事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社等)が判断したものであります。

 

<主要なリスク>

当行が直面しているリスクには、大きく分けて信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクがあります。

主要なリスク

リスクの内容

信用リスク

取引先や有価証券の発行体が、業況悪化などの原因により、約定通り利息支払や元金返済・償還ができなくなることで当行が損失を被るリスク

市場リスク

金利、為替、株価など市場要因の変動により、当行が損失を被るリスク

流動性リスク

金融市場の混乱や当行の信用力の低下等により、市場において取引ができない又は通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより当行が損失を被るリスク

オペレーショナル・

リスク

銀行の業務の過程、役職員及び派遣社員等の従業者の活動若しくはシステムが不適切であること、または外生的な事象により当行が損失を被るリスクをいいます。当行では、オペレーショナル・リスクを更に以下の5つに区分して管理しております。

①事務リスク

役職員等が正確な事務を怠る、あるいは、事故・不正等を起こすことにより損失を被るリスク

②システムリスク

コンピュータシステムのダウン又は誤作動などのシステムの不備等に伴い損失を被るリスクやコンピュータが不正に使用されることにより損失を被るリスク

③有形資産リスク

災害や資産管理の瑕疵等の結果、有形資産の毀損等により損失を被るリスク

④人的リスク

不適切な就労状況・職場・安全環境、人材の流出・喪失、士気の低下、不十分な人材育成等により損失を被るリスク

⑤法務リスク

法令や契約等に違反すること、不適切な契約を締結すること、その他の法的原因により損失を被るリスク

 

 

これらのリスクは様々な要因により顕在化しますが、当行では、損失を最小限に抑えるために想定される要因について継続的なモニタリングを行い、早期に察知し対応することに努めるとともに、自己資本比率による管理や統合的リスク管理などにより、大きなストレス下においても、損失が自己資本の範囲内に収まるよう管理しております。

なお、当行のリスク管理体制については、「第4 提出会社の状況」4 コーポレート・ガバナンスの状況等の(1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項をご参照ください。

 

 

<リスクの顕在化が想定される主な要因>

 

1.新型コロナウイルス感染症の拡大

 

 

新型コロナウイルス感染症については、依然として感染収束が見通せない状況が続いております。感染症の拡大による影響は、群馬県をはじめとする地域経済において、観光業や飲食・サービス業のみならず、建設業や製造業など広範に及んでおり、貸出先の経営状況に変化が生じ、想定外の不良債権が発生する可能性があるなど、当行の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、感染症の影響により国内外の金融資本市場が大きく変動した場合には、有価証券等の評価損、為替差損の発生や有価証券等の減損処理等が発生する可能性があります。

新型コロナウイルス感染症については、様々なリスクに横断的に影響を及ぼす要因と捉えております。

 

 

2.財務面に関する要因

取引先の業況の悪化

 

国内外の経済情勢、特定地域や特定業種の固有の事情の変化等により、取引先の業況が悪化した場合、与信関係費用や不良債権が増加し、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

当行では、貸出に際しての厳正な審査、貸出実行後の管理の充実、経営改善支援等により損失を最小限にとどめるよう努めております。また、適時適切な債務者格付とこれに基づく自己査定、貸倒引当金における長期平均実績による引当率の算出や一定以上の大口先へのDCF法の適用等、短期的な与信費用の変動を抑制するよう努めております。

金利の上昇

 

主要国の金融政策の変更や市場の混乱等により金利が上昇した場合、保有する債券の価格が低下し、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

当行では、有価証券投資にあたっては、償還バランス等に配慮した投資によるリスクの分散や金利に影響を及ぼす各種指標のモニタリングと迅速に対応する態勢の整備等により損失を最小限にとどめるよう努めております。

株価等の下落

 

国内外の経済情勢や株式市場の需給関係の悪化等により株価等が下落した場合、保有する株式等の価格が低下し、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

当行では、業種・銘柄等の分散によるリスクの分散や市場動向に応じて迅速に対応する態勢の整備等により損失を最小限にとどめるよう努めております。

資金調達条件の悪化

 

当行の格付低下、世界的な市場の混乱や金融経済環境の悪化等により当行の資金調達条件が悪化した場合、資金調達費用が増加したり、外貨資金調達等に困難が生じる等、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

当行では、資金繰り管理部署を定め、海外支店を含めて日次、週次、月次等の資金繰りを厳格に管理し、また、国債等流動性の高い資産を一定以上保有するなど円滑な資金繰りに努めております。さらに、万一の場合に備えて「危機管理計画」(コンティンジェンシープラン)を策定し、様々なケースに対応できる態勢を整備しております。

