当事業年度における当社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動が抑制される中、ワクチン接種も進み、緊急事態宣言解除後は、一部に景気持ち直しの動きも見られましたが、新たな変異株の発生もあり、先行き不透明な状況が続いております。
当アパレル業界におきましては、前年は相次ぎ中止となった卒入学式等のイベントが本年は再開し、2月から4月にかけては復調の兆しが見られ、また、緊急事態宣言解除後の10月以降は回復基調となりましたが、その間の感染再拡大による緊急事態宣言中は消費需要が大きく低迷したことから、総じて厳しい状況となりました。
このような経営環境の中、当社は収益性の改善を最優先課題として「競争力の強化」と「効率の向上」を重点施策として取り組んでまいりました。
卸売事業におきましては、取引条件の改善や不採算店舗からの撤退を進めるとともに、リアル店舗と自社Eコマースとの連携による「ネットで店舗へ取寄せ・取置きサービス」や「来店予約サービス」の導入などサービスの充実を図り、販売拡大に取り組んでまいりました。小売事業におきましては、直営店「フォルムフォルマ」では、SNSでのライブ配信によるプロモーションを継続して実施し、Eコマース販売では、引き続き展開商品の拡大と自社ECサイトの改修を重ねるなど、お客様の利便性向上に取り組んだことから、堅調に推移いたしました。また、10月には「“礼の日”東京ソワールの礼服の日。感謝の日。」と題して、リアル店舗とEコマースと連動した全国的なキャンペーンを実施いたしました。さらに新規事業として、ライフスタイルブランド「kuros’」を10月から展開いたしました。
しかしながら、百貨店・量販店販路及び直営店における店頭販売は、緊急事態宣言の期間や休業要請などが前年とは地域により状況が異なったことから、前年を上回ることはできたものの、前々年との比較では2割~3割の減少となりました。
この結果、当事業年度末の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ16億90百万円減少し、141億23百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ20億89百万円減少し、62億44百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ3億98百万円増加し、78億78百万円となりました。
当事業年度の経営成績は、売上高は118億22百万円(前年同期比15.4%増)、売上総利益は56億15百万円(同17.1%増)、営業損失11億85百万円(前事業年度は営業損失22億50百万円)、経常損失は9億11百万円(前事業年度は経常損失19億62百万円)、当期純利益は2億99百万円(前事業年度は当期純損失19億84百万円)となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金増6億71百万円、投資活動による資金増29億96百万円、財務活動による資金減28億99百万円により、前事業年度末に比べ7億68百万円増加し、15億55百万円となりました。
営業活動の結果得られた資金は、6億71百万円となりました。これは主に売上債権の増加1億23百万円がありましたが、たな卸資産の減少10億49百万円や、未払又は未収消費税等の増減4億94百万円によるものであります。
投資活動の結果得られた資金は、29億96百万円となりました。これは主に敷金及び保証金の差入による支出1億10百万円がありましたが、賃貸不動産の売却による収入30億10百万円によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、28億99百万円となりました。これは主に、短期借入金の純増減額の減少27億円や、リース債務の返済による支出1億58百万円によるものであります。
当事業年度において、生産の実績に著しい変動がありました。これは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるものであります。生産及び外注の実績の著しい減少は、販売の実績の減少に合わせて、生産仕入の抑制を行ったことが大きく影響しております。
当事業年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は製造原価であります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社の製品生産にあたっての縫製加工は外注に依存しております。外注加工費は次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当事業年度における商品仕入実績は、次のとおりであります。
(注) 1.金額は仕入価額であります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当事業年度における製品仕入実績は、次のとおりであります。
