業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、長期化する米中の対立問題や世界的な景気減速懸念等に加えて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大に伴う経済活動の停滞の影響が長引き、極めて厳しい状況にあります。これまで世界各国で感染拡大防止に向けて様々な対策が講じられてきましたが、欧米諸国を中心に、ワクチン接種の普及等による行動制限の緩和等により、経済・社会活動が回復しつつある一方で、新型コロナウイルス感染症の従来株から新たな脅威となり得る変異株への置き換わりにより感染拡大が懸念されるなど、経済回復への道のりは未だ先行き不透明な状況で推移しております。

こうした中にあって、わが国経済においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による経済活動の停滞が依然として続いており、一時、感染対策の浸透やワクチン接種の普及等により経済・社会活動への制限が段階的に縮小され、持ち直しの動きも見られましたが、新型コロナウイルス感染症の変異株の確認により、再度感染拡大が懸念されるなど、引き続き厳しい状況で推移しております。

当社グループは、当連結会計年度において、このような新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により世界各国で経済環境が急変し、産業構造が大きく変動している中にあって、事業ポートフォリオについて、抜本的な見直しが求められているとの認識の下、コロナ後をも見据えて、積極的に事業基盤の強化や持続的な成長の実現に向けた取り組みを行ってまいりました。

 

a.日本での事業展開について

当社は2021年3月に当社が保有するNexus Bank株式会社(東証JASDAQ上場、証券コード:4764、以下、「Nexus Bank」という。)の新株予約権の一部を株式会社オータス(本社:東京都渋谷区、代表取締役 竹谷治郎)に譲渡いたしました。また、2021年8月にファクタリング業を営む株式会社Frontier Capitalを設立いたしました。

株式会社日本保証(以下、「日本保証」という。)は、保証商品の多角化の一環として不動産担保ローンやクラウドファンディングを通じた保証を強化しております。不動産担保ローンでは、2021年4月に三井不動産リアルティ株式会社と、2021年12月に京阪電鉄不動産株式会社と新たに不動産担保ローンに対する保証を開始いたしました。また、クラウドファンディングを通じた保証では、提携先企業による日本保証の債務保証を組み込んだファンドの募集を通じて、融資型クラウドファンディングにおける債務保証や、不動産投資型クラウドファンディングにおける不動産買取保証などの取扱高が2021年12月時点で50億円を達成するなど順調に増加しております。当連結会計年度においても、融資型クラウドファンディングでは、株式会社ZUUグループの株式会社COOL及び株式会社COOL SERVICESが運営する「cool」、不動産投資型クラウドファンディングでは、株式会社ミライノベート(旧 株式会社プロスペクト)グループの株式会社グローベルス(旧 キーノート株式会社)が運営する「大家.com」や株式会社イーダブルジーが運営する「TOMOTAQU」、ONE DROP INVESTMENT株式会社が運営する「FUNDROP」等のクラウドファンディングサイトを通じた保証を開始しております。

 

b.海外での事業展開について

シンガポールでは、JTRUST ASIA PTE.LTD.(以下、「Jトラストアジア」という。)が、提起しておりました訴訟において、2020年10月6日、シンガポールの控訴裁判所はGroup Lease PCL(以下、「GL」という。)の完全子会社であるGroup Lease Holdings Pte.Ltd.(以下、「GLH」という。)、此下益司氏(以下、「此下氏」という。)ほか5社に対し、Jトラストアジアへ損害賠償として、70,006,122.49米ドル及び131,817.80シンガポールドルの合計額とシンガポールにおける訴訟費用を支払うよう命じる判決を言い渡しております。これによりJトラストアジアは、GLH及び此下氏より、当該判決の履行として2021年1月11日に37,000千米ドル、GLHより同年4月7日に17,000千米ドル、同年4月29日に7,200千米ドル、同年5月14日に1,250千米ドル及び同年7月19日に9,967千米ドル、さらに同年7月9日に訴訟費用として1,159千米ドルを受領し、当該判決につきましては、これまでの回収金を含め全額を回収いたしました。さらに、同年8月3日には、2020年10月の判決に含まれていなかった投資金額約124百万米ドルに係る損害の回復を求める訴訟を提起しております。

