文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年5月26日)現在において当社グループが判断したものです。
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響により、依然として厳しい状況が続きました。感染の収束が期待される一方、断続的な感染拡大に伴う緊急事態宣言等の発令など、社会・経済活動の本格的回復には至らず、年明けより再び新たな変異型ウイルスへの感染が拡大し、依然として先行きは不透明であることに加え、ロシアのウクライナ侵攻などの地政学的リスクの高まりにより先行きの不透明感はかつてないほど強まる状況となっています。
このような状況の下、当社グループにおいて、2021年4月に策定・公表した「第二次中期経営計画(2022年2月期から2026年2月期の5カ年)」において、創業から取り組む地域への貢献をより深めるという想いから、経営理念を「社員が誇りと喜びを感じ、地域とお客さまの生活に貢献し続ける」へと刷新し、これを念頭に10年後のありたい姿として地域と共創する2030年長期ビジョンを定めました。主力の小売事業においては、急激に変化する環境に対応すべく、「SM改革」、「GMS改革」および「グループ経営の強化」に取り組み、これらの各戦略をDXの推進により支援するとともに、「ESG戦略」も推し進めていくこととしています。特にコーポレート・ガバナンス体制の強化においては、企業価値の向上を図るとともに、多様性の確保を推進するため、独立社外取締役を増員するとともに、株式報酬制度を導入しました。さらに、気候変動などの地球環境問題、人権、従業員の健康・労働環境への配慮などの経営課題を認識し取り組むため、サステナビリティ委員会を組成し、推進・実行する体制を整えました。
また、外部環境変化への対応として、厳しい状況が継続する新型コロナウイルス感染症への対策については、緊急事態宣言等の発令を受け、各自治体からの要請に沿って、一部売場を除き営業時間を短縮し、感染拡大が深刻であった福岡県等では、一部売場を土日休業としました。店舗においては、買い物かご除菌装置の導入拡大、非接触ニーズへの対応としてセルフレジ及びセミセルフレジのご利用推進、ワクチン接種会場の提供ならびに従業員・その他地域の皆様へワクチンの職域接種の参加を呼び掛けるなど、地域とお客さまの安全・安心のための取り組みを強力に推し進めました。さらに、売場内における三密によるお客様の不安心理を払しょくするため、休日型から平日型へ集客策を見直すことで、お客様の利便性向上を図るとともに、各自治体からの休業・時短要請などにより不安定となりやすい店舗稼働状況に柔軟に対応するコスト構造の実現に努め、筋肉質な経営体質の維持・向上に努めました。加えて、下期以降、ウィズコロナへの消費者の行動変容にフレキシブルに対応するため、顧客関係強化を図るとともに、地域との共創による売場改革に取り組みました。
これらの結果、当期の営業成績は以下のとおりとなりました。
営業成績の主な増減要因
営業収益は前期比2,977百万円(0.4%)減少し、676,800百万円となりました。これは、主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けつつも、感染対策を講じながら各地域の状況に応じた経営を行い、大型商業施設への客数の戻りがみられた一方、昨年の巣ごもり需要が一巡し食品スーパーの収益が減少したこと等によるものです。
売上総利益は、145,943百万円(前期比1,523百万円減)となりました。売上高対比では22.7%となり前期に比べて0.1ポイント低下しました。これは、主に当社において直営部門の在庫圧縮及びロス削減等に努めた一方、荒利率の低い専門店の売上が増加し、それにより相対的に荒利率の高い直営部門の売上構成が低下したこと等によるものです。
販売費及び一般管理費については、筋肉質な経営体質の定着に努め、コスト構造の最適化を図り、前期比1,045百万円(0.7%)減少の144,745百万円となりました。売上高対比では22.5%となり前期に比べて0.1ポイント低下しました。
これらの結果、営業利益は前期比1,064百万円(3.0%)減少の34,717百万円となり、売上高対比は5.4%と前期に比べて0.1ポイント低下しました。
営業外収益は、前期比293百万円(15.5%)減少の1,600百万円となりました。一方、営業外費用は、持分法による投資損失290百万円等を計上し、前期比24百万円(1.5%)増加の1,621百万円となりました。
