課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 本内容には、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。

1 経営方針

(1) 会社の経営の基本方針

 当行は、お客さまニーズや社会環境の変化にあわせてビジネスモデルを変革していく姿として、中期経営ビジョン2021「『金融×非金融×リレーション』でお客さまと地域を支援する」を策定しました。5つのテーマ「経営の根幹としてのサステナビリティ」「ライフサポートビジネスの深化」「総合金融サービス・機能の提供」「業務・組織のデジタル改革」「成長とやりがいを支える人事改革」の実現を目指すとともに、経営理念で掲げる地域社会の発展に貢献するため、幅広い活動を展開してまいりました。
・テーマ①「経営の根幹としてのサステナビリティ」
 当行は地域社会の持続的な発展に貢献するべく、リーディングバンクとして金融および非金融の両面から地域の社会的課題の解決に取り組んでいます。
 金融面の取組みとしましては、「八十二銀行グループ サステナブル投融資方針」を策定し、環境問題や社会課題を解決し持続可能な社会の実現に資するサステナブルファイナンスを2030年度までに累計1.5兆円実行する目標を掲げました。サステナブルファイナンスに関連する新商品では、「SDGsローン」「サステナビリティ・リンク・ローン」「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」の取扱いを開始したほか、新設子会社である八十二インベストメントとともに「八十二サステナビリティ1号ファンド」を設立しました。また、12月からは運用益の一部を寄付する「SDGs外貨定期預金」の取扱いを開始するなど、お客さまと連携したSDGsに関する取組みを拡大しています。
 非金融面の取組みとしましては、当行の創立90周年記念事業として、八十二文化財団と地域に根差した伝統文化、民俗芸能、食文化等の継承活動費を助成する「地域の文化継承活動助成事業」を開始しました。さらに長野県内の棚田保全ボランティア活動も開始し、収穫した棚田米は、こども食堂を運営する団体へ寄贈しました。
 脱炭素化の取組みとしましては、9月に環境省の「金融機関向けポートフォリオのカーボン分析パイロットプログラム支援事業」に採択され、お取引先の温室効果ガス排出量を把握する知見の習得に努めました。
 6月に新設した企画部[サステナビリティ統括室]を中心とした推進体制の強化を図り、お取引先の脱炭素化支援など持続可能な社会の実現に向けた幅広い活動を引き続き積極的に展開してまいります。
・テーマ②「ライフサポートビジネスの深化」
 当行は非金融サービスの充実に加え、金融サービスの高度化・非対面取引の機能拡充によってお客さまの暮らし全般を生涯にわたってサポートできる銀行を目指しています。
 非金融サービスの充実につきましては、庭木の剪定や家事代行、ハウスクリーニングなど、お客さまの住まいや暮らしにまつわる幅広いお困りごとを解決する「はちにのライフサポートサービス」の取扱いを開始しました。
 金融サービスの高度化につきましては、営業渉外部[信託グループ]を新設し、ご高齢のお客さまの財産管理ニーズや次世代への相続・資産承継ニーズにお応えするため、当行を受託者とした個人向け信託業務を新たに開始しました。また、住宅ローンでは金利上乗せがなく、すべての病気やケガを保障する疾病保障付住宅ローンの商品ラインナップを拡充しました。個人分野の相談機能の強化につきましては、コンサルティング営業の基礎知識となるFP1級およびCFPの資格取得サークルを立ち上げ、職員一人ひとりの自発的な能力伸長を後押ししました。また、専門的な知識・ノウハウを有するファイナンシャルアドバイザーの配置を進め、富裕層向けのコンサルティング体制の充実を図りました。さらに新設子会社「八十二アセットマネジメント」とともに金融サービスのさらなる高度化に挑戦してまいります。
・テーマ③「総合金融サービス・機能の提供」
 当行はコンサルティングメニューやグループ機能を拡充することで、事業者さまの企業経営に関する幅広いご相談をワンストップでサポートできる銀行を目指しています。
 事業者さまの経営課題解決に向けた取組みとしましては、八十二システム開発と連携した「ITコンサルティング」を開始し、デジタル技術を活用した業務改善やサービス力向上をサポートしています。さらに、職員のITコーディネータ資格の取得をサポートする研修を新設し、お客さまの多種多様なIT化・デジタル化ニーズにお応えできる営業店担当者の育成に取り組みました。また、働き方改革や人材確保に向けた人事制度に関するご相談につきましては、長野経済研究所と連携した「人事コンサルティング」を開始しました。ものづくり補助金や事業再構築補助金などの補助金活用支援では、本部と営業店担当者が一体となり申請手続きをサポートするとともに、ウィズコロナ時代に向けた経営戦略の検討を支援しました。
 10月に新設した投資専門子会社「八十二インベストメント」とは総額300億円の新ファンドを設立しました。投資・融資両面からの金融サービスと当行グループが一体となったコンサルティング機能を発揮し、事業者さまの成長を伴走的に応援してまいります