また、韓国では、2021年8月に当社連結子会社である韓国のJTキャピタル株式会社(現 Aキャピタル株式会社、以下、「JTキャピタル」という。)の全株式をVI金融投資株式会社の系列会社が設立する特別目的会社(SPC)への譲渡を完了いたしました。

さらに、インドネシアでは、PT Bank JTrust Indonesia Tbk.(以下、「Jトラスト銀行インドネシア」という。)が、2021年11月2日、飯田グループホールディングス株式会社(東証1部上場、証券コード:3291、以下、「飯田グループ」という。)傘下の子会社であるPT.ABDILUHUR KAWULOALIT(代表取締役 渡辺健一郎) と、同社が開発する「REIWA TOWN」の住宅販売に係る業務提携契約を締結しました。また、2021年11月25日、同じく飯田グループ傘下の子会社であるPT.IONE HOME INDONESIA(代表取締役社長 六角 暁) と、同社が開発する「ロンボク島・バリ島事業」の住宅販売に係る業務提携契約を締結しました。今後もインドネシア各地に事業を展開している飯田グループ各社との業務提携を順次増やしていきたいと考えており、引き続き、インドネシアの皆様の豊かな社会づくり及び生活に貢献してまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度における営業収益は、コロナ禍にもかかわらず底堅い日本金融事業や韓国金融事業に支えられ、42,325百万円(前年同期比7.5%増)となりました。営業損益は、東南アジア金融事業において銀行業における貸出金残高が順調に回復してきているものの、未だ、利息収益が十分な額に達していないことや、PT JTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCE(以下、「JTO」という。)について、今後の事業計画の見直し等に伴うのれんの減損損失699百万円を計上したことによりその他の費用が増加した一方で、韓国や東南アジアの銀行業において貸出金の増加に伴い利息収益が増加したことや、Jトラスト銀行インドネシアにおいて訴訟損失引当金577百万円を取り崩したこと、上述のとおりGL関連の勝訴判決に係る受領額7,847百万円をその他の収益に計上したこと等により、5,260百万円の営業利益(前年同期は2,403百万円の営業損失)となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期損益は、為替相場が円安に振れ、外貨建資産負債の評価替えによる為替差益を計上したことや、投資有価証券に対する売却損益や評価損益及びそれぞれに対応する税効果の計上に加えて、非継続事業からの損益としてJTキャピタルの株式売却損等を計上した結果、1,123百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益(前年同期は5,342百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。

 

なお、第3四半期連結会計期間において、JTキャピタルを非継続事業に分類しております。また、前連結会計年度において、非継続事業に分類しておりましたJT貯蓄銀行株式会社(以下、「JT貯蓄銀行」という。)について、第1四半期連結会計期間に当該分類を中止し継続事業に分類しております。そのため、前連結会計年度の関連する数値については、組替えて表示しております。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

(日本金融事業)

日本国内において、主に、日本保証が信用保証業務、債権回収業務及びその他の金融業務を、パルティール債権回収株式会社が債権回収業務を行っております。

営業収益は債務保証残高の減少に伴い保証料収益はやや減少したものの、買取債権における業務が好調に推移し利息収益が増加したことにより、9,781百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は4,588百万円(前年同期比5.6%減)とほぼ前年同期並みで推移いたしました。

 

(韓国及びモンゴル金融事業)

韓国において、JT貯蓄銀行が貯蓄銀行業務を、TA資産管理貸付株式会社が不良債権の買取及び回収業務を行っております。また、モンゴルにおいて、J Trust Credit NBFIが金融業務を行っております。なお、第3四半期連結会計期間において、割賦業務及びリース業務を行っておりましたJTキャピタルを株式譲渡したことにより、同社の業績並びに譲渡に伴う損益を非継続事業に分類するとともに連結の範囲から除外しております。

営業収益は銀行業における貸出金残高の増加に伴い貯蓄銀行業務における利息収益が増加したこと等により14,806百万円(前年同期比19.5%増)、セグメント利益は3,208百万円(前年同期比58.9%増)となりました。

 

(東南アジア金融事業)

インドネシアにおいて、主にJトラスト銀行インドネシアが銀行業務を、PT JTRUST INVESTMENTS INDONESIA及びPT TURNAROUND ASSET INDONESIAが債権回収業務を、JTOが農機具ローン等のファイナンス業務を行っております。また、カンボジアにおいて、J Trust Royal Bank Plc.が銀行業務を行っております。

