業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しており、その結果、当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して減少しております。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績及び財政状態の状況

当社グループの当連結会計年度の経営成績及び財政状態は、適正在庫による販売の効率化、採算管理の徹底を継続するとともに、中期経営計画『SG-2023』に基づく組織再編、加工機能の強化を推進してまいりました。適正在庫による販売の効率化や採算管理の徹底につきましては、保管費用の削減や、より採算を意識した販売に努めたことにより、販売コストの削減に寄与しております。組織再編につきましては、後述記載の株式会社東市ロジスティクスの合併により、冷蔵倉庫相互の業務連携が行われ、一定の効果を上げております。

しかしながら同感染症拡大の影響は大きく、当社グループの売上高は、取扱数量が前年同期と比べ減少しましたが平均単価の上昇などにより取扱金額は増加、しかしながら仕入単価の上昇を一部販売に転嫁できませんでした。

その結果、「収益認識に関する会計基準」適用前68,912百万円、適用後55,018百万円(前年同期売上高66,621百万円)となり、営業利益は141百万円(前年同期営業利益132百万円)、経常利益は173百万円(前年同期経常利益189百万円)となりました。加えて投資有価証券売却益等を特別利益に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は264百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益518百万円)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(水産物卸売業)

売上高は「収益認識に関する会計基準」適用前67,591百万円、適用後53,698百万円(前年同期は65,330百万円)、セグメント損失143百万円(前年同期は164百万円のセグメント損失)となりました。

(冷蔵倉庫業)

売上高は1,166百万円(前年同期は1,135百万円)、セグメント利益は201百万円(前年同期は208百万円のセグメント利益)となりました。

(不動産賃貸業)

売上高は154百万円(前年同期は155百万円)、セグメント利益は83百万円(前年同期が87百万円のセグメント利益)となりました。

 

当連結会計年度末の当社グループの財政状態は次のとおりであります。

(資産)

 当連結会計年度末の総資産は15,815百万円となり、前連結会計年度末に比べ258百万円増加いたしました。流動資産は6,718百万円となり、399百万円増加いたしました。これは主に商品及び製品の増加によるものです。固定資産は9,055百万円となり、112百万円減少いたしました。これは主に連結の範囲の変更にともない長期貸付金が内部消去されたことによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末の負債は10,001百万円となり、前連結会計年度末に比べ144百万円増加いたしました。流動負債は4,650百万円となり、579百万円増加いたしました。これは主に買掛金の増加によるものです。固定負債は5,350百万円となり、434百万円減少いたしました。これは主に長期借入金の返済によるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益により5,813百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の36.6%から36.8%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は112百万円減少と連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の増減額34百万円増加を合わせ1,251百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローについては、売掛債権の減少等により272百万円の収入(前連結会計年度は379百万円の収入)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローについては、基幹システムの入れ替え等により有形及び無形固定資産の取得による支出等により76百万円の支出(前連結会計年度は685百万円の収入)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローについては、長期借入金の返済等により309百万円の支出(前連結会計年度は464百万円の支出)となりました。

 

 (キャッシュ・フローの指標)

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

32.2

33.8

33.9

36.6

36.8

時価ベースの株主資本比率(%)

13.9

12.8

12.9

28.8

39.2

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

52.0

6.2

9.1

13.9

18.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

31.2

51.1

20.5

14.3

10.8

 (注)自己資本比率:自己資本/総資産

    時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

    キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

    インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

    ※いずれも連結ベースの財政数値により計算しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

新型コロナウイルス感染症拡大の影響としましては、ワクチン3回目の接種が始まったものの新たな変異株の発生等により、その影響の規模や収束の時期は不透明と判断しております。

当社グループでは、繰延税金資産の回収可能性等の会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染拡大の影響が2023年3月末まで一定程度継続していくものと仮定しております。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

④仕入及び販売の実績

(a)仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

水産物卸売業

50,716

82.7

冷蔵倉庫業

-

-

不動産賃貸業

-

-

合計

50,716

82.7

 (注)1.冷蔵倉庫業、不動産賃貸業に関しては、仕入高に該当するものはありません。

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)を当連結会計年度の期首から適用しているため、水産物卸売業の仕入実績の前年同期比は減少しております。