これらの結果、経常利益は前期比1,381百万円(3.8%)減少の34,696百万円となりました。売上高対比は5.4%と前期に比べて0.2ポイント低下しました。
特別利益は、段階取得に係る差益355百万円及び助成金収入267百万円等を計上し1,039百万円となりました(前期比2,570百万円の減少)。一方、特別損失は、減損損失601百万円、賃借契約損失引当金繰入額456百万円及び感染症関連損失140百万円等を計上し1,456百万円となりました(前期比3,379百万円の減少)。
法人税等は10,758百万円となりました(前期比452百万円の増加)。
非支配株主に帰属する当期純利益は317百万円となりました(前期比1,175百万円の減少)。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比150百万円(0.7%)増加の23,204百万円となりました。売上高対比は3.6%と前期に比べて横ばいとなりました。
■営業利益
当社グループは、2021年4月に策定・公表した「第二次中期経営計画(2022年2月期から2026年2月期の5カ年)」において、創業から取り組む地域への貢献をより深めるという想いから、経営理念を「社員が誇りと喜びを感じ、地域とお客さまの生活に貢献し続ける」へと刷新し、これを念頭に10年後のありたい姿として地域と共創する2030年長期ビジョンを定めました。主力の小売事業においては、急激に変化する環境に対応すべく、「SM改革」、「GMS改革」および「グループ経営の強化」に取り組み、これらの各戦略をDXの推進により支援するとともに、「ESG戦略」も推し進めていくこととしています。
また、外部環境変化への対応として、厳しい状況が継続する新型コロナウイルス感染症への対策については、緊急事態宣言等の発令を受け、各自治体からの要請に沿って、一部売場を除き営業時間を短縮し、感染拡大が深刻であった福岡県等では、一部売場を土日休業としました。店舗においては、買い物かご除菌装置の導入拡大、非接触ニーズへの対応としてセルフレジ及びセミセルフレジのご利用推進、ワクチン接種会場の提供ならびに従業員・その他地域の皆様へワクチンの職域接種の参加を呼び掛けるなど、地域とお客さまの安全・安心のための取り組みを強力に推し進めました。さらに、売場内における三密によるお客様の不安心理を払しょくするため、休日型から平日型へ集客策を見直すことで、お客様の利便性向上を図るとともに、各自治体からの休業・時短要請などにより不安定となりやすい店舗稼働状況に柔軟に対応するコスト構造の実現に努め、筋肉質な経営体質の維持・向上に努めました。加えて、下期以降、ウィズコロナへの消費者の行動変容にフレキシブルに対応するため、顧客関係強化を図るとともに、地域との共創による売場改革に取り組みました。
これらの取り組みに対して販売動向は、前期からの新型コロナウイルス感染症の影響が一巡し、消費環境には一時回復傾向が見られましたが、再び断続的な感染拡大に伴う緊急事態宣言等の発令、変異株ウイルスの流行など、社会・経済活動の本格的回復には至らず、先行き不透明な状況が継続しています。また、夏場の記録的な大雨・長雨・低気温などの天候不順なども加わり消費環境は低調に推移しました。
春先には、アパレルや昨年休業を余儀なくされた専門店テナントを中心に、苦戦した分野で回復が見られましたが、感染再拡大を受けた一部店舗での土日休業や販促企画の中止などもあり、一昨年までの水準には及ばず苦戦が続きました。食品については、特需の反動や、巣ごもり需要も昨年ほど活発化しなかったことで、素材系食材やストック商品が伸び悩んだ一方、惣菜や刺身といった簡便・即食商品は伸長しました。4月には「DX」の大きな柱の一つであるスマートフォン・アプリを全面リニューアルし、新規顧客の獲得および既存顧客との関係を一段と強化する取り組みに着手しました。新しい「ゆめアプリ」には、バーコード決済やデジタルクーポン等の新機能を付加し、今後、個人別販促の主なツールとして活用することとしています。夏場に入り、5月中旬からの緊急事態宣言等が7月上旬に明けること、ワクチン接種が進展している地域ごとに人出が回復するとの想定を好機と捉え、特にライフスタイル領域における生活の正常化へ向けた需要への対応を図りました。一方、変異株ウイルスの流行を伴う感染拡大による緊急事態宣言等の発令がなされたことから、盆時期の帰省客の減少、記録的な大雨・長雨・低気温などの天候不順も重なったことも相まって、特に大型商業施設への人出が大きく減少しました。秋口以降、9月30日まで続いた緊急事態宣言等の解除やワクチン接種が進んだことにより大型商業施設への人出も徐々に活発化し、不振の続いたアパレル・飲食業態の売上が回復しました。冬場には、前期の年末年始において感染拡大で帰省が自粛された一方、当期の年末年始には帰省などの移動需要復活、休暇を故郷で過ごすハレの日消費も回復したことで、大型商業施設を中心に人出が増加しました。一方、年明け以降の変異型ウイルスの急激な感染拡大により、出店12県のうち11県にまん延防止等重点措置が発出されたことで外出の自粛傾向は強まりました。
