課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営の基本方針

極めて短期間でパラダイムシフトが繰り返されるこの時代において、常に変化できる企業集団であることが必要だと考えています。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、パラダイムシフトをより加速させていく必要があると考えています。

このような経営環境において、当企業集団(当社および当社連結子会社)は、以下の方針を掲げ経営目標を達成すべく取り組んできました。

・お客様にとっての最適を追求すること。

・お客様の期待に応えられる柔軟性と力強さを備えた企業になること。

・分野と分野、あるいは業界と業界の交差点に立つことによって、お客様のイノベーションを促進する役割を担い、さまざまな業界をつなぐネットワークの中で、重要な結び目になること。

・複数の事業セグメントにわたって、それも単なる商社ではなく、時にはメーカーであったり、時にはコンサルタントであったりと、複数のレイヤーでビジネスを展開すること。

 また、当社は財務的な経営指標との両輪をなす非財務的な側面における経営指標として「Company Well-being Index(カンパニー・ウェルビーイング・インデックス)」を策定しております。長期的視野で持続的に事業を成長させながら価値創出・社会貢献する“良い会社”であり続けることを目指して、財務的側面と非財務的側面からバランスのとれた経営を推進してまいります。

 なお、「Company Well-being Index」については、以下の当社ウェブサイトにて詳細を開示しております。

 < https://www.mitani.co.jp/company/cwi/ >

 

(2)次期(2023年3月期)の業績見通し

当企業集団の経営上の目標を達成するための客観的な指標は、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益であります。

次期の連結業績については、売上高はエネルギー関連事業以外の5つの事業セグメントにおいての増収により、870億円(前期比3.0%増)を見込んでおります。また、前期に一時的に敷かれ、現在は緩和されているベトナムにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する移動制限やロックダウンなどの厳格な規制への対応費用が発生しない見込みであることから、営業利益は20億円(前期比75.4%増)、経常利益は26億円(前期比32.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は16億円(前期比12.3%増)と予想しております。

なお、上記の業績見通しについては、以下の事項を前提としております。

・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、政府・自治体等の方針による経済活動への制約が著しく強化される、当企業集団の帰属するサプライチェーンに甚大な影響が及ぶ、あるいは景気が大幅に後退するといった状況がなく、2022年3月期末時点と同水準の事業活動を行うことができること。

次にセグメント別の今後の重点施策について説明申しあげます。

 

<空調設備工事関連事業>

①一級建築士事務所としての幅広いソリューション提案を強みに受注拡大を図ってまいります。また、住宅設備機器関連部門とのコラボレーションにより、空調・衛生設備工事に加えて、内装工事や電気工事を一括して請け負うことのできる「総合リノベーション」体制の構築に取り組んでまいります。

 また、お客様にとって最適な「空間価値」を提供するために、当社グループ内のさまざまな部門と協働し、複合力を活かしたソリューションを提案してまいります。

 品質面においては、昨年7月に品質マネジメントの規格「ISO9001」の定期審査において優秀活動賞を受賞しました。今後もプロジェクトごとの振り返りや協力会社との意見交換等を継続し、社内に経験や実績を着実に蓄積させていくことで、さらなる品質の向上に努めてまいります。

②施工現場の人手不足や時間外労働の上限規制を見据えた施工現場の負荷低減と中長期的なリードタイムの短縮に向けて、ICTの活用やベンチャー企業との協業により、施工現場からバックオフィスへの業務の移管ならびに現場業務と事務所業務のスピーディーな連携体制の構築に取り組んでまいります。

③CAD設計・積算を行うベトナム子会社Aureole Construction Software Development Inc.(以下、ACSD社と略します)では、3次元データによる建物の統括的な管理を可能にするBuilding Information Modeling(以下、BIMと略します)に対応できる技術者の育成に取り組んでおります。ACSD社と当社BIM室および技術部門が連携し、従来は施工現場で担っていた設備の納まり等の検討業務を上流工程である設計部門へ前倒しすることにより、施工現場にやさしい設計を実現してまいります。

 

以上の取り組みにより、次期の業績については、売上高は前期比7.3%増の150億83百万円、営業利益は前期比4.5%増の13億25百万円と予想しております。

 

