(1)経営成績等の状況に関する分析
当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、欧米や中国の経済が回復局面に入っており、企業収益や設備投資は持ち直しに転じ、緩やかではありますが雇用・所得環境も回復の兆しが見え始めていました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症は、流行の波が繰り返す事態により、いまだ終息の目途は立たず、半導体や各種部材不足、素材の高騰等が長期化しており、国内経済の回復は鈍化し、ロシア・ウクライナ情勢等、更に先行き不透明な状況となっております。
このような状況下、当社グループは、本年度より新5ヵ年中期経営計画『Electronics Solutions・Company 2025(ES・C2025)』をスタートさせ、SDGsへの取り組みを通じて、社会課題の解決に貢献し持続的な成長を実現する「エレクトロニクスソリューションズ・カンパニー」となることを目指します。技術力・企画力を高め、グループ内外との連携強化を図り、オリジナルソリューションの提供を通し、高付加価値ビジネスを追求するとともに、社会の変化に即応し、持続的に成長できる企業となるべく取り組んでおります。
これらの取り組みにより、半導体・デバイス業界が好調という背景もあり、情通・デバイス事業の半導体・デバイス分野が好調に推移し売上・利益に貢献しました。
また、FAシステム事業において、産業システム分野の飲料メーカ向け高付加価値ビジネスや、FA分野の中国経済や半導体関連装置・設備の回復により復調しましたが、半導体不足による商品供給停止や納期長期化の影響により大幅伸長とはなりませんでした。併せて、情報通信分野や空調・冷熱機器分野等広範囲にわたり半導体不足による納期長期化の影響で苦戦を強いられました。
その結果、当連結会計年度における売上高につきましては、100,834百万円(前期比7,395百万円減)となり、経常利益につきましては、3,055百万円(前期比236百万円増)となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前期は投資有価証券売却益739百万円があったことから前期比396百万円減の1,922百万円となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は7,724百万円減少しております。詳細については、「第5 経理の状況 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
①売上高
当連結会計年度における売上高につきましては、100,834百万円(前期比7,395百万円減)となりました。
(単位:百万円) |
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
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FAシステム事業 |
売 上 高 |
35,508 |
36,843 |
1,334 |
経常利益 |
1,064 |
1,458 |
394 |
|
ビル設備事業 |
売 上 高 |
13,796 |
13,521 |
△275 |
経常利益 |
137 |
84 |
△53 |
|
インフラ事業 |
売 上 高 |
32,687 |
23,317 |
△9,370 |
経常利益 |
409 |
175 |
△233 |
|
情通・デバイス事業 |
売 上 高 |
26,236 |
27,151 |
914 |
経常利益 |
1,067 |
1,169 |
102 |
(FAシステム事業)
FA分野は、中国経済や半導体関連装置・設備の回復により、コントローラや駆動制御機器は順調に推移しましたが、半導体不足による納期長期化の影響が広範囲にわたり前期比伸長は鈍いものとなりました。
産業メカトロニクス分野は、レーザ加工機は前期並みの推移となりましたが、自動化案件の取り組みで一般工作機械等では成果があり堅調に推移しました。
産業システム分野は、飲料メーカ向け制御システムの大口案件等があった一方、前期の電気設備の大口案件が剥落し前期並みとなりました。
その結果、当該事業としては1,334百万円の増収となり、経常利益は394百万円の増益となりました。
(ビル設備事業)
設備機器分野は、情報・通信事業者向け受変電設備は堅調に推移しましたが、昇降機は案件少なく低調に推移しました。
空調・冷熱機器分野は、半導体不足による商品供給停止の影響により苦戦しました。特に、空調機器は、オフィス・飲食業・医療施設等向け需要が厳しく低調な推移となりました。
その結果、当該事業としては275百万円の減収となり、経常利益は53百万円の減益となりました。
(インフラ事業)
交通分野は、鉄道事業者向け列車無線や情報処理装置は大口案件の影響により増加しました。一方、受変電設備は大口案件の剥落により減少し、設備投資抑制により車両用機器が低調に推移したことから減少しました。
社会システム分野は、官公庁ビジネス案件が減少し低調に推移しました。
その結果、収益認識会計基準の適用による6,756百万円の売上減の影響もあり、当該事業としては9,370百万円の減収となり、経常利益は233百万円の減益となりました。
(情通・デバイス事業)
情報通信分野は、画像・映像機器が半導体不足による商品供給停止、納期長期化の影響で苦戦し、電子医療装置も案件減少し減収となりました。
半導体・デバイス分野は、ハードディスクドライブ用ICは、需要増加及び部材逼迫による先行発注に後押しされ順調に推移しました。また、産業用パワーデバイスは産業機器関連顧客からの受注が引き続き好調に推移し、電子デバイス品もOA機器顧客や自動車関連顧客向けで順調に推移しました。
その結果、当該事業としては914百万円の増収となり、経常利益は102百万円の増益となりました。
②売上原価、総経費
売上原価は、86,203百万円(前期比7,964百万円減)となりました。売上高に対する売上原価の比率は1.5%減少の85.5%となりました。なお、各セグメント毎の売上原価の比率は、FAシステム事業は83.7%(前期比0.7%減)、ビル設備事業は87.7%(前期比0.2%減)、インフラ事業は93.3%(前期比1.3%減)、情通・デバイス事業は80.1%(前期比0.5%減)となりました。
総経費は、人件費を除く販売費及び一般管理費が246百万円増加、人件費が148百万円増加したこと等により、前連結会計年度より332百万円増加し、11,574百万円となりました。FAシステム事業は4,545百万円(前期比84百万円増)、ビル設備事業は1,575百万円(前期比41百万円増)、インフラ事業は1,385百万円(前期比23百万円増)、情通・デバイス事業は4,235百万円(前期比209百万円増)、全社(共通)は△167百万円(前期比26百万円減)となりました。
③経常利益
経常利益は、3,055百万円(前期比236百万円増)となりました。FAシステム事業は、増収により1,458百万円(前期比394百万円増)となりました。ビル設備事業は、減収により84百万円(前期比53百万円減)となりました。インフラ事業は、減収により175百万円(前期比233百万円減)となりました。情通・デバイス事業は、増収により1,169百万円(前期比102百万円増)となりました。全社(共通)は、167百万円(前期比26百万円増)となりました。
④特別損益