・テーマ④「業務・組織のデジタル改革」
 当行はデジタル技術やデータの活用による業務の効率化や新サービスの開発を通じて、新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいます。
 6月にはデジタル化施策を通じてお客さまの利便性向上や業務改革を推進する部署としてデジタルトランスフォーメーション部および企画部[デジタル推進グループ]を設置しました。お客さまの利便性向上に向けた取組みとしましては、店頭相談業務でのお待ち時間の短縮を図るため「来店予約システム」の試行を開始しました。融資手続きをホームページ上で完結させる取組みでは「八十二電子契約サービス」を導入したほか、「WEB契約」対象商品を拡充しました。さらに「はちじゅうにビジネスマッチングシステム」を導入し、販路拡大をはじめとする幅広いビジネスニーズにスピーディーにお応えできるよう機能強化も図っています。現在、開発を進めている「Wallet+(ウォレットプラス)」やAIを活用した営業担当者サポートシステムの導入により、革新的なマネーサービスがご提供できるよう取り組んでまいります。
・テーマ⑤「成長とやりがいを支える人事改革」
 当行は職員の価値観やライフスタイルの多様化に対応するため、人事制度や働き方の改革を進め、職員一人ひとりが成長とやりがいを実感できる組織を目指しています。
 働き方改革やダイバーシティの推進につきましては、6月に人事部[ダイバーシティ推進室]を設置しました。新たに策定した「ダイバーシティ&インクルージョン基本方針」に基づき、性別や年齢に関わらず多様な人材が活躍できる組織風土を醸成し、自由で新しい発想から組織力向上を目指してまいります。また、職員のキャリア形成支援では、人事部[キャリア開発グループ]を設置するとともに、それぞれが描くキャリアプランに応える体制づくりの一環として「プロフェッショナルコース」を導入しました。職員一人ひとりが成長とやりがいを実感でき、お客さまから支持される銀行グループへの成長を目指して、人事改革を進めてまいります。

(2)目標とする経営指標

当行グループは、2021年度から中期で目指す目標として、中期経営目標を設定しております。

目標としている経営指標は次のとおりです。

中期経営目標

親会社株主に帰属する当期純利益(連結/2025年度)

 250億円以上

連単倍率(2025年度)

 1.25倍以上

連結配当性向

2022年度から2025年度まで毎年度40%以上

温室効果ガス(CO2)排出量

 2030年度 2013年度比60%削減 *1
 2023年度 ネット・ゼロ *2

 

*1 事業用施設・車両から発生する温室効果ガス(CO2)排出量を、太陽光発電システムや環境配慮型設備の導入

   などを通じて、2030年度までに2013年度比60%削減する。
*2 上記の排出量削減の取組みに加えて、2023年度には再生可能エネルギーの活用などにより、ネット・ゼロと

   する。

 

2 経営環境及び対処すべき課題等

コロナ禍も3年目に入り、新しい生活様式や思考が定着しつつあります。DX(デジタルトランスフォーメーション)や働き方改革に加え、世界規模で広がるSDGsや脱炭素化をはじめとするサステナビリティの取組みは、企業活動における重要テーマとして位置づけられ社会全体が急速に変わろうとしています。

当行はこうした事業環境の変化に対応するとともに、地域社会の発展に貢献し続けられるよう「中期経営ビジョン2021」を策定しました。地域に必要とされる銀行グループであり続けるため経営の根幹にサステナビリティを据え、ビジネスモデルの変革と収益力の強化に取り組んでまいります。

具体的には、ウィズコロナ時代の経営戦略とともにDXや脱炭素化など新しい視点から企業価値向上に取り組まれる事業者さまには、金融サービスのほかにも、ヒト・モノ・情報など企業経営に関わるすべての面で期待にお応えできるよう当行グループの事業領域を広げ、総力を結集しともに活力あふれる地域社会を創ってまいります。

一方、人生100年時代を迎えより一層多様化していくライフプランに関しましては、デジタル技術も積極的に活用し、お客さまの暮らし全般をサポートできる銀行グループへと進化し、生涯にわたって選ばれ続けるよう安心・安全・便利なマネーサービスを提供してまいります。

また、ビジネスモデル変革を担う人材の育成につきましては、大胆な人事制度改革を進めることで一人ひとりの意識や行動の変革を促し、スピード感をもって自ら考え行動できる人材の育成に取り組んでまいります。多様な価値観の職員が存分に活躍できる職場環境を整えることで、魅力あふれる企業グループへと進化してまいります。

伝統的な銀行業務にとどまることなく非金融分野にも事業領域を拡大することで収益力を強化し、創立以来90年ともに歩んできた長野県のリーディングバンクとして、すべての事業活動から地域社会の発展に貢献してまいります。

 

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