業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」等を適用し、また、「信用保証に関する会計方針」「売上割戻の計上区分」等の変更を行っており、これらを遡及適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)、同(表示方法の変更)、及び同(企業結合等関係)」に記載しております。

 

(1) 経営成績

当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により引き続き厳しい状況が続いておりましたが、ワクチン接種拡大等により、新規感染者数が減少したことに伴い、緊急事態宣言が解除され、消費活動の回復による緩やかな持ち直しがみられました。しかしながら、2022年に入り、オミクロン株の出現、感染拡大による複数の地域でのまん延防止等重点措置の適用等もあり、先行き不透明な状況が続いております。

 

このような状況のなか、当社におきましては中期経営方針最終年度として、「Innovation for Next Orico~“新時代のオリコ”に向けた大いなる前進~」を基本方針に掲げ、強固な収益体質の再構築と新たなビジネスモデルの創出に向け、6つの基本戦略(デジタルイノベーションの実践、プロセスイノベーションの実践、アジアへの事業展開の拡大、オリコグループのシナジー拡大、コンサルティング営業の強化、サステナビリティ取組み強化)への取組みを着実に進め、持続可能な社会の実現と更なる企業価値の向上をめざしてまいりました。

その結果、当連結会計年度の業績につきましては、以下のとおりであります。

営業収益につきましては、前年並みの2,298億円となりました。

事業別では、カード・融資事業、銀行保証事業につきましては減収となりましたが、決済・保証事業につきましてはコロナ禍におきましても増収基調を維持しております。

営業費用につきましては、 2,008億円 (前年比 64億円減少 )となっております。

一般経費は前年比79億円減少の1,395億円となりました。一過性要因での減少に加え、カード利用明細書のWeb化対象の拡大やITコストの最適化等、プロセスイノベーションによるコスト抑制が奏功しました。

また、貸倒関係費は、過払金返還額の増加に伴い利息返還損失引当金繰入額が増加したものの、延滞発生額が年間を通じて低位で推移したこと等により貸倒引当金繰入額が減少し、前年比4億円減少の490億円となっております。

 

以上の結果、 経常利益は289億円 (前年比 64億円増加 )となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては194億円(前年比2億円減少)となりました。

 

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セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(参考)事業収益の事業別内訳

(単位 億円:未満切り捨て)

事業

前連結会計年度

当連結会計年度

前年比(%)

カード・融資

(うち、カードショッピング)

719

(501)

709

( 518 )

△1.4

( 3.4)

決済・保証

161

183

13.5

個品割賦

822

840

2.2

銀行保証

378

331

△12.5

その他

80

87

8.5

2,161

2,151

△0.5

 

ード・融資事業

 

0102010_004.png

 

カード・融資事業につきまして、カードショッピングの当期における取扱高は、生活関連消費の取り込みや新商品の拡大等により、前年を上回りました。融資につきましては、前年の個人消費の落ち込みによる資金需要低下の影響により、融資残高が前期末から減少したものの、新規取扱高は前年比増加しており、底打ちがみられております。

これらの結果、カードショッピングの事業収益は518億円(前年比3.4%増加)、融資の事業収益は190億円(前年比12.5%減少)となり、カード・融資事業全体の事業収益といたしましては、709億円(前年比1.4%減少)となりました。

 

決済・保証事業

 

0102010_005.png

 

決済・保証事業につきましては、家賃決済保証は、単身世帯数の増加や民法改正によるニーズの高まりというマーケットの拡大に加え、提携先への営業強化やシェア拡大により取扱高が前年比で増加しております。また、売掛金決済保証につきましても、大手企業における導入拡大や、給油関連を中心とした好調な業績推移を背景に、取扱高が前年比増加しております。

 

これらの結果、決済・保証事業の事業収益は、183億円(前年比13.5%増加)となりました。

 

個品割賦事業

 

0102010_006.png

 

個品割賦事業につきまして、オートローンの取扱高は、新車部門における半導体不足による流通市場への影響等により、前年比横ばいとなっております。また、ショッピングクレジットの取扱高は、リフォームローンにおける部材不足による工事の遅れ等により、前年比減少しております。今後もWeb商品の推進等により、他社との差別化を強化し、取扱高の伸長を図ってまいります。

 

