(1) 会社の経営の基本方針
当行は、青森県を主要活動基盤とする地域金融機関として、銀行業務を通じて地域社会に役立つ活動を行い、地域にはなくてはならない存在となるために、「地域社会のための経営」「お客さま重視の経営」「人間尊重の経営」を指向した企業理念を定めております。
①当行の企業理念
「地域のために」 ― 私たちは、「公共的使命」を尊重し、豊かな地域社会の創造に貢献する、健全かつ
強い銀行を創ります。
「お客さまとともに」― 私たちは、「お客さま大事」を尊重し、誠意と英知を育み、真摯かつ魅力あふれる
銀行を創ります。
「人を大切に」 ― 私たちは、「自主性」を尊重し、自信と誇りに満ちた、進取かつ明朗な銀行を創り
ます。
②ブランドスローガン
『未来からの、ありがとうのために』
企業理念に込められた当行の企業姿勢を、より幅広く明確に伝えるため、2020年4月に制定しました。
この言葉には、次の時代を生きる地域の皆さま、未来の当行従業員、そして子供や孫たちから、「あの時は、本当にありがとう。」と言って頂ける銀行であり続けたい、という当行の想いと覚悟が込められております。
このブランドスローガンを、幸せな未来を心から願う青森銀行からのメッセージとして、そして当行従業員一人ひとりの道標として、地域社会に貢献する活動に取り組んでまいります。
(2) 目標とする経営指標
当行は、2019年度よりスタートしております第16次中期経営計画の最終年度(2021年度末)までに達成すべき目標水準を以下のとおり定めております。
※1.非金利収益比率は単体ベースでのコア業務粗利益対比
※2.ROEは株主資本ベース
※3.コンサルティング取組先増加数は「2018年度末対比での県内与信先純増数」と「県内非与信先で中計期間中に当行(グループを含む)とソリューション契約に至った先数」の合計
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当行は計画期間を3年間とする第16次中期経営計画「Change the Future」を策定し、2019年度より取組みをスタートさせております。
本計画におきましては目指す姿として「地域・お客さまとともに、豊かで幸せな未来を創る Only One
Consulting Bank」を掲げ、地域、お客さま、銀行、職員の明るく幸せな未来を目指すために「変える(Change)」をコンセプトに、真に「共通価値の創造」を実現するビジネスモデルへの変革を目指してまいります。
また、本中期経営計画で掲げた方針に基づく基本戦略として、以下の3項目を掲げております。
①「地域・お客さま本位でのコンサルティングの実践」
総合的な課題解決を行うコンサルティングの実践により、地域経済の発展への貢献と、当行グループの経営基盤の確保を両立させてまいります。
②「人材力・組織力の向上」
専門人材の育成と挑戦する組織を構築するとともに、 ダイバーシティや働き方改革の推進により、活力ある組織の実現を目指してまいります。
③「業務改革の断行」
コンサルティング機能を強化するため、既存業務の抜本的見直しを実行し、戦略的な人員の再配置を行ってまいります。
(4) 基本戦略に基づく主な取組み内容
①「地域・お客さま本位でのコンサルティングの実践」
イ.コンサルティング子会社の設立
従来の金融中心のコンサルティングから、顧客の様々な課題等に対応するため非金融分野にも取組み、また 中長期的な時間軸による継続したアプローチを行うことで、ハンズオン支援を可能とすべく、当行100%子会社「あおもり創生パートナーズ株式会社」を2019年10月に設立し、2020年1月から事業を開始しております。
同社は「企業・地域の未来づくり」を掲げ、経営サポート事業と地域デザイン事業を行っております。経営サポート事業においては、特に企業の人に対する課題解決に取り組むパートナーとして「人財紹介サービス」や「人財育成支援」を、一方地域デザイン事業においては、地域活性化のプランニングなどにより、様々な地域課題への支援・提案などを行っております。
事業開始実質1期目となる2020年度については、当初計画では経常利益ベースで△10百万円の創業赤字を見込んでおりましたが、「経営サポート事業」・「地域デザイン事業」とも当初想定を上回る結果となり、経常利益10百万円の実績となりました。
ロ.本部機構改正
顧客(企業)の成長ステージや各種ニーズに対応する機能を集約し、事業展開プロセスを一元的に捉え、お客さまに寄り添ったコンサルティング営業を展開すべく、従来の「企業サポート部」と「地域振興部」の事業者向けコンサルティング分野に係る機能を統合し「ビジネスパートナー部」を設置いたしました。また、法人・個人のお客さまに対し一体的なサービスを提供する営業体制構築のため「営業推進部」を設置いたしました。
