(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当行グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当行グループ各社は大分県を中心として、福岡県、宮崎県、熊本県、大阪府及び東京都に営業基盤を有し、堅実経営を基本方針として業容の拡大、内容の充実に努め、地域経済の発展に奉仕し、地方銀行の企業集団としての使命を達成すべく努力しております。
マイナス金利政策の継続や人口減少並びに新型コロナウイルス感染症の拡大等、金融機関を取り巻く厳しい経営環境の中で、当行グループは積極的な営業活動を展開し、業績向上に努めました結果、次のような結果となりました。
(財政状態)
預金及び譲渡性預金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末対比1,629億円増加し、3兆4,578億円となりました。
貸出金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末対比651億円増加し、1兆9,720億円となりました。
有価証券の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末対比177億円増加し、1兆2,876億円となりました。
(経営成績)
連結ベースの経常収益は、国債等債券売却益が増加したものの、株式等売却益及び貸出金利息の減少等により、前連結会計年度対比19億9百万円減少し、557億99百万円となりました。
一方、経常費用は、国債等債券売却損が増加したものの、貸倒引当金繰入額、営業経費及び株式等売却損の減少等により、前連結会計年度対比23億88百万円減少し、485億53百万円となりました。
この結果、経常利益は、前連結会計年度対比4億79百万円増加し、72億46百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加及び法人税等の減少により、前連結会計年度対比17億60百万円増加し、53億76百万円となりました。
(セグメント別業績)
当行グループの中心である「銀行業」では、経常収益は、株式等売却益の減少等により、前連結会計年度対比22億27百万円減少し、451億41百万円となりました。セグメント利益は、貸倒引当金繰入額の減少等による経常費用の減少が、経常収益の減少を上回ったことから、前連結会計年度対比6億5百万円増加し、61億84百万円となりました。
「リース業」では、経常収益は、リース売上高の増加等により前連結会計年度対比1億56百万円増加し、83億98百万円となりました。セグメント利益は、経常収益は増加したものの、リース売上原価の増加等による経常費用の増加により、前連結会計年度対比1億39百万円減少し、2億12百万円となりました。
「銀行業」、「リース業」を除く「その他」の経常収益は、資金運用収益やその他業務収益の増加等により、前連結会計年度対比1億62百万円増加し、31億86百万円となりました。セグメント利益は、経常収益の増加により、前連結会計年度対比18百万円増加し、8億66百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金の増加等により、4,702億82百万円のプラス(前連結会計年度は3,415億21百万円のプラス)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出等により、341億83百万円のマイナス(前連結会計年度は1,656億63百万円のマイナス)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、11億90百万円のマイナス(前連結会計年度は12億56百万円のマイナス)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末対比4,349億13百万円増加し、9,409億96百万円となりました。
資金運用収支は、前連結会計年度対比66百万円減少して332億8百万円、役務取引等収支は、前連結会計年度対比18百万円増加して68億30百万円、その他業務収支は、前連結会計年度対比13億96百万円減少して△57億4百万円となりました。
(注) 1 国内業務部門は当行及び連結子会社の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引、特別国際金融取引勘定分等は国際業務部門に含めております。以下同様であります。
2 資金調達費用は、金銭の信託運用見合費用(前連結会計年度2百万円、当連結会計年度2百万円)を控除しております。
3 「相殺消去額」欄は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息を記載しております。
資金運用勘定の平均残高は、3兆6,975億円となり、利回りは0.80%となりました。資金調達勘定の平均残高は、3兆8,170億円となり、利回りは0.01%となりました。
(注) 1 平均残高は、当行については日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、連結子会社については、月毎の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度270,372百万円、当連結会計年度223,500百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度18,986百万円、当連結会計年度19,734百万円)及び利息(前連結会計年度2百万円、当連結会計年度2百万円)を、それぞれ控除しております。
資金運用勘定の平均残高は、2,988億円となり、利回りは1.36%となりました。資金調達勘定の平均残高は、2,951億円となり、利回りは0.04%となりました。