特別利益は、前連結会計年度より734百万円減少し、4百万円となりました。これは、投資有価証券売却益が4百万円発生したことが主な要因です。特別損失は、前連結会計年度より5百万円増加し、76百万円となりました。これは、関係会社株式評価損が59百万円、固定資産除却損が8百万円発生したことが主な要因です。
⑤親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、1,922百万円(前期比396百万円減)となりました。従って、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の82.85円に対し71.80円となりました。
(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析
①財政状態に関する分析
当連結会計年度末における総資産は、78,548百万円(前期比1,248百万円増)となりました。
流動資産は、63,695百万円(前期比1,321百万円増)となりました。これは前連結会計年度末より、受取手形が980百万円減少、売掛金が2,517百万円減少した一方で、現金及び預金が2,208百万円増加、電子記録債権が744百万円増加、商品及び製品が1,481百万円増加、前渡金が336百万円増加したことが主要な要因であります。
固定資産は、14,852百万円(前期比73百万円減)となりました。これは前連結会計年度末より、無形固定資産が223百万円増加、繰延税金資産が50百万円増加した一方で、有形固定資産が215百万円減少、投資有価証券が181百万円減少したことが主要な要因であります。
一方、流動負債は、31,806百万円(前期比390百万円増)となりました。これは前連結会計年度末より、未払法人税等が273百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が239百万円増加、電子記録債務が298百万円増加、前受金が107百万円増加したことが主要な要因であります。
固定負債は、1,170百万円(前期比196百万円減)となりました。これは退職給付に係る負債が175百万円減少したことが主要な要因であります。
純資産は、45,571百万円(前期比1,054百万円増)となりました。これは前連結会計年度末より、親会社株主に帰属する当期純利益を1,922百万円計上、配当金の支払が884百万円あったこと等により、利益剰余金が1,034百万円増加、自己株式が110百万円増加、その他有価証券評価差額金が98百万円減少した一方で、為替換算調整勘定が205百万円増加したことが主要な要因であります。
その結果、当連結会計年度末における自己資本比率は58.0%、1株当たり純資産額は1,710円93銭となりました。
②キャッシュ・フローの状況及び資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を主な源泉としております。営業活動によるキャッシュ・フローにおける変動要因としましては、売上債権・棚卸資産及び仕入債務の増減が主な要因となっておりますが、決算日において仕入債務の支払時期と売上債権の回収時期にずれが生じた場合に営業活動によるキャッシュ・フローに大きな影響を与えます。当社グループにおきましては、債権債務の収支管理を徹底して行っており、これらの収支のずれによる影響を最小限とすることで営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努めております。
投資活動によるキャッシュ・フローにおきましては、売買目的の有価証券の取得による支出及び売却による収入はなく、固定資産の取得による支出、売却による収入が増減の要因となっております。
財務活動によるキャッシュ・フローにおきましては、事業活動を行う上での十分な流動性を確保していることから、資金の調達ニーズはなく、自己株式の取得による支出、配当金の支払による支出が減少の要因となっております。
以上のことから、当社グループの当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,208百万円増加し、当連結会計年度末には18,866百万円(前期比13.3%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、源泉である税金等調整前当期純利益について2,984百万円(前期は3,487百万円)を確保出来たことに加え、売上債権の減少2,890百万円があった一方で、棚卸資産の増加が1,417百万円、法人税等の支払額が1,357百万円であったこと等により、3,607百万円の収入(前期は19百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出64百万円、無形固定資産の取得による支出389百万円、関係会社貸付による支出67百万円があったこと等により、511百万円の支出(前期は778百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出156百万円、配当金の支払881百万円があったこと等により、1,047百万円の支出(前期は3,055百万円の支出)となりました。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品仕入の他、販売費及び一般管理費等の費用であります。当該資金については、内部留保による手元資金で十分賄えている状況です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり必要とされている、これらの見積りにつきましては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りとは異なることがあります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表「注記事項」(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。これらの重要な会計方針のうち、見積りに用いた仮定の不確実性が特に高い事項は認識しておりません。
また、新型コロナウイルス感染症による会計上の見積りに関しては、連結財務諸表作成時における入手可能な情報に基づく最善の見積りを行っておりますが、当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与える事象は認識しておりません。
④生産、受注及び販売の状況
(1)仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
FAシステム事業 |
31,822 |
5.5 |
ビル設備事業 |
12,011 |
△5.5 |
インフラ事業 |
21,523 |
△32.6 |
情通・デバイス事業 |
22,272 |
5.8 |
合計 |
87,630 |
△8.6 |
(2)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
FAシステム事業 |
36,843 |
3.8 |
ビル設備事業 |
13,521 |
△2.0 |
インフラ事業 |
23,317 |
△28.7 |
情通・デバイス事業 |
27,151 |
3.5 |
合計 |
100,834 |
△6.8 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
東日本旅客鉄道株式会社 |
8,772 |
8.1 |
7,358 |
7.3 |
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