事業等のリスク

 

2【事業等のリスク】

当該事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)リスク管理体制

当社は、リスクとは当社事業や業績にネガティブな影響を及ぼす可能性がある一方、企業価値につながり得る不確実性のことと認識しています。グループリスク管理委員会にて全社横断的にリスクを特定し、ネガティブな可能性には対策を講じ、機会には機動的な意思決定を行うことで新たな収益源の創出を図っております。中長期的に事業や業績に影響を与え得る課題については、ESG経営推進委員会(取締役会の諮問委員会)で専門性の高い議論を行った上で、取締役会にてマテリアリティとして項目を特定、全社対応方針を議論・決定しております(上記、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、(4)サステナビリティへの対応、①重要な課題(マテリアリティ)をご参照ください)。

 

<ガバナンス体制:グループリスク管理委員会>


 

(2)主要なリスク

①原料等の安定調達

当社はラストワンマイルでお客さまにエネルギーをお届けしており、輸入などの上流の事業は行っておりません。そのため他社からガスや電源等のエネルギーを調達する必要があります。

これに対して当社は、エネルギー毎にパートナーと調達関係を構築し、各エネルギーを安定的に調達しております。

 

LPガス

国内のLP ガス調達は輸入を前提としております。そのため原産国の政情等に起因する原料価格変動、為替レート変動の影響を受けます。これに対して当社は、複数の地域や取引先から調達を行い、リスクを分散しております。また、原料価格と為替レートの変動は販売価格へ転嫁が可能であり、中長期的に業績に大きな影響を与えません。

■都市ガス(LNG

当社は東京電力グループとの広範なアライアンス関係に基づき、同グループから都市ガスの原料を安定的に調達しております(一部除く)。また原料費の変動は「原料費調整制度」により、最大で5ヶ月後にはガス料金に反映されることとなっております(ただし、会計年度を超えて料金に反映される場合があるため、年度によっては原料費の変動が利益に影響する場合があります)。

■電源

当社は発電設備を保有しておらず外部から電源を調達する必要があります。当社は、都市ガスと同様、東京電力グループとの広範なアライアンス関係に基づき、販売する電源の全てを同グループから安定調達しております。卸電力市場の価格変動時も安定した利幅を確保することが可能です。

 

②事業環境の変化によるガス需要の減少

ガス販売量減少に対して当社は、お客さま件数を増やすとともに、ガスと電気のハイブリッドでお客さまにエネルギーをご提供し、電気販売量を増やすことで業績への影響をカバーしてまいります。中長期では、電気とガスをセットでご提供することを前提に太陽光発電設備、蓄電池としてのEV等の分散型エネルギー源設備(DER)を提供して各家庭のスマートハウス化を推進し、その上で、広く地域社会に対して最適なエネルギー利用を提案する、エネルギーソリューションへと事業を進化させてまいります。

<ガス需要に係るリスク>

・低炭素社会におけるガス販売量への影響

当社がお届けするLPガス・都市ガスは化石燃料であり、低炭素社会化への動きの中で需要が減少、販売量が影響を受ける可能性があります。

・気候変動によるガス販売量への影響

気温の上昇は、給湯・暖房向け需要を減らすため、ガス販売量の減少につながります。

・省エネ機器普及と電化によるガス販売量への影響

省エネ機器の普及と電化の浸透は世帯あたりガス販売量の減少につながります。

 

③大規模災害

台風、水害、地震等の災害が発生した場合、エネルギーの安定供給に支障を来す可能性があります。これに対して当社は、下記の各観点から対策を講じております。

■災害への事前対策

LPガスでは、マイコンメーター(※1)を100%設置、感震遮断弁設置のほか、張力式放出防止ホース(グラピタ)(※2)を標準仕様としております。都市ガスでは、業界に先駆けて耐震性に優れたポリエチレン製の導管の使用を進めてきました。当社では本支管の全て、グループ全体では99%がポリエチレン製の導管への入れ替えを完了しております。また平時より、災害マニュアル作成、定期的に実施する防災訓練、グループ会社間の広域支援体制確立、災害発生時に備えた緊急措置、緊急対応要員、緊急用資機材整備等、有事に迅速かつ安全な対応をなし得る体制を整えております。更に当社グループ全社が保有するガス設備に関する教育・訓練を行い、効率的な自社メンテナンス体制を確立し、安全・安定的にガスを提供しております。