3.当連結会計年度より、非連結子会社であった㈱キタショクが連結上の重要性が増したため、連結の範囲に含めており、水産物卸売業に加えて表示しております。

 

(b)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

水産物卸売業

53,698

82.2

冷蔵倉庫業

1,166

102.8

不動産賃貸業

154

99.0

合計

55,018

82.6

 (注)1.上記は、セグメント間取引消去後の金額で記載しております。

2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)を当連結会計年度の期首から適用しているため、水産物卸売業の販売実績の前年同期比は減少しております。

3.当連結会計年度より、非連結子会社であった㈱キタショクが連結上の重要性が増したため、連結の範囲に含めており、水産物卸売業に加えて表示しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、連結会計年度末日における資産・負債の計上、報告期間における収益・費用の計上に加え、開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的・保守的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

『当社グループの当連結会計年度の経営成績等』は、次のとおりです。

当連結会計年度の売上高は、「収益認識に関する会計基準」適用前68,912百万円、適用後55,018百万円(前年同期売上高66,621百万円)となり、営業利益は141百万円(前年同期営業利益132百万円)、経常利益は173百万円(前年同期経常利益189百万円)となりました。加えて投資有価証券売却益等を特別利益に計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は264百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益518百万円)となりました。

 

『当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因』は次のとおりです。

(近年の漁業資源の動向)

我が国の漁業・養殖業生産量は、近年減少傾向が続いておりましたが、2020年は前年から4万トン(1%)増加し、423万トンとなりました。魚種別にはマイワシ、ビンナガ等が増加し、サバ類、カツオ等が減少しております。また、近年不漁が続いているサケ、サンマ、スルメイカは、海水温や海流等の海洋環境の変化、外国漁船による影響を大きく受けており、水産庁の調べ(2021年)では、サケは約5.4万トン、サンマは約1.8万トン、スルメイカは約2.5万トンと、漁獲量はいずれも過去最低レベルとなりました。平均産地価格は、最近注目を浴びているサバの価格上昇、不漁が続き漁獲量の減少したサンマやスルメイカも高値傾向から近年上昇傾向にあったものの、2020年には前年から38円/キロ減少し、312円/キロとなりました。

一方、科学的かつ共同による技術革新と資源管理により持続的な漁業の典型と言われるオホーツクのホタテ、長年の資源管理が効果を上げ不漁から回復したニシンなど、国内水産業にも明るい話題が見受けられるようになりました。

(国内外の水産物消費の動向)

我が国の食用魚介類の消費量は、いわゆる「魚離れ」により、ここ近年減少傾向にあり、長らく水産業にとっての課題となっています。食用魚介類の国内消費仕向量は2001年度までは850万トン前後で推移した後に減少を続け、2016年度に肉類の国内消費仕向量を下回り、2020年度には526万トンとなりました。2010年度の国内消費仕向量との比較では、国内生産量が107万トン、輸入量が95万トン減少したことにより約22%縮小しております。一方世界では輸送技術等の発達による流通機能の近代化、生活水準の向上、健康志向の高まり等により、新興国を中心に魚の消費量が増加し続けています。この消費の増加に加え、人件費の安い国への加工場の移転、貿易自由化の進展等を背景として、世界の水産物貿易量の増大には顕著なものがあり、国際的な需要の高まりを受けて、取引価格は上昇基調にあります。また、経済開発協力機構(OECD)は、今後10年間の水産物の国際取引価格について、総じて高値で推移すると予測しておりますが、2022年に入り、ロシア・ウクライナ情勢による混乱、為替相場の大きな変動などがあり、今後の新型コロナウイルス感染症の世界的な動向も不透明で、取引量・価格ともに先の見えない状況となっております。

(海洋資源保護の動き)

2015年、国連において「持続可能な開発目標(SDGs)」の14、『海の豊かさを守ろう』が採択されました。

その目的は持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用することです。その観点からIUU漁業(違法・無報告・無規制で行われる漁業)を抑制するための議論が活発化し、また、各地域漁業管理機関では漁獲量規制、技術的規制等の実効性のある資源管理の議論が行なわれています。

