業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。経営成績及びキャッシュ・フローに関する説明における前年同期との比較、並びに財政状態に関する説明における前連結会計年度末との比較については、当該会計基準等を適用する前の前連結会計年度の数値を用いて比較しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)及び(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績及び財政状態の状況

 当連結会計年度の世界経済につきましては、新型コロナウイルス感染症の蔓延や地政学リスクの高まりによる影響は見られたものの、緩やかに回復しました。

 当社グループが参画しておりますエレクトロニクス産業におきましては、情報通信技術の拡充に伴うデータ社会への移行や脱炭素社会への取り組みを背景に、半導体の重要性が高まっており、今後も半導体製造装置市場はさらなる成長が見込まれております。

 このような状況のもと、当連結会計年度の経営成績の状況は以下のとおりとなりました。

 当連結会計年度の売上高は2兆38億5百万円(前連結会計年度比43.2%増)となりました。国内売上高が2,303億6千8百万円(前連結会計年度比16.6%増)、海外売上高が1兆7,734億3千7百万円(前連結会計年度比47.6%増)となり、連結売上高に占める海外売上高の比率につきましては88.5%となりました。

 売上原価は1兆919億8千3百万円(前連結会計年度比30.9%増)、売上総利益は9,118億2千2百万円(前連結会計年度比61.4%増)となり、売上総利益率は45.5%(前連結会計年度比5.1ポイント増)となりました。

 販売費及び一般管理費は3,125億5千1百万円(前連結会計年度比28.0%増)となり、連結売上高に対する比率は15.6%(前連結会計年度比1.9ポイント減)となりました。

 これらの結果、営業利益は5,992億7千1百万円(前連結会計年度比86.9%増)となり、営業利益率は29.9%(前連結会計年度比7.0ポイント増)となりました。経常利益は、営業外収益59億8千万円、営業外費用35億2千7百万円を加減し6,017億2千4百万円(前連結会計年度比86.8%増)となりました。

 税金等調整前当期純利益は5,966億9千8百万円(前連結会計年度比88.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,370億7千6百万円(前連結会計年度比79.9%増)となりました。

 この結果、1株当たり当期純利益は2,807円84銭(前連結会計年度の1株当たり当期純利益は1,562円20銭)となりました。

 

 当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 なお、セグメント利益は、連結損益計算書の税金等調整前当期純利益に対応しております。

 

・半導体製造装置

 ロジック/ファウンドリ向け半導体に対する設備投資は、社会のデジタル化を背景に、最先端から成熟世代まで広い範囲での投資が堅調に推移しました。また、取り扱われるデータ量も毎年拡大基調にあることから、DRAM及びNANDフラッシュメモリ向け双方の設備投資についても高い投資水準が継続しております。このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は1兆9,438億4千3百万円(前連結会計年度比47.8%増)、セグメント利益は6,674億3千7百万円(前連結会計年度比84.1%増)となりました。

 

・FPD(フラットパネルディスプレイ)製造装置

 テレビ用大型液晶パネル向け設備投資が一巡したことにより、FPD TFTアレイ向け製造装置市場全体としては減速傾向となりました。一方、中小型有機ELパネル向け設備投資については、最終製品に搭載されるディスプレイが液晶から有機ELへと転換されることに伴う投資が継続しました。このような状況のもと、当セグメントの当連結会計年度の売上高は598億3千万円(前連結会計年度比28.6%減)、セグメント利益は38億7千4百万円(前連結会計年度比56.1%減)となりました。

 

・その他

 当セグメントの当連結会計年度における売上高は281億3千2百万円(前連結会計年度比27.4%増)、セグメント利益は6億9千8百万円(前連結会計年度比30.6%増)となりました。

 

また、当連結会計年度末の財政状態の状況は以下のとおりとなりました。

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ3,930億6百万円増加し、1兆4,087億3百万円となりました。主な内容は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加2,422億4千7百万円、現金及び預金の増加877億3千5百万円、棚卸資産の増加585億円によるものであります。

有形固定資産は、前連結会計年度末から261億1千万円増加し、2,230億7千8百万円となりました。

無形固定資産は、前連結会計年度末から53億7千6百万円増加し、225億4千万円となりました。

投資その他の資産は、前連結会計年度末から445億9千9百万円増加し、2,401億3千5百万円となりました。

これらの結果、総資産は、前連結会計年度末から4,690億9千3百万円増加し、1兆8,944億5千7百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,409億1千7百万円増加し、4,685億7千8百万円となりました。主として、未払法人税等の増加579億2千万円、支払手形及び買掛金の増加303億1百万円、前受金の増加208億3千2百万円によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ56億8千9百万円増加し、788億2千9百万円となりました。