※1  地震発生時等、異常発生時に自動でガスを止める機能を持つガスメーターのこと

※2  ボンベが転倒した際等、外部へのガス放出を防止する高圧ホースのこと

■災害発生時(緊急時対応・復旧対策)

大規模地震発生時はガスを自動停止、ガス供給設備の安全を確認し、異常が確認された場合は速やかに対応します。震度5以上では従業員が出動し、自主点検を行っております。災害時には優先電話等を確保し、お客さまからの連絡に対応します。スマホや衛星電話等で被害情報を迅速に収集・共有し、集めた情報にもとづき災害対策本部からの人員配置指示のもと早期の復旧対応を行っております。迅速な復旧対応への準備として、工事会社やメーカー等の協力会社と、災害時復旧対応の協力体制も確立しております。また、昨今の豪雨被害増加に伴い、ドローンによる上空からの設備状況点検の仕組みも導入しております。有事のエネルギー源の確保では、主要拠点にLPガスで稼働する自家発電機を整備、太陽光発電設置営業所では、災害時にEVバイク用のバッテリー(交換式)を緊急時の電源とし、地域の皆さまにもご利用いただける体制を整備しております。

■分散型エネルギー・スマートシティへの取組み

LPガスは災害に強い分散型エネルギーです。災害等でガスが遮断された場合も、各家庭に設置されたガスの供給設備に異常がないことが確認でき次第、早期の復旧が可能です。病院や学校等、災害発生時に速やかな復旧が求められる重要施設をあらかじめ把握し、優先的に供給再開します。通常、各お客さま宅にはボンベが2本設置されており、ガスが備蓄されている状態です。そのため、万が一の場合もガスボンベを備蓄エネルギーとして、そのままご使用いただくことが可能です。中長期では、太陽光や蓄電池、EV等の分散型電源を普及して広く分散型エネルギーネットワークを構築し、地域社会のエネルギーの最適利用を実現してまいります。

 

④感染症

感染症拡大は、当社の営業活動や安定的なエネルギーのご提供に影響を及ぼす可能性があります。これに対して当社は、お客さま・社員・取引先の健康と安全を第一に考え、グループリスク管理委員会を中心に感染予防や拡大防止対策を講じます。新型コロナへの対応では、時差通勤・在宅勤務・直行直帰の導入、毎日の体調把握や健康相談アプリを用いた体調管理、感染者発生の場合のBCP対策、原料や物流状況のモニタリング等を徹底、当社オペレーションに対する影響への管理を行いました。お客さまとのコミュニケーションや営業面では、YouTubeを使ったガス機器販売イベント等、コロナ禍で新たな方法を用いたコミュニケーションの構築に努めております。

 

⑤情報管理

当社は、事業活動を通じてお客さまの個人情報をお預かりしており、適切な管理は重要な責務です。万が一、情報漏洩が発生した場合は、当社の信用の失墜や損害賠償責任等、業績に影響が生じる可能性があります。これに対して当社は、個人情報保護法、各関係法令に則った「個人情報保護方針」、「情報セキュリティ基本方針」および社内規程を制定し、役員・社員(嘱託・パート含む)、当社が業務を委託する取引先を含めた関係者を対象に教育や研修を実施、適切な情報管理の徹底に努めております。加えて、部門横断的に情報管理を推進する体制「情報セキュリティ対策チーム」を設置し、各種セキュリティ対策やインシデント(セキュリティを脅かす事象)への対応マニュアル策定、インシデント未然防止のための注意喚起や教育・研修の実施、サイバー攻撃等の有事が生じた場合には迅速かつ適切に対処できるよう、必要な情報管理の体制を整備し、適切に取り組んでおります。

 

⑥システム運用

当社はDXに積極的に取り組み、IoTでオペレーション上のあらゆるデータを統合的に収集、AI解析を行うことで業務の最適化を図っております。また当社は、異業種も含む他社との連携による新たなお客さまサービスの創出を目指しており、システムの不具合は当社オペレーションにおいてリスクとなる可能性があります。これに対して当社は、事業面を理解した人材が、他社と協業し、ビジネスに必要不可欠な機能を備え、かつ高い安全性に担保されたデータ連携の仕組みを構築しております。またIT先進国エストニアの暗号化認証技術X-ROADやブロックチェーン、次世代暗号化通信(エンドツーエンド暗号化)技術等を取り入れ、全てのデータのアクセスの正当性を都度確認する高度なネットワークセキュリティシステムを構築し、お客さまの意思に基づくデータの取り扱いを可能としております(データの民主化)。

 

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