当連結会計年度における当行グループの財務状況、経営成績およびキャッシュフロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
経常収益は、住宅ローンに係る手数料収入や預け金利息の増加があるものの、リース業における売上高や貸出金利息の減少により前期を2億66百万円下回る570億11百万円となりました。
一方、経常費用は、元金据置を行った事業者の返済再開等による債務者区分の良化や景気指標の改善に伴い予想損失率が低下したことにより、一般貸倒引当金が繰入から戻入に転じたことなどから、前期を43億52百万円下回る490億81百万円となりました。
この結果、経常利益は前期を40億85百万円上回る79億30百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前期を30億10百万円上回る55億90百万円となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
①銀行業
経常収益は前連結会計年度比13億10百万円増加の386億88百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比47億1百万円増加の69億96百万円となりました。
②リース業
経常収益は前連結会計年度10億34百万円減少の160億92百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比1億71百万円増加の5億35百万円となりました。
③クレジットカード業
経常収益は前連結会計年度比4億11百万円減少の37億18百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比2億13百万円減少の6億68百万円となりました。
④信用保証業
経常収益は前連結会計年度8百万円増加の9億11百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比1億25百万円増加の7億91百万円となりました。
⑤その他
経常収益は前連結会計年度比16百万円減少の4億38百万円となり、セグメント利益は前連結会計年度比3百万円減少の15百万円となりました。
主要勘定としては、預金等(譲渡性預金を含む)の期末残高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による貯蓄性向の高まり等により個人預金を中心に増加したことから、前連結会計年度末を1,190億52百万円上回る2兆5,982億59百万円となりました。貸出金の期末残高は、個人向け貸出が住宅ローンを中心に好調に推移したことに加え、地公体向け貸出も増加したことから、前連結会計年度末を255億23百万円上回る1兆8,044億14百万円となりました。有価証券は、地方債等の取得により前連結会計年度末を311億31百万円上回る3,641億79百万円となりました。
キャッシュ・フローの状況については次の通りであります。
現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比2,452億74百万円増加の7,699億63百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金や預金の増加により2,861億17百万円の収入(前連結会計年度は2,953億74百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、債券を中心とした有価証券の取得等により386億63百万円の支出(前連結会計年度は747億2百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等により22億29百万円の支出(前連結会計年度は17億44百万円の支出)となりました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当行グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
中期経営計画「SINKA 2020」の2年目である2021年度は新型コロナウイルス感染症による環境の変化で経済的苦境に陥っているお客さまに対する積極的な支援の取り組みなど、地域活性化に貢献するための各種取り組みを進めてまいりました。
①お取引先事業者への取り組み
当行では財務体質を強化する観点から2020年度に「フォワードルッキングな引当」を導入したことで、今後の追加引当を恐れることなく、腰を据えてお客さまの再生支援に取り組む態勢を構築しました。これにより、新型コロナウイルス感染症による影響を受けられたお客さまに対しては、財務面での借入金の元金返済据え置きや資金繰り支援の他、事業継続・再生に向けた経営改善計画策定や営業面でのトップライン支援など伴走型支援を実施いたしました。
また、2020年度に事業継続・雇用維持など「沖縄のリソースを守る」ことを目的として当行と県内有力企業で設立した「株式会社琉球キャピタル」とともに、県内大型ホテルの投資案件を実行いたしました。
今後も事業性評価を起点としたお客さまとの深度あるコミュニケーションの強化によりお客さまの多様なニーズの把握を図るとともに、お客さまの課題解決に向けた各種ソリューションの提案力強化に努めてまいります。
②個人のお客さまへの取り組み
お客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)を実践する中、お客さまのライフプランに沿った商品・資産運用サービスの提供を展開いたしました。特に、高齢化の進展に伴い今後ニーズが増えると想定される相続分野においての遺言信託や遺産整理業務に注力してまいりました。
