業績等の概要
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
業績面については、当連結会計年度の売上高は844億27百万円(前期比38億85百万円増 4.8%増)、営業利益は11億40百万円(前期比14億27百万円減 55.6%減)、経常利益は19億66百万円(前期比13億82百万円減 41.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億24百万円(前期比8億37百万円減 37.0%減)となりました。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による事業活動への影響は、前期に比べて縮小しているものの、ベトナムにおいて、昨年7月から10月まで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のための移動制限やロックダウン等の規制が強化され、その対応のため従来の生産活動に多大な影響を受け、一過性の費用を大幅に計上しております。なお、現時点では、それらの規制は緩和されております。
また、当連結会計年度より適用している企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下、収益認識会計基準)において、前期までの会計基準と比較した場合の影響額は以下のとおりです。
・売上高:14億40百万円の減少
・営業利益:11百万円の増加
売上高が前期比38億85百万円増加した要因は、以下のとおり情報システム関連事業を除く5つの事業セグメントの増加によるものであります。
・エネルギー関連事業 +15億14百万円
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 +14億86百万円
・化学品関連事業 +9億84百万円
・住宅設備機器関連事業 +8億13百万円
・空調設備工事関連事業 +6億5百万円
・情報システム関連事業 △23億54百万円
営業利益が前期比14億27百万円減少した要因は、以下のとおり空調設備工事関連事業を除く5つの事業セグメントの減少によるものであります。
・樹脂・エレクトロニクス関連事業 △6億19百万円
・情報システム関連事業 △3億47百万円
・化学品関連事業 △3億8百万円
・住宅設備機器関連事業 △1億54百万円
・エネルギー関連事業 △58百万円
・空調設備工事関連事業 +74百万円
経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の減少を主要因に減少しました。
(セグメントの状況)
営業利益の大きいセグメントの順に記載いたします。
セグメントごとの当社事業部門および子会社・関連会社につきましては、「第1 企業の概況」の「3.事業の内容」をご参照ください。
<空調設備工事関連事業>
受注高は、北陸地区において複数の大型新築工事を受注できたことから、前期比0.1%増の137億63百万円となりました。
売上高は、首都圏においてリニューアル工事が順調に進捗したことに加えて、ベトナムにおける設計・積算業務の受託も好調であったことから、前期比4.5%増の140億57百万円となり、営業利益は、前期比6.3%増の12億67百万円となりました。
なお、空調設備工事関連事業における収益認識会計基準適用の影響額は、以下のとおりです。
・売上高:17百万円の増加
・営業利益:2百万円の増加
<化学品関連事業>
国内における化成品販売については、顧客の稼働が全般的に増加したことおよび新規開拓を順調に進捗できたことから、売上高は増加しました。
医薬品原薬については、収益認識会計基準適用の影響に加えてジェネリック医薬品業界におけるサプライチェーンの混乱があったこと、前期にスポットで大型の原薬供給案件があったことから、売上高は減少しました。
機能性素材の受託製造については、顧客との取引は増加したものの、収益認識会計基準適用の影響により、売上高は減少しました。
環境ビジネスについては、メタル回収における取扱量が増加したことから、売上高は増加しました。
ベトナムにおける化成品販売については、ベトナム北部および南部における既存顧客の稼働が増加したことから、売上高は増加しました。
以上により、全体の売上高は、前期比2.9%増の344億54百万円となりました。一方、営業利益は、ジェネリック医薬品業界におけるサプライチェーンの混乱による売上高総利益率の低下を主要因に前期比20.2%減の12億17百万円となりました。
なお、化学品関連事業における収益認識会計基準適用の影響額は、以下のとおりです。
・売上高:10億79百万円の減少
・営業利益:影響なし
<情報システム関連事業>
受注高は、首都圏において大型システム案件の受注があったものの、北陸地区において前期に文教関連案件や基幹システム更新案件の大型受注があったことから、前期比13.5%減の101億23百万円となりました。
売上高は、同様の理由により、前期比22.7%減の80億29百万円となり、営業利益は、九州地区への新たな進出や西日本地区の体制強化などにかかる先行投資を行ったことから、前期比26.8%減の9億51百万円となりました。
なお、情報システム関連事業における収益認識会計基準適用の影響額は、以下のとおりです。
・売上高:97百万円の減少
・営業利益:15百万円の減少
また、2022年3月末時点での「POWER EGG®」の導入実績は前期比42社増の1,468社となり、累計ライセンス出荷数は50万ライセンスを超えました。これからもお客様の利便性を訴求し、ご満足いただけるような製品開発に努めてまいります。
<エネルギー関連事業>
石油製品については、販売価格は、前期に比べ原油価格が大幅に上昇したことから、高い水準で推移しました。また、販売数量については、顧客の稼働回復もあり、堅調に推移しました。
民生用LPガスについても、販売価格は、前期に比べLPガス輸入価格が大幅に上昇したことから、堅調に推移しました。販売数量は、新規顧客の獲得が増加したことに加えて、業務用の需要が回復したことから、前期を上回りました。
