文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当行グループ(当行及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当行は、「豊かな地域社会づくりに貢献し、信頼される銀行を目指します」、「新たな時代に柔軟に対応できる強い体力のある銀行として発展します」、「明るい働きがいのある職場を作ります」を経営理念に掲げ、地域金融機関として地域の皆様に親しまれ、信頼される銀行として地域の発展とともに歩んでまいりました。
2019年8月には、当行グループの事業活動を通じて、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成のため、地域社会の持続的な発展と課題解決に貢献すべく「栃木銀行SDGs宣言」を制定しております。
また、SDGs/ESGと企業活動の整合性を高め、環境・地域社会・経済へのインパクトを考慮した経営を実現し、地域社会と当行グループの持続可能性を確保していくために、重要方針として、2021年12月に「サステナビリティ方針」を策定しております。
当行グループは、「経営理念」に基づく企業活動を通じて、環境や社会課題を考慮した地域経済の好循環サイクルを追求し、地域社会とすべてのステークホルダーの持続的な発展に貢献するとともに、当行グループの持続的な企業価値の向上を実現します。
今後も、コンプライアンス態勢の確立とリスク管理態勢の強化を図り、資産の健全化を一層推進するとともに、ディスクロージャーを更に充実し、経営の透明性を高めてまいります。また、一層の経営の合理化・効率化により収益力の強化を図るとともに、お客様の多様なニーズに応え、お客様が抱える課題や困りごとを解決するため、対話を重視した訪問型営業を強化してまいります。
(2) 経営環境
当期の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が長期化する中、ワクチン接種や治療薬の普及により、一部の業種で弱さはみられたものの、緩やかな持ち直しの動きが続きました。しかしながら、新たな変異株の発生による感染再拡大や、ロシアによるウクライナ侵攻による原材料価格の高騰等の影響もあり、依然不透明な状況であります。
当行の主たる営業基盤である栃木県ならびに埼玉県経済においても、同様に同感染症拡大等の影響を受けており、地域経済の先行きについても依然不透明な状況となっております。
金融情勢につきましては、需要回復に伴うインフレ懸念による各国中央銀行の金融引締め政策により、国内の長期金利も2021年8月前半から上昇を続け2022年3月28日には長期金利(10年国債利回り)は0.263%まで上昇しました。また国内と欧米各国の金利差の拡大に伴い、円相場も2022年3月29日に1ドル124円まで下落するなど、総じて円安と金利高が進む展開となりました。日経平均株価は新政権の経済政策への期待の高まりから2021年9月14日に31年ぶりの高値となる30,670円をつけました。その後、先行き不安から下落し2022年3月末の終値は27,821円となりました。
これらの経済情勢、金融情勢は、銀行業務を中心とした当行グループの事業や、主たる営業基盤である栃木県、埼玉県経済に大きく影響しており、今後、当行グループの業績へ影響を及ぼす可能性がある状況となっております。
(3)中長期的な経営戦略
当行は「課題解決に強い銀行」へ進化し、これからも地域で選ばれ続ける銀行となるため、2020年4月より「第十次中期経営計画」をスタートさせ、計画最終年度の2023年3月の目標達成を目指しております。
これまで築いてきた地域シェアやお客様とのネットワークを充実させ、当行の強みであるコンサルティングの質を向上させるため、注力すべき3つの重点施策「コンサルティング機能を活かしたお客様への提供価値の充実」「お客様志向を実現するための人材育成」「お客様を支える持続可能な経営基盤の確立」を掲げております。これにより、お客様の様々な困りごとにワンストップで対応できる「お客様サポート体制の確立」を進めてまいります。
今後も地域金融機関として地域の皆様に親しまれ、信頼される銀行として地域の発展とともに歩んでいくため、収益性の代表的指標である当期純利益と、銀行の本業利益を示す指標の一つであるコア業務純益を目標としたほか、健全性の代表的指標である自己資本比率を目標としております。
なお、各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
※当期純利益(連結) :親会社株主に帰属する当期純利益
※コア業務純益(投信解約損益除く):業務純益+一般貸倒引当金繰入-国債等債券売却損益
※自己資本比率(連結) :自己資本(連結)÷リスク・アセット(連結)