なお、個品割賦事業の事業収益は、840億円(前年比2.2%増加)となりました。

 

 

銀行保証事業

 

0102010_007.png

 

銀行保証事業につきましては、保証残高は前期末から減少しておりますが、大手金融機関との提携や顧客ニーズに合わせた住宅関連商品の提供等により、証貸ローンの新規取扱いは回復傾向にあります。

 

これらの結果、銀行保証事業の事業収益は、331億円(前年比12.5%減少)となりました。

 

その他事業

サービサー事業につきましては、効率的な回収手法の推進による大口債権の回収件数の増加や、事業性分野への取組み等により、前年比増収となりました。

 

これらの結果、その他事業における事業収益は、87億円(前年比8.5%増加)となりました。

 

(2) 財政状態

① 資産の部

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ619億円減少し、3兆7,520億円となりました。

信販業の営業資産である割賦売掛金と信用保証割賦売掛金の合計額は2兆4,931億円と前連結会計年度末に比べ772億円減少し、これらの営業資産に資産流動化受益債権を加えた合計額につきましては、3兆785億円と前連結会計年度末より644億円減少しており、総資産に対する構成比が82.0%となっております。

割賦売掛金につきましては、1兆2,114億円と前連結会計年度末に比べ487億円減少しました。

信用保証割賦売掛金につきましては、1兆2,816億円と前連結会計年度末に比べ284億円減少しております。

 

② 負債の部

当連結会計年度末の総負債は前連結会計年度末に比べ502億円減少し、3兆5,352億円となりました。信用保証買掛金につきましては、1兆2,816億円と前連結会計年度末に比べ284億円減少しております。

短期借入金、コマーシャル・ペーパー、1年内償還予定の社債、1年内返済予定の長期借入金、社債、長期借入金を含めた有利子負債の合計額につきましては1兆8,049億円(前年度末比129億円減少)となりました。

利息返還損失引当金につきましては、利息制限法の上限金利を超過する利息の返還請求に備えるため、過去の返還実績及び最近の返還状況を勘案して当連結会計年度末における利息返還損失引当金の計上額は161億円(前年度末比35億円増加)となりました。

 

 

③ 純資産の部

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ116億円減少し、2,168億円となりました。

利益剰余金につきましては、前連結会計年度末に比べ72億円減少し532億円となりました。連結自己資本比率は前連結会計年度末の5.9%より0.2ポイント下降し5.7%となっております。

 

(3) キャッシュ・フロー

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの主な事業内容は「信販業」であり、決済保証事業において取扱高が拡大する状況が継続していることに加え、基幹事業である個品割賦事業における営業資産残高が拡大しております。

主な資金需要としましては、加盟店への立替金や顧客への融資金、また一般管理費等の営業費用並びにソフトウエア等の固定資産への投資等があります。

資金調達においてはマーケット環境の変化にも注視しつつ、手許自己資金のほか、借入金に加えて社債やコマーシャル・ペーパー等様々な調達手段を駆使しながら安定的かつ効率的に資金を確保しております。また、保有する営業資産を活用した債権流動化による資金調達も継続的に実施しております。

なお、突発的な資金需要に備え、手許自己資金に加えてコミットメントライン契約や親密金融機関からの当座借越枠等で流動性リスクに備えております。

 

各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動による資金の増加は817億円(前年比271億円の収入増)となりました。

これは、前期に続き新型コロナウィルス感染症拡大に伴い消費が低迷し、営業債権が増加しなかったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動による資金の減少は190億円(前年比50億円の支出増)となりました。

これは、当社の成長に資する戦略的なシステム投資を行い、無形固定資産(ソフトウエア)を取得したこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動による資金の減少は401億円(前年比843億円の支出増)となりました。

これは、主にコマーシャル・ペーパーの償還が進んだこと等によるものであります。

 

以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前会計年度末に比べ230億円増加し、4,081億円となりました。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

連結営業実績は次のとおりであります。

 

区分

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

対前年増減

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

事業

収益

信販業

209,964

208,323

△1,641

 

カード・融資

71,932

70,932

△999

 

決済・保証

16,134

18,309

2,175

 

個品割賦

82,239

84,018

1,778

 

銀行保証

37,834

33,123

△4,711

 