以上により、全体の売上高は、前期比28.3%増の68億67百万円となりました。一方、営業利益は、原価アップを販売価格に反映しきれなかったことに加えて、人員増強ならびに民生用LPガスにおける新規顧客獲得に伴う先行投資等の費用が増加したことから、前期比25.0%減の1億73百万円となりました。
なお、エネルギー関連事業における収益認識会計基準適用の影響額は、以下のとおりです。
・売上高: 2億5百万円の減少
・営業利益:10百万円の増加
<樹脂・エレクトロニクス関連事業>
前期においては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による需要減があったものの、当連結会計年度において車載向け樹脂成形品の需要が回復したことにより、売上高は、前期比19.4%増の91億53百万円となりました。一方で、ベトナムにおいては、昨年7月から10月まで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のための移動制限やロックダウンなどの規制が強化されており、その対応費用を大幅に計上したことから、2億99百万円の営業損失となりました(前期の営業利益は3億20百万円)。
なお、樹脂・エレクトロニクス関連事業における収益認識会計基準適用の影響額は、以下のとおりです。
・売上高:2億15百万円の減少
・営業利益:影響なし
<住宅設備機器関連事業>
受注高は、首都圏において複数の大型案件を受注できたことから、前期比12.8%増の122億44百万円となりました。
売上高は、首都圏において複数の案件が順調に進捗したことから、前期比7.4%増の118億32百万円となりました。一方、営業損失は、新規インテリアブランド『Tesera®』の開発にかかる費用等が増加したことにより、3億18百万円となり前期に比べ損失額が増加しました(前期の営業損失は1億64百万円)。
なお、住宅設備機器関連事業における収益認識会計基準適用の影響額は、以下のとおりです。
・売上高:5億90百万円の減少
・営業利益:13百万円の増加
また、開発を進めていた『Tesera®』の受注を本年1月より開始いたしました。『Tesera®』では、用途や空間に応じて拡張縮小が可能な柔軟性の高いシェルフやデスク、リビングテーブルなどを取り揃えており、昨年11月にはグッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞いたしました。同じく本年1月より東京・西神田にグランドオープンしたショールームを活用しながら、『Tesera®』の認知度向上に努めてまいります。
さらに、㈱インフィルと、関連会社であるニッコー㈱との合同ショールーム(東京・西神田)を本年4月にリニューアルオープンいたしました。システムキッチンやシステム収納、洗面化粧台を扱う㈱インフィルとバスルームを扱うニッコー㈱のコラボレーションにより、ダイニングからリビング、バスルームまでをトータルコーディネートした居住空間の提案を推進してまいります。
なお、本年2月に事業譲受した㈱JAXSONのバスタブについても合同ショールームにて展示いたしております。今後一層の事業間連携に努めてまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、10億86百万円(前連結会計年度は36億11百万円)の収入となりました。
主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益20億95百万円、減価償却費22億0百万円であります。
一方、主なマイナス要因は、売上債権の増加額8億46百万円、棚卸資産の増加額7億85百万円、法人税等の支払額11億3百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、20億91百万円(前連結会計年度は46億32百万円)の支出となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出14億16百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、9億93百万円(前連結会計年度は13億2百万円)の収入となりました。
主な要因は、短期及び長期の借入金の純増額が合わせて44億25百万円、連結の範囲の変更を伴わない関係会社株式の取得による支出25億円、配当金の支払額5億54百万円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ1億65百万円増加し、58億6百万円となりました。
③受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度の空調設備工事関連事業、情報システム関連事業および住宅設備機器関連事業の受注実績は、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称 |
受注高 |
前期比(%) |
受注残高 |
前期比(%) |
空調設備工事関連事業 |
13,763 |
100.1 |
12,369 |
97.7 |
情報システム関連事業 |
10,123 |
86.5 |
8,557 |
132.4 |
住宅設備機器関連事業 |
12,244 |
112.8 |
10,680 |
104.0 |
(注)受注実績の金額は、セグメント間の内部受注高および受注残高を含めて記載しております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
空調設備工事関連事業 |
14,057 |
104.5 |
化学品関連事業 |
34,454 |
102.9 |
情報システム関連事業 |
8,029 |
77.3 |
エネルギー関連事業 |
6,867 |
128.3 |
樹脂・エレクトロニクス関連事業 |