カツオ・マグロ類は、世界のすべての海域で、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)等により、明確な漁獲枠が設定され、積極的な資源管理が行なわれております。

サンマ・サバ等についても、北太平洋漁業委員会(NPFC)において水産資源管理が行われております。近年不漁の代名詞となったサンマは北太平洋に生息する回遊性魚種で、以前は日本、韓国、ロシアのみが漁獲しておりましたが、近年では台湾、中国、バヌアツも漁獲するようになりました。これら関係各国は、資源保護の共通認識から、公海での漁獲可能量(TAC)を削減することで合意し、漁獲量の適切な制限等、資源管理を進めております。

(水産物の消費量及び市場経由率の減退)

国内の生産魚介類の1世帯当たりの年間購入量は、2019年まで一貫して減少してきたものの、2020年には新型コロナウイルス感染症拡大の影響で家での食事(内食)の機会が増加したことにより、年間購入量は前年より増加しました。しかし、2021年には再び減少し、前年より4%減の23.0㎏となりました。また、ここ近年概ね横ばいとなっていた年間支出金額は、2021年には前年より2%減の4.26万円となりました。

ただし、魚介類の食用国内消費仕向量は、ここ近年の減少傾向には変わりなく、加えて、漁業者・産地出荷業者と小売業者等との産地直送取引や、インターネットを通じた消費者への直販等、市場外流通が増えています。この結果、近年、消費地市場の経由率は年々低下してきています。

(魅力ある水産物の消費拡大)

水産物が優れた栄養特性と機能性を持つ食品であるということは、様々な研究から明らかになっています。近年の健康志向の高まりから、魚食に関する知識の習得や、体験等の食育の機会を充分に確保しようという動きが広まっています。また、学校給食等で魚食習慣を身につけるための活動、魚食の魅力を伝え水産物消費を拡大していくための「魚の国の幸せ」プロジェクトの官民協働の取組、水産庁長官認定の「お魚かたりべ」による魚食普及活動、調理が面倒だと敬遠されがちな水産物を手軽においしく食べられるような商品及びその食べ方を選定する「ファストフィッシュ」の取組等、水産物消費拡大に向けて様々な活動が展開されています。

(水産物に対する消費スタイルの変化)

2020年以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、水産物に限らず、食の消費スタイルが大きく変化しました。具体的には外食の利用が大きく減少し、家での食事(内食)が増加しており、併せて食品の購入方法にも変化が見られ、「インターネット」、「量販店・スーパー」、「テイクアウト」を利用する機会や量が増加しております。買い物に行く回数が減って、1回の買い物の購入量が増え、買い置きできる食品の購入が増えたのも2020年以降の傾向としてあげられています。

消費地市場における高級魚介類の取扱金額が下落したのも、コロナ禍での大きな特徴でもありました。インバウンド需要の減退や外出自粛に伴うホテル・飲食店向け需要の減退により、市場で流通する高級魚介類の取扱金額が、コロナ禍前と比較して下落しておりましたが、2021年10月以降は回復基調となっております。

また近年、消費者の食の志向にも変化が見られ、「健康志向」、「経済性志向」、「簡便化志向」の割合がより大きくなっております。特に「簡便化志向」の割合が長期的に見ても増加傾向となっており、一方で「安全志向」、「手作り志向」は緩やかに減少、「国産志向」は比較的低水準で横ばいとなっております。

(水産物流通に関する法改正)

2020年12月に施行された改正漁業法は、水産資源の持続可能性に配慮した漁獲枠の上限を決めるなどの「管理漁業」を目指しており、縮小する水産業の復活につながるものと期待されています。2022年12月に施行される水産流通適正化法は、世界の水産物の13~31%(重量ベース)を占めると言われている違法漁獲物を市場から排除し、「国内漁獲物のトレーサビリティの確保」と「IUU漁業を終わらせる」ことを目的としており、漁獲証明制度(CDS)などの強力な措置を効果的に実施・施行していくこととしております。具体的には、国内において違法かつ過剰に採捕が行われるおそれが大きい魚種について、取り扱う事業者に届け出を求めるものであり、漁獲から販売までの情報の伝達が確保されることにより、トレーサビリティが担保される仕組みとなっております。これらはSDGs14の海洋資源のサスティナビリティに合致するもので、国外からは歓迎の意を受け取っています。