<化学品関連事業>

①国内における化成品販売については、既存顧客に対する取扱品目の拡大や、経営課題の解決につながる付加価値の高い提案により収益力の向上を図るとともに、新規エリア・分野の開拓による新規顧客獲得に努めてまいります。

②医薬品原薬については、既存のジェネリック医薬品向け原薬における競争優位性を活かしつつ、顧客目線の提案力を強化することにより、お客様との取引深化をさらに進めてまいります。また、長期収載品向けのみならず、新薬向けも含めた原薬の取引拡大に努めてまいります。

③機能性素材の受託製造については、ベトナム子会社Aureole Fine Chemical Products Inc.が保有する工場を武器に既存製品の供給拡大を図ってまいります。また、外部機関との共同研究などにより、自社製品の開発や受託領域の拡大に努めてまいります。

④環境ビジネスについては、特殊技術を用いた製品およびサービスの提案活動を強化するとともに、獲得した技術の新たな用途拡大や新技術の開発・発掘による事業創造に努めてまいります。

⑤ベトナムにおける化成品販売については、日系企業およびその他外資系企業を中心に新規顧客獲得に注力するとともに、北部および南部双方において既存顧客のシェア拡大に努めてまいります。さらに、取扱品目の拡充にも努めてまいります。

 

以上の取り組みにより、次期の業績については、売上高は前期比1.2%増の348億70百万円、営業利益は前期比2.8%増の12億51百万円と予想しております。

<情報システム関連事業>

①クラウド関連事業は、子会社コンフィデンシャルサービス㈱を軸に、お客様の課題に対応した独自サービスの創出を図ってまいります。さらに、情報セキュリティ格付において最高位である「AAAis(トリプルA)」の継続取得に加えて、「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準(FISC安全対策基準)」の適合証明を取得したIDC(インターネットデータセンター)を最大限に活用し、お客様に寄り添った運用サービスを武器として新規顧客の開拓を図るとともに、パートナー企業との連携強化を図り受注拡大に努めてまいります。

②子会社ディサークル㈱が開発・販売する「POWER EGG®」は、機能強化版を継続してリリースし、製品競争力の強化を図るとともに品質向上にも努めてまいります。また、営業活動においては販売パートナー企業との協業を強化し、民間企業や金融機関等さまざまな業種へのアプローチを推進するとともに、ベトナム子会社Aureole Information Technology Inc.(以下、AIT社と略します)を起点としたベトナムでの新規顧客の獲得にも引き続き注力してまいります。

 また、当社が開発したプログラム開発不要でさまざまなクラウドサービスを効率的に連携させるFaaSインテグレーター「Chalaza®(カラザ)」は、2022年3月末時点で連携させられるクラウドサービス数が200に到達しました。これにより、規模・業種を問わず企業において日常的に使われる多くのクラウドサービス間でのデータ連携が可能となりました。このような強みを活かしながら、パートナー企業とも協力し、受注拡大に努めてまいります。

③オフショア開発は、AIT社において、システムインテグレーション、「POWER EGG®」および当社グループの社内システム開発の迅速化とコストダウンに貢献してまいります。さらに、日本企業からのSaaS化やスマートフォンアプリ等のオフショア開発案件およびベトナム現地日系企業からのシステム開発案件の受注拡大にも努めてまいります。

 また、情報システム事業部とICTソリューション事業部は上記の3つのオリジナルソリューションの活用とパートナー企業やベンチャー企業との協業により受注拡大を図るとともに、課題解決領域および販売エリアのさらなる拡大を目指してまいります。

 

以上の取り組みにより、次期の業績については、売上高は前期比11.8%増の89億78百万円、営業利益は、前期比29.0%増の12億27百万円と予想しております。

 

