当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下の通りです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行が判断したものであります。その内容にはリスク、不確実性、仮定が含まれており、将来の業績等を保証し又は約束するものではありません。
(1)経営理念、(2)経営計画は2020年5月に公表した「中期経営計画AOZORA2022の策定について」からの抜粋です。
[金融経済環境]
当連結会計年度における国内の経済環境は、年間を通じて新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けましたが、全体としては持ち直しの動きが継続し、グローバル経済の回復を背景に鉱工業生産・輸出等は比較的堅調な動きが続きました。しかしサービス業では、まん延防止等重点措置の実施の影響により、依然として厳しい状況が続きました。米国では、早い段階でワクチン接種が本格的に進展し経済正常化が進んだことにより、全般的な景気回復が見られましたが、1月に入り、インフレ動向が最大の焦点となり、供給制約を主因とするインフレ上昇ではあるものの、家賃をはじめとしたサービス価格等、財価格だけでなく広範な品目にも影響が見られ始めました。
国内では、長期金利(10年国債利回り)は4月から12月にかけて概ね0~0.1%での推移が続きましたが、年明け以降、米国長期金利の上昇や国内においてもインフレ上昇を意識した動きにより、0.25%まで上昇しました。日経平均株価は、9月に30,000円台を突破し高値を付けた後は上値の重い展開が続き、年明け以降はさらに水準を切り下げ、2月後半以降のウクライナをめぐる国際情勢、それに伴うエネルギー価格の高騰により3月上旬には一時的に25,000円を割り込む水準まで下落しましたが、期末には28,000円程度となりました。ドル円相場は、今年度前半は110円近辺の比較的狭いレンジでの推移が続きましたが、その後は米国金利の上昇を受けて年明け以降は115円近辺で推移、さらに3月中旬以降、急速な円安ドル高が進み、期末には120円台半ばまで到達しました。米国では、長期金利(10年米国債利回り)は、4月から12月にかけては1%台半ばを中心に比較的安定した展開が続きましたが、インフレ高進が加速しFRB(米連邦準備理事会)が金融引き締め姿勢を強める中、年明け以降は1%台半ばから2.0%まで上昇しました。米国株式市場は、比較的堅調に推移し、年明けにダウ・ジョーンズ工業株30種平均株価は36,000ドル台の高値を付けましたが、FRBの金融引き締め姿勢が強まる中、ウクライナ情勢・エネルギー価格の状況等を反映して2月後半にかけては下げ足を速め、一時33,000ドル台を割り込む水準まで下落、その後期末にかけては35,000ドル近辺まで回復しました。
(1)経営理念
あおぞらミッション(存在意義)
・新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する
あおぞらビジョン(目指す姿)
・時代の変化に機動的に対応し、常に信頼され親しまれるスペシャリティー高い金融グループであり続ける
あおぞらアクション(行動指針)
・ユニークで専門性の高い金融サービスを提供する
・迅速に行動し、粘り強く丁寧に対応する
・チームワークを重視し、みんなで楽しく仕事をする
・仲間の多様な生き方、考え方、働き方を尊重し、仲間の成長を支援する
・過去を理解し未来志向で今日の課題に取り組む
・創意工夫で新規領域にチャレンジする
・社会のサステナブルな発展に積極的に貢献する
(2)経営計画
①中期経営計画「AOZORA2022」の全体像
<ビジネスモデル「6つの柱」が3年後に目指す姿>
<あらたな成長イニシアチブ「ビジネスのコ・ワーク」と「デジタル化」>
●事業法人のお取引先への積極的な支援
●個人のお客さまに対するコンサルティングサービスの強化
●金融機関のお取引先に対するトータルソリューションの提供
●GMOあおぞらネット銀行との連携によるフィンテック関連事業の支援
②中期財務目標
収益目標
本中期経営計画では、従来からのビジネスモデル「6つの柱」の更なる進化とあらたな成長のためのイニシアチブに取り組み、最終年度の収益水準は2019年度実績を上回る水準を目指します。
具体的な収益目標額については、不透明な経済環境を勘案し、毎年度における業績予想において開示してまいります。
主要業績評価指標(Key Performance Indicators:KPI)目標
中期経営計画期間における主要業績評価指標(KPI)目標は以下の通り定めます。当行グループの強みである効率性を維持しつつ、安定的・持続的な成長を目指してまいります。
主要業績評価指標 (KPI) |
中期目標 (2020年度~2022年度) |
経費率(OHR) |
50%台前半 |
業務純益*ROA |
1%程度 |
ROE |
8%以上 |
*持分法投資損益を含んだ連結実質業務純益
③資本・配当政策
「健全性の維持」を念頭に置きつつ、「安定的な株主還元」、「戦略的な資本活用」ともバランスがとれた資本政策を実施し、持続的な企業価値の向上を図ってまいります。
自己資本
自己資本比率(国内基準)は、Basel3完全適用ベースで最低9%、当面の運営目標としては9.5%程度を目指してまいります。
株主還元
株主還元については配当による還元を原則とします。配当性向を原則50%とし、業績に応じた還元を行ってまいります。また、引き続き四半期ベースの配当を実施いたします。
(3)対処すべき課題
中期経営計画「AOZORA2022」の進捗状況
<あおぞらサステナビリティ目標の進捗>
