当連結会計年度におきまして、売上高は1,625億52百万円(前年同期比13.3%増)、売上総利益は665億93百万円(同1.8%減)、営業利益は127億86百万円(同6.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は99億72百万円(同6.4%増)となりました。
前年度と比較して売上総利益及び営業利益の減少した主な理由は、ガス原料の高騰とガス機器の品不足です。新型コロナウイルスの影響により停滞していた経済活動の再開によるエネルギー需要の高まりに加え、第4四半期にはロシアによるウクライナ侵攻に端を発する供給懸念により、ガスの原料価格は一年を通じ上昇基調が続きました。ガスの原料価格の上昇分については、LPガス・都市ガスともに、適切に販売価格へ転嫁しておりますが、都市ガスにつきましては、お客様にご負担いただけるタイミングが来期以降となりますため(スライドタイムラグ)、売上総利益・営業利益が減少しております。一方、電気事業及びプラットフォーム事業は順調に顧客基盤を拡大し、利益の増加に貢献しております。「スペース蛍」や「夢の絆」、LPガスの「新配送システム」等も本格稼働し、DXの効果が経費削減という形で現れ始めました。キャッシュレス化を加速した戦略目的で保有していた株式の売却もあり、当期純利益段階においては過去最高益を更新する決算となりました。
当連結会計年度のセグメント別の概況は次のとおりであります。
[LPガス事業] (附帯事業としてLP機器・工事の他、プラットフォーム事業等を含む)
LPガス事業セグメントは、LPガス事業による売上高663億4百万円(前年同期比96億73百万円増)、売上総利益400億96百万円(同6億66百万円減)、附帯事業による売上高99億49百万円(同44億49百万円減)、売上総利益が32億89百万円(同2億95百万円減)となりました。
LPガス事業におきましては、原料価格上昇に伴い、今年度4月、10月、1月と3回の価格改定を実施し、適切に価格転嫁を行いました。営業につきましても、新型コロナウイルス感染拡大により営業活動が制限される中、自社社員の営業を強化することでお客様数を前期末から2.9万件積み重ね、94.6万件といたしました。原料高は、同業他社にとっても厳しい環境であります。当年度は同業他社の訪問を強化し、商圏買収も含め、高効率・高品質なオペレーションをご利用いただく共創関係のご提案を積極的にすすめております。
LPガスセグメントの附帯事業の売上総利益が減少いたしましたのは、電子部品の供給懸念を原因としたガス機器の品不足による売上の減少が要因です。 プラットフォーム事業は、新都市ガスプラットフォーム事業の他、アライアンス企業への保安、電気小売のプラットフォーム収益や、ガス器具のB to Bデジタルオーダーシステムである「タノミマスター」の収益等、各事業のサービス開始により売上総利益は前期と比較して2億円増大しております。
[電気事業]
電気事業セグメントは、売上高275億93百万円(前年同期比94億22百万円増)、売上総利益27億90百万円(同11億82百万円増)となりました。
電気事業による売上総利益の増加は、既存のガス利用のお客様を中心にセット販売で顧客を積み重ねていることによるものです。電気のセット率は前期末13.7%から当期末16.7%に上昇、お客様数は前期末より5.5万件増加の27.9万件となりました。当事業の電源調達は、東京電力グループとの提携によって、日本卸電力取引所における価格高騰などの影響を受けずに、安定した電源調達を実現しています。そのため、お客様へ電気を安定してお届けしながら、当社も安定した売上総利益の確保が可能となっております。
また、2022年2月には、実質再生可能エネルギー100%の新料金プラン「でガ割007」を販売開始いたしました。EV や太陽光発電のご利用にマッチする「でガ割 007」は、当社が目指すビジョン「スマートシティ構想」の第一歩であり、LPガス・都市ガス部門が地域密着で築いてきたお客さまとのつながりであるラスト・ワンマイルを担う現場力を活かし、販売を強化してまいります。
[都市ガス事業] (附帯事業として都市ガス機器・工事等を含む)
都市ガス事業セグメントは、都市ガス事業による売上高537億33百万円(前年同期比63億97百万円増)、売上総利益194億44百万円(同12億円減)、附帯事業による売上高49億70百万円(同19億81百万円減)、売上総利益が9億72百万円(同2億16百万円減)となりました。