(注) 1.金額は仕入価額であります。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社は原則として受注生産ではなく見込み生産を行っております。
当事業年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.輸出については、該当事項はありません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
流動資産は、現金及び預金の増加7億68百万円がありましたが、商品及び製品の減少10億47百万円により、前事業年度末に比べ2億21百万円減少しました。
固定資産は、無形固定資産のリース資産の増加4億88百万円がありましたが、賃貸不動産の減少13億58百万円により、前事業年度末に比べ14億68百万円減少しました。
流動負債は、未払金の増加4億75百万円がありましたが、短期借入金の減少27億円により、前事業年度末に比べ20億60百万円減少しました。
固定負債は、繰延税金負債の増加67百万円がありましたが、長期借入金の減少40百万円や、資産除去債務の減少23百万円により、前事業年度末に比べ28百万円減少しました。
純資産は、当期純利益2億99百万円や、その他有価証券評価差額金の増加89百万円により、前事業年度末に比べ3億98百万円増加しました。
ロ. 経営成績
(売上高)
売上高は、新型コロナウィルス感染症による影響により、前年は相次ぎ中止となった卒入学式等のイベントが本年は再開し、また、緊急事態宣言解除後の10月以降は消費需要が回復基調となりましたことから、前期比15億80百万円増の118億22百万円(同15.4%増)となりました。
商品別では、ブラックフォーマルが78億95百万円で6億75百万円の増収、カラーフォーマルが20億64百万円で6億24百万円の増収、アクセサリー類が18億62百万円で2億79百万円の増収となりました。
売上原価は、前事業年度に比べ5億65百万円増加し、62億20百万円(前年同期比10.0%増)となりました。売上原価率は間接原価が悪化したが、直接原価や評価損が好転したため、前事業年度に比べ2.6ポイント好転し、52.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、減価償却費の増加がありましたが、人件費や荷造運賃の減少により、前事業年度に比べ2億44百万円減少し、68億円(同3.5%減)となりました。
営業外収益は、受取ロイヤリティの減少や不動産賃貸料の減少により、前事業年度に比べ19百万円減少し、3億86百万円となりました。営業外費用は、賃貸費用の減少により、前事業年度に比べ6百万円減少し、1億12百万円となりました。
特別利益は、投資有価証券売却益の減少がありましたが、賃貸不動産売却益の増加により、前事業年度に比べ15億95百万円増加し、17億72百万円となりました。特別損失は、事業構造改善費用の増加や減損損失の増加により、前事業年度に比べ3億89百万円増加し、4億11百万円となりました。
当期純利益は、法人税、住民税及び事業税の増加がありましたが、税引前当期純利益の増加や、法人税等調整額の減少により、前事業年度に比べ22億83百万円増加し、2億99百万円となりました。
キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金より充当し、必要に応じて金融機関から借入れを実施することにより、必要な資金を調達しております。なお、当事業年度末における有利子負債の残高は22億13百万円となり、現金及び現金同等物の残高は15億55百万円となっております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
当社は、「2019~2021年度 中期経営計画」において、2021年度は売上高175億円、売上高営業利益率3%以上の達成を数値目標として掲げておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大により、最終年度の計画達成が困難となったことから、この中期経営計画を取り下げておりました。
当事業年度は、売上高118億22百万円、営業損失11億85百万円となりました。製造コストや、人件費、販売促進費、旅費交通費などあらゆる経費の削減に取り組みましたが、卒入学式等の各種イベントの縮小や店舗への来店頻度の減少等による販売機会の減少が、売上高と営業利益の著しい減少に大きく影響しております。営業損失を計上しましたが、助成金収入等の営業外収益、賃貸不動産売却益等の特別利益により、当期純利益2億99百万円となりました。その結果、ROE3.9%となりました。
2022年2月に開示いたしました「2022~2024年度 中期経営計画」において、最終年度の2024年度は売上高155億円、営業利益2億5千万円、売上高営業利益率1.6%以上の達成を数値目標として掲げております。さらに、効率的な財務体質の構築のため、たな卸資産回転率3.75回転、売上総利益率51.4%、販管費比率49.8%を数値目標として掲げております。
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