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度4百万円、当連結会計年度1百万円)を控除して表示しております。なお、資金調達勘定より控除すべき金銭の信託運用見合額の平均残高及び利息はありません。
2 国際業務部門の国内店外貨建取引の平均残高は、月次カレント方式(前月末のTT仲値を当該月の取引に適用する方式)により算出しております。
(注) 1 資金運用勘定は無利息預け金の平均残高(前連結会計年度270,376百万円、当連結会計年度223,502百万円)を、資金調達勘定は金銭の信託運用見合額の平均残高(前連結会計年度18,986百万円、当連結会計年度19,734百万円)及び利息(前連結会計年度2百万円、当連結会計年度2百万円)を、それぞれ控除しております。
2 「相殺消去額」欄は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息を記載しております。
役務取引等収益は、前連結会計年度対比26百万円減少して90億86百万円となりました。また、役務取引等費用は、前連結会計年度対比45百万円減少して22億55百万円となりました。
預金の種類別残高(末残)
(注) 1 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
2 定期性預金=定期預金+定期積金
ロ.外国政府等向け債権残高(国別)
「外国政府等」とは、外国政府、中央銀行、政府関係機関又は国営企業及びこれらの所在する国の民間企業等であり、日本公認会計士協会銀行等監査特別委員会報告第4号に規定する特定海外債権引当勘定を計上している国の外国政府等の債権残高を掲げることとしておりますが、前連結会計年度及び当連結会計年度は該当ありません。
有価証券残高(末残)
(注) 「その他の証券」には、外国債券及び外国株式を含んでおります。
(自己資本比率等の状況)
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
連結自己資本比率(国内基準) (単位:億円、%)
単体自己資本比率(国内基準) (単位:億円、%)
(資産の査定)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の社債(当該社債を有する金融機関がその元本の償還及び利息の支払の全部又は一部について保証しているものであって、当該社債の発行が金融商品取引法(1948年法律第25号)第2条第3項に規定する有価証券の私募によるものに限る。)、貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定に計上されるもの並びに貸借対照表に注記することとされている有価証券の貸付けを行っている場合のその有価証券(使用貸借又は賃貸借契約によるものに限る。)について債務者の財政状態及び経営成績並びに事業計画の合理性等を基礎として債務者区分を決定し、その債務者区分に応じて次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
資産の査定の額
(注)金額は億円未満を四捨五入して表示しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①財政状態の分析
(預金等)
預金等は、個人預金、法人預金及び公金預金が増加したことから、前連結会計年度末対比1,629億99百万円増加し、3兆4,578億90百万円となりました。
(貸出金)
貸出金は、県内事業性貸出金、個人ローン及び公共向け貸出金の増加により、前連結会計年度末対比651億58百万円増加し、1兆9,720億40百万円となりました。
(有価証券)
有価証券は、社債及びその他の証券が減少したものの、国債及び地方債等が増加したことから、前連結会計年度末対比177億42百万円増加し、1兆2,876億83百万円となりました。
(金融再生法開示債権の状況)
金融再生法開示債権及び引当・保全の状況は以下のとおりであります。
金融再生法開示債権は、前連結会計年度末対比11億78百万円減少し、505億66百万円となりました。
開示債権比率は、前連結会計年度末対比0.14ポイント低下し、2.50%となりました。
債権区分別では、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が11億90百万円増加し、危険債権が20億48百万円、要管理債権が3億19百万円それぞれ減少しております。
当連結会計年度の開示債権の保全状況は、開示債権505億66百万円に対し、引当金による保全が241億3百万円、担保保証等による保全が224億41百万円で、開示債権全体の保全率は、前連結会計年度末対比0.5ポイント上昇し、92.0%となっております。
(連結自己資本比率(国内基準))
自己資本額は、当期純利益の計上等により、前連結会計年度末対比42億13百万円増加し、1,757億77百万円となりました。
リスク・アセットは、貸出金の増加等により、前連結会計年度末対比466億53百万円増加し、1兆6,322億32百万円となりました。
以上の結果、連結自己資本比率は、前連結会計年度末対比0.06ポイント低下し、10.76%となりました。
今後、「収益確保に向けたリスク資産の増強」や「地域への積極的なリスクテイク」を通じたリスク・アセットの増加により、自己資本比率は低下することも想定されますが、その適正水準についてはリスク・リターンのバランスをみながら随時検討を行います。
②経営成績の分析
損益の状況
(注) 連結粗利益=(資金運用収益-資金調達費用)+(役務取引等収益-役務取引等費用)
+(その他業務収益-その他業務費用)
(連結粗利益)