退職給付制度の変更

 

年金資産の時価の下落、年金資産の運用利回りの低下及び予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合等には、退職給付費用が増加する可能性があり、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

自己資本比率の低下

 

当行は、海外営業拠点を有しておりますので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率は「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められる国際統一基準が適用されます。仮に、当行の自己資本比率が低下し要求される水準を下回った場合には、金融庁から社外流出の制限、業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなり、当行の業務運営に悪影響を及ぼす可能性があります。

当行では、自己資本比率を主要指標のひとつとして毎期の資本計画や投融資計画を策定しております。また、ストレス・テストによる充分性の検証や、アラームポイントを設けて抵触した場合には速やかに対応を協議する態勢とする等、自己資本比率が要求される水準を下回ることがないよう努めております。

 

 

 

3.業務面に関する要因

マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止に関する管理態勢の不備

 

経済のボーダーレス化に伴って、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の脅威や金融犯罪に対する規制の枠組みは国内・海外を問わず常に変化しております。当行のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスクに対する管理態勢が不十分となった場合、更なる対策強化に伴う想定外のコストの発生、コルレス契約の解除による海外送金業務等の一部停止、制裁的課徴金の発生、社会的信用の失墜などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

当行では、国内外のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止態勢の高度化のため、リスクに応じた取引時確認の厳格化や不審な取引を検知するシステムの導入など、実効性のあるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止態勢の構築に努めております。

システム障害、サイバー攻撃被害

 

コンピュータ機器や通信回線の故障、プログラムの不具合などによるコンピュータシステムの停止または誤作動や、コンピュータの不正使用または外部からの攻撃などによる情報の破壊や流出が発生した場合、決済機能やサービスの停止、社会的信用の失墜などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

当行では、システム障害発生の未然防止や発生した場合の影響を最小限にするため、金融情報システムセンター(FISC)が定める基準に基づき、安全対策を実施しております。また、サイバー攻撃に対しては、必要な対策に加え、外部団体との情報共有やサイバー攻撃に係る訓練、演習等を通じて、管理態勢の継続的な強化を図っております。

自然災害、犯罪・テロ等による被害

 

大規模地震等の自然災害の発生、停電等の社会インフラ障害、あるいは犯罪やテロ等の発生で当行が保有する店舗、本部棟、電算センター等の施設が被害を受けることにより、当行の業務運営に支障を来し、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

当行では、非常事態の発生に対し、迅速かつ適切に対応できるようにするため、平時より危機管理計画(BCP)を整備し、その実効性を確保するため、定期的な訓練と内容の見直しを実施しております。特に大規模地震災害などに対しては、想定される影響の大きさを踏まえ、バックアップオフィスやバックアップシステムなどの態勢を整備しております。

人事運営上の諸問題の発生

 

人事運営上の諸問題(報酬・手当・解雇等の問題)、差別的行為(ハラスメント等)等により、行政処分や損害賠償請求等を受けることにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

不祥事件、訴訟等の発生

 

法令解釈の相違、当行及び役職員の法令違反行為等に起因して法令諸規則や契約内容を遵守できなかった場合には、行政処分や損害賠償請求等を受けることにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

当行では、法令違反行為の発生や不適切な契約締結を行わないよう、案件に応じて顧問弁護士の見解等を得ながら、法的問題に関する事案や各種契約書のリーガル・チェックを担当部署で実施する態勢を整備しております。

情報漏洩の発生

 

当行は、個人情報保護法に対応し情報管理体制の強化を図っております。

しかしながら、こうした対策が有効に機能せず、内部者、外部者による不正なアクセスなどにより、顧客情報や経営情報などの漏洩、紛失、改ざん、不正使用などが発生した場合、当行の社会的信用の失墜などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

事務事故の発生

 

各種取引に伴う事務を適宜適切に処理しなかったことにより事務事故が生じ、金融資産の喪失や原状回復などに係る対応費用などの発生、あるいは社会的信用の失墜などにより,当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

外部委託先での事故等の発生

 

当行業務の委託先において、事務事故、システム障害、情報漏洩などが発生した場合、社会的信用の失墜などにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

当行では、業務の外部委託を行う場合、自ら実施する場合と同様の業務水準を維持するために「外部委託管理規定」を制定し、外部委託時、委託期間中、委託終了時の手続き等を定め、外部委託した業務における顧客保護等管理及びオペレーショナル・リスク管理が十分機能するように努めております。

 

 

 

4.その他の要因

風評の発生

 