(当社の役割)

中央卸売市場には、国内外から大量多品種の生鮮食品を集荷する機能、少量多品種へと迅速・確実・効率的に分荷する機能、セリなどの方法で迅速かつ適正な評価により価格形成する機能、販売代金の迅速かつ確実な決済を行う機能、取引情報を産地や小売業者に速やかに公表する情報受発信機能、衛生的な施設で食品衛生法に基づく食品流通を保持する機能、災害時の物流拠点として市民生活を支える機能などを果たす重要な役割があります。東京都中央卸売市場豊洲市場はそれら機能に加え、適切な温度管理と品質、衛生管理を強化した閉鎖型施設で、効率的な物流動線と多様なニーズに対応する加工設備を装備した中央卸売市場として機能しております。当社グループは、この豊洲市場の装備を如何なく活用し、生産者・出荷者の川上、そして消費者・実需者の川下のニーズを迅速・的確にフィードバックし、タイムリーな集荷と販売に努め、市場内に保有する多機能型冷蔵庫や加工設備などをフルに活用し、顧客満足度の向上を目指して参ります。

一方水産物需給に目を転じますと、人口減少やコロナ禍以降の消費者の生活様式の変化等に伴い、食に対する志向が変化し、水産物消費量の減少傾向が続いているとともに、水産物を消費する形態も変化しています。また、海洋環境の変化や海洋資源管理の観点から漁業生産量が減少傾向となっています。

当社グループは、これら変化に対応すべく、新中期経営計画『SG-2023』の基本コンセプトである「水産食品卸としてのプラットフォームを充実させ、持続的成長を目指す」を掲げ、水産食品卸として、出荷者とのより一層の協業を継続しつつ、買受人の要求に応える商品やサービスを提供する「マーケットイン」の視点を今まで以上に取り入れていきます。

さらに、昨今の食を取り巻く環境変化やグローバルなデリバリーへの対応、そして最終消費者の皆様に「安心・安全」な商品を継続的に供給するため、水産食品卸にもHACCPに基づく衛生管理の徹底が求められています。当社は、生産者から消費者まで続くサプライチェーンのプレーヤーとして、HACCPの考え方に基づいた衛生管理を実施しております。

また、当社は、水産資源と環境に配慮し適切に管理された持続可能な漁業で獲られた天然の水産物の証である「MSC」、その養殖版である「ASC」の各流通認証を取得、さらに水産資源の持続性と環境に配慮している事業者の証である「MEL」とその養殖版である「AEL」の各流通認証も取得して、日本における4大水産認証をすべて保有しております。さらに、当社の子会社である北海道で加工業を営んでいる㈱キタショク及び豊洲市場内で加工及び販売業を営んでいる共同水産㈱においても、MSC,ASCのCOC(流通加工管理)認証を保有、活用しております。

当社グループは、原料入手から、加工、販売まで一貫した体制で、豊かな海を守り、持続性ある水産業を応援するとともに、出荷者や買受人と協働で「持続可能な社会のために,海と海の資源を守る」、「海と海の資源を持続可能な方法で利用する」をテーマとするSDGsの目標14『海の豊かさを守ろう』を目指し、社会に貢献していきます。

 

『当社グループの資本の財源及び資金の流動性』については、次のとおりです。

当社グループの主な運転資金については、商品の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は主に設備投資によるものです。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入金を基本としており、安定した資金繰りの確保に努めております。

なお、当連結会計年度における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は5,150百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,251百万円となり、ネット借入金(長・短借入金から現金及び預金を控除したもの)は3,864百万円、ネットDEレシオ(ネット借入金と純資産との倍率)は1倍以下(0.66倍)で、財務内容は健全と判断しております。

 

『経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等』については、次のとおりです。

2022年3月期の連結ベースの実績は、売上高55,018百万円、経常利益173百万円、親会社株主に帰属する当期純利益264百万円、純資産5,813百万円、自己資本比率36.8%となっております。2021年度から新たな中期経営計画として、『SG-2023』がスタートしています。新計画の目標数値は下記のとおりとなっております。

