文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当行は、経営理念である「地域社会からの信頼を大切にし、地域社会の繁栄に貢献します」のもと、役職員一同、日々の営業活動の中で実践すべく努力してまいりました。今後につきましても、こうした経営理念を堅持し、公共性の高い地域金融機関としての役割を果たす所存でございます。
具体的には、地域金融機関としての当行の役割・責務を果たすため、愛知県を主体とした地域における中堅・中小事業者のみなさま及び個人世帯のみなさまのニーズにお応えすべく、経営支援等に積極的に取り組むとともに、これまで以上に利便性の高い、より高度な金融サービスを愛知銀行グループとして提供してまいります。
(2)目標とする経営指標
当行は、2022年4月から3か年の「第12次中期経営計画」に取り組んでおります。
第12次中期経営計画の初年度となる2023年3月期の目標とする主な経営指標は以下のとおりであります。
当期純利益 108億円
ROE(当期純利益ベース) 4%以上
コアOHR 67%以下
連結自己資本比率 9.5%以上
(3)中長期的な経営戦略
「第12次中期経営計画」では、基本戦略として「課題解決力とチャネル強化(営業戦略)」、「経営の効率化と適正化(基盤戦略)」、「企業文化改革と人財育成(人財戦略)」の3つを掲げ、「地域へ信頼と最良の金融サービスを提供し、地域とともに成長し続ける価値創造リーディングバンク」を目指してまいります。
各基本戦略における具体的な内容は以下の通りです。
①「課題解決力とチャネル強化(営業戦略)」
コンサルティング機能の発揮とデジタル技術を活用したチャネル強化により、脱炭素社会への移行を支援し、地域とともに成長するビジネスモデルを構築します。
イ.ソリューションメニューの充実によるコンサルティング機能の強化
ロ.個人向けサービスの充実
ハ.非対面チャネルの強化
ニ.マーケット環境に応じた営業体制の確立
②「経営の効率化と適正化(基盤戦略)」
生産性向上と経営資源の最適化により経営の持続可能性を確立し、地域とともに持続的な成長を目指します。
イ.人員の戦略的再配置
ロ.IT・デジタル化促進と業務効率化(BPR)
ハ.グループ総合力の発揮
ニ.経営管理の高度化
③「企業文化改革と人財育成(人財戦略)」
スピードと挑戦を重視する企業文化を確立し、全職員が活躍、働きがいある、活力ある組織を構築します。
イ.スピードと挑戦を重視した企業文化の確立
ロ.プロフェッショナル人財の育成
ハ.ダイバーシティ&インクルージョンへの取組み強化
ニ.ES経営、健康経営への取組み強化
(4)経営環境
当連結会計年度のわが国経済を振り返りますと、コロナ禍が長期化する厳しい状態のなか対面型のサービス業等の経済活動は依然として停滞し、供給制約の影響も残っているものの、輸出・生産は増加基調が続き、企業収益の改善に繋がっており、景気は持ち直しの動きが続いております。
一方、愛知県を中心とした当地域につきましては、主要産業である自動車関連産業において、長引く半導体不足や新型コロナウイルス感染症の拡大による部品供給網の混乱により生産が回復しておらず、輸出と生産は足踏み状態にあり、個人消費についても飲食・宿泊サービス等で下押し圧力が強く、国内全体とは異なり景気の持ち直しの動きは一服しております。
なお、景気の先行きにつきましては、新型コロナウイルス感染症の再拡大やウクライナ情勢を巡ってエネルギー価格等が一段と高騰するなどの不確実性は高いものの、社会経済活動が正常化に向かう中で、各種経済対策の効果や海外経済の改善等により、持ち直していくことが期待されます。
金融面をみますと、日本銀行は、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和政策」のもとでの新型コロナウイルス対応資金繰り支援特別プログラム等により、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努め、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じるとしております。
当行を取り巻く経営環境を展望しますと、新型コロナウイルス感染症の収束が未だ見通せないなか、フィンテックの進展や異業種からの銀行業参入が進み、また金融緩和政策の継続により引き続き長短金利ともに低位で推移するなかで、他県金融機関も含めた銀行間の競争がますます激化するなど、厳しさは一層、増しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
このような経営環境下で当行が対処すべき課題は、地域金融機関として、「顧客本位の業務運営」を通じて地域社会からの揺るぎない信頼を確保し、お客さまとともに企業価値を向上させるための積極的な支援を行い、中小企業金融の円滑化に取り組み、地域経済の発展に貢献していくことであります。加えて、真にお客さまのニーズに応える良質な金融商品・サービスを提供することにより、お客さまの安定的な資産形成に貢献していくことであります。
こうした考えは、「地域社会からの信頼を大切にし、地域社会の繁栄に貢献します」という経営理念に基づくものであり、2022年4月よりスタートいたしました「第12次中期経営計画」の各種施策を実践することで実現してまいります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)やフィンテックへの対応につきましては、インターネットやスマートフォンを活用したサービスの拡充を中心に進めており、お客さまのニーズにお応えするとともに、新たな顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)の提供に向け取り組んでおります。また、各種手続きや業務のデジタル化を進めることで、生産性の向上やデータの活用による新たな価値の創造を図ってまいります。
マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策への対応につきましては、リスク管理態勢の構築・強化を図っております。
近年、異常気象や自然災害等の気候変動による被害が甚大化しており、気候変動がお客さまや当行の経営基盤に与える影響が徐々に大きくなっています。2021年9月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しております。また、2021年10月から、当行本店におきましても脱炭素(カーボンニュートラル化)エネルギーの利用を開始し、CO2削減に向けた取組を積極的に進めております。気候変動・環境問題への対応を強化していくとともに、TCFD提言を踏まえた気候変動リスク・機会に関する情報開示の充実に努めてまいります。
こうした経営環境及び経営課題を認識し、当行は、2021年12月10日に株式会社中京銀行と締結した経営統合に関する基本合意書に基づき、2022年5月11日に経営統合契約書を締結し、同年10月3日に共同株式移転の方式により両行の完全親会社となる持株会社「株式会社あいちフィナンシャルグループ」を設立することを決定しました。
今後も「あい、ふれあい、きずきあい」を合言葉に、「コーポレートガバナンス・コード」を踏まえ、株主のみなさまをはじめとしたお客さま、地域社会、従業員などあらゆるステークホルダーからの期待にお応えできる取組を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
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