また、スマートフォンの普及とともにコロナ禍で高まった非対面での金融取引へのニーズに対応した「りゅうぎんアプリ」をリリースし、個人ローンについてもインターネットを利用した来店不要のローン契約を4商品から9商品に拡充しました。今後もアプリ機能の順次拡張などデジタル技術を活用した顧客利便性の向上に努めてまいります。
③キャッシュレスに関する取り組み
長引く新型コロナウイルス感染症の影響で、消費活動のキャッシュレス決済の利用が促進されたのを受け、店舗や施設では現金にとらわれない多様な決済手段への対応が求められております。そのような中、当行ではコロナ禍前よりVisaデビットカードの発行、電子マネーやQR決済にも対応したカード決済端末の普及に取り組んでまいりました。カード加盟店数は年々順調に増加し、2021年度のカード取扱高は過去最高を記録しました。また、2021年度に海外ブランド「銀聯カード」の取扱いを開始したのに加え、2022年度は台湾で浸透している電子マネー「悠遊カード」の取扱開始を予定しております。当行では今後もカード利用者と加盟店の拡大を図るとともに、カードサービスの魅力を高め、地域のキャッシュレス化に貢献してまいります。
④店舗運営効率化に関する取り組み
2021年度では、お客さまの待ち時間短縮や窓口サービスの向上を目的として、従前より進めてまいりましたタブレットを活用した新受付システムやお客さまからの電話問い合わせを本部に集中する「営業店受電集中」の全店展開が完了しました。
また、店舗に来店するお客さまと本部専門行員とを結び、遠隔から専門性の高い取引相談への対応を可能とする「リモート相談窓口」の運用を開始しました。これによりお客さまに質の高い相談対応を提供するとともに、営業店窓口事務の効率化を実現いたします。
これらの結果、顧客向けサービス利益は前年度を12億62百万円上回る50億97百万円となりました。
銀行以外のセグメントの経常利益について、与信コストの減少等によりリース業セグメントは前年度を1億71百万円上回る5億35百万円、信用保証業セグメントは前年度を1億25百万円上回る7億91百万円となり、一方で新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の低迷等によりクレジットカード業セグメントは前年度を2億13百万円下回る6億68百万円となりました。
当行グループの資本の財源及び資金の流動性については以下の通りです。
資金運用等に関しては、主要な運用手段である貸出金が順調に推移する一方で、金銭の信託等による資金運用の多様化を行っております。有価証券運用においては債券の償還が進む中で金融市場の動向を睨みながら、機動的な運用を行っております。一方で主要な資金調達手段である預金についても好調に推移しており、債券の償還等による調達と合わせて増加する運用資金に対応しております。
また、当行は「第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおり投資を計画しておりますが、これらに必要な資金は自己資金で対応する予定であります。
当行は中期経営計画「SINKA2020」における最終年度である2022年度の目標として親会社株主に帰属する当期純利益55億円ほか下表の項目を掲げております。
当連結会計年度において親会社株主に帰属する当期純利益(①)は一般貸倒引当金が繰入から戻入に転じたことを主因として前年比30億円増加の55億円となりました。また、経費が減少した結果、顧客向けサービス利益(③)の増加とともに単体コアOHR(④)も改善しました。カード加盟店グループ総取扱高(⑥)においてはコロナ禍の影響を受けておりますが、着実に増加しております。また、お客様に寄り添った支援を継続した結果、事業性評価シートによるソリューション提案件数(⑦)は前年に続き中期経営計画最終年度目標数値を上回りました。
新連結会計年度となる2022年度は、中期経営計画「SINKA2020」の最終年度となります。経営目標である「顧客本位の収益モデルの実現」に向け、グループ総合力を発揮し、経営計画に掲げる施策を一つ一つ丁寧に実行に移していくことで、中期経営計画最終年度目標数値の達成に努めてまいります。
今後も引き続き、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」という経営理念を達成すべく、地域の課題解決に努め、お客様が真に求める商品・サービスの提供に努めてまいります。
※1 顧客向けサービス利益=預貸金収支+役務利益―経費
※2 完全実施ベースの自己資本比率は、土地再評価差額金の資本算入額をゼロとし、無形固定資産および前払年金費用等を資本調整額として全額計上するベース。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当行の貸倒引当金は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表」の「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4 会計方針に関する事項(5)貸倒引当金の計上基準」に記載のとおり、「破綻先」「実質破綻先」「破綻懸念先」に係る債権については、取立不能額及び担保や保証による回収見込額を控除した額に対し、全額または必要額を個別に計上しております。
それ以外の債権については、主として今後1年間の予想損失額又は今後3年間の予想損失額を見込んで計上しており、予想損失額は、将来に関するマクロ経済指標の予想に基づき予想損失率を求め、これに将来見込み等必要な修正を加えて算定しております。