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当行を取り巻く経営環境は、少子高齢化や金融デジタル化の進展をはじめとする外部環境の変化により、他金融機関との競争が激化しております。お客様のニーズが多様化・高度化する中、当行がこれからも地域で選ばれ続ける銀行になるためには、一人でも多くのお客様と顔の見える関係を築き、お客様と一心同体となり、課題や困りごとを解決することで地域社会の発展や成長に貢献していくことが必要です。
新型コロナウイルス感染症の影響が長引き、国内外において依然感染拡大が続いており、加えて、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、仕入価格の上昇が懸念されるなど、当行が主たる営業基盤を置く栃木県ならびに埼玉県の地域経済においても影響は大きく、将来に対する不安から企業の事業支援等のニーズが増しております。また、少子高齢化の進展に伴い、共働き世帯の増加による来店客の減少とセカンドライフを見据えた資産形成ニーズの高まり等が見込まれております。
このような状況のなか、当行は第十次中期経営計画にて「課題解決に強い銀行」へ進化するため3つの重点施策を中心に、お客様の様々な困りごとにワンストップで対応できるお客様サポート体制の確立に取り組んでおります。
◆コンサルティング機能を活かしたお客様への提供価値の充実
・コンサルティングを柱とした共創型支援の追及
・お客様の多様性に対応できる営業体制の強化
◆お客様志向を実現するための人材育成
・営業店マネジメントの強化
・業務スペシャリストの養成
法人顧客の課題解決を行う人材:「ソリューションサポーター」を育成
個人のお客様の課題解決を行う人材:「マネープランサポーター」を育成
・適正な評価/処遇体系の構築
◆お客様を支える持続可能な経営基盤の確立
・事務/業務の軽量化・効率化・集中化の推進
事務の本部集中化やミドルオフィスの設置
・地域特性に応じた効果的な店舗運営の確立
フルバンク体制から個人店やブランチインブランチ方式による拠点化
・ガバナンス態勢の強化
当行は、職員の多様な「価値観」や「個」を尊重し、誰もがその能力を最大限発揮できる職場環境の実現のため、女性活躍推進への取組みを進めております。2015年には女性活躍推進協議会を設立し、女性活躍に向けて女性が職場で抱える課題を協議し、関係各所に対し改善施策の提言をしております。提言を踏まえ、2022年3月期は女性制服の段階的廃止や地域限定総合職の創設などの人事制度を中心に改定を実施しております。
◆女性活躍推進
・女性活躍推進協議会(2015年設立)による改善施策の提言
・一般事業主行動計画による目標への取組み
管理職以上に占める女性労働者の割合 2026年3月末16.0%以上(2022年3月末実績12.3%)
男性行員の育児休業取得率 2024年3月末80.0%以上(2022年3月末実績64.0%)
・出産や子育て目的による退職者の再雇用(復職制度)の推進等
当行グループは、持続可能な地域経済社会や地域に好循環を生む共生圏としてのローカルSDGsの実現を目指し、「サステナビリティ推進委員会」の下、環境・ESG地域金融・人的資本・DX推進・ガバナンス・社会課題・地域課題のそれぞれのワーキンググループが協力して重要課題の解決に取り組んでまいります。
◆サステナビリティへの取組み
・「環境方針」「人権方針」「投融資方針」の3つの基本方針を策定
・サステナビリティ推進委員会、サステナビリティ推進検討部会の設置
・サステナビリティに係る重要課題の特定
2021年12月に気候変動に関するリスクの把握・評価や、情報開示の重要性を認識し、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下、「TCFD」)が策定したTCFD提言へ賛同を表明しております。
当行は、これまでも再生可能エネルギーによる発電への融資やCO2排出量削減への取組みを進めてまいりましたが、2019年には台風19号によりお客様や行員、当行店舗が被害を受けるなど、気候変動がもたらす影響は看過できない課題の一つとなっております。こうした状況を踏まえ、ESG融資推進やCO 2排出量の削減目標を設定するなど、気候変動・環境問題への対応を強化しております。
◆TCFD提言への対応
・自然災害に係るリスク分析や情報開示に向けた取組み
・ESG融資推進に向けた取り組み
・CO2排出量の削減への取組み(2030年度に2013年度比70%削減を目標)
今後とも当行は、お客様の安定した資産形成や、企業の持続的な事業価値の維持・向上に貢献し、お客様の人生や経営にとってなくてはならない存在を目指して取り組んでまいります。
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