事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(当行のリスク管理)

以下に記載したリスクのうち、(1)信用リスク及び(2)市場リスクについては、統計的手法であるVaRを用いて、一定の確率(信頼区間99.9%)のもと、一定期間(例えば1年間)に被る可能性のある最大損失額(リスク量)を計測し、把握しております。

これらのリスクが顕在化した場合、当行の業績・業務運営に影響を及ぼす可能性があるため、各リスクカテゴリー毎にリスクリミットを設定し、その合計額が自己資本の範囲内に収まるよう管理を行っております。

また、当行では、統合的リスク管理委員会において、各種のリスクシナリオが顕在化する蓋然性並びに当行の経営成績及び財務状況等への影響度の評価を行い、取締役会において、今後1年間で最も注意すべきリスク事象をトップリスクとして認識しております。

当該トップリスクに関しては、経営計画におけるリスクアペタイト方針やリスク管理方針等において対応方針を定め、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③内部統制システム及びリスク管理体制の整備の状況」に記載のリスク管理体制に基づき、リスク管理及び危機対応の体制を整備しております。

 

(直近の経営環境におけるリスク認識)

直近の経営環境においては、地球温暖化をはじめとした気候変動や新型コロナウイルス感染症の拡大が、重大なリスクとして影響度を高めているものと捉えております。

近年、気候変動の影響による台風・豪雨等の自然災害は、その頻度及び損害が急速に増大しており、地域社会・経済にとって大きな脅威となっております。また、日本を含む世界各国政府が低炭素社会に向けた取組みを加速させており、企業に対しても積極的な取組みが求められる等、当行にとっても気候変動リスクへの対応は重要な課題となりつつあります。

こうした自然災害の増加や低炭素社会への移行に伴い、以下のリスクが顕在化する可能性があります。

貸出先における本社・工場等の被災や、低炭素社会への移行の対応の遅れ等による競争力の低下等に起因する経営状況の悪化等に伴う信用リスク

大規模な自然災害が発生し、当行役職員や当行の店舗等が被災した場合における、営業活動の停滞等による営業戦略が奏功しないリスク、業務継続に必要な人材が確保できない人的リスク及び有形資産リス

・上記リスクの顕在化に起因する自己資本比率低下のリスク

加えて、新型コロナウイルス感染症拡大については、その社会生活に与える多大な影響に鑑み、世界各国が緊急的な対応を行っているものの、現時点ではその終息の見込みが立っておらず、世界経済への長期的な影響が懸念されております。

地元経済においても、緊急事態宣言は解除されたものの、外出・営業自粛を受けた家計消費の減少に加え、製造業等におけるサプライチェーンの混乱や主要輸出国における消費減少に伴う企業活動の低下等、その影響が徐々に顕在化しております。

また、今後、感染拡大の第二波、第三波への警戒が続く中で、経済活動の制限が継続する可能性もあります。

こうした感染症拡大に伴い、以下のリスクが顕在化する可能性があります。

・貸出先の経営状況の悪化等に伴う信用リスク

・金利・株価等の市場環境の悪化、混乱に伴う市場リスク及び流動性リスク

・当行役職員の感染や感染拡大の長期化に伴う営業活動の自粛等に加え、顧客の意識変化に伴い当行が営業活動を充分行えないこと等(感染防止のため面談を中心とした営業活動が困難になる等)による、営業戦略が奏功しないリスク

・当行において集団感染等が発生した場合における、業務継続に必要な人材が確保できない人的リスクや当行に係る悪質な報道等がなされる風評リスク

・上記リスクの顕在化に起因する自己資本比率低下のリスク

 

(個別のリスク)

(1) 信用リスク

当行の不良債権は世界経済の変動、国内景気の動向、業種の盛衰、不動産価格並びに株価の変動及び当行の貸出先の経営状況等によって増加する可能性があります。

当行では不良債権に対し、当行の貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提及び見積りに基づいて貸倒引当金を計上しております。また、大口債務者のうち、将来キャッシュ・フローを合理的に見積もることができる債権については、キャッシュ・フロー見積法により貸倒引当金を計上しております。

しかし、貸出先の経営状況の悪化、担保価値の下落等が貸倒引当金計上時の前提と大きく乖離する場合、貸倒引当金が不十分となり貸倒引当金の積み増しをせざるを得なくなる可能性があります。

 

また、経営状況が悪化した先に対し、債権放棄又は追加貸出等を行って支援をすることもありえます。さらに、担保権を設定した不動産又は有価証券等に対し、流動性の欠如や価格の著しい下落等を要因として担保権の執行が事実上できない可能性があります。

このような事態が生じた場合には当行の与信費用が増加し、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 市場リスク

当行では市場取引関連業務において、有価証券投資をはじめ様々な金融商品での運用を行っています。こうした活動には金利、為替レート、株価及び債券価格の変動等のリスクがあり、例えば以下のようなリスクが顕在化した場合には当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

①金利変動のリスク

当行は国債等市場性のある債券を保有しています。今後金利が上昇した場合、当行が保有する国債をはじめとする債券のポートフォリオの価値が低下し、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、金利が著しく低下した場合、適切な利回りが確保できない可能性があります。

②為替変動のリスク

当行の業務は為替レート変動の影響を受けます。円高が進行した場合には外貨建て取引の円換算額が目減りすることになります。さらに、資産及び負債の一部は外貨建てで表示されており、外貨建ての資産と負債の額が各通貨毎に同額で相殺されない場合又は適切にヘッジされていない場合には、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③株価下落のリスク

当行は市場性のある株式を保有しています。株価が大幅に下落する場合には保有株式に減損または評価損が発生し、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 流動性リスク