営業収益は銀行業における貸出金の増加に伴い利息収益が増加したこと等により16,797百万円(前年同期比5.3%増)となりました。また、セグメント損失は、銀行業における貸出金残高が順調に回復してきているものの、未だ利息収益が十分な額に達していないことや、JTOについて、のれんの減損損失を計上したこと等により6,372百万円(前年同期は5,541百万円のセグメント損失)となりました。

 

(投資事業)

投資事業につきましては、主にJトラストアジアが投資事業及び投資先の経営支援を行っております。

営業収益は642百万円(前年同期比32.6%減)、セグメント損益は、シンガポールにおいて、Jトラストアジアが提起していた訴訟に係る勝訴判決の履行を受けたこと等により5,445百万円のセグメント利益(前年同期は1,651百万円のセグメント損失)となりました。

 

(その他の事業)

その他の事業につきましては、主にJトラストシステム株式会社及びRobotシステム株式会社が当社グループのシステム開発、コンピュータの運用及び管理業務を、日本ファンディング株式会社が不動産業務を行っております。

営業収益は878百万円(前年同期比44.3%増)、セグメント損益は430百万円のセグメント利益(前年同期は310百万円のセグメント損失)となりました。

 

② 資産・負債及び純資産の状況

当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ80,168百万円増加し610,631百万円となりました。これは主に、売却目的で保有する資産が155,835百万円減少した一方で、銀行業における貸出金が220,433百万円、銀行業における有価証券が26,294百万円増加したこと等により増加したものであります。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ74,680百万円増加し502,685百万円となりました。これは主に、売却目的で保有する資産に直接関連する負債が141,109百万円減少したことや社債及び借入金が40,863百万円減少した一方で、銀行業における預金が253,515百万円増加したこと等により増加したものであります。

資本につきましては、前連結会計年度末に比べ5,487百万円増加し107,945百万円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期利益を1,123百万円計上したことに加え、海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が2,992百万円増加したこと等によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14,054百万円増加し、74,648百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、15,408百万円(前年同期比126.2%増)となりました。これは主に、非継続事業からの税引前損失を2,675百万円計上したうえに、銀行業における貸出金の増加額が77,316百万円と資金が減少した一方で、税引前利益を5,899百万円計上したうえに、銀行業における預金の増加額が89,804百万円と資金が増加したこと等により増加したものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、10,002百万円(前年同期は8,422百万円の資金の減少)となりました。これは主に、銀行業における有価証券の取得による支出30,051百万円が、銀行業における有価証券の売却による収入15,140百万円及び償還による収入2,403百万円を上回ったこと等により資金が減少したものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、6,129百万円(前年同期は8,638百万円の資金の減少)となりました。これは主に、短期社債の純増額が7,164百万円と資金が増加した一方で、長期借入金の純減額が7,023百万円、短期借入金の純減額が3,502百万円、社債の純減額が2,161百万円とそれぞれ資金が減少したこと等により減少したものであります。

 

(2)営業実績

 貸付金残高の内訳

区分

前連結会計年度末

(2020年12月31日現在)

当連結会計年度末

(2021年12月31日現在)

金額(百万円)

構成割合(%)

金額(百万円)

構成割合(%)

国内

消費者向業務

無担保貸付

127

0.1

89

0.0

有担保貸付

118

0.1

334

0.1

小計

245

0.2

423

0.1

事業者向貸付業務

商業手形割引

1,040

0.6

1,672

0.5

無担保貸付

0

0.0

500

0.1

有担保貸付

893

0.5

1,703

0.5

小計

1,933

1.1

3,876

1.1

商業手形割引 合計

1,040

0.6

1,672

0.5

営業貸付金 合計

1,139

0.7

2,626

0.7

合計

2,179

1.3

4,299

1.2

海外

消費者向貸付業務

無担保貸付

14,179

8.5

1,417

0.4

有担保貸付

9,436

5.6

1,741

0.5

小計

23,615

14.1

3,159

0.9

事業者向貸付業務

無担保貸付

11

0.0

有担保貸付

21,071

12.6

18

0.0

小計

21,082

12.6

18

0.0

営業貸付金 合計

44,698

26.7

3,177

0.9

銀行業における貸出金

韓国

166,315

46.7

インドネシア

51,504

30.8

80,500

22.6

カンボジア

69,041

41.2

102,116

28.6

小計

120,545

72.0

348,933

97.9

合計

165,244

98.7

352,111

98.8

総合計

167,423

100.0

356,410

100.0

(注)貸倒引当金(損失評価引当金)控除前の貸付金残高であります。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中に将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、有価証券報告書提出日現在(2022年3月30日)において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により国際財務報告基準(IFRS)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針及び4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

