産地情報を活用して販売力も強化してまいります。さらに、業務のデジタル化、一元管理化による業務効率の向上、各グループ会社とのシステム連携の推進、出荷者への業務支援を通じた業務改善により、より早くより深い商品情報を提供することで、販売先へのサービス向上にも努めてまいります。また、引き続き、コンプライアンスの向上、社会規範の順守、債権管理強化等による健全な財務体質の構築、グループ会社を横断した人的資源の相互活用や人材教育の充実にも意を用い、取引先各位に信頼され、社会から必要とされる企業グループとして努力してまいります。

 

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