業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  (1)経営成績の概況

 当連結会計年度(2021年3月1日~2022年2月28日)におけるわが国の経済状況は、新型コロナウイルスの感染拡大による2度にわたる緊急事態宣言を背景に、経済活動が大きく抑制されました。世界的な半導体不足や東南アジアでの感染の拡大による生産体制の縮小などが、個人消費や輸出、設備投資を押し下げたこともあり、7-9月期の実質GDPは前期比0.8%のマイナス成長となりました。一方で、9月末の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の全面解除後は、サービス消費の回復を背景に個人消費が増加したことなどもあり、10-12月期の実質GDPは前期比4.6%のプラス成長となりました。しかしながら、1月以降は感染者数が大幅に増加し、一部の地域ではまん延防止等重点措置が発令されるなど、経済活動は再び抑制されました。

 当社グループを取り巻く環境は、上期(3月-8月)は、新型コロナウイルス新規感染者数の増加による消費者の感染拡大への警戒感の高まりに加え、国や自治体による感染拡大防止対策により人流が抑制され、また、一部のショッピングセンターでは休業と時短営業を実施するなど厳しい状況となりました。下期(9月-2月)は、行動制限が緩和された10月以降、衣料・住関連品やテナント、飲食業の業績は緩やかな回復基調となったものの、1月以降は感染者数の増加に伴い厳しい状況に転じました。このように、感染状況が拡大と鎮静化を繰り返したことで、年度を通して先行き不透明な状況が続きました。

 このような環境下において、当社グループは、引き続きお客様及び従業員の安全・安心の確保に注力するとともに、コロナ禍で続く巣ごもり需要、非接触化や「3密」回避など定着しつつある新しい生活様式への対応を推し進めました。また、商品管理を徹底し、廃棄ロスや在庫の削減に取り組みました。加えて、前期コロナ禍による需要変化により業績が悪化した飲食業を始めとする子会社においては、事業構造の再構築を進めました。

 以上の結果、当連結会計年度の営業収益は3,208億67百万円(前年同期比1.7%増)、営業利益は73億75百万円(前年同期比23.3%増)、経常利益は99億45百万円(前年同期比24.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、同期間において、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、保有する固定資産についての将来の回収可能性を検討した結果、店舗等に係る減損損失として33億32百万円計上したことで、39億37百万円(前年同期比5.8%減)となりました。

 

 セグメント別の状況は、次のとおりです。

 (小売事業)

 当社グループは、地域との繋がりを大切にし、お客様と地域のくらしを支え、「この街に、あってよかった。」と思っていただける店舗づくりを目指すとともに、お客様視点で考え行動できる企業文化の構築を進めています。また、ESG経営を推進し、「脱炭素社会の実現」「循環型社会の実現」「地域との共生」に取り組むことで、持続可能な社会の実現を目指しています。

 中核事業と位置付けるスーパーマーケット事業は、お客様の期待を上回る新しい提案があふれ、より安全で利便性の高い「最新店舗」づくりを目指し、既存店の活性化及び新規出店による成長と拡大を進め、それらを支えるべくサプライチェーンの整備やデジタル化の推進など、事業インフラの再構築を進めました。また、コロナ禍における需要変化への対応を継続するとともに、安さへのさらなる対応などにも注力したこともあり、堅調に推移しました(売上高前年同期比2.6%増)。直営の衣料・住関連品は、お客様のニーズに合わせた売場の拡縮などに取り組むことで販売効率を高め、また、商品展開期間を短縮することで在庫の削減を図り、荒利益率の改善に取り組みました。業績は、外出自粛や、休業・時短営業の影響を受けながらも回復基調にありましたが、1月以降は厳しい状況となりました。テナントは、大型リニューアルが完了したエミフルMASAKIが寄与しました(直営の衣料・住関連品売上高前年同期比3.0%減、テナント売上高前年同期比2.1%増、エミフルMASAKI売上高前年同期比14.8%増)。

 店舗においては、3月にフジ古市店(広島市安佐南区)、7月にフジ戸坂店(広島市東区)、9月にフジ四国中央店(愛媛県四国中央市)を新設しました。また、4月にはフジグラン東広島(広島県東広島市)、6月にはピュアークック己斐上店(広島市西区)、10月にはフジ藤原店(愛媛県松山市)、ニチエー三吉店(広島県福山市)、11月にはフジグラン西条(愛媛県西条市)、フジ垣生店(愛媛県松山市)、ピュアークックあさひが丘店(広島市安佐南区)の改装を実施しました。

 また、エミフルMASAKI(愛媛県伊予郡松前町)においては、7月に別棟アミューズメント施設がオープンし、2020年夏から1年をかけて進めてきた大規模リニューアルの全工程が完了しました。