a.財政状態

当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ80,168百万円増加し610,631百万円となりました。これは主に、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 17.売却目的で保有する資産」に記載のとおり、前連結会計年度に株式譲渡契約を締結し非継続事業に分類していたJT貯蓄銀行について、第1四半期連結会計期間に株式譲渡を延期し継続事業に分類したことや、韓国及び東南アジアの金融事業で積極的に残高増加を図ったこと等により、売却目的で保有する資産が155,835百万円減少した一方で、銀行業における貸出金が220,433百万円、銀行業における有価証券が26,294百万円増加したこと等により増加したものであります。

 

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ74,680百万円増加し502,685百万円となりました。これは主に、JTキャピタルの株式譲渡に伴い社債及び借入金が40,863百万円減少したことに加え、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 17.売却目的で保有する資産」に記載のとおり、第1四半期連結会計期間にJT貯蓄銀行の株式譲渡を延期し継続事業に分類したことや、韓国及び東南アジアの金融事業で積極的に新規口座獲得を推進し残高増加を図ったこと等により、売却目的で保有する資産に直接関連する負債に計上していた141,109百万円が減少した一方で、銀行業における預金が253,515百万円増加したこと等により増加したものであります。

 

資本につきましては、前連結会計年度末に比べ5,487百万円増加し107,945百万円となりました。これは主に、親会社の所有者に帰属する当期利益を1,123百万円計上したことに加え、為替相場が円安に振れたことによる海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が2,992百万円増加したこと等によるものであります。

 

b.経営成績

営業収益につきましては、東南アジア金融事業において営業貸付金残高や買取債権の回収が減少したことや、前連結会計年度に保有有価証券を売却したことにより社債残高が減少したこと等を要因として利息収益が減少した一方で、韓国及び東南アジアの金融事業において銀行業における貸出金が増加したこと等を要因として銀行業における利息収益が増加したことや、日本金融事業において安定的に保証料収益の計上が図れたこと、債権回収業務が好調に推移し買取債権回収に係る利息収益が増加したこと等により42,325百万円(前年同期比7.5%増)となりました。

 

営業費用につきましては、Jトラスト銀行インドネシアにおいて、前連結会計年度に保有有価証券売却損を計上したことに比べ当期減少した一方で、韓国や東南アジアの金融事業において銀行業における預金が増加したことに伴い銀行業預金利息費用が増加したことや、東南アジア金融事業において貸倒引当金(損失評価引当金)を保守的に積み増ししたことにより23,017百万円(前年同期比10.7%増)となりました。また、当連結会計年度の営業収益に対する営業費用比率は54.4%となりました。

 

販売費及び一般管理費につきましては、JTキャピタルの株式売却に係る譲渡所得税や、Jトラストアジアにおいて訴訟費用等の支払手数料が増加したこと等により21,560百万円(前年同期比3.2%増)となりました。

 

その他の収益につきましては、Jトラストアジアが提起していた訴訟に係る勝訴判決の履行を受けたことや、インドネシアにおいて現地にて提起されている訴訟における進展を踏まえて訴訟損失引当金を取り崩したこと等により増加し8,731百万円(前年同期は619百万円)となりました。

その他の費用につきましては、JTOの今後の事業計画及び回収可能性等を検討した結果、のれんの減損損失を計上したこと等により1,218百万円(前年同期比68.4%増)となりました。

 

以上の結果、営業損益につきましては5,260百万円の営業利益(前年同期は2,403百万円の営業損失)となりました。

 

 

金融収益につきましては、為替相場が円安に振れたことにより外貨建資産負債の評価替えによる為替差益を計上したことや、HSホールディングス株式会社(旧 澤田ホールディングス株式会社、以下、「HSホールディングス」という。)の普通株式評価益を計上したこと、Nexus Bankの普通株式及び新株予約権の売却益を計上したこと等により3,020百万円(前年同期比47.2%増)となりました。

