文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社は、経営の基本方針である「経営理念」、「経営ビジョン」及び「行動指針」を以下のとおり定めております。
「経営理念」は、長期的な視点でめざす“ありたい姿”、「経営ビジョン」は、この“ありたい姿”を実現するためにめざすべきもの、「行動指針」は、経営理念・経営ビジョンを実現するために社員一人ひとりが持つべき価値観・心構え、取るべき行動、であります。
◎経営理念
わたしたちは、アセットの潜在力を最大限に引き出し社会価値を創出することで、持続可能で豊かな未来に貢献します。 |
◎経営ビジョン
・地球環境に配慮し、独自性と進取性のある事業を展開することで、社会的課題を解決します。 ・世界各地の多様なステークホルダーとの価値共創を通じて、持続可能な成長をめざします。 ・デジタル技術とデータの活用によりビジネスモデルを進化させ、企業価値の向上を図ります。 ・社員一人ひとりが働きがいと誇りを持ち、自由闊達で魅力ある企業文化を醸成します。 ・法令等を遵守し、健全な企業経営を実践することで、社会で信頼される企業をめざします。 |
◎行動指針
・チャレンジ :未来志向で、責任を持って挑戦する。 ・デジタル :デジタルリテラシーを高め、変革を創り出す。 ・コミュニケーション:対話を通じて相互理解を深め、社内外のステークホルダーと信頼関係を築く。 ・ダイバーシティ :多様性を受容し、相互に尊重する。 ・サステナビリティ :人・社会・地球と共生し、持続可能な世界を実現する。 ・インテグリティ :高い倫理観を持ち、絶えず基本に立ち返る。 |
(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
①経営環境
昨今の外部環境の変化は激しく、「地政学と経済」「気候変動」「テクノロジーの広がり」「人口動態」「富の格差」といった中長期的に内外経済の動向を左右する潮流、メガトレンドを認識する必要性が増しております。
このような外部環境の変化の中で、当社グループに求められる役割は、従来型のリース・ファイナンスに加えて、事業投資・運営などを通じた社会的課題の解決へと変化しております。しかも、With/Postコロナの環境下では、想像以上のスピードで産業レベルでのビジネスモデルチェンジが生じるとみられ、各企業が環境変化に適応していく上では、アセットに関する多様な機能を有し、金融機能にとどまらない柔軟なサービスを提供する当社グループの存在意義がさらに高まるものと考えております。
当社グループにおいては、このような社会、業界の大きな環境変化を新たなビジネス機会と捉え、多様なお客さま・パートナーとともに、社会価値を創出していくことで、持続可能で豊かな未来に貢献してまいります。
②経営の中長期方向性
経営理念の実現に向け、「10年後のありたい姿」を描き、ステークホルダーの皆さまからどのように認識される企業になりたいか、そのために当社がどのように変革していくかを「経営の中長期的方向性」として示しております。
10年後のありたい姿
「10年後のありたい姿」は「未踏の未来へ、ともに挑むイノベーター」です。これには以下の想いを込めております。
・経営理念の実現のため、前例に捉われることなく未来へ挑む「イノベーター(誰も踏み入れたことのない領域を切り拓き、革新していく存在)」であり続ける。
・グローバルな産業構造の変化、デジタル化の加速、サステナビリティの重要性の高まりなど、社会や事業環境の変化を先取りし、お客さま・パートナーとともにSX(サステナビリティ トランスフォーメーション)やDX(デジタル トランスフォーメーション)などの取組みを通じた三菱HCキャピタルにしかできない社会的課題の解決に挑戦し続ける。
「10年後のありたい姿」は、三次(ホップ、ステップ、ジャンプ)の中期経営計画を経て達成してまいります。2023年度(2024年3月期)より開始する新中期経営計画は「ホップ」の位置付けとなります。
10年後のありたい姿の実現に向けて
「SX / DX」と「事業ポートフォリオ変革」に取組むことで、CXを推進し、「10年後のありたい姿」を実現してまいります。
上記CXは、「コーポレート トランスフォーメーション:全社的変革」と、「カスタマー エクスペリエンス:顧客価値の創造」の二つの意味を有しており、CX「コーポレート トランスフォーメーション:全社的変革」を実行することで、「カスタマー エクスペリエンス:顧客価値の創造」を実現してまいります。
SX / DX
SX(サステナビリティ トランスフォーメーション)においては、マテリアリティへの取組みや強固な経営基盤を通じて、「環境価値・社会価値との共存・共栄」と「持続可能な成長」を実現いたします。
また、DX(デジタル トランスフォーメーション)においては、データ・デジタル技術の活用と戦略的投資の実行による「顧客価値の“新たな創造”や“質的向上”」を実現いたします。
事業ポートフォリオ変革
事業ポートフォリオ変革として、①新ビジネスの「開発」、②既存ビジネスから高付加価値サービスへのシフト、③既存ビジネスの収益力強化と効率化、を実施いたします。
既存ビジネスの安定的キャッシュフローと幅広い顧客基盤を活用し、新事業・新領域を開発、新たな収益源を獲得することに加えて、既存ビジネスの顧客基盤を維持・拡大の上、高付加価値サービスにシフトし、顧客への提供価値を向上させることで、リターンを高めてまいります。また、安定的キャッシュフローの創出源である既存ビジネスの収益力強化と効率化も同時に進めてまいります。
