文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、創業以来、「世の中に必要な人間となれ、世の中に必要なものこそ栄える」を企業理念として掲げ、常に世の中が求める新しい価値、お客様が求める価値の創造に努め、社会に貢献することを目指しています。
この観点から、株主様、お取引先様、従業員などからの信頼と期待に応えることが、会社繁栄の絶対条件と考え日々の事業経営に取り組んでおります。セグメントごとの事業内容は下記のとおりであります。
総合エネルギー事業は、全国のご家庭にMaruiGasブランドとしてお届けしている民生用LPガスや、工場で使用される産業用のLPガス・LNGを販売しています。また、カセットこんろ・ボンベや富士の湧水などの生活関連商品やガス関連機器・都市ガスの保安サービスなどをお客様に提供し、暮らしのインフラを支えています。特に民生用LPガスについてはLPガスの輸入から小売りまで一貫した供給体制をもち、全国展開している日本で唯一のLPガス事業者で、全国に約400ヶ所の拠点を有しており、その販売・物流・保安体制を活かし、きめ細やかで質の高いサービスを全国で提供しています。
産業ガス・機械事業は、エアセパレートガス(酸素・窒素・アルゴン)、水素、ヘリウム、炭酸ガス、半導体材料ガスや医療用ガスなどの産業ガス事業と、各種ガス製造・供給設備、FAシステム、溶接装置、半導体製造装置、環境機器などの機械事業を展開しています。長年培ってきた技術力と、ガス・機械の幅広いラインアップによりお客様のニーズに合わせた提案を行い、産業全体を支えています。
マテリアル事業は、樹脂原料や樹脂製品、ミネラルサンドなどの資源、ステンレスや非鉄金属、二次電池材料等、モノづくりに必要な原料・部材などを取り扱っています。環境商品等の成長分野への拡販や新商品の開発に加え、海外事業の強化に取り組み、事業規模の拡大を図っています。
自然産業事業は、液化窒素などの冷熱を利用した事業・商品開発の一環として冷凍食品の販売を行うとともに、種豚や農業および畜産設備などを販売しています。
2024年3月期を最終年度とする中期経営計画「PLAN23」では、テーマに「水素エネルギー社会の実現に向けて~事業の枠組みを超えた挑戦~」を掲げ、基本方針を「脱炭素社会に向けた戦略投資の強化」及び「デジタル化の推進」としています。「PLAN23」の経営数値目標としては、収益性や成長性、効率性を測る指標として経常利益、ROE(自己資本利益率)を採用しました。具体的な数値目標は2024年3月期において、経常利益400億円、ROE9%以上としております。また、主要な事業の成長を測る指標として、PLAN20に引き続き「LPガス直売顧客数」、「国内外カセットこんろ・ボンベ販売数量」、「エアセパレートガス販売数量」、「液化水素販売数量」の4指標を重要事業指標といたしました。
(3) 中長期的な経営戦略
当社は、基本方針の実現に資する取り組みとして、中期経営計画「PLAN23」を策定し、「脱炭素社会に向けた戦略投資の強化」と「デジタル化の推進」に取り組んでおります。
重点的には、基本戦略として、「脱炭素社会に向けた取り組み強化」、「エネルギー生活総合サービス事業者への進化」、「海外事業の拡大」の3項目を掲げ、これらの基本戦略に基づいて、投資や事業戦略を推進しております。
また、当社の利益配分に関する基本方針につきましては、安定的な配当により株主の皆様へ還元すると同時に、成長戦略を支えるための投資等に活用し、企業価値の最大化を図ることで株主の皆様のご期待に応えてまいります。
当社はこれらの取り組みを着実に実行し、「世の中に必要とされる企業」であり続けることにより、当社グループの企業価値の向上、ひいては株主共同の利益の実現に資することができるものと考えております。
今後の見通しにつきましては、資源価格の上昇や円安に加え、ウクライナ情勢の緊迫化により先行き不透明感が高まっているものの、新型コロナウイルスに対する行動制限の緩和により、緩やかな景気回復が続くと想定されます。
総合エネルギー事業は、引き続きLPガス直売顧客数の増加と販売数量の増量に努めます。また、LPガスや都市ガス顧客に対して、エネルギー関連機器の拡販を行うとともに、「イワタニゲートウェイ」を活用し、少子高齢化に伴う地域社会の課題解決につながる新サービスや、お客様のCO2排出削減をサポートする新たな事業を推進してまいります。カートリッジガス事業においては、中国に加え、タイなどの東南アジアや米国など海外事業の拡大に努めます。
産業ガス・機械事業は、国内外でエアセパレートガスの拡販やヘリウムの安定供給を図るとともに、液化水素の需要拡大に取り組みます。また、新たに連結子会社となるトキコシステムソリューションズ株式会社の技術力を活用し、水素関連の商品開発や水素ステーションのコスト削減を推進します。機械設備については、自動車、半導体、環境関連などの成長分野を中心に拡販し、事業規模を拡大してまいります。
マテリアル事業は、引き続き資源ビジネスにおいて安定供給に努めるとともに、低環境負荷PET樹脂、バイオマス燃料、二次電池材料などの環境商品の拡販を進めます。また、機能性フィルムを中心とした先端材料の拡販や、金属加工事業などの海外事業の強化に取り組み、事業規模の拡大を図ります。
自然産業事業は、一般消費者向け冷凍食品の拡販に加え、農業ハウス等の農業用施設、および養豚設備や種豚の販売拡大を図ります。また、新たにグループに加わった食品物流会社の機能を活用し、販路の拡大と物流コスト削減に取り組みます。
当社は1941年に水素の取り扱いを開始し、長い歴史に基づく経験とノウハウを有しています。液化水素の国内シェアは100%で、圧縮水素を含む水素の国内シェアは約70%となっております。水素事業は将来の資源エネルギー事業であり、大量で安価なCO2フリー水素源の獲得が最も重要だと考えています。当社グループは液化水素製造能力をさらに増強するとともに、再生可能エネルギーからの水素製造や海外からのCO2フリー水素の輸入などに取り組み、企業理念に沿った経営を進めてまいります。
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