金融費用につきましては、Nexus Bankの株式の評価損の計上等により2,728百万円(前年同期比917.0%増)となりました。

持分法による投資利益は347百万円(前年同期は零)となりました。

主な内訳につきましては以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

金融収益

為替差益

657

投資有価証券評価益

HSホールディングス 普通株式評価益

1,778

投資有価証券売却益

Nexus Bank 普通株式売却益

263

Nexus Bank 新株予約権売却益

189

金融費用

投資有価証券評価損

Nexus Bank 普通株式評価損

△87

Nexus Bank A種優先株式評価損

△2,482

持分法による投資利益

347

 

以上の結果、税引前損益につきましては5,899百万円の税引前利益(前年同期は619百万円の税引前損失)となりました。

 

法人所得税費用につきましては、法人税等調整額としてHSホールディングスの普通株式評価益に係る繰延税金負債を計上した一方で、Nexus Bankの株式に係る繰延税金負債の戻入れを行ったこと等により2,311百万円(前年同期比70.2%減)となりました。

主な内訳につきましては以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

法人所得税費用

法人税等調整額

Nexus Bank 株式(A種優先株式)評価損に対する税効果

528

Nexus Bank 株式(普通株式)評価損に対する税効果

46

HSホールディングス 普通株式評価益に対する税効果

△607

JT貯蓄銀行 株式譲渡変更による税効果計上額の見直し

△623

JT貯蓄銀行 株式の留保利益に対する税効果

402

JTキャピタル株式の留保利益に対する税効果

154

 

以上の結果、継続事業からの当期損益は3,587百万円の継続事業からの当期利益(前年同期は8,384百万円の継続事業からの当期損失)となりました。

また、非継続事業からの当期損益はJTキャピタルの株式売却損等の計上により2,646百万円の非継続事業からの当期損失(前年同期は2,369百万円の非継続事業からの当期利益)となりました。

 

非支配持分に帰属する当期損失につきましては、東南アジア金融事業の損失計上等により181百万円(前年同期は672百万円の非支配持分に帰属する当期損失)となりました。

 

以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期損益は1,123百万円の親会社の所有者に帰属する当期利益(前年同期は5,342百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

なお、以下のセグメントごとの経営成績の記載における営業債権の残高につきましては、貸倒引当金(損失評価引当金)控除前の残高で記載しております。

(日本金融事業)

日本金融事業では、債務保証残高の増加による安定的な保証料収入と買取債権の高い回収力を両輪に安定した利息収益の確保を目指し業務を行ってまいりました。

営業債権の残高は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

 

2020/12

2021/12

増減額

増減率

主な増減要因

債務保証残高

209,819

204,278

△5,541

△2.6%

 

 

有担保

197,493

195,716

△1,777

△0.9%

海外不動産担保を含む不動産担保ローンに対する保証が増加するも、アパートローンに対する保証が減少

 

無担保

12,325

8,562

△3,763

△30.5%

個品割賦に対する保証について取扱いが減少

買取債権残高

16,258

16,787

529

3.3%

積極的な債権買取等による増加

商業手形残高

1,040

1,672

632

60.9%

大口商手割引の実行による増加

営業貸付金残高

1,139

2,626

1,487

130.5%

不動産担保ローンの増加

 

営業収益は債権買取を積極的に行ったことに加えて回収も好調に推移したことにより利息収益が増加したものの、債務保証残高の減少に伴い保証料収益が減少したことや、債権売却益が減少したこと等により9,781百万円(前年同期比2.6%減)、セグメント利益は4,588百万円(前年同期比5.6%減)となりました。

 

(韓国及びモンゴル金融事業)

韓国及びモンゴル金融事業では、目標として緩やかな成長をかかげ「量の成長」から「質の成長」を目指し、消費者以外の無担保貸付や企業向け貸付を中心に順調に貸出金残高を伸ばしており、安定的な利息収益を確保してまいりました。

営業債権の残高は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

 

