業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続しながらも経済活動正常化への動きが活発化して景気も持ち直してまいりました。一方で原油価格の高騰に伴う資材・エネルギー価格の高騰、運送費の高騰の継続に加え、ウクライナ情勢の影響によって経済活動が一部制限されるなど先行き不透明感はますます高い状況となっております。わが国経済においても新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進められ、経済活動も正常化に向かって進み始めましたが、依然として不透明な状況は続いております。

医療機器、医薬品業界におきましては、ワクチン接種が進行したこともあり、診療環境も回復してまいりました。当社グループも全社一丸となって新型コロナウイルス感染症に立ち向かう責務を自覚し、国内におけるシェア拡大と海外売上の拡大および生産コストの低減に取り組み、ユーザー目線にたった製品開発を進め、業績の向上に努めてまいりました。

このような状況であっても、様々な状況に対応できる診療環境の整備も今後進んでいくものとみられ、当社グループは今後もそうした安全な診療環境の整備の一翼を担うべく、医療機器・医薬品メーカーとしての責任と役割を果たしてまいります。

この結果、当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響は依然として継続しておりますが、ワクチン接種用の注射針、シリンジ等の注射関連製品やワクチン用途の医薬用容器の販売は順調に推移し、手術延期などで抑制されていた一部診療科関連製品の需要回復や、特に海外ではホスピタル関連製品および主力製品であるダイアライザや透析装置等、透析関連製品の販売が順調に推移しました。一方で、特に国内では半導体不足の影響によって医療器械類、検査機器類の売上は一定の影響を受けたものの、連結売上高は前期比8.6%増加4,947億89百万円となりました。

利益面におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による一部の海外工場における操業停止の発生や、主力製品であるダイアライザの増産設備も当期はまだ稼働開始しないこと、海上輸送コンテナの手配も困難となっている状況から、在庫を厚めにもち、安定供給を優先するロジスティック戦略をとるようにしたことにより、結果として一部地域での在庫は増加した上に、物流コストが多くかかることになりました。こうした背景もあり海上輸送のコンテナ費高騰の状況下で輸送コストが増大したことに加え、原油価格高騰による石油由来の原材料コストの高騰などの影響もあり、さらには前年度の決算賞与の差額精算によって生じた賞与の追加支給という特殊要因もあり、営業利益は前期比13.6%減少238億82百万円となりました。

これに対して、経常利益は当連結会計年度における為替レートが引き続き比較的円安傾向で推移し、特に年度終盤に大きく円安に変動したことから為替差益を計上することとなり、営業利益の減少分を補って前期比5.0%増加275億83百万円となりました。

しかしながら、子会社ののれんおよび固定資産の減損損失や貸倒引当金繰入額等の特別損失の計上に加え、課税所得、非支配株主に帰属する当期純利益も増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比5.3%減少となる134億55百万円となりました。

当期におけるセグメント別の概況は以下のとおりであります。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの変更を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)1 報告セグメントの概要」をご参照ください。以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分にて組み替えた数値で比較しております。

<医療関連事業>

国内販売におきましては、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進んだことにより、感染者も減少し、市場環境は回復傾向にありましたが、2022年の年初より変異株の影響により感染者が急増し、市場環境は引き続き厳しい状況となりました。そのような環境下において、メディカル営業部門では、概ね各診療分野とも堅調に推移しましたが、半導体不足の影響により、透析装置の販売は低調な推移となりました。なお、ワクチン接種用の注射針、シリンジの販売は引き続き堅調に推移しました。医薬営業部門では、地域薬剤師会などで医療機器・材料を用いた勉強会を実施することで信頼度が増し、当社ジェネリック医薬品の採用に繋がっております。引き続き市場の信頼に応える活動を行ってまいります。

 