純資産は、前連結会計年度末に比べ3,224億8千5百万円増加し、1兆3,470億4千8百万円となりました。主として、親会社株主に帰属する当期純利益4,370億7千6百万円を計上したことによる増加、前期の期末配当及び当期の中間配当1,662億5千2百万円の実施による減少、その他有価証券評価差額金の増加273億6千7百万円によるものであります。この結果、自己資本比率は70.5%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ696億5千5百万円増加し、3,356億4千8百万円となりました。なお、現金及び現金同等物に含まれていない満期日又は償還日までの期間が3ヶ月を超える定期預金及び短期投資356億2千6百万円を加えた残高は、前連結会計年度末に比べ597億2千1百万円増加し、3,712億7千4百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、前連結会計年度に比べ1,374億9千9百万円増加の2,833億8千7百万円の収入となりました。主な要因につきましては、税金等調整前当期純利益5,966億9千8百万円、減価償却費367億2千7百万円、前受金の増加320億3千1百万円がそれぞれキャッシュ・フローの収入となり、売上債権及び契約資産の増加1,955億4千3百万円、法人税等の支払額1,060億9千8百万円、棚卸資産の増加1,003億9百万円がそれぞれキャッシュ・フローの支出となったことによるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主として有形固定資産の取得による支出561億5千3百万円により、前連結会計年度の182億7千4百万円の支出に対し556億3千2百万円の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主に配当金の支払1,662億5千2百万円により、前連結会計年度の1,145億2千5百万円の支出に対し1,672億5千6百万円の支出となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っており、生産の実績は販売の実績と傾向が類似しているため、記載を省略しております。受注の実績については、短期の受注動向が顧客の投資動向により大きく変動する傾向にあり、中長期の会社業績を予測するための指標として必ずしも適切ではないため、記載しておりません。また、販売の実績については「第2 事業の状況  3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」における各セグメントの業績に関連付けて説明しております。

 

なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

 

前連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)

相手先

販売高

(百万円)

割合

(%)

Samsung Electronics Co., Ltd.

256,656

18.3

Intel Corporation

193,706

13.8

Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd.

164,340

11.7

 

当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

相手先

販売高

(百万円)

割合

(%)

Samsung Electronics Co., Ltd.

312,279

15.6

Intel Corporation

303,982

15.2

Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd.

231,393

11.5

(注) 販売高には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績については、顧客による積極的な半導体製造装置向け設備投資を背景に、過去最高となる2兆38億5百万円(前連結会計年度比43.2%増)となりました。

 営業利益も、売上高の大幅な増加に伴い、5,992億7千1百万円(前連結会計年度比86.9%増)となり、営業利益率は前連結会計年度比7.0ポイント増の29.9%となりました。これは主に、注力分野において新たに獲得した付加価値の高い工程の売上増加に伴う売上総利益率の上昇、及び、売上高の大幅な増加に伴う販売費及び一般管理費比率の減少によるものです。なお、研究開発費の総額は、中期経営計画で目標としている財務モデルの達成に向けて、また将来の更なる成長を目指して、前連結会計年度から216億7百万円増加(前連結会計年度比15.8%増)し、過去最高の1,582億5千6百万円となりました。

 営業利益に、営業外損益及び特別損益を反映し、税金費用を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は4,370億7千6百万円となり、売上高に対する比率は、前連結会計年度から4.4ポイント上昇し、21.8%となりました。1株当たり当期純利益は、前述の通り、売上高の増加に伴う利益の増加によって、2,807円84銭となりました。

 

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループでは売上高、営業利益率、ROE(自己資本利益率)を中期経営計画上の財務モデルにおける指標として使用しております。

 具体的には、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ⑥ 新中期経営計画」に記載のとおりであります。

 

  セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

  なお、セグメント利益は、連結損益計算書の税金等調整前当期純利益に対応しております。

 