都市ガス事業による売上総利益の減少は、原料価格の上昇基調を要因とした「スライドタイムラグ」のマイナス影響によるものであります。「スライドタイムラグ」とは、都市ガスの原料費調整制度によるもので、原料価格の変動が、先に売上原価に、後に遅れて売価(料金)に反映されることから、発生するタイムラグのことで、当期間は原料価格が上昇基調であったことから、スライドタイムラグで大きくマイナスの影響を受けております。
都市ガスセグメントの附帯事業の売上総利益が減少いたしましたのは、LPガス機器同様、ガス機器の品不足による売上の減少が要因です。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社は、株主資本の収益率「ROE」を財務上の最重要KPIと設定し、株主価値の増大に向け、ROEを目標の20%に向上させていく方針です。ROEを向上させる方策として、資産の収益性を高めるべく、新たに投下資本利益率(ROIC)をKPIとして設定し、その向上に努めております。収益性の高い資産(LPガスとIT)に集中して資本を投下しながら、一方で低収益資産の売却等をしてバランスシートの中身を入れ替え、加えて、資産を使わない電気事業セグメントに注力することにより、必要以上に総資産規模を膨らますことなく資産の収益力を高めています。また、資本の調達サイドでは、適正自己資本比率(45~50%)を設定し、この水準を超える株主資本(不要な資本)は持たず、適切に借入を活用することで、ROICの向上をダイレクトにROEにつなげてまいります。
手許資金は最低限とするべく、グループ内の資金についても、一元管理するキャッシュマネジメントシステムを導入するなど取組を続け、原則、仕入れ高の1か月+α程度を大きく超えないようコントロールしております。
当期末の資産の部は、1,538億と前期末より136億(9.8%増)増加。同期間の主な増加は、原料高に伴う売掛金の増加及び収益認識基準適用による売掛金(3月検針日から3月末日までの売上債権)の増加94億と、現金及び預金の増加45億によるものです。また、同期末の負債の部は、819億円と前期末から111億円増加(15.7%増)、内、有利子負債は459億円と前期末から44億円増やしております。同期間の主な増加は、原料高による買掛金の増加及び収益認識基準適用による買掛金の増加46億によるものです。純資産の部は、718億円と前期末から25億円(3.7%増)増大。増大した主な要因は、当期純利益の99億円が、株主還元総額89億円(配当53億円、自己株式の取得35億円)を上回ったことによるものです。デッドエクイティレシオは0.6倍、株主資本比率は46.7%と、財務基盤の安定性を確保しながらも、適切にレバレッジを活用することでROEを前期末13.6%から当期末14.1%に高めております。
当期末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ45億1百万円増加し、169億12百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュフローは、206億94百万円の収入(前年同期比46億26百万円増加)となりました。収入増加の主な要因は、法人税等の支払の減少(同15億52百万円)に加えて、売掛金債権の回収を早める取組みを行ったこと(同35億24百万円)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュフローは、87億92百万円の支出(同57億21百万円の減少)となりました。前連結会計年度で「夢の絆・川崎」等の大規模投資は一巡し、当連結会計年度は収益性の高いICT等に投資を集中いたしました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュフローは、74億7百万円の支出(同17億1百万円の増加)となりました。支出増加の主な要因は、借入の返済と配当金の支払の増加によるものです。
営業CFから投資CFを差し引いたフリーキャッシュフローは119億2百万円の収入(同103億47百万円増加)となり、財務CFの74億7百万円の支出を上回っております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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