これらの結果、当期における当社の既存店売上高は、前期比で1.1%増となりました。
コスト面では、在庫コントロールや販促最適化などの精度向上に取り組み、商品ロスの低減、人時生産性の向上に繋げるとともに、各自治体からの休業・時短要請などにより不安定となりやすい店舗稼働状況に柔軟に対応するコスト構造の維持・向上に努め、筋肉質な経営体質の定着に努めました。
これらの結果、営業収益は656,914百万円(前期比0.5%減)、営業利益は29,589百万円(前期比5.2%減)となりました。
小売周辺事業では、金融事業の株式会社ゆめカードにおいて、電子マネー「ゆめか」及びクレジットカードの新規会員獲得、並びに小売事業の主力業態「ゆめタウン」などの入居テナントをはじめとした外部加盟店での取扱いを推進するとともに取扱高の拡大を図りました。また2021年4月の「ゆめアプリ」リリースに合わせ、新規カード会員の獲得にも注力しました。これにより、「ゆめか」の累計発行枚数は前期末における852万枚から当期末では899万枚となり、当社グループにおけるカード戦略を深化させました。施設管理事業の株式会社イズミテクノにおいては、グループ各社の店舗リニューアル工事が工事部門の営業収益の押上げに寄与し、公共施設等の指定管理業務も回復傾向に転じたことで、堅調に推移しました。また、飲食事業のイズミ・フード・サービス株式会社においては、時短営業や一部店舗の土日休業などの影響を受けた一方、昨年に比べその範囲は限定的であったことなどから、増収となりました。
これらの結果、営業収益は96,419百万円(前期比1.7%増)、営業利益は4,321百万円(前期比25.0%増)となりました。
卸売事業では、前期のマスク特需の反動や緊急事態宣言の影響等により、販売が低調に推移したことで利益水準が低下しました。また、不動産賃貸事業では安定的な賃料収入を計上しました。
これらの結果、営業収益は5,079百万円(前期比4.1%減)、営業利益は1,004百万円(前期比14.4%減)となりました。
当期末における総資産、負債及び純資産の残高、前期末対比の増減額及び主な増減理由は以下のとおりです。
総 資 産
・当期の現金及び預金は、前期末日が銀行休業日であったために仕入債務等の資金決済が当期に持ち越されたこと等により13,685百万円減少しました。
・当期の設備投資額は14,118百万円であり、これは主に既存店舗の活性化、DX投資及び店舗新設に係る先行投資等によるものです。有形固定資産は、減価償却実施後で1,171百万円減少しました。
・流動資産その他は、前期末日が銀行休業日であったために売上預け金の入金が当期に持ち越されたこと等により3,914百万円減少しました。
・支払手形及び買掛金は、前期末日が銀行休業日であったために買掛金の資金決済が当期に持ち越されたこと等により17,669百万円減少しました。
・未払金は、設備未払金の減少及び前期末日が銀行休業日であったために未払金決済が当期に持ち越されたこと等により6,646百万円減少しました。
・短期借入金及び長期借入金は、10,043百万円減少しました。
・利益剰余金は、内部留保の上積みにより17,048百万円増加しました。
・これらの結果、自己資本比率は53.0%となり、前期末の47.5%に比べて5.5ポイント上昇しました。
当期におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フロー
・主な収入項目は、税金等調整前当期純利益34,280百万円、減価償却費16,138百万円です。
・主な支出項目は、仕入債務の減少額17,669百万円及び法人税等の支払額12,694百万円です。
投資活動によるキャッシュ・フロー
・主な収入項目は、有形固定資産の売却による収入1,305百万円です。
・主な支出項目は、有形固定資産の取得による支出13,998百万円です。これは主に、前期における惣菜工場の新設等に係る設備未払金の決済や当期の既存店舗の活性化、DX投資及び店舗新設に係る先行投資等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フロー