③マテリアリティ
当社は、当社グループが持続的に成長する上で優先的に取組むべきテーマとして、以下の6つのマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。
近年における温暖化による気候変動、人口増加、都市化、資源不足といった地球規模の環境変化を背景に、企業には、脱炭素社会の推進や循環型経済の構築など、多くの課題解決に向けた取組みが求められております。
当社グループにおいては、今回特定したマテリアリティの重要性を認識した上で、課題解決に向けた実効性のある経営、事業活動に取組んでまいります。
マテリアリティ |
重要性が高いと考える背景 |
SDGsとの関係 |
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脱炭素社会の推進 |
・脱炭素社会の実現に向けた取組みは、喫緊の課題として、世界的に認知されており、再生可能エネルギー投資、EV化の促進などの成長・有力分野における当社グループの貢献の余地は大きい。 ・この社会的課題の解決に逆行する取組みの峻別などは、事業面における影響も大きく、重要性が高い。 |
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サーキュラー エコノミーの実現 |
・自社並びに社会における廃棄を減らすこと、アセットの新たな価値を最大限に活用し、循環型社会に貢献することは、リース業界のリーディングカンパニーとして、その重要性が高い。 ・パートナーとの連携を強化することで、持続可能で豊かな社会の実現に貢献できる。 |
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強靭な 社会インフラの構築 |
・修繕期や再構築期を迎えている国内インフラの整備や、様々なパートナーと協業する海外のインフラ支援の積極的な展開、スマートシティの構築は、多くの機会を有する領域。 ・企業間の連携を支援する仕組みの構築、サービスの提供により、その事業の多様化や高度化、効率化に貢献できる。 |
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健康で豊かな 生活の実現 |
・当社を取り巻く、多くのステークホルダーの健康及び安全・安心・文化的な生活の保全に関わるサービスの創出と提供は、豊かな未来の実現に向けて、その重要性が高い。 ・企業活動における価値と信頼の源泉は人材であり、社員のモチベーション向上、優秀な人材の獲得なども、その意義は大きい。 |
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最新技術を駆使した 事業の創出 |
・お客さまのDX推進におけるファイナンスニーズを捉え、自社のテクノロジーやデジタル技術の利活用により、その解決を図ることは、新たな事業モデルの開発を促進するもの。 ・代替エネルギーの利活用に伴うサプライチェーン構築も含めて、多様性と新規性を兼ね備えた事業創出の機会として重要性が高い。 |
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世界各地との共生 |
・国や地域により、抱えている社会的課題は異なることから、地域密着で独自のニーズを捉え、各国・地域のパートナーとの協業などをもって、その解決を図ることの意義は大きい。 ・当社グループの総合力を発揮することで、ともに成長する社会を実現できる。 |
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(3)優先して対処すべき事業上の課題
経営統合によるシナジー創出のためには、PMI(経営統合プロセス)の確実な推進が重要であると認識しております。全社のPMIを統括し、シナジー発揮のための全体推進などを行う部署を立ち上げ、様々なワーキンググループにおいて精力的な活動を積み重ねてきました。その結果、PMIは順調に進捗しております。
経営統合により、経営資源の最適化などのコスト面を中心としたシナジー、営業面のシナジー、統合によって創出される資本余力を活用したシナジーの3つの側面からその創出を図ります。
また、前項に記載した6つのマテリアリティ(重要課題)の重要性を認識し、課題解決をめざした事業戦略・施策を具体化してまいります。
なお、経営統合後、初めてとなる中期経営計画においては、現在、その策定を進めており、2022年度中(2023年3月期中)の公表を予定しております。
(4)目標とする経営指標
中期的な経営方針・戦略及び目標とする具体的な経営指標は、2023年度(2024年3月期)からの3年間を対象期間とする中期経営計画の策定の中で検討を進めてまいります。
なお、中期経営計画の最終年度となる2025年度(2026年3月期)における経営指標の計数イメージは、現時点にて、以下を想定しております。
項目 |
計数イメージ |
2022年3月期(実績) |
ROA |
1.5%程度 |
1.0% |
ROE |
10%程度 |
8.0% |
配当性向 |
40%程度 (2024年3月期~2026年3月期) |
40.4% |
(注)ROA及びROEの算定においては、親会社株主に帰属する当期純利益を使用しております。また、2022年3月期のROA及びROEの算定における期首の数値は、日立キャピタルとの経営統合を反映した数値を使用しております。
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