その他

1,824

1,939

115

その他の事業

6,226

6,796

570

小計

216,191

215,120

△1,071

金融収益

2,199

2,738

539

その他の営業収益

11,403

11,947

544

合計

229,793

229,806

12

(注)1.各事業の収益には、割賦売掛金の流動化による収益が次のとおり含まれております。

 

(前連結会計年度)

(当連結会計年度)

カード・融資

28,809百万円

27,938百万円

個品割賦

48,555

50,657

その他

18

99

77,383

78,696

 

2.信販業の主要事業における取扱高

事業

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

対前年増減

金額(百万円)

金額(百万円)

金額(百万円)

カード・融資

2,530,831

2,772,346

241,515

決済・保証

1,293,542

1,452,816

159,274

個品割賦

1,260,987

1,250,944

△10,043

銀行保証

425,007

449,709

24,701

5,510,369

5,925,817

415,447

 

(連結営業資産残高)

事業

第61期

(2021年3月31日)

第62期

(2022年3月31日)

対前年増減

金額(百万円)

構成比

(%)

金額(百万円)

構成比

(%)

金額(百万円)

増減率

(%)

カード・融資

308,217

8.3

293,985

8.1

△14,232

△4.6

(債権を流動化した残高)

(334,111)

 

(326,628)

 

(△7,483)

(△2.2)

(流動化を含む残高)

(642,329)

 

(620,613)

 

(△21,715)

(△3.4)

 

クレジットカード

164,689

4.4

170,833

4.7

6,144

3.7

 

(債権を流動化した残高)

(304,820)

 

(295,899)

 

(△8,920)

(△2.9)

 

(流動化を含む残高)

(469,509)

 

(466,733)

 

(△2,775)

(△0.6)

 

 

ショッピング

135,691

3.6

140,899

3.9

5,207

3.8

 

 

(債権を流動化した残高)

(259,394)

 

(257,233)

 

(△2,160)

(△0.8)

 

 

(流動化を含む残高)

(395,086)

 

(398,133)

 

(3,046)

(0.8)

 

 

キャッシング

28,997

0.8

29,934

0.8

936

3.2

 

 

(債権を流動化した残高)

(45,425)

 

(38,666)

 

(△6,759)

(△14.9)

 

 

(流動化を含む残高)

(74,423)

 

(68,600)

 

(△5,822)

(△7.8)

 

一般個人ローン

143,528

3.9

123,151

3.4

△20,376

△14.2

 

(債権を流動化した残高)

(29,291)

 

(30,728)

 

(1,436)

(4.9)

 

(流動化を含む残高)

(172,819)

 

(153,879)

 

(△18,939)

(△11.0)

決済・保証

114,215

3.1

119,803

3.3

5,587

4.9

個品割賦

2,081,759

55.8

2,021,935

56.0

△59,823

△2.9

(債権を流動化した残高)

(1,366,186)

 

(1,449,554)

 

(83,367)

(6.1)

(流動化を含む残高)

(3,447,945)

 

(3,471,489)

 

(23,544)

(0.7)

 

オートローン

1,273,271

34.2

1,278,622

35.4

5,351

0.4

(債権を流動化した残高)

(871,081)

 

(904,878)

 

(33,797)

(3.9)

(流動化を含む残高)

(2,144,353)

 

(2,183,501)

 

(39,148)

(1.8)

ショッピング

808,487

21.7

743,312

20.6

△65,174

△8.1

(債権を流動化した残高)

(495,104)

 

(544,675)

 

(49,570)

(10.0)

(流動化を含む残高)

(1,303,592)

 

(1,287,988)

 

(△15,603)

(△1.2)

銀行保証

1,156,882

31.0

1,126,142

31.1

△30,740

△2.7

その他(住宅ローン等)

66,697

1.8

55,418

1.5

△11,278

△16.9

(債権を流動化した残高)

(4,595)

 

(3,761)

 

(△833)

(△18.1)

(流動化を含む残高)

(71,292)

 

(59,180)

 

(△12,111)

(△17.0)

合計

3,727,771

100.0

3,617,285

100.0

△110,486

△3.0

(債権を流動化した残高)

(1,704,892)

 

(1,779,944)

 

(75,051)

(4.4)

(流動化を含む残高)

(5,432,664)

 

(5,397,229)

 

(△35,435)

(△0.7)

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