②「人材力・組織力の向上」
イ.人事制度改正
「挑戦と能力発揮で未来を創る」・「可能性を活かす機会を広げる」・「主体的な行動と成果に報いる」の3つの人事ポリシーのもと「専門性向上とプロフェッショナル化による人材総活躍」及び「挑戦と能力発揮を促す公正な処遇」を基本的な考え方とする新人事制度を策定いたしました。
全員がプロフェッショナルとして専門性を磨く複線型の制度となることに加え、年齢や経験年数といった年功的な考え方を見直し、実力に応じた登用や配置を実施してまいります。また、56歳以降の先任行員制度を廃止し、役割給の導入による60歳までの一貫した賃金体系を再構築いたしました。
ロ.働き方改革
働き方改革として、勤務時間を柔軟に選択することができるフレックスタイム制度の導入や、勤務時における服装の多様化を推進するなど、これまでの習慣を見直し、活力ある組織風土づくりに向けた取組みを行っております。
③「業務改革の断行」
コンサルティング業務を行う人員を創出するため、既存業務の抜本的な見直しを行っております。内部事務の業務量に応じた人員配置の適正化を行うとともに、預金口座開設やローン等の申し込みにおけるタブレット端末の利用など積極的に営業店事務のデジタル化を行い、内部事務の業務量削減に取組んでおります。
また、株式会社NTTデータと地銀共同センター参加行のうち当行を含めた4行において、店頭におけるお客さまの利便性向上を目指し、現金・印鑑・伝票等を用いた従来型の事務フローを見直し、次世代型店頭体制の共同検討を開始いたしました。
(5) 会社の対処すべき課題
長きにわたる低金利環境により預貸金利鞘の縮小と有価証券運用収益の減少が継続する中、青森県においては人口減少・少子高齢化の進展が確実視され、地域経済への影響が増大していくことが懸念されており、当行を取り巻く経営環境は益々厳しさが増していくものと予想されます。
一方、新型コロナウイルス感染症の拡大は収束の兆しを見せることなく続いており、企業業績や雇用情勢、個人消費等に対して多大な影響を及ぼしている中、地域金融機関には金融仲介機能の発揮による地域経済の下支えが求められており、事業者の資金繰り支援のほか、コロナ後を見据えた経営改善や事業再生支援等の取組みを強化していくことを最優先課題として認識しております。
またウィズコロナ・アフターコロナといった社会構造の変革への対応など、地域社会が持続的に発展していくために、当行が果たすべき役割はますます重要となっており、デジタル技術の進展や規制緩和等を背景とした従来型の金融サービスの垣根を超えた新たな分野への挑戦を通じて、多様化するお客さまニーズへの対応やサービスの充実を図っていく必要があるものと認識しております。
このような厳しい経営環境の中、当行は、2021年5月14日に株式会社みちのく銀行と経営統合に関する基本合意書を締結し、来年4月の持株会社設立に向けて準備を進めております。
高品質で安定的な金融サービスを地域に提供し続けることができる健全な経営基盤を構築し、両行のそれぞれの強みを活かして金融仲介機能・金融サービスを強化してまいります。加えて、第16次中期経営計画に掲げるコンサルティング・バンクへの変革を着実に進め、豊かな地域社会の創造とお客さまの幸福・発展への貢献という使命を果たすため、全力で邁進してまいります。
(6) 新型コロナウイルス対応
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動への影響については、従来、当連結会計年度中は継続するものと仮定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大が依然として続いていることから、更に1年程度は続くものと仮定を変更しております。そのような状況下、当行は2020年度決算において、将来業況の悪化が想定される取引先に対し予防的な引当(6億円)を実施しました。
一方、金融仲介機能に係る取組みとしては、すべての事業性融資先に加え非融資先についても定期的にヒアリングを行い業況の把握に努めるなど、資金決済や資金のご支援、ご返済の相談に対し万全の体制で取り組んでおります。また、当行は現在の危機的状況が収束した後に、各事業者ならびに個人のお客さまがそれぞれに新しいビジョンや希望を持てるような提案やご支援を行ってまいります。
なお、2021年5月末現在における新型コロナウイルス関連の対応実績等は以下のとおりとなっております。
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