<樹脂・エレクトロニクス関連事業>

 自動車関連ビジネスでは、自動車メーカーの新興国展開に加えて、車載製品の現地調達率向上への取り組みが強化されるとともに、Connected(つながる)、Autonomous(自律走行)、Shared(共有)、Electric(電動)の「CASE」への対応が加速される中で、性能・品質・コストへの要求も一層高まっております。このような中、生産効率と高難度部品の品質向上を図るべく、広島・ベトナムのトライアルセンターでの生産準備活動の徹底による「良品しかつくれない製造工程」を構築するとともに、金型製造のさらなる内製化ならびに量産工程の自動化による品質向上とコスト削減に努めてまいります。また、ベトナムでの現地営業活動の強化、製品開発段階からのお客様との協働にも取り組み、受託製造のみならず自社仕様の提案力強化に取り組んでまいります。現在、当社グループが製造する自動車向け樹脂成形品は電装関連部品を中心に構成されております。近年は地球環境問題への意識の高まりから、電気自動車やハイブリッド車をはじめ環境に配慮した自動車への需要がより高まってきていることから、当事業の拡大に一層努めてまいります。

 

以上の取り組みにより、次期の業績については、売上高は前期比5.4%増の96億52百万円と予想しており、営業利益は売上高の増加に加え、ベトナムにおける新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する移動制限やロックダウンなどの厳格な規制への対応費用が発生しない見込みであることから、3億23百万円となる見込みであります(前期の営業損失は2億99百万円)。

<エネルギー関連事業>

①石油製品は、引き続き元売り会社との緊密な連携を図って、新規顧客獲得および既存顧客への増販策を展開するとともに、省エネ・環境領域におけるパートナー企業や当社グループとの協業による燃料転換および機器設備の拡販を推進してまいります。

②民生用LPガスは、引き続き集合住宅の新規顧客の開拓に取り組むとともに、ハイブリッド給湯器等の省エネ、蓄エネ機器を用いた提案による戸建て住宅の新規顧客獲得に一層注力してまいります。また、ガス関連機器にとどまらず、空調設備工事およびキッチン・バス・トイレ等の水廻りリフォーム工事をもワンストップで提供する付加価値の高い提案をしてまいります。

 

次期の業績については、売上高は前期比10.3%減の61億62百万円と予想しております。一方で、営業利益は上記の取り組みを推進することにより、石油製品および民生用LPガスにおける売上高総利益率の改善を見込み、前期比52.6%増の2億65百万円と予想しております。

 

<住宅設備機器関連事業>

①首都圏において、子会社㈱インフィルは、一級建築士事務所として永年培ってきたディベロッパー、ゼネコンおよび設計事務所との信頼関係を武器に、非住宅の新築・リニューアル案件獲得に努めてまいります。

 さらに、オーダーメイドキッチン・洗面化粧台・システム収納等、当社グループが培ってきたモノづくりへのこだわりを体感できる東京ショールームを活用した高級マンション・戸建物件への営業活動を推進し、「AQUA™」・「Daysy®」や『INTENZA®』ブランドの「A'dress®」・「nest'y™」といったオリジナル製品の拡販に努めるとともに、新製品開発にも注力してまいります。

②北陸地区において、子会社三谷産業コンストラクションズ㈱は、一級建築士事務所として空調設備工事および住宅設備機器の複合提案を推進するとともに、空調機器メーカー・住宅設備機器メーカーとの協業によりお客様の快適な環境づくり案件の発掘に努めてまいります。さらに、エンドユーザー向け住環境丸ごとサービスの提供や、お客様にとって最適な住宅リフォームを提案する地域密着型サービス『ラクだ』ブランドの浸透を図ってまいります。

 また、本年1月に受注を開始した新規インテリアブランド『Tesera®』について、製品の提供を本格化する段階に至ったことから、本年6月に「㈱Tesera」を設立いたしました。今後は東京・西神田にあるショールームの活用や見本市への出展、各種メディアでの露出等を通して、『Tesera®』の認知度向上により一層注力してまいります。

 なお、高級バスタブの企画・デザイン・製造販売等を営む子会社㈱HIDEOについて、かねてより報告セグメントを「その他」としておりましたが、本年2月のJAXSON事業譲受によって、そのビジネスが当セグメントの事業領域との重なりが大きくなることから、2023年3月期より報告セグメントを「住宅設備機器関連事業」へと変更いたします。㈱HIDEOおよび㈱JAXSONが手掛ける高級バスタブの国内外への拡販に努めてまいります。

 

以上の取り組みにより、次期の業績については、売上高は前期比9.3%増の129億28百万円、営業損失は2億11百万円となり前期に比べ損失額が減少する見込みであります(前期の営業損失は3億18百万円)。

 

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