海外販売におきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が続いておりますが、各国ではコロナとの共存による経済活動も推進され、営業活動も正常化してきております。このような状況下、シリンジを含むホスピタル関連製品の販売が順調に推移しました。主力の透析商品の販売についても堅調に進んだ結果、本年も対前年増収増益となりました。引き続き対面、オンラインの両面で、全世界の顧客・拠点と連携しながら販売を拡大してまいります。また自社透析センターにおいても、従来から拡大を続ける中南米に加え、中国、アジア各国でも市場を拡大してまいりました。引き続き、新興国を中心に質の高い治療を提供し、地域医療に貢献してまいります。販売拠点につきましては、アジアパシフィック地域の販売強化を進めるためシンガポールを中心に組織再編を進め、ベトナムでの拠点開設に続き、フィリピンでの拠点開設、またタイでの地方拠点の開設を進めております。また、中国市場の販売拡大に注力した販売拠点増強も継続しております。一方、運送費はさらに高騰し、船舶の確保も困難な状況が続いておりますが、物流改善に取り組みながら安定供給を継続してまいります。これらの活動を継続し、医療現場のニーズに迅速に対応することにより、顧客満足の向上に努め販売強化および管理強化による売上の拡大、利益の確保に繋げてまいります。

海外生産拠点では、引き続き日本も含め原油価格高騰に伴う原材料・エネルギー価格の高騰が継続しており原価上昇の要因となっていますが、生産性向上・経費削減を図り生産コスト上昇の抑制に努めております。各生産拠点における新型コロナウイルス感染症の状況は再び新規感染者が増加し、複数の拠点においては感染者が発生して一時的に操業停止となる事態が発生しました。ただしそれ以降は各拠点においては感染対策を徹底し、操業停止になること無く生産活動を継続してまいりました。

この結果、当事業の売上高は3,734億81百万円(前期比8.6%増)、セグメント利益(営業利益)は392億41百万円(前期比0.9%増)となりました。

<医薬関連事業>

医薬関連事業におきましては、注射剤、経口剤、外用剤あらゆる剤形において、様々な顧客ニーズに応えることで、事業を拡大してまいりました。当連結会計年度は、複数の新規受託製品において本格的な出荷が始まったことや、ジェネリック医薬品の需要の増加等が売上拡大に貢献しました。一方で、新型コロナウイルス感染症拡大による受注の減少やエネルギー価格の高騰による原価の上昇などの売上高、利益の減少要因がありましたが、生産効率の改善やサプライチェーンの見直し等に取り組むことにより対処してまいりました。

また、昨年2021年2月に発生した福島県沖地震により、ニプロファーマ鏡石工場が被害を受けましたが、迅速な復旧に努め、他工場への移管等も実施し、生産量の減少を最小限に止める様に努めました。さらに2022年3月16日に福島県沖地震が発生しましたが、同工場においては、前年に対策を講じていたこともあり、2週間で全ての製造棟での製造を再開することができ、予定されていた出荷数量に影響はありませんでした。

今後も注射剤、経口剤ともに生産能力拡充を目指して、設備投資を継続し、安定供給に取り組むとともに、品質保証体制の強化を進めてまいります。

この結果、当事業の売上高は743億86百万円(前期比2.8%増)、セグメント利益(営業利益)は98億26百万円(前期比7.4%減)となりました。

<ファーマパッケージング事業>

ファーマパッケージング事業におきましては、開発から製造、販売、マーケティングにわたるバリューチェーンの一体的強化を図るとともに製品の安定供給に努めました。特に当連結会計年度におきましては、グローバル規模でコロナ関連需要が急増する中、適時迅速に受注を確保したことで、ワクチン用を中心にシリンジおよびバイアル容器の出荷が大幅に増加しました。

また商品競争力向上の一環としては、既存のプレフィルドシリンジとシナジー効果が高い医療機器や細胞医薬品製造に関連する諸製品の開発等を推進しました。生産面では、新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に留めたことで、各工場の操業度を高水準で維持するとともに機械化による省力化や改善活動を強化しました。さらには事業のブランドイメージおよび認知度向上に向け、Webを活用した情報発信や、各種ウェビナーを積極的に展開しました。

この結果、当事業の売上高は463億61百万円(前期比19.9%増)、セグメント利益(営業利益)は28億89百万円(前期比45.0%増)となりました。

 

<その他事業>

その他事業におきましては、不動産賃貸等による売上高が5億59百万円(前期比19.1%減)、セグメント利益(営業利益)は1億1百万円(前期比73.0%減)となりました。

 