 

項目

(連結ベース)

SG-2023最終目標数値

2024年3月期

売上高

62,000百万円程度

営業利益

400百万円程度

経常利益

400百万円程度

親会社株主に帰属する

当期純利益

350百万円程度

自己資本比率

40.0%程度

 

上記売上高は、2022年3月期より「収益認識基準に関する会計基準」(企業会計基準第29号)を適用した金額となっております。同会計基準を適用する前の売上高目標は76,000百万円程度としています。

上記の目標値は、現時点における入手可能な情報に基づいて算出しておりますが、実際の業績は今後の事業環境の変化等の様々な要因により大きく異なる可能性があります。

なお、詳細は「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上課題」に記載しております。

 

『セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容』は、次のとおりです。

なお、セグメントごとの経営成績につきましては、(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載しておりますのご参照ください。

(水産物卸売業)

生鮮水産物は新型コロナウイルス感染拡大の影響により飲食店の営業自粛等により取扱数量は減少平均単価が上がったこともあり取扱金額は増加となりました冷凍水産物は冷マグロの輸入減少にともない取扱数量が減少相場上昇にともない取扱金額が増加となりました加工水産物はいくらうなぎ蒲焼煮タコなどの取扱数量が減少しましたが全体的には前年並み販売価格の上昇により取扱金額が増加となりました

本セグメントの収益力の回復を図ることが重要課題と考えています。

しかしながら、国内生産量が天候不順・資源保護問題や漁業従事者の高齢化等に加え新型コロナウイルスにより生産者の人材を確保することがより難しく、魚種別にバラツキはあるものの、関係者の懸命な努力にもかかわらず減少傾向となっております。また、冷凍水産物の輸入についても、国際的な価格競争の激化に加え、ロシア・ウクライナ情勢等により、資源の高騰などを起因とした運送料や原材料の高騰も影響し、仕入値が上昇しております。

一方、消費者の「魚離れ」や「高齢化」等により需要が減退し、市場規模の縮小から同業間の競争が激化しており、消費者ニーズの多様化もあって厳しい業界環境が継続しています。

当社グループでは、中央卸売市場の荷受会社として生鮮流通に対し、その優位性を活かしたビジネスチャンスの拡大を志向すると同時に、産地加工・消費地加工を主軸とした㈱キタショクや共同水産㈱による水産物への付加価値の向上や築地市川水産㈱(仲卸業)の機能拡充を図り、㈱東市ロジスティクスが管理運営する豊洲市場内の多機能型冷蔵庫を組み込んだ商流拡大に取り組んでまいります。

また、天然魚の漁獲が不安定かつ減少傾向にあることから、安定した出荷が見込める養殖魚の取扱拡充が不可欠と考えており、養殖魚出荷業者との連携を強化してまいります。

水産物取引は市況変動リスクを避けては通れませんが、保有在庫の適正化と回転を早めるための社内管理体制の見直しと、採算管理の細分化により営業費用の適正化を図ることで、タイムリーな集荷と在庫リスクの軽減に努め、引続き与信管理を強化するなど、リスクマネジメントにも意を用いて、収益力のあるセグメントへの転換に向け傾注していきます。

(冷蔵倉庫業)

豊洲市場内の冷蔵庫(株式会社東市ロジスティクス 豊洲事業所)は、鮮魚荷捌き場、C(+5℃)~F(-25℃)~SF(-60℃)の各温度帯の保管設備、水産加工場、製氷機、事務所等を装備した、市場特有の多機能型冷蔵庫となっており、仲卸業者等への冷蔵冷凍倉庫賃貸により安定した収益をあげ、当社の豊洲市場での重要な施設・設備になっているものと評価しています。

また東京都中央区豊海町に保有している冷蔵庫(株式会社東市ロジスティクス 豊海事業所)は、建設から47年を経過しております。同冷蔵庫は豊洲市場にも近接立地していることから、豊洲市場の冷蔵庫を補完することが期待できるため、改修し活用してまいります。

(不動産賃貸業)

引き続き、稼働率向上を目指してまいります。なお、当面、新規に資産を取得する計画はありません。

 

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