課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 当行は、「地域共栄」の経営理念のもと、地域金融機関として求められる役割が一段と多様化、高度化するなかで、株主の皆様、お客さま、そして地域の期待に的確にお応えし、地域の発展に貢献することを基本方針としております。

(2)中長期的な経営戦略

a 当行では、2030年を展望した中・長期的に目指す姿として「秋田銀行グループVISION『価値をつくる。未来へつなぐ。』」を策定しております。これは、秋田銀行グループが、地域の課題を解決し、質の高い金融・非金融サービスの提供を通じて、将来にわたる豊かな地域の実現にチャレンジし続けることを中・長期的な経営の方向性として示しております。そして、この目指す姿を実現する第1フェーズとして、2022年度から3年間を計画期間とする中期経営計画を策定しております。

 

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b 中期経営計画2022~2024年度の基本戦略

〇 基盤強化戦略

 金融仲介、コンサルティングを中心とした既存事業をさらに深掘りするとともに、高専門性の追求、チャネル・コスト・組織の構造改革、適切なリスクテイクによって収益力を改善し、経営基盤の強化をはかってまいります。

〇 地域価値共創戦略

 後継者不足、起業・創業、地域商社、人材支援など顕在化する地域課題の解決、地域を成長させていく機能を強化し、非金融分野における将来的な収益基盤を構築してまいります。

〇 組織・人財戦略

 多様な人材が成長・活躍し続けるフィールドづくりに取り組み、事業戦略の実行を支え、推進力となる組織を構築してまいります。

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c 目標とする経営指標

 中期経営計画の最終年度である2024年度の経営指標につきまして、次の目標を掲げております。

 当行単体

指 標

2021年度実績

2024年度目標

当期純利益

33億円

50億円以上

OHR(コア業務粗利益ベース)

76.83%

70.0%未満

自己資本比率

11.40%

10.0%以上

 

(3)2021年度における取組み

 当行では、前中期経営計画「価値共創~Grow with Our Community~」(2019~2021年度)において、地域のお客さまが抱える課題の解決に引き続き積極的に取り組み、その活動を通じて地域経済の成長に貢献するとともに持続可能なビジネスモデルの構築を進めてまいりました。

○新型コロナウイルス感染症への対応

 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなか、引き続きお客さまの資金需要に積極的に対応するとともに、コロナ禍の影響度によって異なるお客さまの経営課題に適切に対応していくため、従来以上に対話を深め、売上回復に向けた販路拡大、事業再構築や経営改善など、コンサルティング支援を強化いたしました。

○新たな価値の創出と地域課題の解決

 当行では、将来にわたる豊かな地域の実現を目指し、新たな価値を生み出す「地域価値共創事業」をはじめ、さまざまな事業を通じて地域の課題解決に取り組んでおります。

① 地域商社事業

 2021年4月に設立した地域商社「詩の国秋田株式会社」において、2021年10月にECサイト「詩の国商店」を開設いたしました。ECサイトには、60先を超える事業者の皆さまの商品(330品超)を掲載しており、秋田ならではの魅力ある産品の販売を通じて、生産者の皆さまの所得拡大と地域のブランド価値向上に取り組んでおります。また当社は、銀行子会社の地域商社では全国初となる台湾企業(中國信託ホールディングのグループ企業)からの出資を受入しており、このネットワークを活用して秋田県産品の台湾向け輸出を開始いたしました。この取組みは、「地方創生に資する金融機関等の『特徴的な取組事例』」に選定され、内閣府特命担当大臣(地方創生担当)表彰を受賞いたしました。

② 人材支援事業

 生産年齢人口の減少にともなって深刻化する人手不足など、地域企業が抱える人材に関する課題に対応するため、2019年11月に有料職業紹介等を取り扱う人材紹介業に参入いたしました。2022年2月には、地域企業の採用ニーズに対応するとともに人口社会減の緩和をはかるべく、人材採用を希望する秋田県内企業と秋田県内での就職を希望する新卒予定者やキャリア人材とのマッチングを支援する、就職・採用ポータルサイト「キャリピタAKITA」のサービスを開始いたしました。

③ 長活き(ながいき)プロジェクト

 年齢を重ねても活き活きと元気に活躍する「長活き」をコンセプトに、活力ある地域づくりに向け「長活きプロジェクト」を推進しております。2021年度においては、高齢化に対応した金融サービス拡充の取組みのひとつとして、三井住友信託銀行株式会社との包括連携協定を活用し、2021年11月に遺言代用信託の取扱いを開始いたしました。今後も、長く活き活きと暮らすことができる地域社会の実現に向け、高齢者のニーズにお応えする金融・非金融サービスの開発・提供をはじめ、さまざまな機関と広く連携しながらプロジェクトを進めてまいります。

④ 後継者不足への対応

 高齢化の進展等を背景とした事業後継者不足の課題に対応するため、事業承継支援・M&A支援に積極的に取り組んでおります。本部内に専門部署として「事業承継支援室」、「M&Aチーム」を設置するとともに、専門資格「M&Aシニアエキスパート」を保有する行員を秋田県内全域の営業店へ配置のうえ、幅広かつ専門的な支援を推進し、地域の経済基盤・活力の維持をはかっております。

⑤ 起業・創業支援

 地域経済の活力向上、将来の地域経済を担う事業の創出に向け、起業・創業支援、成長支援に取り組んでおります。起業を志す方、事業を開始したスタートアップ、先輩起業家、行政機関の方などを広くネットワークした「〈あきぎん〉STARTUP Lab」をプラットフォームとして、ビジネスコンテストやワークショップなどを有機的に組み合わせて実施し、創業段階からビジネスモデル確立、成長フェーズまで一貫した支援を推進しております。

 

○秋田・岩手アライアンス

 2021年10月、株式会社岩手銀行と包括業務提携「秋田・岩手アライアンス」を締結いたしました。このアライアンスは、お互いに独立経営を堅持しながら、それぞれが有する経営資源を有効活用し、双方のビジネスモデルを強化していくことを目的としております。提携開始以降、協業分野ごとに分科会を設置のうえ連携施策を進めており、今後、早期のアライアンス効果実現に向けてさらに取組みを加速させてまいります。

(4)経営環境及び対処すべき課題

 当行が地盤とする秋田県は、人口減少や少子化・高齢化など社会構造の変化にともなう課題に加え、気候変動や急速に進むデジタルシフトなど、多くの変化に対応していく必要があります。こうした背景から、当行に対する地域・お客さまの期待やニーズも、今後さらに多様化・高度化していくものと想定しております。

 当行では、これらの社会や地域の変化から生じる課題を解決し、経営理念「地域共栄」を実現するため、2030年を展望する「秋田銀行グループVISION『価値をつくる。未来へつなぐ。』」を定め、この目指す姿を実現する第1フェーズとして、2022年度から3年間を計画期間とする中期経営計画を策定いたしました。

 中期経営計画では、金融仲介とコンサルティングを中心とした既存事業をさらに深掘りし、高専門性の追求、構造改革、適切なリスクテイクを推進することにより収益力の向上をはかってまいります。加えて、既存事業の深掘りと並行し、地域課題の解決を事業化する「地域価値共創事業」のさらなる拡大・成長をはかることで、非金融分野における収益を強化し、持続可能な新たなビジネスモデルの構築に取り組んでまいります。また、当行グループの職員がそれぞれの力を最大限発揮し、成長・活躍し続けることができるフィールドづくりに取り組み、事業戦略を力強く推進していく組織を構築してまいります。

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