・半導体製造装置

 当セグメントの当連結会計年度における事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」に記載のとおりであります。当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比47.8%増の1兆9,438億4千3百万円となりました。事業環境で記載の通り、半導体需要の高まりを背景に、顧客による新規装置への設備投資が積極的に展開される中、注力分野における販売戦略が順調に進捗した結果、ロジック/ファウンドリ、DRAM向けを中心に、当連結会計年度の売上高は大きく増加しました。加えて、中古装置や改造、パーツ・サービスの売上高も、累積出荷台数の増加と顧客の高い装置稼動に伴い、順調に成長しました。

 セグメント利益率については、当連結会計年度は34.3%と、前連結会計年度の27.6%から6.7ポイント上昇しました。急速に高まった半導体製造装置の需要へ着実に対応できた結果、売上高が大幅に増加し、固定費比率が低下したことが、主な要因であります。

 

・FPD製造装置

 当セグメントの当連結会計年度における事業環境は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」に記載のとおりであります。当セグメントの当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比28.6%減の598億3千万円となりました。当連結会計年度においては、液晶ディスプレイから有機ELディスプレイへの移行の端境期にあり、FPD製造装置向け設備投資が調整されました。結果として、当セグメントの売上高は減少しました。

 セグメント利益率については、当連結会計年度は6.5%と、前連結会計年度の10.5%から4.0ポイント低下しました。これは主に、顧客のFPD製造装置向け投資が調整される中、当連結会計年度において新規装置売上が減少したことが要因であります。

 

 

② 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容、並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 財政状態については、当連結会計年度末における総資産が1兆8,944億5千7百万円となり、前連結会計年度末から4,690億9千3百万円増加しました。これは主に、売上債権及び契約資産、棚卸資産、有形固定資産と、投資その他の資産に含まれる投資有価証券の増加によるものです。売上債権及び契約資産は、半導体製造装置市場の急激な成長を背景に、売上が大きく増加したことにより、前連結会計年度末から2,422億4千7百万円増加し4,339億4千8百万円となりました。棚卸資産は、翌連結会計年度以降も引き続き装置・スペアパーツの需要が旺盛な状況を反映して、また生産の平準化等の施策も織り込んだ結果、前連結会計年度末から585億円増加し4,738億4千5百万円となりました。有形固定資産は、最先端技術の研究開発に必要となる装置や測定器の取得、生産技術の開発とサプライヤーとの協業を目的とした宮城技術革新センターの竣工に加え、山梨県韮崎市に開発棟を建設中であること等を反映し、前連結会計年度末から261億1千万円増加し2,230億7千8百万円となりました。投資有価証券は、政策的に保有している上場株式の時価評価額が上昇したことにより、前連結会計年度末から399億7百万円増加し1,449億7千2百万円となりました。これらの要因により、総資産は前連結会計年度末から増加しましたが、売上高がそれを上回って増加したことにより、総資産回転日数(注)は前連結会計年度末の353日から301日へ減少し、資産効率は改善しております。

 キャッシュ・フローについては、現金及び現金同等物に、満期日又は償還日までの期間が3ヶ月を超える定期預金及び短期投資を加えた残高は、前連結会計年度末から597億2千1百万円増加し、3,712億7千4百万円となりました。これは主に、当連結会計年度の業績が大きく拡大したことによります。

 当連結会計年度においては、事業の拡大に伴い、棚卸資産の水準が継続して上昇するなど、必要な運転資本が増加するなか、高まる技術要求に対応し、競合との差別化を図ることができる革新的で付加価値の高い技術の創出のための研究開発、生産技術革新や環境負荷低減を考慮したサプライヤーとの協業等への成長投資を継続しました。一方で、当社グループの株主還元政策である配当性向50%に基づき、1,662億5千2百万円を株主に還元しました。これらは、事業運営を通じて獲得した手元資金によって賄っております。引き続き、高利益率によって作り上げた強固な財務基盤を維持しながら、将来への成長投資と積極的な株主還元に取り組んでまいります。

 なお、経営指標の一つであるROE(自己資本利益率)については、親会社株主に帰属する当期純利益の対売上高比率の上昇、及び総資産回転日数の減少により、前連結会計年度の26.5%から37.2%へ上昇し、資本効率は改善する結果となりました。

 

 (注) 総資産回転日数=当連結会計年度期首・期末の総資産の平均÷当連結会計年度の売上高×365

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症や地政学リスクが会計上の見積りに与える影響は、半導体製造装置市場が引き続き拡大基調にあること、生産体制及び部品調達・供給体制等における当社グループの機動的な対応により、現時点においては限定的と認識しています。

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