 加えて、環境に関する取り組みとして、食品ロスを削減するため、家庭等で余剰となった食品を店舗に持ち寄っていただき、フードバンク関連支援団体を通じて福祉団体等にお届けするフードドライブ活動を19店舗で開始しました。また、CO2排出量削減を目的に自家消費型太陽光パネルの店舗への設置を進めており、当期間において30店舗への工事が完了し合計33店舗での稼働となりました。フジ直営店舗においてCO2排出量約4,000tの削減を見込みます。併せて、より節電効果の高い大型空調設備や冷蔵ケースを店舗改装に伴い導入し、さらなるCO2排出量の削減にも取り組みました。

 ノンストアリテイル事業は、地域の高齢化やEC利用の拡大を背景に、お客様や地域からのニーズがますます高まっています。移動スーパーは事業を拡大しており、第3四半期連結累計期間にサービスを開始した7店舗に加えて、12月にフジグラン宇部(山口県宇部市)でサービスを開始しました。合計27店舗を拠点に48台144ルートでサービスを提供しています。ネットスーパーは、さらなる利便性の向上を目指し、9月に、ネットスーパーで注文した商品を店舗の駐車場やサービスカウンターで受け取ることができる「ぱぱっと受取りサービス」を開始しました。一方で、ネットショップは、利便性の向上や損益の改善を目指し再構築を進めています(移動スーパー売上高前年同期比35.0%増、ネットスーパー売上高前年同期比0.9%減、ネットショップ売上高前年同期比64.5%減)。

 DVD・CD・書籍の小売及びレンタル業では、お客様ニーズの変化に対応すべくカードゲームや文具などの新規アイテムを導入することでさらに便利でお楽しみいただける店舗を目指し、6月にTSUTAYA藤原店(愛媛県松山市)を改装しました。加えて、縮小するレンタル市場への対応として8月にTSUTAYA北宇和島店(愛媛県宇和島市)を閉店しました。

 これらの結果、小売事業の営業収益は3,157億51百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益は63億42百万円(前年同期比1.1%増)となりました。

 

  (小売周辺事業)

 食品製造・加工販売業では、店舗損益モデルの再構築、人材とデジタル活用による生産性の向上などに取り組んでいます。商品構成の再構築とブランド化の推進に取り組み、業績は堅調に推移しました。

 青果卸売業では、前期に新築したセンターの出荷高増、安定稼働に注力しました。また、ふるさと納税返礼品や他社小売店への出荷など販路拡大にも取り組み、業績は堅調に推移しました。

 飲食業では、8店舗を閉店するなど不採算事業と店舗の改廃を実施する一方で、新業態による新規出店を進めており、3月にこだわりとんかつ専門店「咲々亭(さくさくてい)」(愛媛県伊予郡松前町)、2月に幅広い世代に気軽にご利用いただけるニュースタイルの焼肉店「焼肉食堂炎蔵(えんぞう)夏目店」(愛媛県松山市)をオープンしました。また、近隣にショップがなく購入の機会が少ないお客様のニーズに応えるべく、9月に「ミスタードーナツ移動販売車」による販売をスタートしました。店舗の改廃を進めるレストラン事業は引き続き厳しい状況にあるものの、好調に推移するファストフード事業が寄与し、業績は回復基調です(営業収益前年同期比1.3%増)。

 総合フィットネスクラブ事業では、会員様に安心してご利用いただける環境を整えるべく、引き続き感染防止対策の徹底に取り組みつつ、収益性と財務体質の改善を図っています。しかしながら、休会会員様の復帰や新規会員様の入会状況から、コロナ禍前の水準への回復は時間を要する見込みです(営業収益前年同期比12.9%増)。

 クレジットカード事業では、ファイナンス収益と保険のシェア拡大に取り組んでいます。キャッシュレス決済へのニーズの高まりを受け、業績は堅調に推移しました。

 これらの結果、小売周辺事業の営業収益は363億33百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は10億81百万円(前年同期比1,582.3%増)となりました。

  (その他)

 一般旅行業では、コロナ禍で国内外の旅行需要が低迷するなかで、近場の旅行需要への対応に注力しました。また、地域交流事業など新たな事業領域を確立すべく、「道の駅ふたみ」(愛媛県伊予市)の管理運営業務を5月より開始し、また、7月にはPC、スマートフォン、タブレットがあれば自宅で体験できるオンラインツアーやイベントの販売を開始しました。業績はコロナ禍以前には至らぬものの、回復基調です(営業収益前年同期比47.0%増)。

 総合ビルメンテナンス業では、事業基盤の確立とコスト管理、価格競争力と提案営業力の強化に取り組んでいます。しかしながら、企業の設備投資減少などの影響を受け、業績の回復は遅れています。