当行及び銀行業界に対するネガティブな報道や悪質な風評により、それが事実であるか否かにかかわらず、流動性リスクを誘発することなどにより、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

各種規制の変更

 

当行は現時点の規制に従って、また、規制上のリスクを伴って業務を遂行しております。将来における法律、規則、政策、実務慣行、解釈、財政及びその他の施策の変更並びにそれらによって発生する事態が、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

競争の激化

 

日本の金融制度は大幅に規制が緩和されてきており、これに伴い競争が激化してきております。その結果、他金融機関等との競争により想定した収益があげられず、当行の業績や財務内容に悪影響を及ぼす可能性があります。

気候変動による影響

 

異常気象に伴う大規模災害が発生した場合、当行の役職員や店舗への直接的な被害により当行の業務継続に支障が生じるほか、取引先の財務状態や担保資産の価値に悪影響を及ぼし、当行の与信関係費用が増加する可能性があります。また、中長期的な気候変動に対する政策変更や規制強化、技術革新等による低炭素社会への急速な移行等に伴う取引先の業績悪化が起こることにより、当行の与信関係費用が増加する可能性があります。

当行は、2020年7月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明し、気候関連の財務情報などの開示(※)の充実を進めております。

経営戦略が奏功しない場合の影響

 

当行は、2022年4月から2025年3月までの3年間を計画期間とする「2022年中期経営計画『Innovation for“Purpose”』」をスタートさせ、諸施策を展開しております。しかしながら、経済状態全般の悪化、地域経済の悪化、お客さまの経営状態の悪化などによる想定外の不良債権処理費用の発生などにより目標とした利益などが確保できないこともあり、結果として経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

その他

 

大規模な自然災害や犯罪、テロ行為、地政学的リスクの顕在化など、当行グループのコントロールが及ばない事態の発生により、当行グループの財務面・業務面に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 (※) TCFDの提言に基づく主な情報開示

ガバナンス

<サステナビリティ委員会>

・気候変動への対応を含むSDGsやESG等のサステナビリティに関する中期的な視点による経営戦略の

 構築と各施策の実効性を高めるため、頭取を委員長としたサステナビリティ委員会を設置してお

 ります。

・同委員会は原則として年4回開催し、委員会での協議・検討事項は、委員会開催の都度常務会に付

  議/報告を行っております。また、取締役会には原則として年4回報告を行うことで取締役会が監

 督を行う態勢としております。

<業績連動型株式報酬(パフォーマンス・シェア)>

・取締役(除く社外取締役)に対するパフォーマンス・シェアの評価指標のうち、非財務指標につ

 いて、「当行の温室効果ガス排出量の削減率」や「再生可能エネルギー事業向け融資の実行額」

 など、気候変動を含むSDGs達成への貢献を測る指標を採用しております。

戦略

<気候変動関連のリスク・機会の特定(定性分析)>

・気候変動に伴うリスク(物理的リスク・移行リスク)と機会については、短期(3年)、中期(10

 年)、長期(30年)の時間軸で、定性的な分析を行っております。

<シナリオ分析(定量分析)>

・物理的リスク及び移行リスクについて、複数の温度帯シナリオを用いて、各シナリオ下における

  当行の与信費用の増加額を推計しております。全ての分析において、当行財務への影響は限定的

  と評価できる結果となっております。

リスク管理

・気候変動に起因する物理的リスクや移行リスクが当行の事業運営や戦略・財務計画に大きな影響

 を与える重要なリスクと認識しております。

・シナリオ分析等により把握した各種リスクについて、「信用リスク」「オペレーショナル・リス

 ク」などリスクカテゴリーごとに影響を把握し、既存の枠組みの中で管理する態勢を整備してま

 いります。

・シナリオ分析の結果等を踏まえ、気候変動への対応や脱炭素社会への移行に向けお客さまとの対

 話を強化してまいります。お客さまごとの課題やニーズを深く理解しソリューションを提供する

 ことで、ビジネス機会の創出やリスク管理の強化につなげてまいります。

指標と目標

<サステナブルファイナンス累計実行額目標(2022年度以降)>

  [目標]2024年度 5,000億円(うち環境分野 3,000億円)、2030年度 1兆5,000億円(同 1兆円)

<温室効果ガス排出量削減目標と実績>

  [目標]2024年度 2013年度比50%削減、2030年度 ネットゼロ   [実績]2021年度 同比8.5%削減

<紙(コピー用紙)の使用量削減目標と実績>

  [目標]2025年度 2013年度比30%削減、2030年度 同比40%削減 [実績]2021年度 同比46.2%削減

 

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