2021年9月、あおぞら銀行グループの全てのビジネス部門やサポート部門に共通する目標として、「あおぞらサステナビリティ目標」を公表いたしました。初年度となる2021年度の実績は、以下の通り、順調な立ち上がりとなっております。本目標の達成に向け、グループ全体を挙げた取組を加速させてまいります。なお、本目標の進捗・達成状況は、業務執行役員の評価・報酬を決定するにあたり重要な定性的評価として考慮しております。
2022年度の重点施策
1.あおぞら型投資銀行ビジネスの基盤の構築
■レバレッジドファイナンス
国内バイアウトファイナンスにおいては、企業の構造転換への動きが加速し、M&Aニーズが大企業から地方の中堅中小企業にまで広がる中、あおぞら型投資銀行ビジネスを通じた多様なスキームの提供など、市場のニーズに対応した機動的な提案体制を強化してまいります。
海外コーポレートファイナンスにおいては、地政学リスク、インフレ進行への警戒感の中、リスク分散とクオリティの維持向上を意識したポートフォリオ運営を継続し、環境の変化に応じた機動的な運営体制を維持してまいります。
■不動産ファイナンス
国内不動産ファイナンスにおいては、長年の取組を通じた豊富な実績と専門知識を活かし、慎重かつ選択的に取上げを行ってまいります。グリーン認証のある不動産を対象とするローンへの取組をはじめ、不動産業に関連するサステナブルファイナンスへ積極的に取り組んでまいります。
海外不動産ファイナンスでは、米国不動産ファイナンスマーケットの正常化の動きが進む一方、足元では金利上昇の影響が懸念される中、慎重かつ選択的に案件取り上げを行ってまいります。
■エクイティ投資
あおぞら銀行グループのエクイティ投資における経験と専門性を活用し、お客さまの構造転換、成長と再生ニーズに対応し、マネジメントとの対話、課題解決への提案を通じて、お客さまと共に成長するエンゲージメント投資を推進してまいります。
ベンチャー投融資においては、あおぞら銀行グループのネットワークを活用した、ベンチャー企業向け支援サービス「あおぞらベンチャーエコシステム支援体制」により、ベンチャー企業の中長期的な企業価値向上をサポートしてまいります。
■環境ファイナンス
当行は2012年より様々な国内の再生可能エネルギー発電所への融資を手掛けてまいりました。大型国内太陽光開発プロジェクトの新設が減少する中、今後はトランジションファイナンスなど新たなニーズへも機動的に対応してまいります。海外では、国内事業者のアジアの再生エネルギー事業展開、先進的なエネルギー分野などへの取組により、グローバルにおける脱炭素化への貢献を目指してまいります。
■再生ファイナンス
地域金融機関や事業法人が抱える企業再生ファイナンスニーズ、コロナ禍で影響を受けたアセットに対するリカバリーファイナンスニーズへ取組を進めてまいります。グループ会社あおぞら債権回収とともに再生ファイナンス分野における、国内トッププレーヤーとしての地位を確立してまいります。
■M&Aアドバイザリー
グループ会社ABNアドバイザーズは事業承継M&Aに特化、あおぞら銀行本体においては、引き続き国内外の中規模マーケットに注力してまいります。クロスボーダーM&Aにおいては、ベトナムの資本・業務提携行OCBとの連携によるベトナム案件の獲得に注力してまいります。
<顧客ネットワーク基盤>
各ビジネスが提供する高度な金融サービスを迅速に提供する体制として、地域金融機関・個人のお客さま向けの顧客ネットワーク基盤を拡充させてまいります。
◇地域金融機関ネットワーク
全国の地域金融機関ネットワークをあおぞら銀行グループ共通の顧客基盤とするプラットフォームとして様々なビジネスを展開いたします。「地域金融パートナーバンク・タスクフォース」を通じ、事業再生/再構築/事業承継/M&A、有価証券運営/リスク管理、リテール向け資産運用ビジネスなど各種サービスを提供してまいります。
◇個人のお客さま
個人のお客さま向けビジネスプラットフォームとして、中小企業、オーナー社長、個人資産家層の多様なニーズに対し、あおぞらグループによる課題解決を提供してまいります。お客さまの中長期的な資産形成のサポート、スマートフォンアプリ「BANK」の利便性の向上など、お客さまのニーズを捉えたきめ細かなサービス提供を行ってまいります。
2.サステナビリティ経営の推進
<サステナビリティ経営の推進>
取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会(委員長:CEO)を中心とした推進体制を構築し、経営と一体化したサステナビリティの取組を推進しています。
<気候変動への対応>
気候変動への対応を重要な経営課題と位置付け、強みを活かしたビジネスの推進、事業者としての着実なCO2の削減に向けた取組、リスク管理を中心とした業務運営基盤の整備を進めてまいりました。
2022年度業務運営計画においては、こうした取組を「あおぞらカーボンニュートラルイニシアティブ」として結実させ、脱炭素社会の実現に向けて、当行グループが果たすべき役割を明確化しました。
本イニシアティブのもと、事業者としての脱炭素化に向けた取組を推進するとともに、お客さまとのエンゲージメントを通じて気候変動対応や脱炭素化への移行(トランジション)を積極的に支援し、2050年カーボンニュートラルの実現を目指します。
現在、自社の温室効果ガス排出量(Scope1,2)として2050年度までのネットゼロの目標を掲げていますが、新たにScope3として投融資ポートフォリオを含め、パリ協定と整合したカーボンニュートラルに向けたロードマップを策定してまいります。進捗につきましては、随時アップデートしながら適切な開示によりステークホルダーとのコミュニケーションを促進してまいります。
お知らせ