 これらの結果、その他事業の営業収益は78億64百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益1億28百万円(前年同期は営業損失1億77百万円)となりました。

 

 (注) セグメント別の営業収益には、売上高及び営業収入を含め、セグメント間の取引も含めています。また、記載金額には、消費税等を含めていません。

 

 

(売上及び仕入れの状況)

 ①セグメント別売上高

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

小売事業

293,010

1.5

小売周辺事業

10,162

2.0

その他

1,650

8.6

合計

304,822

1.6

 

(注) 1 上記金額には、消費税等を含めていません。

2 上記金額は、セグメント間の取引を消去しています。

 

 ②商品部門別売上高

 

商品部門別

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食料品

163,639

2.5

衣料品

15,537

△3.0

日用雑貨品その他

25,301

△4.1

外食

9,401

1.1

テナント

90,943

2.5

合計

304,822

1.6

 

(注) 上記金額には、消費税等を含めていません。

 

 ③セグメント別仕入高

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

小売事業

212,240

1.6

小売周辺事業

16,963

4.5

その他

1,010

9.4

合計

230,214

1.8

 

(注) 1 上記金額には、消費税等を含めていません。

2 上記金額は、セグメント間の取引を消去しています。

 

 

(2)財政状態の状況の分析

当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末から59億64百万円減少し、1,749億72百万円となりました。前連結会計年度末からの減少の主な原因は、減損損失の計上等により有形固定資産が23億22百万円、無形固定資産が12億61百万円が減少しました。また保有株式の時価評価等で投資有価証券が16億65百万円減少した一方で、繰延税金負債も減少したため、繰延税金資産との相殺額が減少し、繰延税金資産は8億56百万円増加しました。

負債の残高は、前連結会計年度末から73億77百万円減少し、796億36百万円となりました。前連結会計年度末からの減少の主な原因は、前連結会計年度末日が金融機関休業日の影響で未払金が45億8百万円、支払手形及び買掛金が9億37百万円減少しました。一方で、リース債務については、新設店舗の影響で7億18百万円増加しました。

純資産の残高は、前連結会計年度末から14億13百万円増加し、953億36百万円となりました。前連結会計年度末からの増加の主な原因は、利益剰余金が29億87百万円増加しました。一方で、保有株式の時価評価等でその他有価証券評価差額金は15億72百万円減少しました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、税金等調整前当期純利益62億6百万円に含まれる非資金項目の減価償却費67億64百万円、減損損失33億32百万円の調整、また法人税等の支払が32億84百万円あったこと等により、86億31百万円の収入(前年同期は125億98百万円の収入)となりました。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、有形及び無形固定資産の取得(設備関係支払手形決済等を含む)による支出が67億66百万円があったこと等により64億78百万円の支出(前年同期は82億80百万円の支出)となりました。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、長期借入金の返済による支出が76億17百万円、配当金の支払額が8億61百万円、また長期借入金による収入が70億円あったこと等により27億12百万円の支出(前年同期は18億43百万円の支出)となりました。

以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は125億円となり、期首から5億59百万円減少しました。   

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

 

2018年2月

2019年2月

2020年2月

2021年2月

2022年2月

 

自己資本比率(%)

52.4

53.3

51.3

51.8

54.4

 

時価ベースの自己資本比率(%)

53.3

46.4

35.7

38.2

68.6

 

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.1

2.4

2.4

2.4

3.4

 

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

41.2

43.3

63.7

52.7

34.3

 

    (注) 1 各指標の算出方法は以下のとおりです。

          自己資本比率:自己資本/総資産

          時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

          キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

          インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

       2 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

       3 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。

       4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象
         としています。

 

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金の源泉は、主に自己資金と営業活動によるキャッシュ・フローであり、主要な運転資金需要は、商品仕入代金や人件費等の販売費及び一般管理費です。また、投資を目的とした資金需要は、店舗の新規出店、既存店の改装、システム入替や新規導入等に伴うものであり、自己資金や営業活動によるキャッシュ・フローで不足した資金については、計画に基づき金融機関からの長期借入金により調達しています。

 

(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えています。

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候のある資産または資産グループについては、当該資産または資産グループ(店舗を基本単位とする)から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失額として計上しています。減損処理に使用する将来キャッシュ・フローの見積り額については、当該店舗等に係る需要予測、競争環境の変化、施策方針の変更、人員配置の見直し等による販売費及び一般管理費の改善策を織り込み算定しています。なお、減損損失の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討していますが、事業計画の変更や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、見積り額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価については、決算時点で入手可能な情報やタックス・プランニングに基づき合理的に判断していますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しているため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産は減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

 

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