2020/12

2021/12

増減額

増減率

主な増減要因

銀行業における貸出金残高

166,315

166,315

前期、JT貯蓄銀行における貸出金残高を売却目的で保有する資産として計上

営業貸付金残高

42,710

1,638

△41,071

△96.2%

第3四半期連結会計期間にJTキャピタルを株式譲渡により連結の範囲から除外

買取債権残高

1,469

1,748

278

19.0%

定期的な債権買取による増加

 

営業収益は銀行業における貸出金残高の増加に伴い貯蓄銀行業務における利息収益が増加したこと等により14,806百万円(前年同期比19.5%増)、セグメント利益は3,208百万円(前年同期比58.9%増)となりました。

 

(東南アジア金融事業)

東南アジア金融事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、マルチファイナンス業務では新規貸付が制限され、債権回収業務でも、訪問回収の制限や法的回収手続きの遅延等を要因として回収額が減少するなど業績は低調に推移いたしましたが、銀行業においては、審査体制の充実を図り、不良債権リスクを低減させ、積極的に銀行業における貸出金残高の増加を推進するとともに、調達金利の低下、自己資本の拡充等を目的とした事業基盤の整備を行ってまいりました。

営業債権の残高は以下のとおりです。

 

(単位:百万円)

 

 

2020/12

2021/12

増減額

増減率

主な増減要因

銀行業における貸出金残高

120,545

182,617

62,071

51.5%

新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、順調に残高は増加

 

インドネシア

51,504

80,500

28,996

56.3%

積極的にローン残高増強策を推進したことにより、企業向け、金融機関向け貸付が増加

 

カンボジア

69,041

102,116

33,075

47.9%

資金需要は堅調で、預金の増加にあわせて貸出も増加、ビジネスバンキング部門が堅調に推移

営業貸付金残高

1,987

1,538

△449

△22.6%

新規貸付の抑制及び債権売却による減少

買取債権残高

25,506

25,044

△461

△1.8%

回収が買取簿価を上回ったことによる減少

 

営業収益は買取債権の回収益がやや低調に推移した一方で、前期における審査体制の充実を図るまでの間の営業貸付金の新規貸付抑制や保有有価証券の売却の影響から未だ十分に脱しきれていないものの、銀行業における貸出金の増加に伴い利息収益が増加したこと等により、16,797百万円(前年同期比5.3%増)となりました。また、セグメント損失は、前期、保有有価証券の売却に伴い有価証券売却損を計上したことに対し、当期、費用負担が発生しなかったことや、現地にて提起されている訴訟における進展を踏まえて訴訟損失引当金を取り崩したこと等費用が減少した一方で、銀行業における貸出金残高が順調に回復してきているものの、未だ、利息収益が十分な額に達していないことや、JTOについて、新型コロナウイルスの蔓延等のために事業の縮小を余儀なくされ、今後の事業計画の見直し等に伴うのれんの減損損失を計上したこと等により、6,372百万円(前年同期は5,541百万円のセグメント損失)となりました。

 

(投資事業)

営業収益は642百万円(前年同期比32.6%減)、セグメント損益は、シンガポールにおいて、Jトラストアジアが提起していた訴訟に係る勝訴判決の履行を受けたこと等により5,445百万円のセグメント利益(前年同期は1,651百万円のセグメント損失)となりました。

 

(その他の事業)

営業収益は878百万円(前年同期比44.3%増)、セグメント損益は430百万円のセグメント利益(前年同期は310百万円のセグメント損失)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、銀行業における貸出金の増加等により資金が減少した一方で、銀行業における預金の増加等により資金が増加した結果、前連結会計年度末に比べ14,054百万円増加し、74,648百万円となりました。

なお、キャッシュ・フローの詳細は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

・財務政策

当社グループの資金需要の主なものは、当社グループ各社の経常的な運転資金のほか、当社グループの長期的な成長に資する企業のM&Aに要する資金であります。

資金需要に対しては、原則としてグループ各社の営業活動により生ずる手元流動資金を充当する方針としており、グループ全体の効率的な資金活用に努めておりますが、必要に応じて外部からの資金調達を検討することとしております。

外部からの資金調達の手法としては、金融機関からの借入や社債、コマーシャルペーパーの発行、貸付債権の流動化(証券化)等であり、今後も資金調達環境や条件等を総合的に勘案して対応してまいります。

なお、当連結会計年度末においての社債及び借入金の残高は26,939百万円となっており、前連結会計年度末と比較し40,863百万円減少しております。

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