文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、次の「経営理念」並びに「菱電商事グループ行動指針」を経営の基本に置いて、事業活動を展開しています。
①経営理念
・社会の変化に対応し、会社経営の安定と発展に努め、社会に貢献する。
・誠実な営業活動と先進的な技術の提供により、取引先の信頼に応える。
・社員の人格と個性を尊重し、専門性及び改革心と創造力の高い人材を育成する。
②行動指針
・法令・ルールを遵守する
・利益ある成長を目指す
・グローバルな企業として社会に対する責任をはたす
・自己の考えを確立し、活力ある組織を創る
・人格や個性を尊重し、高い目的意識をもって自己啓発を行う
・経営者・管理者は自らの役割を全うする
国際通貨基金(IMF)は2022年4月、2022年の世界経済成長率の見通しについて、2022年1月に発表した4.4%から0.8ポイント下方改定し3.6%としました。今後の世界経済は、ウクライナ情勢の影響による更なる資源価格の高騰、サプライチェーンの混乱に伴う供給制約とインフレの進行、さらには各国中銀の金融引き締めによる急激な金利の上昇と円安の進行などにより、先行き不透明な状況が続くことが予想されます。
国内では、新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しは立たず、引き続き一定程度の社会経済活動の抑制が予想され、また世界的なインフレや地政学リスクの高まり、サプライチェーンの混乱に伴う資源・エネルギー価格、原材料価格の高騰などの影響が懸念されています。
当社グループの取引に関する業界は、車載半導体不足による自動車の減産や生産調整、世界的なサプライチェーンの混乱に加え、足もとでの中国のロックダウンの影響が見通せないことなど不確実性が高い状況が続きますが、世界的な人手不足を背景とした工作機械やロボットを使った省人化投資が活発化しており、また車載や産業機器市場の需要は底堅く継続するものと見込まれます。
こうした中、当社グループは、2020年度を始期とする中期経営計画「ICHIGAN 2024」の達成に向け、本年度も代理店、商社の枠を超えた事業創出会社として新しい価値を創造し続け、サステナブルな社会の実現に貢献することを目指し、引き続き収益力の強化に取り組んでまいります。
次期の業績の見通しにつきましては、連結売上高 2,400億円 、 営業利益71億円 、 経常利益73億円 、 親会社株主に帰属する当期純利益51億円 を見込んでいます。
なお、上記の見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでいます。実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。
<中期経営計画「ICHIGAN 2024」>
当社グループは、2050年に向けて目指す姿として、「100年企業として環境・安心・安全でサステナブルな社会の実現に貢献する」ことをビジョンとして掲げています。その実現に向け、2013年から2015年の中期経営計画「GSP15」では第二の創業期としてソリューションビジネスの創造に挑み、2016年から2018年の「CE2018」では100年企業を目指して顧客価値創造型のビジネスモデルの構築に努めました。この流れを継承する新たな中期経営計画として、2020年度から5年間の中期経営計画「ICHIGAN2024」の取り組みを開始しました。
<経営環境>
エネルギー価格の高騰などに起因する高インフレの長期化や先進国での利上げなどの金融政策の転換に加え、ロシアによるウクライナ侵攻で拍車がかかった資源高や物流の混乱が世界経済のリスクとなっています。また国内でも資源・エネルギー価格、原材料価格の高騰などにより日本経済の回復シナリオが描き難くなっています。
このような状況下、当社グループは、2020年度を始期とする5ヶ年の中期経営計画「ICHIGAN 2024」の達成に向け、「代理店・商社の枠を超えた事業創出会社として、新たな価値を生み出し続けることができる会社」を目指し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に推進していくことを戦略テーマとしています。「成長事業のビジネスモデル確立と次世代新規ビジネスの創出」、「基幹中核事業における生産性の向上」、「事業推進基盤の強化」という3つの成長エンジンで収益の最大化を図り、すべてのステークホルダーに新たなる価値を提供し、グローバル社会の持続的発展に貢献する事業活動を進め、2050年に向け100年企業として環境・安心・安全でサステナブルな社会の実現に貢献いたします。
<ICHIGAN 2024の進捗(DXの推進) ~主な成果と今後の取り組み~>
①成長事業のビジネスモデル確立と次世代新規ビジネスの創出
②基幹中核事業における生産性の向上
③事業推進基盤の強化
④経営目標
●営業利益は増益計画の柱としていた新事業の進捗に遅れがあったものの基幹中核事業であるFAシステム・エレクトロニクスが下支えし過去最高益を記録しました。今後も営業利益率向上に向けたさらなる構造改革に取り組み、標準化による効率化と新商材開拓、ソリューションビジネスの実践により高利益率ビジネスを推進いたします。
●新事業についてはスマートアグリが生産事業へのビジネスモデルへの転換に注力したことに加え、ICTシステムのその他の各事業が行動制限により市場への活動が滞ったことで2021年度実績は低調に推移しました。しかしながらセンサ、LoRa通信、組込みAIなどの技術を活用したクラウド型サブスクリプションなどの新事業の芽が着実に育ちつつあり、今後はこれらの早期立ち上げと拡販に注力するとともに、次世代農業における新事業モデルの確立を加速してまいります。
●ROEは前年より3.5ポイント改善しました。財務レバレッジをかけるのではなく、収益力の向上と資産効率向上を通じて引き続きその向上に取り組んでまいります。
<脱炭素社会に向けた取り組み>
きれいな地球を未来へと引き継ぐために――。当社グループは2020年4月にグループ環境ビジョンを制定しました。2030年までに環境に配慮した事業活動を加速させ、サステナブルな社会創りに貢献します。そして、2050年、100年企業として環境・安心・安全でサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
具体的な取り組みとして、電力使用に関する温室効果ガス排出実質ゼロを目指し、当社所有の栗原太陽光発電所(宮城県栗原市)を有効活用することで、事務所の電力を可能なところからクリーン電力に切り替えていきます(東京都豊島区の本社ビルは昨年クリーン電力に切り替え済み。その他の事業所も順次切り替えています。)。また、ライフサイクル視点での温室効果ガス排出削減を目指した当社独自のトータルカーボンマネジメントを第79期から運用しています。
こうした活動を通し、当社グループは「環境」の価値観を共有し、事業活動を通して社会に貢献する「環境経営」を推進していきます。
※トータルカーボンマネジメント:事業活動で排出する温室効果ガスと当社の販売した製品を使用することにより削減された温室効果ガスを数値化し、当社の環境貢献度を見える化した当社独自の環境活動。
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