・主な収入項目は、短期借入金の増加額8,288百万円です。
・主な支出項目は、長期借入金の返済による支出19,943百万円及び配当金の支払額6,154百万円です。
以上の結果、現金及び現金同等物の残高は、前期末対比13,685百万円減少し、11,621百万円となりました。
当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当期における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれていません。
「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
当社グループのキャッシュ・フローの状況は、「(1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりです。
(注)1.各指標の算出方法は以下のとおりです。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利息の支払額
2.いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
3.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
4.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローから営業活動による債権債務の増減額を除いたものを使用しています。利息の支払額は、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
当社グループの運転資金需要は、主に商品・原材料仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。また、投資資金需要は、前期における惣菜工場の新設等に係る設備未払金の決済や当期の既存店舗の活性化、DX投資及び店舗新設に係る先行投資等によるものです。これらに対しては、営業キャッシュ・フロー及び金融機関からの借入れ等により充当しており、当連結会計年度における有利子負債残高は99,366百万円です。
なお、当社グループは第二次中期経営計画(2022年2月期から2026年2月期)に基づき、経営環境の激変リスクに備えつつ、5年間の総投資1,500億円を予定しており、その投資資金には自己資金及び有利子負債を活用します。
また、当社は日本格付研究所(JCR)から信用格付を取得しています。本報告書提出時点において、「長期発行体格付:A+(見通し:安定的)」となっており、水準の維持を目安とします。
今後の見通しにつきましては、人口動態等のマクロ環境変化に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大動向や終息時期が見通せないことに加え、これらによる社会・経済活動への停滞から雇用・所得環境の悪化や消費マインドの低迷が長期的に継続しています。また、エネルギー価格の高騰、ロシアのウクライナ侵攻などの地政学的リスクの高まりにより先行きの不透明感はかつてないほど強まる状況となっています。
このような状況の下、当社グループは2021年4月に公表した「第二次中期経営計画(2022年2月期から2026年2月期)」を遂行してきました。創業から取り組む地域への貢献をより深めるとの想いから策定した経営理念「社員が誇りと喜びを感じ、地域とお客さまの生活に貢献し続ける」を念頭に、2030年長期ビジョンとして定めた10年後のありたい姿を地域のステークホルダーの皆様と共創してまいります。また、小売業界の厳しい経営環境をむしろチャンスと捉えることでさらなる企業成長に繋げ、企業価値の向上を果たしてまいります。
これらにより、お客様の満足を実現するとともに、地域ドミナントの更なる拡大・深耕を図っていくことで、経営効率を高め、より一層の企業成長に繋げてまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたりまして、当社経営陣は決算日における資産・負債の数値、並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、継続して可能な限り正確な見積りと適正な評価を行っていますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
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