本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
当社グループは、以下の経営理念のもと、中長期的に目指す姿である「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」というビジョンの実現を目指してまいります。
○お客さまに、より一層価値あるサービスを提供し、お客さまと共に発展する。
○事業の発展を通じて、株主価値の永続的な増大を図る。
○勤勉で意欲的な社員が、思う存分にその能力を発揮できる職場を作る。
○社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する。
新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に和らぐ中、世界経済は総じて回復基調で推移していますが、波状的な感染再拡大に伴う経済活動の抑制に加えて、人手不足や物流の停滞といった供給制約、資源価格の上昇によるインフレ高進が重石となり、回復ペースは緩やかなものとなっています。特に、本年2月以降は、ロシアによるウクライナ侵略、それに伴う各国による対ロシア制裁等の動きにより、世界経済に対する下押し圧力が強まっています。今後も世界経済は緩やかな回復が持続する見通しですが、新型コロナウイルス感染症の感染状況や、各国のインフレ及び金融政策の動向、ロシア・ウクライナ情勢の帰趨等には注意が必要であり、先行きの不透明感は継続するとみています。
一方、新型コロナウイルス感染症の拡大前から想定していた、当社グループを取り巻く中長期的な環境認識といたしましては、わが国においては人口減少などにより経済成長の停滞が続く見込みである等、金融機関にとっては厳しい業務環境が続く見通しであり、従来からのビジネスモデルや業務運営を踏襲していては苛烈な競争に勝ち抜いていくことはできず、先行きに対して強い危機感を抱いております。
また、テクノロジーの進展と相俟って、デジタルネイティブ世代の台頭やシェアリングエコノミーの普及等、社会・経済の様々な面で構造的な変化が進んでおります。金融業界においても、金融と非金融の垣根を超えたサービスの再構築に伴い、異業種を交えた競争が一層激化すると同時に、銀行グループによるデジタル化に資する取組みを後押しするための法改正等、様々な規制の見直しが行われております。
加えて、気候変動をはじめ環境・社会問題が深刻化する中、世界各国で持続可能な社会の実現に向けた動きが加速しており、その中で金融機関が果たすべき役割も増大しております。
このような中長期的な環境認識は、新型コロナウイルス感染症の拡大によっても不変であるものの、キャッシュレス化の進展やサステナビリティへの取組み等、足元の環境変化が加速しているものもあると考えております。
当社グループは、2020年度からの3年間を計画期間とする中期経営計画を策定しております。「最高の信頼を通じて、お客さま・社会とともに発展するグローバルソリューションプロバイダー」というビジョンの実現に向けて、次の3つの基本方針に則った取組みを加速してまいります。
本中期経営計画では、次の3項目を最終年度の2022年度の財務目標として掲げております。
<連結財務目標(2022年度)>
※1 バーゼルⅢ最終化時、その他有価証券評価差額金を除く
※2 営業経費から「収益連動経費」「先行投資に係る経費」等を除いたもの
新型コロナウイルス感染症による影響の長期化に加え、ロシア・ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクの発現等、お客さまや社会を取り巻く不透明感・不確実性が継続しています。
このような状況におきまして、当社グループでは、社会機能の維持に不可欠な金融インフラとして、引き続き、グループ各社による金融サービスの円滑な提供や、更なるデジタル化・キャッシュレス化に努め、社会的使命及び役割を果たしてまいります。
その上で、当社グループは、中期経営計画の最終年度にあたる2022年度におきまして、次の3つの施策を中心に取り組んでまいります。
第一に、コンプライアンス・お客さま本位を徹底し、グループベースのガバナンス強化に最優先に取り組んでまいります。特に、SMBC日興証券株式会社におきましては、違法な安定操作取引の疑いで同社元執行役員及び同社社員並びに法人としての同社が起訴された事態に関し、同社の調査委員会の調査結果等を踏まえ、再発防止の徹底及び内部管理体制を強化してまいります。