連結粗利益は、国債等債券売却損の増加によるその他業務利益の減少等により、前連結会計年度対比14億44百万円減少し、343億32百万円となりました。
(営業経費)
営業経費は、人件費及び物件費の減少により、前連結会計年度対比18億33百万円減少し、271億86百万円となりました。
(連結与信費用)
連結与信費用は、個別貸倒引当金繰入額の減少等により、前連結会計年度対比24億15百万円減少し、11億60百万円のプラスとなりました。
(株式等損益)
株式等損益は、株式等売却益の減少等により、前連結会計年度対比20億78百万円減少し、9億4百万円のプラスとなりました。
(特別損益)
特別損益は、減損損失の減少等により、前連結会計年度対比1億59百万円増加し、2億84百万円のマイナスとなりました。
以上の結果、「中期経営計画2021」の経営指標である「連結当期純利益」については、2021年度の目標である40億円を上回りました。
③資本の財源及び資金の流動性
当行グループの資産及び負債は主要業務である貸出金、有価証券及び預金で形成されています。
当行グループの運転資金・設備資金については、預金を主とする負債及び自己資本により充当しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は9,409億96百万円であり、上記運転資金・設備資金を十分な水準にて確保しており、また、資金流動性確保に懸念はないものと考えております。
資本の財源及び資金の流動性についての分析については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。当行が連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであると認識しております。
(貸倒引当金の計上)
当行グループにおける貸出金、支払承諾見返等の債権は連結貸借対照表上の資産に占める割合が大きく、経営成績等に対する影響も大きいため、会計上の見積りとして重要なものと判断しております。
当行の経営者は、貸倒引当金の計上にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は合理的であり、貸倒引当金は債権に対して十分に計上されていると判断しております。ただし、貸倒引当金の計上には不確実性が含まれており、将来の景気変動や債務者の業況の変化等により、将来、当行グループの貸倒引当金を増額又は減額する可能性があります。
なお、貸倒引当金の計上基準及び新型コロナウイルス感染症の見積り等への影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4会計方針に関する事項(5)貸倒引当金の計上基準及び(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
(繰延税金資産)
当行グループは、繰延税金資産について、将来の収益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しており、会計上の見積りにおいて重要なものと判断しております。
当行の経営者は、繰延税金資産の計上にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は合理的であると判断しております。
ただし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が増額又は減額する可能性があります。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(税効果会計関係)」をご参照ください。
(退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債)
当行グループは、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債を数理計算に使用される前提条件に基づいて計算しております。これらの前提条件には退職給付債務の割引率、退職率、予想昇給率及び年金資産の長期期待運用収益率等の見積りを用いております。
当行の経営者は、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債の計算にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は合理的であると判断しております。
ただし、前提条件に変動が生じ退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債が増減した場合、その影響は将来の一定期間にわたって損益処理されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4会計方針に関する事項(9)退職給付に係る会計処理の方法及び(退職給付関係)」をご参照ください。
⑤次期(年間)の業績の予想
当行グループの2022年度の業績につきましては、経常収益529億円、経常利益69億円、親会社株主に帰属する当期純利益45億円を予想しております。このうち当行単体では、経常収益422億円、経常利益58億円、当期純利益43億円を予想しております。
なお、2023年3月末の日経平均株価を22,000円~32,000円、与信費用(一般貸倒引当金繰入額+不良債権処理額)を連結ベースで年間19億円、単体ベースで年間16億円と見込んでおります。
業績予想については、当行が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は、新型コロナウイルス感染症によるお取引先等への影響など様々な要因により大きく変動する可能性があります。
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