課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は、「ファッションビジネスを通じて日本女性の生活文化向上に寄与する」ことを経営理念とし、創業以来、フォーマルウェア及び関連アクセサリー類の製造・販売業務を通して社会に貢献する企業を目指しております。

そして、「2022~2024年度 中期経営計画」において、経営方針として、以下の3点を定めております。

① 収益構造の見直し

② 基礎収益力の回復

③ サステナブル経営への取り組み

 

(2) 経営環境

当社を取り巻く事業環境は、従来から続く人口減少と高齢化の加速、流通チャネルや消費行動等の変化に加え、新型コロナウイルスの感染症拡大により顕在化したフォーマルウェアの着用機会の減少やEコマースへの加速度的なシフト等の変化もあり、不透明な状況が続くことが想定されます。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社の課題は事業継続のための収益構造の見直しと持続的な成長を実現するための基礎収益力の回復、加えて地球環境問題への配慮をはじめとするサステナビリティであると認識し、取り組んでおります。

 

① 収益構造の見直し
・棚卸資産回転率の改善

生産・仕入では「売上計画達成を優先した見込み生産・売り減らし」から「初期生産量を抑制し、販売実績をもとにした追加生産」方式へ切り替え、店頭在庫についても「市場シェア獲得のための商品展開・売場運用」から「効率を重視した商品展開・売場運用」に切り替えて、人事評価制度と連動させることで商品効率を改善いたします。

・売上総利益率の向上

低採算系列・店舗での取引条件改定、値引き販売の回数削減や負担率の見直し、販路・系列を越えた商品のコントロールによる販売を強化することで在庫処分のスピードを上げ、評価損を削減し、利益率の向上を図ります。

・販管費比率の改善

業務の削減、デジタル化等による業務プロセスの見直し、組織・機能の再編、テレワークの促進により生産性を高めるとともに、不採算の系列・店舗からの撤退により、経費効率を改善いたします。

 

② 基礎収益力の回復
・コア事業であるレディスフォーマル事業の進化
(オムニチャネル施策の推進)

売場のモノポリー化(※1)、自社主導のショップ運営(※2)への切り替え、SC(ショッピングセンター)への出店を推進し、オンライン(Eコマース)と連携したシームレスな購買体験の実現を図るとともに、ルールとマナーに則した商品に加え、顧客ニーズの変化に対応した商品等を適時・適量展開することにより、既存顧客の購買率向上と新たな顧客の獲得に取り組みます。

※1「モノポリー」とは、当社1社による売場運営の形態(百貨店販路2022年1月末現在62店舗)を指します。

※2「ショップ運営」とは、契約形態やチャネルを限定せず、当社が主導してMD編集・展開及びVMDを行うフォーマルセレクト店舗を指します。

 

(デジタルマーケティングの強化)

コーポレートサイト等による企業価値の発信やSNSの活用を通じて、オンライン・リアル店舗と直結した販売促進、顧客情報の収集・セグメント化、デジタルマーケティング等を活用した顧客との関係性構築によりLTV(顧客生涯価値)の最大化に取り組みます。

・事業領域の拡大
(レンタルビジネスの拡大)

ネットを主軸として、直営レンタルショップや小売・ショップ(モノポリー)などのリアル店舗との連携により売上の拡大を図ります。

(ライフスタイル提案型業態の開発)

「“黒に魅せられて”黒の持つ無限の可能性とエネルギーを自分らしく生きるすべての方へ届けたい」をコンセプトに、食品、キッチン&ダイニング、リビング、ファッション雑貨を提案するライフスタイルブランド「kuros'」(クロス)を、新規事業として育てて参ります。

 

③ サステナブル経営への取り組み
・リサイクル・エコ素材を使用した商品の開発

持続可能な循環型社会の実現に向けて服作りで貢献するため、繊維メーカー・商社と連携し、サステナブルな素材開発や植物由来の原料を使用した商品開発に取り組みます。

・商品等の回収・再利用の推進

日本環境設計㈱が行うリサイクルプロジェクト「BRING」を通じて、着用しなくなったブラックフォーマルの再資源化を推進いたします。また、製造時に発生する端切れを使用して、コサージュ等を作成するワークショップを、CSR活動の一環として引き続き実施いたします。

・商品廃棄の縮減

商品生産のコントロールと消化促進、レンタルサービスの提供により、商品廃棄の縮減や適切なリユース・リサイクルに取り組みます。更に、デジタル技術 (取り置き・取り寄せサービス等)を活用した欠品防止対策に取り組むことで、供給量の増加を抑制いたします。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高、売上高営業利益率、ROEであります。売上高営業利益率とROEを重視することで経営の効率性を高め、財務体質の健全性を堅持しながら安定的な成長を確保し、資本効率を高め「企業価値」の向上を図ることを、株主重視の経営と認識しております。

なお、「2019~2021年度 中期経営計画」において、2021年度は売上高175億円、売上高営業利益率3%以上の達成を数値目標として掲げておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による、各種イベントの縮小、中止や外出自粛の影響による消費需要の低迷が継続しており、未だ収束が見通せない状況下において、最終年度の計画達成が困難となったことから、この中期経営計画を取り下げておりました。

2022年2月に開示いたしました「2022~2024年度 中期経営計画」において、最終年度の2024年度は売上高155億円、営業利益2億5千万円、売上高営業利益率1.6%以上の達成を数値目標として掲げております。さらに、効率的な財務体質の構築のため、たな卸資産回転率3.75回転、売上総利益率51.4%、販管費比率49.8%を数値目標として掲げております。

 

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