② 財政状態の状況

財政状態におきましては、当連結会計年度末の資産合計は9,303億21百万円(前期比8.9%増)、負債合計は7,304億53百万円(前期比7.4%増)、純資産合計は1,998億67百万円(前期比14.8%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当社グループは医療関連、医薬関連、ファーマパッケージングの各事業の積極的な営業活動による現金及び現金同等物の収入と市場からの資金調達等により得た収入で、将来の当社グループの発展へ重点を置いた積極的な手元資金の運用に努めてまいりました。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローが682億14百万円の収入超過(前期比3.2%増)、投資活動によるキャッシュ・フローが784億34百万円の支出超過(前期は450億71百万円の支出超過)、財務活動によるキャッシュ・フローが102億97百万円の収入超過(前期は220億62百万円の支出超過)となり、現金及び現金同等物の期末残高は900億71百万円(前期比5.0%増)となりました。 

営業活動によるキャッシュ・フローにおける収入の主な項目は、減価償却費433億13百万円税金等調整前当期純利益232億43百万円であり、支出の主な項目は、棚卸資産の増加額79億35百万円であります。

投資活動によるキャッシュ・フローにおける支出の主な項目は、固定資産の取得による支出798億3百万円であります。

財務活動によるキャッシュ・フローにおける収入の主な項目は、長期借入れによる収入614億70百万円であり、支出の主な項目は長期借入金の返済による支出1,008億36百万円であります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況
ア.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

対前期増減率(%)

医療関連

179,823

8.4

医薬関連

136,530

7.4

ファーマパッケージング

34,370

12.1

合計

350,725

8.4

 

(注) 1 金額は、製造原価によって算出しております。

2 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。

 

イ.受注実績

当社グループは、見込生産形態を採っておりますので、該当事項はありません。

 

 

ウ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

対前期増減率(%)

医療関連

373,481

8.6

医薬関連

74,386

2.8

ファーマパッケージング

46,361

19.9

その他

559

△19.1

合計

494,789

8.6

 

(注) 上記金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析
(売上高)

売上高は前連結会計年度に比べ392億30百万円増加し、4,947億89百万円(前期比8.6%増)となりました。これは主に、国内販売が前期比3.5%、海外販売が16.0%とそれぞれ増加したことによるものです。この結果、各セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、医療関連事業が75.5%、医薬関連事業が15.0%、ファーマパッケージング事業が9.4%、その他が0.1%となりました。

(営業利益)

営業利益は前連結会計年度に比べ37億44百万円減少し、238億82百万円(前期比13.6%減)となりました。これは主に、販売費及び一般管理費が前期比141億73百万円増加したことによるものです。主に運送費が27億87百万円増加しております。

(経常利益)

営業外収益は前連結会計年度に比べ49億92百万円増加し、105億25百万円(前期比90.2%増)、営業外費用は前連結会計年度に比べ66百万円減少し、68億25百万円(前期比1.0%減)となりました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ13億13百万円増加し、275億83百万円(前期比5.0%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、減損損失および貸倒引当金繰入額などの特別損失を計上したことにより、134億55百万円(前期比5.3%減)となりました。

なお、セグメントごとの経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

財政状態の分析
(資産の部)

当連結会計年度末の資産合計は9,303億21百万円で、前連結会計年度末に比べ759億24百万円の増加となりました。このうち流動資産は160億90百万円の増加、固定資産は598億33百万円の増加となりました。流動資産の増加の主な要因は、原材料及び貯蔵品が58億7百万円増加したことによるものであり、固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産の建設仮勘定が280億82百万円増加したことによるものであります。

(負債の部)

負債合計は7,304億53百万円で、前連結会計年度末に比べ501億10百万円の増加となりました。このうち流動負債は404億91百万円の増加、固定負債は96億18百万円の増加となりました。流動負債の増加の主な要因は、短期借入金が166億87百万円増加したことによるものであり、固定負債の増加の主な要因は、転換社債型新株予約権付社債が302億70百万円増加したことによるものであります。

(純資産の部)

純資産合計は1,998億67百万円で、前連結会計年度末に比べ258億14百万円の増加となりました。このうち株主資本は73億35百万円の増加、その他の包括利益累計額は168億77百万円の増加となりました。

 

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの資本の財源および資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。なお、当社グループの設備投資額は,2022年3月期の実績は465億円、2023年3月期は632億円を予定しております。また、株主還元については、連結純利益75%と単体純利益25%の合計額を配当の基礎となる利益額とし、2023年3月期はその35%を配当原資とする予定です。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結することで、資金の流動性を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益および費用の報告額に影響を及ぼす見積りおよび仮定を用いておりますが、これらの見積りおよび仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウィルス感染症に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 (追加情報)」に記載しております。

(のれんの減損処理)

当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、キャッシュ・フローが減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

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