連結子会社の貸倒引当金は、一般債権については過去の貸倒実績率等を勘案して必要と認めた額を、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額をそれぞれ計上しております。
当行及び一部の連結子会社において今後の見通しについては、新型コロナウイルス感染症の影響を含め、経済活動は2022年度以降ごく緩やかな回復シナリオを想定していますが、貸倒引当金の見積りに用いた仮定については現時点における最善の見積りであるものの、当該仮定には不確実性が存在しております。そのため、新型コロナウイルス感染症の感染状況等による影響の変化によっては、翌年度以降の連結財務諸表において当該貸倒引当金は増減する可能性があります。
当連結会計年度における資金運用収支は276億15百万円、役務取引等収支は59億70百万円、その他業務収支は11億43百万円となっております。
部門別にみますと、国内部門の資金運用収支は277億53百万円、国際部門の資金運用収支は5億81百万円となっております。
(注) 1 国内業務部門は当行の円建取引及び子会社取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2 資金運用収益及び資金調達費用の合計欄の上段の計数は、国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の利息であります。
3 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
当連結会計年度における資金運用勘定の平均残高は2兆6,781億1百万円、そのうち貸出金が1兆7,878億68百万円、有価証券が3,459億91百万円となっております。資金運用利回りは1.03%、そのうち貸出金が1.47%、有価証券が0.33%となっております。
一方、資金調達勘定の平均残高は2兆6,700億96百万円、そのうち預金が2兆5,221億22百万円となっております。資金調達利回りは0.00%、そのうち預金が0.00%となっております。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、当行以外の子会社については、当連結会計年度末と前連結会計年度末の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 1 平均残高は、原則として日々の残高の平均に基づいて算出しておりますが、当行以外の子会社については、当連結会計年度末と前連結会計年度末の残高に基づく平均残高を利用しております。
2 ( )内は国内業務部門と国際業務部門の間の資金貸借の平均残高及び利息(内書き)であります。
(注) 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
(注) 1 国内業務部門は当行の円建取引及び子会社取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。
2 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
(注) 1 国内業務部門は当行の円建取引、国際業務部門は当行の外貨建取引であります。ただし、円建対非居住者取引は国際業務部門に含めております。
2 流動性預金=当座預金+普通預金+貯蓄預金+通知預金
3 定期性預金=定期預金
4 相殺消去額欄は、連結会社間の内部取引消去額を計上しております。
(注) 1 国内とは当行及び国内子会社であります。
2 海外及び特別国際金融取引勘定分については、該当ありません。
該当ありません。
(注) 1 国内業務部門は円建有価証券、国際業務部門は外貨建有価証券であります。ただし、円建外国債券は国際業務部門に含めております。
2 外貨建有価証券及び円建外国債券は、「その他の証券」に計上しております。
連結会社のうち「金融機関の信託業務の兼営等に関する法律」に基づき信託業務を営む会社は、当行のみです。
なお、前連結会計年度末及び当連結会計年度末においては、信託の受託残高はありません。
(参考)
自己資本比率は、銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準(2006年金融庁告示第19号)に定められた算式に基づき、連結ベースと単体ベースの双方について算出しております。
なお、当行は、国内基準を適用のうえ、信用リスク・アセットの算出においては標準的手法を採用しております。
(単位:億円、%)
(単位:億円、%)
(参考)
資産の査定は、「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」(1998年法律第132号)第6条に基づき、当行の貸借対照表の貸出金、外国為替、その他資産中の未収利息及び仮払金、支払承諾見返の各勘定について債務者の財政状態及び経営成績等を基礎として次のとおり区分するものであります。
1 破産更生債権及びこれらに準ずる債権
破産更生債権及びこれらに準ずる債権とは、破産手続開始、更生手続開始、再生手続開始の申立て等の事由により経営破綻に陥っている債務者に対する債権及びこれらに準ずる債権をいう。
2 危険債権
危険債権とは、債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権をいう。
3 要管理債権
要管理債権とは、三月以上延滞債権及び貸出条件緩和債権をいう。
4 正常債権
正常債権とは、債務者の財政状態及び経営成績に特に問題がないものとして、上記1から3までに掲げる債権以外のものに区分される債権をいう。
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