研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループは2030年に向けて、テクノロジーの力で持続可能な社会の実現を可能にするため、様々なサービス、プロダクト、企業、利用者をマッチングできるビジネスエコシステムやプラットフォームを社会の共有材であるデジタルコモンズとして創造し提供する企業となることを目指した「Vision2030」を定めました。

また、「Vision2030」の実現に向けて、顧客の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」と、様々な業種業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」の2つの視点で経営方針(2021-2023)を定め、研究開発活動に取り組んでまいりました。

当連結会計年度の研究開発費の総額は4,121百万円であり、主な研究開発の内容は次のとおりです。なお、これらの成果は、各セグメントに共通することから、研究開発費のセグメント別の配賦は行っておりません。

 

(1)主なサービス・商品等の開発

①当連結会計年度に開発が完了し、商品リリース、サービス開始した開発案件

・パブリッククラウド環境における国内初の「地域金融機関向けフルバンキングシステム (BankVision on Azure)」のサービス提供を開始。新時代の金融サービス向けプラットフォームとして、堅牢性を担保しながら、クラウドの特性を活かした銀行機能と異業種やFinTechとのシームレスな連携、及び、地域データの収集・蓄積を行うことで、地域社会の更なる活性化の実現に向けて取り組んでいる。

・小売・通販事業者向けサービス利用型のコマース事業基盤「Omni-Base for DIGITAL‘ATELIER(デジタラトリエ)」のサービス提供を開始。将来的にOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインの融合)導入を実現するとともに、インターネット上とリアル店舗との在庫共有を実現することで、資源や在庫ロス軽減、物の移動の効率化などゼロエミッション社会の実現に貢献する。

・データの個人主権の考えに基づいたパーソナルデータ共有とプライバシー保護の両立を実現し、企業同士の事業共創を促す分散型企業間データ流通基盤「Dot to Dot(ドット トゥ ドット)の提供を開始。これまで柏の葉スマートシティをはじめ、街づくり・医療・防災・地域交通など、さまざまな産業分野におけるデータ利活用の実証を通じて、企業が「Dot to Dot」を利用して事業共創する事例モデルを蓄積。新たなデータ流通の仕組みと共創空間の提供を実現し、企業間の共創を推進することで、生活者中心のスマートタウンを創造し、持続可能で魅力ある地域社会の実現にチャレンジし続ける。

・国産木材の流通・利活用を多様な分野の企業共創により推進する「キイノクス・プロジェクト」事業として、木材流通プラットフォームサービスの構築に向けたシステムサービスを開発し、岐阜県で試行開始。また、オフィスなど非住宅分野に国産木材を利活用する「キイノクスオフィスSustainable Package」の提供を開始。国産木材の利活用を通じて、SDGsの達成や2050年に温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラルの推進に貢献する。

 

②次年度以降の商品リリース、サービス開始に向けた開発案件

・従業員同士が日頃の協力や行動に対する称賛・感謝の気持ちを、デジタルカードで贈り合うサービス「PRAISE CARD」の開発に着手しトライアルを開始。ブロックチェーン技術が使用されており、デジタルカードの送受信量や保有量データを元に活性度を分析し、コミュニティの状態を可視化することができる。企業の人的資本向上とESG経営における情報開示を支援する。

・再生エネルギーの拡大に寄与する取り組みの1つとして、大手エネルギー事業者の皆様と共に、自治体の協力を得て、EV車両の走行データと予約情報をもとに、1日の最適な充放電計画を作成し、太陽光発電、EV、蓄電池等の分散電源の特性を踏まえた電力需給のピークカットや、停電時の電力共有を考慮した蓄電池やEVの充電残量のコントロールなど複合的な電力制御における実証を行う。

・戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/自動運転(システムとサービスの拡張)/仮想空間での自動走行評価環境整備手法の開発に参加し、センサーメーカー、ソフトウェア会社、大学の10機関からなるDIVP(Driving Intelligence Validation Platform)コンソーシアムを形成。様々な交通環境下における再現性の高い安全性評価を行うため、一致性の高いシミュレーションモデルの開発に着手。東京臨海部実証実験フィールドである臨海副都心地域の環境を仮想空間上で再現したシミュレーションモデルの実践版を用いた実証実験を実施。今後、自動運転の実用化の普及・拡大に伴い、安全性評価プラットフォームを提供することで、交通事故の低減、交通渋滞の削減、交通制約者のモビリティの確保、物流・移動サービスのドライバー不足の改善・コスト低減などの社会的課題の解決に貢献する。

 

(2)新技術に関する研究・開発

①当連結会計年度に研究開発が完了した案件

該当事項はありません。

 

②次年度以降も研究開発を継続する案件

・未来における社会変化と技術活用の予測および先端技術の探索マップ整備、技術動向調査と事業機会の探索、技術全体のポートフォリオの整備・評価・運用。

・当社および顧客のサービスビジネスにおいて、市場や顧客のビジネス要求の変化に対し、迅速且つ安全なサービスを開発・提供・運用するための、DevOpsの採用技術の調査・セキュア環境基盤の開発。

・当社サービスビジネスの開発・運用に必要な指針や規約、ガイドドキュメントの開発、および、前提となるクラウドネイティブ開発領域の採用技術の調査・研究開発。

・AI応用領域(画像解析、対話支援、予測)とビッグデータ基盤技術を活かした顧客行動データモデルの分析基盤の開発、データストラテジック関連技術および分析ノウハウの調査・研究。

・ブロックチェーン基盤技術の調査、および実用化に向けた権利移転、スマートコントラクト、ポイント交換の領域におけるブロックチェーン適用の開発・実証。

・組合せ最適化の領域で実用化に向けた研究が進み量子アニーリング技術の調査、検証およびビジネスモデルの企画検討。

 

(3)基盤となる技術や先端技術等の研究・開発

①当連結会計年度に研究開発が終了した案件

該当事項はありません。

 

②当連結会計年度に研究開発を開始した案件

・医療従事者を含む地域住民のウェルビーイング向上の拠点としての病院の在り方とその実現のための研究。

・システム工学を土台とする、分野や業界を横断する複雑化した社会システム全体の見取り図となる産業アーキテクチャの研究開発。

 

③次年度以降も研究開発を継続する案件

・日常の当たり前を認識する能力(コモンセンスAI)、機械学習と言語学に基づく複合的な自然言語処理、発想や意思決定をサポートする技術の研究開発。

・仮想と現実の融合に関して、空間の認識および空間に情報を表現するための画像処理・画像認識を含むセンシング技術、直感的かつシンプルなインタフェース技術の研究開発。

・当社が培ってきたCAD・CG技術を発展させた、設計データと二次元画像・三次元点群データを利用した物体認識技術の研究開発。

・想定困難な事故が発生するリスクの高まりを見据え、信頼性・安全性を検証するための多面的な特性である“トラストワージネス(Trustworthiness)”に着目した、新たな安全分析手法の研究開発。

・データが不完全な(矛盾、曖昧さ、欠損を含む)場合であっても不合理な判断を引き起こさずに、適切な帰結を得ることができる新たな推論システムの研究開発。

・人の“思考”“動作”“心理”“身体”に基づいた、自らの可能性を知りより良い選択ができるための技術の研究開発。

・社会課題解決、経済活動活発化等につながる、人の行動変容を導く技術の研究開発、施策立案者の意思決定の質をあげるデータ活用基盤の研究開発。

・その他、量子コンピューターの本格的なビジネス利用に備えた、量子ソフトウェア開発における高水準プログラム言語とそれを用いた開発方法論やツールについての調査・研究。

 

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