第二に、ロシア・ウクライナ情勢をはじめとする事業環境の変化に対し、適切に対処してまいります。また、地政学リスクの高まりを踏まえた経済安全保障への対応、システムの安定運営等に注力し、環境の変化への機動的な対応力を更に高めてまいります。
第三に、中期経営計画の着実な達成を目指すとともに、次期中期経営計画を展望し、持続的成長に向けた施策に着手してまいります。中期経営計画で掲げた前述の3つの基本方針に則った取組みの総仕上げにより、お客さまに価値ある商品・サービスを適時に提供し、お客さまに選ばれる金融グループとして、持続的成長と企業価値の更なる向上を目指してまいります 。
上述の「Transformation」「Growth」という基本方針のもとで事業戦略を進めていくにあたり、本中期経営計画では、以下の7つの重点戦略を定めております。
これらの7つの重点戦略を中心に、引き続き、優先的に資源投入するビジネスの選別を徹底しつつ、ビジネスモデルとコスト構造の抜本的な改革に取り組むとともに、将来に向けた投資を着実に行い、金融サービス以外の事業も含めた新たな成長機会の捕捉や付加価値の創出に努めてまいります。
具体的には、リテール事業部門におきまして、デジタル技術の活用や大口富裕層のお客さまへの対応力強化等を通じて資産運用ビジネスの収益性を高めるとともに、決済・コンシューマーファイナンスビジネスにおけるシェア拡大及び収益力の向上に努めてまいります。ホールセール事業部門におきましては、お客さまの財務健全化や事業再編ニーズ等への対応力を強化するとともに、サステナビリティの実現への取組み支援等、非金融サービスも含めたソリューション提供力の強化を通じて非金利収益の拡大に努めてまいります。グローバル事業部門におきましては、アジアにおける出資案件に関して、円滑なPMI(※)の実施や既存ビジネスとのシナジーの追求を通じて、アジアにおける事業基盤の更なる拡充に取り組んでまいります。また、業務提携をしている米国の総合証券会社であるジェフリーズ・グループ・エルエルシーとの協働の加速等を通じたCIBビジネスの更なる競争力強化に取り組んでまいります。市場事業部門におきましては、ロシア・ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクの高まりや円安の急伸等、市場環境の変化に応じて株式や債券のポートフォリオを機動的に調整することで収益の確保に努めるとともに、お客さまの多様な運用志向に応じたソリューション提供力の強化に取り組んでまいります。そのほか、資産効率の高いビジネスとしてのアセットマネジメントビジネスの強化に引き続き注力してまいります。
(※)「Post Merger Integration」の略。企業買収後の経営統合作業。
<経営基盤>
上述の「Quality」という基本方針のもと、グローバル金融グループとして、持続的な成長を実現すべく、経営基盤の不断の強化に取り組んでまいります。
具体的には、サステナビリティ本部及び投融資企画部環境社会リスク管理室を新設し、サステナビリティの実現への取組みに関する体制強化に努めてまいります。また、サステナビリティに関する機能・知見をグループベースで集約の上、経営資源を増強して環境・社会課題への対応力を強化するとともに、ビジネス推進を支えるリスク管理体制も強化し、経営の高度化を図ってまいります。更に、持続可能な社会の実現に向けて、気候変動に関する短期及び中長期の取組目標を設定するとともに、気候変動への影響が相対的に大きいとされる事業への対応方針を検討してまいります。
また、各従業員がその能力を最大限発揮できるよう、人員配置の高度化と組織生産性の向上に引き続き取り組むほか、デジタル化による事業の変革を進めるべく、戦略的なシステム投資及びサイバーセキュリティ強化をより一層推進してまいります。更に、グループ経営における基本姿勢として、お客さま本位の業務運営を引き続き徹底していくことに加え、海外ビジネスへの出資や非金融ビジネスへの参入等、当社グループの業務領域が拡大していることを踏まえ、リスク管理やコンプライアンスについてグループ・グローバルベースで一体性を高めるための取組みを強化してまいります。
当社グループは、これらの取組みにおいて着実な成果をお示ししたいと考えております。
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