格付機関により当行の格付けが引き下げられた場合、当行を含む日本の銀行及びその他の金融機関の財政状態が悪化した場合又は市場環境が悪化した場合、予期せぬ資金の流出等により、当行の資本・資金調達等ができなくなる、不利な条件での取引を余儀なくされる又は一定の取引を行うことができなくなる可能性があります。

このような事態が生じた場合には当行は資金調達費用の増加等により、市場取引関連業務及び他の業務の収益性が低下し、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) オペレーショナルリスク

①事務リスク

当行は当行の事務規定に基づき厳正な事務処理を徹底し、事務事故の未然防止に努めておりますが、大きな賠償に繋がるような事務事故が発生した場合、当行の評価に重大な影響を及ぼすとともに、当行の業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

②システムリスク

当行は当行のシステムリスク管理規程に基づきシステムの安定稼動に努めておりますが、外部からのサイバー攻撃、その他の不正アクセス、コンピューターウイルス感染等により、情報の流出、システム機能の停止や誤作動等が生じた場合、業務の停止及び損害賠償の負担等が発生するとともに当行の業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

③人的リスク

当行は多数の従業員を雇用しておりますが、人材の確保や育成が不十分である場合、当行の競争力や従業員の効率性が低下する可能性があります。また、従業員による当行の信用失墜につながる行為等に起因する損害が発生した場合、当行の業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

④コンプライアンスリスク

当行はコンプライアンスを経営の最重要課題の一つとして位置付け、態勢強化に努めておりますが、法令等遵守状況が十分でなかった場合及びそれに起因する訴訟等が提起された場合、当行の評価に重大な影響を及ぼすとともに当行の業績及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。また、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与等の金融犯罪防止に係る態勢強化に努めておりますが、想定の範囲を超える大規模な金融犯罪等に利用された場合、業務の停止及び不測の損失等が発生するとともに、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤有形資産リスク

当行は、店舗等の有形資産を保有及び賃借しておりますが、自然災害や不法行為、不適切な資産管理等により、毀損、焼失又は劣化した場合、当行の業務遂行に支障をきたす可能性があります。また、保有する固定資産の使用目的の変更、収益性の低下及び価額の下落等が発生した場合、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥風評リスク

銀行業界及び当行に対するネガティブな報道、悪質な風説が流布された場合、それが正確かどうかにかかわらず又は当行に該当するか否かにかかわらず、当行の株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 自己資本比率低下のリスク

当行は海外営業拠点を有しておりませんので、連結自己資本比率及び単体自己資本比率を「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に定められる国内基準(4%)の維持が必要となります。

当行の自己資本比率が要求される水準を下回った場合には、金融庁長官から業務の全部又は一部の停止等を含む様々な命令を受けることとなります。

当行の自己資本比率は以下のような要因により影響を受ける可能性があります。

・株式を含む有価証券ポートフォリオ価値の下落

・不良債権増加に伴う与信費用の増加

・自己資本比率の基準及び算定方法の変更

・本項記載のその他の不利益な展開

 

(6) 退職給付債務等に関するリスク

当行の年金資産の時価が下落した場合、当行の年金資産の運用利回りが低下した場合又は予定給付債務を計算する前提となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合には損失が発生する可能性があります。また、年金制度の変更により未認識の過去勤務費用が発生する可能性があります。金利環境の変動その他の要因も年金の未積立債務及び年間積立額にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 規制変動リスク

当行は現時点の規制(法律、規則、政策、実務慣行、解釈等を含む)に従って業務を遂行しております。将来これらの規制の変更並びにそれらによって発生する事態が当行の業務遂行や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、どのような影響が発生しうるかについて、その種類・内容・程度等を予測することは困難であります。

 

(8) その他当行の業績等に影響しうる他のリスク

①競争に関するリスク

近年金融機関の業務における大幅な規制緩和により業態を超えた競争が激化してきております。また、当行の営業基盤である広島県ではメガバンク・近隣他行等の営業攻勢から競争が激化しております。

当行がこうした事業環境において競争優位を得られない場合、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

②当行の営業戦略が奏功しないリスク

当行は収益基盤の強化のために様々な営業戦略を実施していますが、以下に述べるものをはじめとする様々な要因が生じた場合にはこれら戦略が功を奏しないか、当初想定していた結果をもたらさない可能性があります。

・優良な貸出金の量の増大が進まないこと

・貸出金について適切な利回りが確保できないこと

・手数料収入の増加が期待通りの結果とならないこと

・経費削減等の効率化を図る戦略が期待通りに進まないこと

・取引先への経営改善支援が期待通りに進まないこと

③地域の経済動向に影響を受けるリスク

当行は広島県及び近隣3県(岡山県、山口県、愛媛県)を地元と位置付け、主要な営業基盤としていることから、これら地域経済の動向が当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

④自然災害・感染症の発生によるリスク

当行は国内に営業拠点を有しており、各拠点では豪雨をはじめとした自然災害の防災対策や感染症に係る感染防止対策等、業務継続体制の確保に努めております。特に、豪雨災害発生時等における当行役職員の人命確保及び店舗等の維持・確保に努めるとともに、新型コロナウイルス感染症拡大以降、時差出勤や在宅勤務の活用等の取組みを徹底する等、社会に必要な金融インフラとしての機能維持に努めております。しかしながら、想定をはるかに超える状況が発生した場合、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤持株会社体制への移行に関するリスク

当行は2020年10月に「株式会社ひろぎんホールディングス」を設立する予定でありますが、今後、本件に関わり、予期せぬ損失及び費用が発生した場合、当行の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

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