9,153 |
119.4 |
住宅設備機器関連事業 |
11,832 |
107.4 |
その他 |
2,060 |
115.9 |
合計 |
86,455 |
104.0 |
(注)販売実績の金額は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態につきましては、当連結会計年度末における総資産残高は、850億36百万円(前連結会計年度末は816億83百万円)となり、前連結会計年度末に比べ33億52百万円増加いたしました。流動資産の残高は、完成工事未収入金26億64百万円の増加、商品及び製品9億94百万円の増加、仕掛品14億95百万円の減少を主要因に前連結会計年度末に比べ23億52百万円増加し、421億89百万円となりました。一方、固定資産の残高は、建設仮勘定4億16百万円の増加、投資有価証券4億89百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ10億0百万円増加し、428億46百万円となりました。
当連結会計年度末における負債残高は、447億57百万円(前連結会計年度末は405億47百万円)となり、前連結会計年度末に比べ42億9百万円増加いたしました。流動負債の残高は、短期借入金29億62百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ21億92百万円増加し、329億68百万円となりました。一方、固定負債の残高は、長期借入金16億53百万円の増加を主要因に前連結会計年度末に比べ20億17百万円増加し、117億88百万円となりました。
当連結会計年度末における純資産残高は、402億79百万円(前連結会計年度末は411億35百万円)となり、前連結会計年度末に比べ8億56百万円減少いたしました。株主資本の残高は、前連結会計年度末に比べ6億40百万円増加し、324億76百万円となりました。一方、その他の包括利益累計額の残高は、前連結会計年度末に比べ5億83百万円増加し、76億86百万円となりました。また、非支配株主持分の残高は、前連結会計年度末に比べ20億80百万円減少し、1億15百万円となりました。
これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の47.7%から47.2%に減少し、1株当たりの純資産額は、前連結会計年度末の632円43銭から652円32銭に増加いたしました。
経営成績の状況につきましては、「第2 事業の状況」の「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況」の「2.事業等のリスク」をご参照ください。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響につきましては、「第2 事業の状況」の「2.事業等のリスク (8)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について」および「③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定」をご参照下さい。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
運転資金需要
当企業集団の運転資金需要のうち主なものは、売上債権の回収サイクルと仕入債務の支払サイクルのギャップおよび営業活動上において必要な棚卸資産に対する支出によるもののほか、人件費や手数料等の販売費及び一般管理費であります。
設備投資
設備投資につきましては、「第3 設備の状況」の「1.設備投資等の概要」をご参照ください。
資金管理
当企業集団は、事業運営上必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本としております。
運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金およびリース債務等を含む有利子負債の残高は217億38百万円となっております。また当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は58億6百万円となっております。
資金は原則として当社で集中管理し、当企業集団内の余剰資金の有効活用を図っております。当企業集団内における新規の設備投資資金の調達については、諸条件を勘案し決定いたしますが、全て当社の事前承認に基づいております。
経営者の問題意識と今後の方針
当企業集団における投資プロジェクトについては、採算面や投資回収面、リスク等を十分に検討したうえで決定しております。ここ数年は当企業集団の存在価値の向上を念頭に、付加価値の高い商品・製品・サービスの提供を図るべく、設備投資や子会社新設に積極的に取り組んでまいりました。
当企業集団は、今後とも、さらなる事業拡大と持続的な成長を図っていくため引き続き積極的な投資を実行していく方針であります。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による不測の事態に備え、2020年度において当座貸越契約の増枠を実施いたしました。これにより計画している投資の手を緩めることなく実行することが可能となります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に関して、政府・自治体等の方針による経済活動への制約が著しく強化される、当社事業の帰属するサプライチェーンに甚大な影響が及ぶ、あるいは景気が大幅に後退するといった状況がなく、2022年3月期末時点と同水準の事業活動を行うことができることを前提として、当連結会計年度において会計上の見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響、および翌連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。
お知らせ